「賃貸営業はきつい」という声は、不動産業界の中でも特によく聞かれます。仲介・管理・問い合わせ対応と業務範囲が幅広いうえ、繁忙期と閑散期の差が激しく、体力的にも精神的にも負担を感じやすい仕事だからです。
特に新卒・未経験で入社した人にとっては、覚える物件情報の量と、顧客対応の幅広さに戸惑うことも多いようです。まずは実際にどのような理由できつさを感じやすいのか、具体的に見ていきましょう。
住まキャリの調査では、賃貸営業を含む不動産営業の平均給与は月給27.4万円(年収換算で約330万円)というデータもあり、業務量の多さに対して収入面での見合いを感じにくいという声も少なくありません。
本記事では、賃貸営業がきついと言われる理由を整理したうえで、給与の実態、向いている人の特徴、キャリアの選択肢まで解説します。繁忙期の乗り越え方まで踏み込んで紹介するので、今の働き方に悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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賃貸営業がきつい理由

賃貸営業のきつさは、業務の幅広さと顧客対応の多さから生まれています。1件の成約までに関わる業務が多く、成果が出るまでの負担が積み重なりやすい構造です。反響対応から内覧、契約手続き、入居後のフォローまで一気通貫で担当することが多いため、業務範囲の広さそのものが負担になりやすい点も見逃せません。以下の4つの観点から、それぞれの負担を具体的に見ていきましょう。それぞれ性質の異なる負担のため、自分がどこに強みを持てそうかを意識しながら読み進めてみてください。
内覧対応の体力的な負担
土日祝日を中心に、1日で何件も内覧に同行することが多く、夏の暑さや冬の寒さの中での移動が続きます。案内するだけでなく、物件ごとの特徴や周辺環境も頭に入れておく必要があり、体力と気力の両方を使う業務です。徒歩や自転車での移動が中心のエリアでは、天候の影響をダイレクトに受けることも負担につながります。1日を通して常に動き続ける仕事のため、体力の消耗をどう管理するかが重要な課題になります。休憩のタイミングをうまく確保できるかどうかも、日々のコンディションを左右します。
契約不成立のプレッシャー
せっかく時間をかけて案内しても、契約に至らないことは珍しくありません。成果が読みにくい中で、数字を追い続けるプレッシャーは大きな負担になります。特に月末が近づくと、目標数字に対する焦りから、通常以上に働き方が忙しくなる傾向があります。時間をかけた案内が実らなかったときの徒労感は、この仕事特有の精神的な負担といえます。次の案内にすぐ気持ちを切り替えられるかどうかが、長く続けるための鍵になります。断られることを個人的な否定と捉えず、業務の一部として受け止める姿勢が大切です。
クレーム対応・入居後トラブル
契約後も、設備の不具合や近隣トラブルなど、入居者からの問い合わせやクレームに対応する場面があります。営業活動と並行してこうした対応が発生するため、業務が常に中断されやすい状況になりがちです。管理会社と連携しながら対応する必要があり、自分だけで解決できない場面も少なくありません。突発的な対応が入るたびに営業活動が中断されるため、計画通りに1日を進めにくい点も負担の一因です。優先順位を柔軟に組み替えられる判断力が、日々の業務をスムーズに進める鍵になります。
客都合に合わせた不規則な勤務
内覧や契約の日程は基本的に顧客都合で決まるため、急な予定変更が入りやすく、自分のペースで仕事を進めにくい点もきつさの一因です。休日出勤や残業が発生しやすい構造でもあり、プライベートの予定が立てにくいと感じる人も少なくありません。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起賃貸営業の大変さは『相手のタイミングに合わせ続けること』に集約されると感じます。自分の時間をコントロールする工夫を持てるかどうかが、長く続けられるかの分かれ目になります。
内覧前に物件情報・周辺環境をテンプレート化しておくと、案内の質を落とさずに準備時間を短縮できます。繁忙期ほど効果を実感しやすい工夫です。
賃貸営業の給与・年収の実態
| 賃貸営業の給与・年収データ | |
|---|---|
| 賃貸営業を含む不動産営業の平均給与(月給) | 27.4万円(住まキャリ調べ、約30.2万件のデータより) |
| 年収換算 | 約330万円 |
| 不動産営業全体の平均年収(参考) | 450万円前後、上振れで500〜600万円以上も |
| 繁忙期 | 1〜3月(引っ越しシーズン) |
※unitedmind.jp(住まキャリ)等の公開情報をもとに作成。企業・地域によって幅があります
賃貸営業の給与は、不動産営業全体の中でも比較的低めの水準にあるとされています。契約単価が小さく、歩合給の割合も売買営業ほど大きくない企業が多いことが背景にあります。ただし、契約件数を積み上げることで、基本給+歩合の合計で年収を伸ばせる仕組みを持つ企業もあります。転職先を検討する際は、固定給と歩合給の比率、インセンティブの発生条件まで確認しておくと、入社後のギャップを防ぎやすくなります。



給与水準だけを見ると物足りなさを感じるかもしれませんが、賃貸営業で培った接客力・スピード対応力は、他の営業職でも高く評価されるポータブルスキルです。
賃貸営業の繁忙期の実態


賃貸営業には明確な繁忙期があり、時期によって負担の大きさが大きく変わります。同じ職種でも時期によって働き方がまったく異なる点が、この仕事の特徴です。以下でそれぞれの時期の特徴を見ていきましょう。繁忙期と閑散期、それぞれに合わせた働き方の工夫が求められます。以下でそれぞれの時期の具体的な過ごし方を見ていきましょう。1年を通じた業務量の波を理解しておくことで、心構えもしやすくなります。会社ごとに繁忙期の対応方針は異なるため、面接で確認しておくと安心です。
1〜3月の引っ越しシーズン
進学・就職・転勤が重なるこの時期は、1日に何件も内覧を対応することも珍しくありません。休日返上での対応が続くことも多く、体力的な消耗が最も激しい時期です。問い合わせの数自体も跳ね上がるため、レスポンスの速さが成約率を大きく左右します。この時期をどう乗り切るかが、1年間の成果を大きく左右する重要な期間になります。この時期に無理をしすぎず、体調管理を優先する意識も欠かせません。周囲のスタッフと協力し合いながら乗り切る体制も大切です。以下では繁忙期以外の閑散期についても見ていきましょう。
繁忙期以外の閑散期
繁忙期が終わると一転して問い合わせが減り、収入が不安定になりやすい時期でもあります。この時期にどう動くかが、年間を通じた成果に大きく影響します。歩合給の比率が高い企業ほど、閑散期の収入減を実感しやすい傾向があります。閑散期の過ごし方次第で、次の繁忙期の成果にも差が出てきます。
閑散期は新規の問い合わせを待つだけでなく、既存の管理物件のオーナーへの提案営業や、自身のスキルアップに時間を使うことをおすすめします。
賃貸営業の1日の流れ
賃貸営業の働き方を具体的にイメージできるよう、繁忙期の一般的な1日の流れを紹介します。実際のスケジュールは店舗の規模や担当エリアによって変わります。時間帯によって求められる業務の質が大きく異なる点も、この仕事の特徴です。以下で午前の業務内容を具体的に見ていきましょう。会社によって業務の配分は異なるため、面接で1日の流れを聞いておくと安心です。以下で午後の業務内容についても具体的に見ていきましょう。
午前の業務内容
- 出社後、来店・問い合わせ対応の準備
- 反響対応(電話・Web経由の問い合わせへの返信)
- 物件確認・空室状況のアップデート
午前中は来店客の対応と並行して、他の顧客からの反響対応も重なりやすい時間帯です。複数の顧客対応を同時並行で進める必要があり、優先順位づけが求められます。対応が遅れると機会損失につながるため、スピード感を持った初動が重要になります。以下では午後の業務内容についても見ていきましょう。午前中の対応状況が、午後のスケジュールにも影響を及ぼします。
午後の業務内容
- 内覧同行(1日に複数件対応することも)
- 契約手続き・重要事項説明
- 退勤前の翌日準備・オーナーへの連絡
午後は内覧対応が集中する時間帯です。移動を挟みながら複数の物件を案内するため、体力的な消耗が大きくなります。契約が決まればその場で手続きに入ることもあり、臨機応変な対応力が求められます。
内覧予定はエリアごとにまとめて組むようにしましょう。移動時間を削減できるだけでなく、体力の消耗も抑えられます。
賃貸営業に向いている人の特徴


賃貸営業で長く活躍しやすいのは、以下のような特徴を持つ人です。体力面とコミュニケーション面の両方が問われる仕事だからこそ、自分の適性を見極めることが大切です。以下でそれぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。両方の特徴を踏まえて、自分の適性を客観的に判断してみましょう。迷った場合は、実際に働く社員の声を参考にするのも一つの方法です。以下でそれぞれの特徴をさらに詳しく見ていきましょう。当てはまる部分がないか確認しながら読み進めてみてください。
フットワークが軽く体力に自信がある人
繁忙期の内覧対応をこなすには、一定の体力とスピード感が欠かせません。動くことを苦にしないタイプは、賃貸営業の働き方に適応しやすい傾向があります。1日に複数件の内覧を回っても疲れを見せず顧客に向き合えることは、成約率にも直結する強みです。体力の消耗を管理しながらパフォーマンスを維持できる人ほど、長く活躍しやすい傾向があります。日頃の体調管理も、この仕事で長く成果を出し続けるための重要な要素です。移動時間を有効活用する工夫も、業務効率を高める鍵になります。以下では反対に向いていない人の特徴も確認しておきましょう。
顧客の希望を素早く汲み取れる人
限られた時間の中で、顧客の予算・エリア・条件を的確にヒアリングし、最適な物件を提案できる人は、成約率を上げやすい傾向があります。初対面の相手からでも本音の希望条件を引き出せるコミュニケーション力は、賃貸営業における最大の武器といえます。表面的な条件だけでなく、潜在的なニーズまで汲み取れる観察力も重要な要素です。



向いている人に共通するのは『目の前の相手に集中できる瞬発力』だと感じます。1件1件の対応を丁寧にこなせる人は、口コミや紹介にもつながりやすくなります。
賃貸営業からの転職先


賃貸営業で培った接客力やスピード対応力は、他の業界・職種でも高く評価されます。不動産業界にとどまる道と、他業界へ飛び出す道の両方が考えられます。以下の2つの方向性を参考に、自分に合ったキャリアを考えてみましょう。自分がどんな働き方を長期的に目指したいかを軸に選ぶとよいでしょう。どちらの道を選ぶにしても、これまでの経験が確かな土台になります。以下でそれぞれの選択肢を詳しく見ていきましょう。自分の強みが最も活きる環境を選ぶことが大切です。
売買仲介・不動産管理
不動産知識をそのまま活かせる転職先です。売買仲介は契約単価が大きい分、インセンティブの伸びしろも大きくなる傾向があります。賃貸営業で培った顧客対応力や物件知識は、選考でも即戦力として評価されやすいポイントです。契約単価が上がる分、提案の難易度も上がる点は事前に理解しておくとよいでしょう。単価の高さゆえに、1件あたりの責任もより重くなる点を押さえておきましょう。以下ではもう一つの選択肢についても見ていきましょう。自分が今後どんな業界で働きたいかを軸に考えてみてください。焦らず情報収集を重ね、納得のいくキャリアを選ぶことが大切です。以下でそれぞれの選択肢を詳しく見ていきましょう。
非不動産業界の接客・営業職
スピーディーな対応力とヒアリング力は、保険・人材紹介など、他業界の対面営業でも評価されやすいスキルです。業界を問わず活躍の場を広げられる可能性があります。特に、短時間で信頼関係を築く力は、初対面の相手と向き合う営業職全般で重宝されます。不動産という専門知識が不要な業界であっても、対人対応力そのものは高く評価される傾向があります。転職エージェントに相談する際は、これまでの成約件数や接客件数を具体的に伝えるとよいでしょう。
賃貸営業からのキャリアを相談できる転職エージェント
賃貸営業の経験は、不動産業界内外で評価されるポータブルスキルです。転職を検討する際は、以下のエージェントを併用して情報を集めることをおすすめします。
業界最大級の求人数を誇る総合型エージェント。非公開求人も豊富で、選考対策の実績も厚い。
広告・Web・マスコミ業界に特化。専門性を活かした転職支援に強み。
マーケティング職特化型のキャリア支援サービス。
賃貸営業がきついことに関するよくある質問
賃貸営業は未経験でも始められますか?
未経験からの採用も多い職種です。宅地建物取引士の資格がなくても働けますが、入社後に取得を推奨・支援している企業が多く、資格を取ることで担当できる業務の幅が広がります。前職での接客経験があれば、ある程度は活かすことができます。分からないことを素直に質問できる姿勢が、早期の成長につながります。
入社後の研修体制は企業によって差が大きいため、未経験から挑戦する場合は、OJTの手厚さや先輩社員の同行期間についても事前に確認しておくと安心です。
賃貸営業の休日はどのくらい取れますか?
土日祝日が繁忙期にあたるため、平日休みの企業が多いのが実情です。年間休日数は企業によって差があるため、求人票の記載だけでなく、実際の取得実績まで確認することをおすすめします。繁忙期にどの程度休みが取りにくくなるかも、面接で具体的に確認しておくと安心です。閑散期にまとめて休みを取れる会社もあるため、年間を通じた休日の取り方も確認しておきましょう。実際に働く社員の声を確認しておくと、より具体的なイメージがつかめます。
賃貸営業から売買営業への転向は可能ですか?
可能です。同じ不動産業界内での転向のため、業界知識や接客経験がそのまま評価されやすく、比較的スムーズにキャリアチェンジできる傾向があります。契約単価が上がる分、必要な提案力や交渉力も高度になる点は押さえておきましょう。転職エージェントに相談する際は、担当した契約件数を具体的に伝えるとよいでしょう。数字で語れる実績があると、選考でも説得力が増します。日頃から実績を記録しておく習慣も役立ちます。振り返りの時間を定期的に取ることも、成長の実感につながります。
賃貸営業のノルマはどのくらい厳しいですか?
企業や店舗規模によって差がありますが、月間の契約件数目標が設定されるのが一般的です。繁忙期は達成しやすい一方、閑散期は目標未達が続きやすく、年間を通じた波の大きさがプレッシャーにつながることもあります。面接の際に、年間を通じたノルマの推移について具体的に質問しておくとよいでしょう。
転職先を選ぶ際は、ノルマの厳しさだけでなく、未達成が続いた場合のフォロー体制についても確認しておくと、入社後の安心感につながります。
まとめ
賃貸営業がきついと言われる理由には、内覧対応の体力的負担、契約不成立のプレッシャー、クレーム対応、客都合に合わせた不規則な勤務という4つの要因があります。給与水準は月給27.4万円程度とされ、繁忙期と閑散期の差が大きい点も特徴です。
一方で、フットワークの軽さやヒアリング力を強みにできる人にとっては、成長を実感しやすい仕事でもあります。今の働き方にきつさを感じている場合は、繁忙期の乗り越え方を見直すか、培ったスキルを活かせる転職先を検討してみましょう。
賃貸営業で身につく対応力や物件知識は、不動産業界にとどまらず幅広い職種で評価される資産です。今の環境が自分に合っているかを見極めながら、無理なく長く続けられる働き方を選んでいきましょう。
繁忙期のきつさだけを理由に職種そのものを諦めてしまうのはもったいない選択かもしれません。閑散期の過ごし方や店舗の体制次第で、働きやすさは大きく変わります。まずは今の職場でできる工夫を試したうえで、それでも改善が難しければ、転職という選択肢を検討してみるとよいでしょう。









