「営業職は転職しやすいと聞いたが、本当なのか」「未経験でも営業に転職できる根拠はあるのか」「どの業界・企業の営業が転職しやすいのか」。こうした疑問を持つ方は多くいます。
結論から言うと、営業職は全職種の中で最も転職しやすい部類に入ります。2025年1月時点の営業職の新規求人倍率は3.61倍(kotora調べ)で、全体の求人ニーズを大きく上回っています。ただし「転職しやすい=どこでも通る」ではなく、業界・企業・営業スタイルによって難易度に差があります。
この記事では、営業職が転職しやすい理由をデータで整理した上で、特に転職しやすい業界・企業の特徴と、転職成功率を高める準備まで解説します。
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株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
営業職が転職しやすい5つの理由
理由1:有効求人倍率が全職種平均を常に上回っている
厚生労働省が公表する「一般職業紹介状況」によると、営業職の有効求人倍率は常に全職種平均を上回る水準で推移しています(ビギナーズリンク)。doda転職求人倍率レポート(2026年2月発行版)でも、全体の転職求人倍率2.40倍に対して営業職の求人数は前年同月比で増加傾向が続いています。メーカー・IT・不動産・人材・保険など、ほぼすべての業界で営業人材の採用ニーズが続いているためです。
理由2:未経験可の求人が他職種より圧倒的に多い
エンジニア・経理・法務などの専門職は「経験○年以上・資格必須」という条件がほぼ必須ですが、営業職は「未経験者歓迎」の求人が全職種の中で最も多い職種のひとつです(マイナビ転職)。特に人材業界・SaaS業界・不動産業界は、ポテンシャル採用を積極的に行っており、第二新卒や異業種からの転職者が入りやすい構造になっています。
理由3:業界を問わず必要とされる汎用性の高い職種
製造業・IT・医療・金融・教育・食品・不動産。企業が売上を上げるために営業人材は不可欠であり、景気変動に左右されにくい安定した採用ニーズがあります(ビギナーズリンク)。特定の業界知識がなくても「コミュニケーション能力・数字への意識・行動力」があれば採用される間口の広さが、他職種との大きな違いです。
理由4:成果を数字で語れるため書類・面接で評価されやすい
営業職の最大の強みのひとつが「実績を数字で語れること」です。「月次目標達成率120%・新規顧客開拓42件・前年比売上130%」という形で成果を定量化できる職種は多くありません。この数字の説得力が、書類選考・面接どちらにおいても採用担当者の印象に残りやすい理由です。異職種への転職においても、この「数字で語れる力」は高く評価されます。
理由5:営業経験のポータビリティ(可搬性)が高い
営業職で培われる「顧客課題のヒアリング力・提案力・折衝力・数値管理力」は、マーケティング・事業企画・カスタマーサクセス・人事・コンサルタントなど、幅広い職種に転用できます。他の職種に比べてキャリアの選択肢が多く、転職後の次の一手も打ちやすいという特徴があります。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起営業職の転職市場優位性は『数字で成果を定量化できる』『未経験可の間口が広い』『業界横断的な需要が安定している』ことに集約されます。最も重要なのは『ヒアリング・折衝・数値管理』というスキルセットが、職種や業界を超えて活用可能という点。マーケティング・CS・事業企画など複数の転職先が選べるため、『営業は転職しやすい』という認識は企業側にも定着しており、実際の書類通過率も高い傾向にあります。
営業職の中で転職しやすい業界・しにくい業界の違い
「営業職は転職しやすい」と言っても、業界によって転職難易度には大きな差があります。どの業界を選ぶかが転職成功率を大きく左右します。
未経験からでも転職しやすい業界
| 業界 | 転職しやすい理由 | 年収目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 人材業界 | 慢性的な人材不足で未経験大量採用が続く。第二新卒・異業種からの転職実績が最も豊富 | 400〜600万円(インセンティブあり) | 離職率が高い傾向。入社前に業務内容の理解が重要 |
| SaaS・IT業界(インサイドセールス) | 市場拡大に伴い営業職採用が急増。未経験可のインサイドセールス求人が多数 | 450〜650万円 | ITリテラシーと学習意欲が問われる |
| 不動産業界 | 営業未経験者を積極採用する企業が多い。宅建取得で年収アップの道筋が明確 | 400〜800万円(成果連動で上振れ大) | 土日出勤・ノルマが厳しいケースあり |
| 保険業界 | 慢性的な人材需要で未経験OK求人が多い。研修制度が充実している | 400〜700万円(インセンティブ型) | 友人・知人への勧誘が発生するケースあり |
| 医療・ヘルスケア(MR・医療機器) | 業界知識は入社後に習得可。安定した需要 | 450〜700万円 | 理系知識や医療への関心が求められることが多い |
未経験からは転職しにくい業界
| 業界 | 難しい理由 |
|---|---|
| M&A仲介・投資銀行 | 専門知識・財務スキル・コンサル経験が実質的に必要。年収は高いが競争倍率が高い |
| 外資系高額商材営業 | 語学力・業界経験・高い成果実績が求められる。未経験からの参入ハードルが高い |
| 製薬(MR) | 医薬品に関する専門知識・MR認定試験の合格が実質的な条件 |
営業職に転職しやすい人の特徴
「未経験でも転職しやすい」とはいえ、採用される人とそうでない人の差は明確に存在します。
採用されやすい人の特徴
- 「なぜ営業職を選んだか」「なぜこの業界の商材か」を具体的に語れる人。「人と話すのが好き」という動機だけでは不十分で、志望する業界・商材への関心と、自分の強みがそこでどう活きるかを語れる候補者が採用されます
- 対人での提案・説明・サポート経験がある人。営業未経験でも、接客・教育・相談業務などの経験をSTAR法で語れると、営業適性の証明として評価されます
- 数字に対して前向きな姿勢を示せる人。「目標を追うことへの抵抗感のなさ」と「成果が数字で見えることへのポジティブな反応」を語れる人は、面接官から「長く活躍できる人材」と判断されます
- 行動力・粘り強さのエピソードを持っている人。過去の経験から「断られても続けた・困難を乗り越えた」という実績を語れる人は、営業職の選考で高く評価されます
採用されにくい人の特徴
- 「とりあえず営業なら入れるだろう」という軽い動機で応募している人。志望動機の薄さは面接で見抜かれます
- 数字やノルマへの明確な抵抗感を面接で示す人。インセンティブ型の評価制度が多い営業職では、数字を追うことへのポジティブな姿勢が前提条件です
- 業界・企業の研究を全くしていない人。「なぜこの会社の営業か」という問いに答えられない候補者は、どの企業でも書類・面接を通過しにくいといえます



営業職採用で最も重視されるのは『志望動機の具体性』と『数字への姿勢』です。『人と話すのが好き』では採用されず『この業界・商材で数字を追うことに意義を感じるか』が問われます。採用担当者は『長く活躍できるか』を見ているため、対人経験からの提案力・困難への粘り強さ・数字へのポジティブな反応が決め手になります。逆に『とりあえず営業なら』という候補者は、面接で軽さを見抜かれ落ちやすい傾向が顕著です。
転職しやすい営業職の種類と特徴
「営業職」と一口に言っても、そのスタイルは大きく異なります。転職しやすさにも種類によって差があるため、自分の強みとライフスタイルに合ったタイプを選ぶことが重要です。
未経験から転職しやすい営業スタイル
- インサイドセールス:電話・Web会議で完結する内勤型の営業。飛び込みやテレアポが苦手な方にも向いており、SaaS・IT企業を中心に未経験可求人が急増中。年収400〜600万円
- ルート営業:既存顧客を定期訪問してフォローする営業。新規開拓のプレッシャーが少なく、コミュニケーション力があれば異業種からでも転職しやすい。年収350〜550万円
- カスタマーサクセス(CSM):厳密には営業の一種として扱われるケースも多い。既存顧客の活用促進・継続率向上が役割で、営業未経験者の採用実績が豊富。年収450〜700万円
経験者優遇で転職難易度が上がる営業スタイル
- 法人向けフィールドセールス(大手企業担当):大企業との複雑な案件を担当するため、法人営業の実績が実質的に求められるケースが多い
- 外資系・高額商材営業:語学力・業界経験・高い成果実績が必要。年収は高いが競争倍率も高い
転職しやすい営業職の中でも「3年後の市場価値」で選ぶべき理由
「入りやすい」という理由だけで転職先の営業職を選ぶと、3年後に「また転職したい」という状況になりやすいです。転職のしやすさと3年後の市場価値は必ずしも比例しないという視点を持つことが、長期的なキャリア設計に重要です。
| 営業タイプ | 転職のしやすさ | 3年後の市場価値 | 次のキャリアへのつながり |
|---|---|---|---|
| SaaS・IT系無形商材法人営業 | 中 | 高い | カスタマーサクセス・事業企画・コンサルタントへの転換が容易 |
| 人材業界営業 | 高い(未経験可) | 中 | HR Tech・採用人事・事業会社の採用担当へ |
| 個人向け保険・不動産営業 | 高い(未経験可) | 中(インセンティブ型の実績は一定評価される) | 同業他社・FP・IFAへ。異業種転換はやや難しい |
| ルート営業(メーカー等) | 中(経験者優遇が多い) | 中(業界専門性は評価される) | 同業・近業界内での転職が中心 |
「入りやすさ」と「市場価値の高さ」を両立させるなら、SaaS・IT系の法人営業が最もバランスが良い選択肢です。未経験可の求人も増えており、入社後に身につく「課題解決型提案スキル・IT知識・データ活用力」は次のキャリアに広く転用できます。
営業職への転職成功率を高める準備の手順
志望動機の3層構造の作り方
営業職への転職で面接を通過するための志望動機は、「なぜ営業職か」「なぜこの業界か」「なぜこの会社か」という3層で構成する必要があります。この3層がそろって初めて、採用担当者に「この人は入社後も続けてくれる」という確信を与えられます。どれかひとつだけでは説得力が不十分です。
職務経歴書で営業適性を示す書き方
営業未経験の場合でも、職務経歴書には「提案・説明・交渉・サポート」という対人経験をSTAR法(状況→課題→行動→結果)で記載することで、営業適性を示せます。さらに「今後こういう結果を出したい」という入社後のビジョンを最後に添えることで、「ポテンシャルのある候補者」という印象を与えられます。



営業職転職の志望動機で採用担当者が見ているのは『業界・商材・会社』の3層の一貫性です。『営業職だから』という理由だけでは、『どこでもいい人』と判断され落とされます。職務経歴書では『提案・交渉・サポート経験』を具体的なSTARエピソードで示し『営業適性がある』という証明が必須。さらに『入社後○○という数字を目指す』というビジョンを添えることで『この会社で長く活躍する人材』という印象に変わります。
営業職への転職に役立つエージェントの選び方
営業職への転職では、営業職の求人数が多く・業界・スタイル別の特性を把握しているエージェントを選ぶことが重要です。どの業界の営業が自分に向いているかの整理から、志望動機の作り方・面接対策まで一貫してサポートしてもらえるエージェントが有利です。以下の3社は営業職への転職支援実績が豊富です。
リクルートエージェント
業界最大手で営業職の求人数が圧倒的に多く、非公開求人へのアクセスも豊富です。未経験から営業職への転職実績が多く、業界・スタイル別の求人の見極めをサポートしてもらえます。
マスメディアン
マーケティング・デジタル・SaaS・法人営業領域に特化した転職エージェントです。SaaS営業・インサイドセールス・カスタマーサクセスへの転職に特に強く、業界理解の深いアドバイザーが対応します。
マーキャリNEXT CAREER
法人営業・SaaS・ハイクラス転職に強みを持つエージェントです。年収600万円以上の法人営業・フィールドセールス・営業マネージャー職への転職を目指す方に向いています。
まとめ:営業職が転職しやすい理由と成功のポイント
営業職が転職しやすい最大の理由は、求人数の多さ・未経験可求人の豊富さ・業界を問わない汎用性の高さの3点です。2025年1月の新規求人倍率3.61倍というデータがその事実を裏付けています。
ただし「転職しやすい=どこでも通る」ではなく、業界・スタイル選びと志望動機の質が転職成功率を左右します。「入りやすさ」だけでなく「3年後の市場価値」も考慮した上で転職先を選ぶことが、長期的なキャリア満足度につながります。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 手順1(今週中) | 転職しやすい業界(人材・SaaS・不動産・保険・医療)の中から、自分の関心と3年後の市場価値の観点で志望業界を絞り込む。SaaSが「入りやすさ×市場価値」のバランスで最も優れている |
| 手順2(1〜2週間以内) | 「なぜ営業職か・なぜこの業界か・なぜこの会社か」という3層の志望動機を言語化する。STAR法で対人スキルのエピソードを整理し、職務経歴書に盛り込む |
| 手順3(並行して) | リクルートエージェント・マスメディアンなど営業職に強いエージェントへ登録し、業界別の求人情報の収集と書類・面接対策のサポートを受ける |
本記事が、営業職への転職を検討されている方の参考になれば幸いです。











