「営業職からの転職理由をどう伝えればいいかわからない」「ノルマがきついという本音をそのまま話していいのか不安」「面接官は転職理由から何を見ているのか知りたい」。こうした悩みを持つ方は多くいます。
結論として、転職理由はランキング上位の理由をそのまま話すのではなく、採用担当者が何を見ているかを理解した上でポジティブな言葉に変換することが重要です。doda(2017年4月〜9月の調査、回答者約4万人)のデータによると、転職理由の上位は調査時期にかかわらず固定化される傾向があります。この記事では、営業職の転職理由ランキング・採用担当者が見る視点・好印象に変換する技術・ケース別の例文まで整理します。
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攻めキャリエージェント:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
営業職の転職理由ランキングTOP10
doda「転職理由ランキング職種別」(2017年4月〜9月調査)によると、営業職の転職理由は以下の順位になっています。調査の規模は約4万人と大規模で、第5位までが前回調査と同じ順位という固定化された傾向が確認されています。
| 順位 | 転職理由 |
|---|---|
| 1位 | ほかにやりたい仕事がある |
| 2位 | 会社の将来性が不安 |
| 3位 | 給与に不満がある |
| 4位 | 残業が多い・休日が少ない |
| 5位 | 業界の先行きが不安 |
| 6位 | 会社の評価方法に不満がある |
| 7位 | UIターンしたい |
| 8位 | ノルマが厳しい |
| 9位 | 土日祝日に休みたい |
| 10位 | 顧客のためになる仕事がしたい |
仕事内容が理由になっているケース
1位の「ほかにやりたい仕事がある」と10位の「顧客のためになる仕事がしたい」は、仕事内容そのものが転職理由になっているケースです。働いているうちに別の仕事や環境に興味を持つことや、もっと活躍の場を広げたい、仕事を通じて自己実現したいと考えることは自然な変化といえます。顧客を売上としか見ていない会社への違和感から、顧客のためになる仕事を求めて転職を決意するケースも少なくありません(9Eキャリア調べ)。
待遇面が理由になっているケース
3位の給与不満・4位の残業や休日の少なさ・9位の土日祝日への希望は、いずれも待遇面が理由です。給与への不満には「安定した生活ができる金額ではない」という切実なケースと、「働きに見合った待遇ではない」と感じる感じ方の問題が混在しています。残業や休日数については、自分の時間が持てない・家族と休みが合わないという状況が影響しているケースが多いとされています(9Eキャリア調べ)。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起営業職の転職理由TOP10で目立つのは『仕事内容への違和感』『待遇不満』『経営不安』の3軸。重要なのは『複数の理由が重なってる』という点。給与だけ改善しても業界不安が残る、残業減っても仕事内容に違和感がある。転職理由を『一つの軸で整理』しようとすると、新しい職場でも同じ問題が起きるケースも。複数の理由を整理することが本当の転職成功につながる。
営業職とほかの職種で転職理由はどう違うか
営業職の転職理由が特殊なものなのか、それとも全職種に共通する傾向なのかを確認しておくことは、自分の転職理由を客観視する上で役立ちます。
厚生労働省調査が示す全職種共通の理由
厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」の「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、個人的な理由として以下の6つが主要な転職理由として挙げられています。職場の人間関係が好ましくなかった、給料等収入が少なかった、労働時間や休日等の労働条件が悪かった、仕事の内容に興味を持てなかった、会社の将来が不安だった、能力や個性や資格を活かせなかったという項目です。
営業職特有の理由が生まれる背景
営業職の転職理由TOP10と厚労省データを比較すると、第2位・第3位・第4位は全職種共通の理由と重なっており、営業職だけが特殊というわけではないことがわかります(9Eキャリア調べ)。一方で1位の「ほかにやりたい仕事がある」は厚労省データには直接的に同じ表現が見当たらず、「仕事の内容に興味を持てなかった」や「能力・個性・資格を生かせなかった」と言い換えられる可能性があります。職場の人間関係はTOP10には入っていないものの、営業職の転職理由にならないわけではない点にも注意が必要です。
採用担当者が営業職の転職理由から読み取る5つの視点
転職理由を伝える際、採用担当者が何を見ているかを理解しておくことで、伝え方の精度が大きく変わります。9Eキャリアの解説によると、採用担当者は以下の5つの視点で転職理由を見ています。
自社で活躍できる人材かを見極める視点
求職者が転職に何を求めているのかを知ることで、自社での活躍が見込めるかどうかを判断する材料にしています。自社とのマッチングがうまくいかなければ活躍は見込み薄であり、仮に見込めたとしてもすぐに辞めてしまうおそれがあると考えられているためです。
入社への意欲の高さを見る視点
キャリアアップやチャレンジ精神に基づく前向きな転職理由であれば、求職者のやる気をうかがうことができます。一方で待遇や上司への不満が転職理由であれば、そこにやる気を見ることはできません。
自社でなければならない理由を見る視点
転職理由がポジティブでやる気も感じられても、「その理由なら他社でも構わないのでは」と思われるケースは少なくありません。採用担当者は「これなら自社でなければならない」といえる転職理由を待っており、転職理由だけで判断できない場合は志望動機と合わせて判断します。
早期退職の懸念を見る視点
前職や現職への不満が理由で、そこから抜け出したい気持ちがメインの転職であれば、自社で採用した場合も同じ不満を抱くのではないかという疑いが生じます。ノルマや数字へのプレッシャーが転職理由であれば、営業職である限り逃れることは困難であり、より早期退職の懸念が大きいと判断されるという点には注意が必要です(9Eキャリア調べ)。
書類と面接の一貫性を見る視点
求職者の真剣さや嘘がないかという観点から、転職理由の一貫性が確認されます。面接での説明と事前に提出した応募書類との整合性チェックや、転職理由と志望動機に矛盾がないかの確認が実際に行われています。面接で「新しい仕事にチャレンジするため」と言いながら、応募書類には「年収を増やしたいため」と書いていれば、どちらが本当なのかという疑問が生じてしまいます。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起採用担当者が転職理由から見る5つの視点は『自社マッチング』『やる気』『自社必然性』『早期退職懸念』『一貫性』です。待遇不満や上司への愚痴なら『やる気ゼロ』判定。ノルマ逃げなら『営業限定で必ず同じ問題起きる』と判断される。重要なのは『転職理由と志望動機の一貫性』。書類と面接で矛盾すると信頼失う。ポジティブな理由を『自社でなければならない理由』に昇華させることが、採用の決め手になります。
営業職の転職理由がそのまま伝わるとマイナスになるパターン
正直な転職理由でも、伝え方次第でマイナス評価になってしまうことがあります。よくある失敗パターンを把握しておくことで、同じ轍を踏まずに済みます。
抽象的すぎて本気度が伝わらないパターン
転職活動では具体性が重要です。「成長したい」「新しいことに挑戦したい」といった抽象的な話は現実味が乏しく、有効な判断材料になりにくいだけでなく、本気度を疑われる可能性があります。具体的な転職理由と志望動機、入社してやりたい仕事の内容、どういった貢献ができるのかという点を重点的に伝えることが必要です。
前職や上司への批判に聞こえるパターン
会社や上司の問題が原因であっても、ストレートに職場や社員への批判的な伝え方をするのはマイナス評価につながります。組織や人材への批判は聞いていて気分のよいものではなく、応募先企業が事実関係を確認することも難しいため、不満をいっているだけではないかという疑問が残ってしまいます。同時に感情的な発言は、営業職としての関係構築スキルへの疑問にもつながりかねません。
待遇への不満だけが先に立つパターン
待遇をよくしたい気持ち自体は問題ありませんが、「こんなに少なかった」「やってられない」といった不満中心の伝え方は避けるべきです。金額にフォーカスした伝え方は「金にしか興味がないのでは」「期待額に少しでも足りなければ不満を抱くのでは」と思われかねません。給与への不満は「少ない」ではなく「増やしたい」「正当な評価を得たい」という言い換えが有効です(9Eキャリア調べ)。
自由さを強調しすぎるパターン
ワークライフバランス重視の時代であっても、転職理由で自由さを強調しすぎるのは避けるべきです。単に働く時間を短くしたいと解釈できる伝え方は、必要な働きをしてくれるかわからないという印象を与えるおそれがあります。営業職は会社の業績を直接左右し企業の顔的な役割も担うため、目標や身だしなみ、顧客都合に合わせた出勤などある程度の縛りが伴う職種であり、自由さへの期待を強調しすぎると協調性やや使命感の面でマイナス評価になりかねません。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起営業職の転職理由で『NG伝え方』は『抽象的』『批判的』『待遇不満中心』『自由さ強調』の4パターン。『成長したい』は本気度を疑われる。上司批判は関係構築スキルまで疑われる。『給与少ない』は『金だけ』と見なされる。自由さ強調は『働かない人』と思われる。ポイントは『何を得たいか』を『なぜその企業なのか』に昇華させること。感情的にならず、具体的に、前向きに語ることが採用担当者の心を掴みます。
営業職の転職理由を好印象に変換する技術
ネガティブな本音をどう前向きな言葉に変換するかが、転職理由を伝える上で最も重要な技術です。具体的な変換方法を整理します。
ネガティブな事実をポジティブな志向に言い換える
「上司の指示が無茶苦茶でスキルが無駄になりやる気が失せた」という本音は、「自分のスキルを存分に発揮できる職場で貢献したい」という形に変換できます。不満を全て隠す必要はないが、不満ベースの表現を前向きな学びや志向に置き換える視点が重要です。ノルマがきつかったという理由であれば「成果主義の環境で結果を追う力は養えたが、今後は中長期で信頼関係を築く営業に挑戦したい」という形に言い換えられます。
退職理由と転職理由をセットで設計する
転職理由は単なる会社を辞める理由ではなく、次の会社に入る理由とセットであるべきものです。退職理由を明確にする、退職理由をクリアする転職理由を考える、それを応募書類や面接で伝えるためのポジティブで矛盾のない説明文にまとめるという3つの作業を順番に行うことで、説得力のある転職理由が完成します(9Eキャリア調べ)。なぜその会社で営業職をやるのか、その先のキャリアのゴールまで含めて明確にしておくことが重要です。
入社後にどう貢献したいかまで踏み込んで語る
自分にどのような経験やスキルがあるのかを具体的に示し、転職後にどう活かしたいかを伝えることで採用担当者の納得感が高まります。経験やスキルを活かしたいという話は自分の希望についての話にすぎないため、具体的に何をやるのか・やれるのかという現実的な話まで踏み込んで伝えることが、ほかの候補者との差別化につながるポイントです。
ケース別営業職の転職理由の例文
実際の転職理由をどう言語化すればよいか、ケース別の例文を紹介します。自分の状況に近いものを参考に、自分の言葉で書き直して使うことをおすすめします。
新規開拓に挑戦したい場合の例文
既存顧客のフォローが中心で、考えていた新規開拓の営業活動ができない職場から転職する場合の例文です。「新規開拓の現場で活躍したいと考えて入社した前職で配属されたのは、既存顧客のフォローを受け持つ部署でした。やり取りの中で顧客ニーズの引き出し方や新規開拓営業に対する顧客の考え方を知ることができ、さまざまなタイプの顧客への対応力も習得しています。この経験を活かして、新規開拓に力を入れている御社で活躍したいと考え応募いたしました」
チーム営業で貢献したい場合の例文
個人プレーの営業スタイルが限界に達している職場から転職する場合の例文です。「前職では営業マンの受注競争が活発で、トップセールスの座を目指して日夜しのぎを削っていました。自分にしかできない営業スタイルを追求する反面、チーム内の協力関係は薄かったといえます。ITツールを活用した営業プロセス分業化で業績を上げている御社の一員となり、前職で磨いたスキルをインサイドセールスとして活かすことで貢献できると考え応募いたしました」
頑張りが給与に反映される環境を求める場合の例文
営業成績に関係なく固定給が支給される職場から転職する場合の例文です。「前職では営業成績に関係なく固定給が支給されており、好成績を残しても変わらない空気が職場全体にありました。営業職である以上は成果を追い続け、頑張りが評価や給与にも反映される職場で働きたいと考えています。実力主義が徹底している御社でなら、キャリアアップを目指すとともにより貢献できる自信があり応募いたしました」
チームで大きな仕事に取り組みたい場合の例文
人間関係が希薄で上司が非協力的な職場から転職する場合の例文です。「現職では上司が決めた営業スタイルに沿って活動しており、個人が頑張るものという考えが浸透し、人間関係が希薄な環境でした。大型案件も担当できる営業マンとしてのスキルアップを目指していますが、それにはチームでの活動が不可欠と考え、チームプレー重視の御社に応募いたしました」
営業職の転職理由に関するよくある質問
転職理由を考える際によく挙がる疑問について、考え方を整理します。
転職理由は正直に話すべきか
すべてを正直に伝えればよいというものではありません。前職に不満がなければ転職を考える可能性が低いため、転職理由にはネガティブな要素が含まれがちです。正直に話すこと自体が不利になるケースがあるため、適切な表現に言い換えることが重要です。ただし、よい印象を持ってほしいからと嘘を伝えるのは厳禁です。突っ込んだ質問でバレることは珍しくなく、嘘が発覚すると評価が大きく下がります(9Eキャリア調べ)。経歴などの言い換えが難しい事柄は、正直に伝えることが大切です。
転職理由が思いつかない場合はどうすればよいか
何となく会社が嫌になったなど、理由はあるものの曖昧で明確でないケースは珍しくありません。転職理由は単なる会社を辞める理由ではなく、次の会社に入る理由とセットであるべきものです。退職理由を明確にする、それをクリアする転職先への希望を考える、それを矛盾のない説明文にまとめるという3段階の作業を行うことで、思いつかなかった転職理由が明確になっていきます。
転職理由と志望動機はどう使い分ければよいか
転職理由は「なぜ今の会社を辞めるのか」を説明するもので、志望動機は「なぜこの会社に入りたいのか」を説明するものです。両者がバラバラだと一貫性のなさを疑われるため、転職理由でクリアしたい課題と、志望動機で語る入社後の貢献がつながっている必要があります。転職理由と志望動機に矛盾がないかは、面接官が一貫性を確認する際の重要なチェックポイントです。
営業職の転職に役立つエージェントの選び方
転職理由の言語化は一人で考えるよりも、プロの視点を借りた方が精度が上がります。自分では気づけなかった強みを引き出してもらえることや、面接対策の段階でロジックがブレにくくなることがエージェント活用の大きなメリットです。以下の3社は営業職への転職支援実績が豊富です。
エージェントを使うことで得られるサポート
転職理由の壁打ち相手になってもらえるだけでなく、書類添削や面接対策、年収交渉まで一貫してサポートを受けられる点がエージェント活用の利点です。複数のエージェントに登録して、自分に合う担当者を見つけることも有効な進め方です。
目的別おすすめ3社
リクルートエージェント
業界最大手で営業職の求人数が圧倒的に多く、非公開求人へのアクセスも豊富です。専任のキャリアアドバイザーが転職理由の言語化から書類添削、面接対策、年収交渉まで一貫してサポートします。
マスメディアン
マーケティング・デジタル・SaaS・法人営業領域に特化した転職エージェントです。業界理解の深いアドバイザーが、転職理由と志望動機の一貫性まで踏み込んでサポートします。
マーキャリNEXT CAREER
法人営業・SaaS・ハイクラス転職に強みを持つエージェントです。年収アップを目的とした転職理由の場合も、待遇面の希望を前向きな言葉に変換するサポートが評価されています。
まとめ
営業職の転職理由は、ランキング上位の理由をそのまま話すのではなく、採用担当者が見る5つの視点を理解した上でポジティブな言葉に変換することが成功の鍵になります。退職理由と転職理由をセットで設計し、志望動機との一貫性を持たせることで、説得力のある転職理由が完成します。
転職理由作成に向けた3つの手順
| 手順 | やること |
|---|---|
| 手順1(今週中) | 退職理由を紙やメモに書き出して整理する。ランキングTOP10と照らし合わせ、自分の理由がどのパターンに近いかを確認する |
| 手順2(1〜2週間以内) | ネガティブな事実をポジティブな志向に変換した文章を作成する。退職理由と志望動機がつながるように、入社後にどう貢献したいかまで書き出す |
| 手順3(並行して) | リクルートエージェントなど営業職に強いエージェントへ登録し、転職理由の言語化と面接対策のサポートを受ける |

