- メーカー営業の求人は前年比約1.12倍に増加(JAC調べ)
- 想定平均年収は801.9万円、外資系は900.1万円
- 転職先は商材と顧客の2軸で7職種から選ぶ
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メーカー営業の転職先の選択肢と選び方

メーカー営業の転職先は、同業他社のメーカー、商社、IT企業、コンサルティングファーム、海外営業など幅広くあります。自社製品を扱ってきた経験は、扱う商材や顧客が変わっても通用する場面が多いためです。
ただし選択肢が多いほど、何を基準に選ぶかで迷いやすくなります。この章では、転職先を整理するための考え方から先に押さえていきます。
転職先を整理する商材と顧客の2軸
転職先の候補を比べるときは、「扱う商材が今と近いか」「相手にする顧客が今と近いか」の2つの軸で整理すると、自分の強みがどこまでそのまま通用するかが見えてきます。製造業の営業は、自社製品の知識と法人顧客との長期的な関係づくりが武器になるためです。
たとえば同業他社のメーカーは、商材も顧客もほぼ同じです。商社営業は、商材は近く、顧客は少し広がります。IT営業やコンサルティングは、商材が大きく変わる一方で、法人顧客への提案という動きは共通します。
| 転職先 | 商材の距離 | 顧客の距離 | 転職難度の目安 |
|---|---|---|---|
| 同業他社のメーカー | 近い | 近い | 低い。即戦力として見られやすい |
| 商社営業 | 近い | やや広がる | 低〜中。商材知識が評価される |
| IT営業・企画営業 | 変わる | 近い | 中。提案力が問われる |
| マーケター・コンサル | 変わる | 変わる | 中〜高。職種転換になる |
| 海外営業 | 近い | 大きく変わる | 中。語学力が壁になりやすい |
この表は、メーカー営業の経験をどこまで流用できるかを筆者が整理した目安であり、公的な統計ではありません。同じ職種でも企業ごとに求められる経験は異なるため、求人票で確認してください。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起転職先で迷う方には、まず「商材は変えたくないのか、顧客対応のスタイルは変えたくないのか」を聞いています。どちらを残したいかが決まると、候補は自然に3〜4つまで絞れます。
メーカー営業の転職先に共通する評価ポイント
転職先が変わっても共通して見られるのは、営業としての基礎力です。JAC Recruitmentの市場レポートでは、メーカー営業の求人で営業経験3年以上が求められるケースが多いと紹介されています。技術的な知識や、課題に応じた提案力も評価の対象です。
- 営業経験 目標に対する実績を数字で語れること
- 業界知識 担当してきた製品分野の仕様や商慣習を理解していること
- 提案力 顧客の課題を聞き取り、自社製品の価値として伝えられること
- 調整力 社内の開発・製造・物流と顧客の間に立って案件を進めた経験
この4つに共通するのは、商材が変わっても持ち運べる力だという点です。転職活動では、製品名ではなく、この4つの力を軸に経験を語ると伝わりやすくなります。
転職前に済ませたい自己分析
転職先を決める前に、きついと感じている原因が営業職そのものにあるのか、今の会社や商材にあるのかを切り分けることが欠かせません。マイナビ営業エージェントの解説では、メーカー営業がきついと感じる理由として、営業職への不向き、商材への関心の薄さ、取引先からの無理な要求などが挙げられています。
原因が商材や会社にあるなら、同じ営業職のまま環境を変えれば解決する可能性があります。営業職そのものが合わないなら、企画やマーケティングなど職種転換を視野に入れた方がよいでしょう。
原因の切り分けができると、次の章で紹介する7つの転職先のうち、どれが自分に合うかを判断しやすくなります。
紙に「やりがいを感じた場面」と「消耗した場面」を3つずつ書き出し、それぞれ商材・顧客・社内・評価制度のどれが理由かを書き添えてみてください。消耗の理由が営業職の動きそのものに偏っていれば職種転換、商材や会社に偏っていれば環境の変更が向いています。
メーカー営業におすすめの転職先7選


マイナビ営業エージェントの解説では、メーカー営業からの転職先として7つの方向性が整理されています。ここでは、その7つを商材と顧客の距離という見方で、特徴と向いている人に分けて解説します。
同業他社のメーカー営業
同業他社への転職は、商材知識も取引先との商慣習もそのまま活かせるため、最も入社後の立ち上がりが早い選択肢です。待遇や勤務地、評価制度への不満が転職理由なら、候補の筆頭になります。
一方で、営業職そのものに疲れている場合は、環境を変えても同じ悩みが残る可能性があります。
商社営業
商社営業は、複数メーカーの製品を扱う立場です。メーカー側の事情を知っている点は取引先であるメーカーとの交渉で強みになります。商材の幅が広がるため、1つの製品を深く売るよりも、組み合わせて提案する動きが増えます。
IT営業・SaaS営業
IT営業では、顧客の課題を聞き取って、ソフトウェアやシステムとして解決する提案が中心になります。製造業の現場や業務を知っていることは、製造業向けのITサービスを扱う企業で重視されやすい点です。
無形商材を扱うため、メーカー時代のように実物を見せて説明できません。提案の組み立て方を学び直す意欲が求められます。
企画営業
企画営業は、顧客ごとに課題を整理し、解決策を企画として提案する営業です。既存の製品を売るだけでなく、顧客に合わせて内容を組み立てる比重が高くなります。ルーティンの訪問営業に物足りなさを感じている人に向いています。
マーケター
マーケターは、市場や顧客のデータを分析し、見込み客を獲得する仕組みをつくる職種です。営業現場で顧客の反応を見てきた経験は、施策を考えるときの手がかりになります。
営業から未経験で職種転換する場合は、データ分析やWeb施策の基礎を自分で学んでいることが評価につながります。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームでは、顧客の経営課題を分析し、解決の戦略を立案します。メーカー営業で培ったヒアリング力や課題解決力が活かせる職種として、マイナビ営業エージェントの解説でも挙げられています。
製造業を専門とするチームでは、生産管理や原価管理に携わった経験も評価対象になります。



コンサルへの転職は憧れで語られがちですが、求められるのは論理的な資料作成と分析の速さです。営業実績だけでなく、課題を構造化した経験をエピソードとして用意しておくと選考で説得力が出ます。
海外営業
海外営業は、海外の市場開拓や現地代理店との交渉を担います。JAC Recruitmentの市場レポートによると、海外対応では貿易や規格の知識、海外拠点との調整力、ビジネスレベルの英語力が求められます。
製品知識がそのまま活かせる分、メーカー営業からの転職では現実的な選択肢です。語学に不安がある場合は、TOEICなどのスコアで英語力を示すと有利に働くとされています。
7つ全部を調べると時間が足りなくなります。商材の距離と顧客の距離の表を見ながら、まず「近い」2職種と「変わる」1職種に絞って求人票を5件ずつ読み比べてください。応募条件に共通して書かれている経験が、あなたに足りないものの一覧になります。
メーカー営業の転職市場と年収の目安


メーカー営業の転職市場は、求人数が増えている追い風の局面にあります。数字の裏付けとして、転職エージェントのJAC Recruitmentが公開している市場レポートを見ていきます。
メーカー営業の求人動向
JAC Recruitmentの市場レポートによると、同社が取り扱うメーカー営業職の求人は前年対比で約1.12倍に増えています。業界も広がっており、電機や化学、医療機器など専門性の高い分野が中心です。
背景として、事業拡大や新規事業、海外展開に伴う採用が挙げられています。営業経験に加えて、技術的なバックボーンや英語力を持つ人材が求められやすい状況です。
なお、この数字は1社の取り扱い求人に基づく動向であり、市場全体の統計ではない点には注意してください。
想定平均年収と職位別の差
同じレポートでは、2023年1月から2025年8月の支援実績をもとに、メーカー営業職への転職者の想定平均年収は801.9万円とされています。最も多い年収帯は650万円から850万円です。
| 区分 | 想定平均年収 |
|---|---|
| メンバークラス | 733.7万円 |
| マネージャークラス | 1,055.5万円 |
| 日系企業 | 720.7万円 |
| 外資系企業 | 900.1万円 |
職位でみるとメンバークラスとマネージャークラスの差は300万円以上あります。同じ営業でも、マネジメントを経験しているかどうかが年収を大きく左右します。
この年収は、JACを通じて転職した人の想定値であり、メーカー営業全体の平均ではありません。自分の年齢や業界で相場を知りたい場合は、複数の情報源で確認することが大切です。
日系と外資系の違い
日系企業の720.7万円に対し、外資系企業は900.1万円と、約180万円の差があります。外資系は成果に応じた報酬体系の企業が多く、年収を上げたい人にとっては選択肢になります。
ただし、外資系は英語での業務や、成果への要求水準が高い点も踏まえて検討する必要があります。年収だけで判断せず、働き方や評価制度とセットで比較してください。
年収の比較は「会社名」より「どの職位で入るか」で結果が変わります。応募前に、募集ポジションがメンバーかマネージャー候補かを確認し、同じ職位の年収帯で比較してください。マネジメント経験がある人は、その事実を職務経歴書の冒頭に書くと伝わりやすくなります。
メーカー営業経験の強みと転職先別の活かし方


メーカー営業の経験は、転職先ごとに言い換えることで評価されやすくなります。同じ実績でも、伝え方を相手の業界の言葉に合わせるだけで印象が変わります。
評価されやすいメーカー営業の強み
JAC Recruitmentの市場レポートでは、メーカー営業で求められる力として、自社製品を使うメリットを顧客に伝える提案力が挙がっています。単に製品を説明するのではなく、顧客の課題と結びつけて価値を語る力です。
- 技術的な知識 製品の強みを顧客の言葉に直して説明できる
- 数字に基づく行動計画 目標から逆算して訪問や提案を設計できる
- 部門をまたいだ調整 開発や製造と顧客の板挟みで案件を進められる
この3つは業界を問わず通用する力です。一方で、強みは自分では当たり前に感じやすく、棚卸しをしないと職務経歴書に書き落としがちになります。
職務経歴書での実績の伝え方
営業実績は、売上額や達成率といった結果だけでなく、どのような工夫で成果を出したかまで書くと説得力が増します。JAC Recruitmentの市場レポートでも、営業実績を具体的な成果でアピールすることが、転職を成功させるポイントのひとつに挙げられています。
| 書き方の弱い例 | 書き方の強い例 |
|---|---|
| 担当顧客を訪問して製品を提案した | 担当顧客の課題をヒアリングし、既存製品の組み合わせで提案して採用につなげた |
| 社内と連携して納期を守った | 開発と製造に事前調整して、特急案件の納期を守った経緯と成果を数字で示した |
弱い例と強い例の違いは、行動の理由と結果が見えるかどうかです。数字が出せない場合は、顧客の反応や社内の評価など、事実として言える変化を書いてください。
職種を変える場合の注意点
マーケターやコンサルのように職種自体が変わる転職では、未経験の領域を学ぶ姿勢が行動として見えるかが選考で確認されます。営業経験が評価されても、新しい職種の基礎知識がなければ、入社後の活躍をイメージしてもらえません。
たとえば、マーケター志望なら、自社の営業活動で顧客データを分析した経験を整理しておくだけでも説得力が出ます。年収が一時的に下がる可能性も踏まえ、数年後のキャリアで判断することも大切です。



職種を変える方によく話すのは、今の仕事の中に新しい職種の入り口があるかを探すことです。営業をしながら提案資料の改善や顧客データの分析を担当しておくと、未経験でも話せる実績になります。
職務経歴書の「提案力」「調整力」は、応募先の求人票に出てくる言葉で言い換えてください。IT営業なら「課題解決型の提案」、コンサルなら「仮説を立てたヒアリング」のように、同じ経験でも語彙を合わせると、書類通過率の改善につながりやすくなります。
メーカー営業の転職を成功させる進め方


転職先の候補が絞れたら、実際の進め方を固めます。順番を間違えなければ、メーカー営業の転職は大きな失敗を避けやすい転職です。
転職理由の整理と優先順位づけ
マイナビ営業エージェントの解説では、メーカー営業から転職するコツとして、営業職への適性を吟味すること、経験を活かせる職を選ぶこと、自分に合う企業を探すことが挙げられています。まずは年収、ワークライフバランス、キャリアアップのうち何を最優先するかを決めましょう。



転職理由を聞くと、きついという言葉でひとまとめにされる方が少なくありません。残業なのか、ノルマなのか、商材への関心なのかを分けるだけで、次に選ぶべき環境がはっきりします。
- 年収を上げたい場合は、外資系や職位が上がるポジションを検討する
- 働き方を改善したい場合は、営業スタイルや残業の実態を面接で確認する
- キャリアを広げたい場合は、職種転換を受け入れる企業を探す
優先順位が決まれば、転職先を選ぶ軸もぶれにくくなります。
20代と30代の転職の考え方
20代は、営業経験が浅くても、ポテンシャルを見込んで採用されやすい時期です。職種転換に挑戦しやすい反面、経験の数字が少ないため、仕事への姿勢や学習意欲を伝える必要があります。
30代は、即戦力としての実績が問われます。担当してきた顧客の規模や、チームでの役割を数字とともに整理しておくと評価されやすくなります。マネジメントの経験があれば、年収を大きく引き上げる材料になります。
転職エージェントの選び方と使い方
メーカー営業の転職では、製造業の求人に強いエージェントと総合型を併用するのが現実的です。総合型は求人数が多く、専門型は業界理解のある担当者から具体的な助言を受けやすいという違いがあります。
総合型の例として、リクルートエージェントがあります。管理職や専門職の転職を扱うサービスとして、マスメディアンやマーキャリNEXT CAREERも選択肢です。
複数に登録して、担当者の対応や紹介される求人の質を比べたうえで、自分に合うところに絞っていきましょう。



エージェントは、最初の面談で「何を最優先で決めたいか」を伝えた方が提案の精度が上がります。希望が曖昧なまま登録すると、条件が合わない求人まで紹介されて、かえって迷う原因になります。
面談までに、直近の営業実績を数字でまとめたメモ、転職で最優先する条件、転職先候補の職種を準備しておくと、初回から具体的な提案を受けやすくなります。希望年収は、現在の年収と下限額を分けて伝えると、条件の調整がしやすくなります。
まとめ
メーカー営業の転職先は、同業他社、商社、IT営業、企画営業、マーケター、コンサルティングファーム、海外営業の7つが代表的です。選ぶときは、商材と顧客のどちらを今と近く保つかを決めると、候補を絞り込みやすくなります。
JAC Recruitmentの市場レポートでは、メーカー営業の求人は前年対比で約1.12倍に増え、想定平均年収は801.9万円とされています。追い風の市場ではありますが、職位や日系か外資系かによって年収は大きく変わります。
まずは転職したい理由を整理し、強みを相手の言葉に翻訳して、複数のエージェントに相談してみてください。準備を重ねるほど、納得できる転職先に出会える可能性は高まります。
出典・参考情報
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FOCUS AGENT:東田 尚起


株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。









