「IT営業はきついと聞くが具体的に何が大変なのか知りたい」「IT営業に転職を考えているが自分に向いているか判断できない」「今のIT営業がつらくて、同じIT業界内で環境を変えるべきか迷っている」。こうした疑問を持つ方は多くいます。
IT営業を10年経験した筆者の解説によると、IT営業がきつい理由は商材の価値が伝わりにくいこと・必要な知識が多岐にわたること・売った後にトラブルが起きやすいこと・システム障害発生時に顧客と社内の板挟みになることの4つに集約されるとされています(IT業界ノート調べ)。他の営業職とは違う、IT製品特有のきつさがある点が特徴です。この記事では、IT営業がきつい理由・きつさを乗り越える対策・向いている人の特徴・きつい場合の選択肢まで解説します。
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攻めキャリエージェント:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
IT営業がきつい理由
10年間IT営業を経験した筆者の実体験をもとに、IT製品ならではのきつさを整理します。他業界の営業とは異なる負担がある点を、転職前に理解しておくことが重要です。
商材の価値を理解してもらうのに労力がかかる
IT業界ノートの解説によると、IT営業が扱うIT製品・サービスは他業界の商材と比較すると価値を理解しにくく、価値を理解しにくいということは相手に価値を伝えにくいことにつながるとされています。価値が伝わりにくいと支払う金額の妥当性も判断してもらいにくくなり、提案する製品・サービスの価値と金額の妥当性の両方を顧客に理解させないと契約を勝ち取ることができないという二重の説明責任が発生します。この労力の積み重ねが、IT営業のきつさの根本にあります。
把握すべき知識の範囲が広すぎる
IT業界ノートの解説によると、技術進化のスピードが速いIT業界では、3年前に主流だった技術や製品が廃れてしまうことも珍しくなく、自社製品の最新情報を隅々まで把握するインプット作業に加え、顧客の事業・業績・業務・組織の力学までを過去・現在・未来という時間軸で把握しておく必要があるとされています。自社製品の知識だけでなく顧客企業側の深い理解まで求められる点が、IT営業特有の学習負荷を生んでいます。
契約後に「全く使えない」というトラブルが起きやすい
IT業界ノートの解説によると、IT製品・サービスはそれを動かす環境や使う人の現行業務次第で「全く使えない」という事態が発生することがあり、購入したのに使えないというトラブルが珍しくないとされています。他業界の商材であれば想定と多少違っても価値自体は感じてもらえますが、IT製品は環境との相性次第で価値がゼロになるという特殊な懸念を抱えており、最悪の場合は損失の補填を求めて訴訟に発展するケースもあるとされています。
システム障害が起きると顧客とエンジニアの板挟みになる
IT業界ノートの解説によると、一部のIT企業では障害発生時の顧客対応窓口を営業が担っており、早く状況を報告してほしいと焦る顧客と、不用意に状況を共有できないエンジニアとの間でIT営業は板挟みになるとされています。顧客にとってシステムが止まることは業務が止まることを意味するため催促は強くなる一方、エンジニア側は正確な情報が出るまで報告できないという事情があり、この間に立たされる負荷は物理的にも精神的にも大きいとされています。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起IT営業の本質的なきつさは、無形商材ゆえの「不確実性」の高さにありますね。顧客の経営課題とエンジニアの技術を繋ぐ高度な翻訳力が求められる上、導入後のリスクまで背負う重責があります。単に売るだけでなく、システム障害などの修羅場を乗り越えるタフさと、関係者を巻き込む高い調整力が不可欠と言えます。
同じIT営業でも会社によってきつさが変わる
IT業界ノートの解説によると、システム障害発生時の顧客対応の流れはIT企業によって大幅に異なり、SIer企業は結局営業が間に入って対応することがほとんどな一方、ソフトウェア企業やクラウドサービス企業は障害発生時の連絡ルートが製品別に厳格に整備されているとされています。筆者自身もSIer企業からクラウドサービス企業へ転職した際に、障害対応をしないで済む心の安定を大きな感動として実感したとされています。障害発生時の連絡ルートが厳格に決まっているかどうかは、転職活動の面接で確認できるポイントです。
IT業界の営業職全般がきついと言われる理由
個々の商材特性だけでなく、IT業界の営業職全体に共通する構造的な要因もあります。CAUPiTやフリーコンサルの解説をもとに整理します。
フリーコンサルの解説によると、IT技術の進化が加速する中で市場には似たような商品やサービスが多数存在し、クラウド基盤やSaaS製品などでは主要機能が標準化され競合他社との技術的差異が縮小しているとされています。差別化が難しい市場で成果を出し続けるプレッシャーが、日々の営業活動のきつさにつながります。またIT業界の離職率について、理想の働き方研究室の解説では「結果を出せば出すほど残業が多くなったり、システム障害などによる緊急対応でプライベートの時間が犠牲になることが増えてしまう」とも指摘されています。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起IT営業が過酷なのは、技術のコモディティ化(一般化)により、製品力ではなく「営業個人の介在価値」で勝負せざるを得ない点にありますね。成果を出すほど案件が複雑化し、障害対応など24時間体制の重圧が増す構造は、まさに人気の裏にある影と言えます。
IT営業のきつさを乗り越える対策
きつさの原因が分かれば、対策も見えてきます。IT業界ノートが紹介する具体的な対策を整理します。
相手の前提知識に合わせて価値を伝える技術を学ぶ
価値を伝えるために発する情報は相手が保有する前提知識に応じて変えるべきで、情報を伝える順番や、口頭・文章・数字・図といった最適な手段を選ぶことも重要とされています(IT業界ノート調べ)。専門知識のない相手に専門用語を並べても伝わらず、逆に詳しい相手に初歩的な説明をすると信頼を失うため、相手に合わせた説明力を磨くことが商材の価値の伝わりにくさへの対策になります。
網羅的にヒアリングするスキルを磨く
優れた提案をして受注を勝ち取るためにはどんな情報を把握しておくべきかは経験がモノをいう世界であり、社内で高いパフォーマンスを出している営業がどんな情報を把握しているかを探ることが有効とされています(IT業界ノート調べ)。把握すべき情報を質問攻めにするのではなく、顧客が気持ちよく答えたくなる聞き方を身につけることが、知識量の多さへの対策になります。
営業が障害対応をしなくて済む企業を選ぶ
システム障害発生時の連絡ルートが製品別に厳格に整備されている企業であれば、営業が顧客とエンジニアの板挟みになる負荷を避けられるとされています(IT業界ノート調べ)。この情報は転職活動時の面接で直接質問すれば確認できるため、次の転職先を選ぶ際の重要なチェックポイントとして活用できます。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起IT営業のきつさを防ぐには、個人技の向上だけでなく「仕組みの選択」が賢明なアプローチですね。伝える力や聴く力を磨く自己投資は基本ですが、障害対応などの体制は個人の努力で変えられません。過度な負担を背負わない「組織の仕組み」を見極め、自身のスキルが活きる環境を戦略的に選ぶ視点こそが重要です。
IT営業が向いている人の特徴
きつさだけでなく、IT営業を天職と感じる人が持つ共通点も理解しておくことが、転職判断の材料になります。
IT業界ノートの解説によると、ITについて学ぼうとする姿勢を持てる人・論理的な正しさを大切にできる人・気合や勘ではなくデータや根拠をもとに仕事を進めたい人がIT営業に向いているとされています。「便利なアプリを知ったらまず使ってみる」くらいの好奇心を持てるかどうかが、ひとつの目安です。イノセル株式会社の解説でも「IT分野への知的好奇心があり新しい知識を積極的に吸収できる人」が挙げられており、学習を負担ではなく楽しみに変換できるかが適性の分かれ目です。
IT営業のきつさを乗り越えた先にあるメリット
IT業界ノートの筆者の実例によると、IT営業として実績を積み重ねた場合、入社1年目の年収320万円から9年目でマネージャーとして年収830万円まで上昇したとされています。難易度の高い仕事で成果を出せるようになれば高いビジネススキルが身につき、IT業界内の転職を通じてさらなる年収アップも狙いやすいとされています。野村総合研究所やオービックなど、大手IT企業では平均年収900万円を超える例もあり、IT営業としての経験が長期的なキャリアの土台になります。
きつさが合わない場合はカスタマーサクセスも選択肢になる
IT業界ノートの解説によると、IT営業のきつさに耐えられそうにないと感じた場合、契約後の顧客を成功に導くカスタマーサクセスへの転職がおすすめできる選択肢とされています。カスタマーサクセスは新規開拓の商談を担当せず、既に契約した顧客が製品を使いこなせるよう支援する仕事のため、新規営業特有のプレッシャーとは性質が異なります。「顧客の課題をヒアリングして解決策を提言する」という点では営業と共通するスキルが多いため、営業経験者はカスタマーサクセスとして活躍しやすいとされています。ただしカスタマーサクセス職はソフトウェア企業やインターネット企業に多く、SIer企業やハードウェア企業には設置されていないケースが多い点には注意が必要です。
転職エージェントの選び方
IT営業への転職や、IT営業からカスタマーサクセスへの転換を考える場合、IT業界に詳しいエージェントへの相談が有効です。以下の3社はIT・SaaS・法人営業のキャリア相談に強みを持っています。
転職エージェントを使うべき理由 IT業界ノートの解説によると、IT業界では各企業が自社製品の情報を積極的に発信しているため、どんなに営業力があっても製品の競争力が競合に劣れば受注は難しいとされています。応募先企業の競争力を事前に確認する上でも、業界に詳しいエージェントの活用が推奨されています。また未経験からの転職では、転職サイトからの応募よりもエージェント経由の方が選考担当者にじっくり内容を見てもらいやすいというメリットもあります。
リクルートエージェント
業界最大手でIT・SaaS業界の求人が多く、SIer・ソフトウェア企業・クラウドサービス企業まで幅広く比較検討できます。非公開求人へのアクセスと書類添削・面接対策まで一貫したサポートが受けられます。
マスメディアン
マーケティング・デジタル・SaaS・法人営業領域に特化した転職エージェントです。IT営業からプロダクトマーケティングや事業開発へキャリアチェンジしたい方に有効です。
マーキャリNEXT CAREER
IT企業の営業職とカスタマーサクセスに特化した転職エージェントです。障害対応の有無や連絡ルートの整備状況など、企業ごとの実態情報に詳しいアドバイザーが対応します。
まとめ
IT営業のきつさは、商材の価値の伝わりにくさ・幅広い知識の要求・契約後トラブルの特殊性・システム障害時の板挟みという、IT製品ならではの構造から生まれています。一方でこれらのきつさの多くは対策可能であり、企業選び次第で負荷の大きさも変わります。
難易度の高さは裏を返せば市場価値の高いスキルが身につく機会でもあり、IT営業としての経験は年収アップにもつながりやすい職種です。きつさがどうしても合わないと感じた場合は、同じIT業界の中でもカスタマーサクセスという選択肢があることも覚えておくとよいでしょう。まずは自分が感じているきつさがどの理由に当てはまるかを整理し、業界に詳しいエージェントに相談しながら、自分に合う企業と職種を見極めることをおすすめします。
本記事が、IT営業のきつさと向き合っている方の参考になれば幸いです。

