「ITエンジニア やめとけ」という検索結果を見て、これから挑戦しようとしていた気持ちが揺らいでいる人は少なくありません。
実際、未経験からの参入者が多く業界全体が玉石混交になりやすいこと、SES・客先常駐の多重下請け構造で働く環境が会社ごとに大きく異なること、技術の移り変わりが速く学び続けなければ価値が落ちやすいことは事実です。
一方で、ITエンジニアはWeb系・インフラ・ネットワーク・社内SEなど職種の幅が広く、案件や会社の選び方次第で働き方は大きく変わります。
この記事では「ITエンジニア」という括り全体の労働環境とキャリアの不安定さに焦点を当て、なぜやめとけと言われるのかという実態を正直に整理したうえで、向いている人・向いていない人の違いと、挑戦する場合の具体的な対策までを解説します。
要件定義や設計といった特定職種の業務内容そのものを詳しく知りたい場合は、システムエンジニアに絞って解説した記事もあわせて参考にしてください。
- 未経験転職の多さが業界の玉石混交な評判につながっている
- SES・客先常駐の多重下請け構造は会社によって労働環境の差が大きい
- ソフトウェア作成者の平均年収は約574万円(厚生労働省調査)で経験・企業規模差が大きい
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起「やめとけ」という言葉だけで判断せず、自分がどの領域・働き方に向いているのかを具体的な実態とあわせて確認していきましょう。
ITエンジニアがやめとけと言われる理由
ITエンジニアがやめとけと言われる最大の理由は、未経験からの参入障壁が低く業界全体が玉石混交になりやすいことに加え、SES・客先常駐の多重下請け構造や技術の陳腐化といった複数の要因が重なっている点にあります。
ここでは具体的に4つの角度から実態を整理します。


未経験転職の多さによる玉石混交な業界構造
ITエンジニアはWeb系・インフラ・ネットワーク・社内SEなど職種が多岐にわたり、職種によって必要なスキルや学習コストが異なります。
プログラミングスクールや独学を経て未経験から参入する人が多い分野でもあり、教育体制が整っていない企業に当たると実務で放置されやすいという声も根強くあります。
企業ごとの教育体制や案件の質に大きな差があるため、「ITエンジニア」という同じ肩書きでも、実際の労働環境は現場によってまったく異なるのが実態です。
この業界構造の幅広さこそが「やめとけ」という評判と「有望な選択肢」という評価が同時に存在する理由になっています。
SES・客先常駐の多重下請け構造
IT業界の受託開発では、エンドユーザーから元請け、二次請け、三次請け以降へと仕事が流れる多重下請けのピラミッド構造が一般的とされています。
商流が深くなるほど中間企業がマージンを取る仕組みのため、同じ作業内容でも末端のエンジニアの給与や待遇に跳ね返りやすいと指摘されています。
SES(システムエンジニアリングサービス)契約で働くエンジニアは自社ではなく客先に常駐して業務を行う立場にあり、客先の社員と同じ現場にいながら、所属会社のメンバーとの距離が生まれやすいという特徴があります。
下請け構造自体に問題があるわけではないとする見方もありますが、三次請け以降の案件では要件定義や設計などの上流工程に関わりにくく、スキルが蓄積しにくい現場に当たることがある点は実態として押さえておく必要があります。
技術の陳腐化と学び続ける負担
クラウド基盤や生成AIをはじめとする技術の移り変わりは速く、数年前に習得した知識だけでは現場で通用しなくなる場面があります。
業務時間外の学習が前提になりがちな点は負担に感じられやすく、学び続けることを苦にしない姿勢があるかどうかで、同じ職種でも市場価値の伸び方が大きく変わります。
特にレガシーシステムの保守が中心の現場に長く留まると、最新技術に触れる機会が減り、転職市場での評価が下がりやすくなる懸念があります。
配属ガチャによる運用・監視偏重
入社・入社後の配属先によっては、開発ではなく運用・監視業務が中心になることがあり、夜勤や休日対応が発生する現場もあります。
システム停止を伴う作業は夜間や休日に行われやすいため、生活リズムが崩れやすいという声も見られます。
一方で繁忙期以外は残業が常に多いわけではないという見方もあり、配属される現場やプロジェクトのフェーズによって負荷は大きく変動するのが実情です。
面接の段階で「何次請けの案件が多いか」「運用保守と開発の比率」を具体的に質問しておくと、入社後のギャップを減らせます。
ITエンジニアの年収とキャリアの実態
ITエンジニアの年収は全産業平均に近い水準にありますが、企業規模・年代・商流によって差が大きく開くのが実態です。
きれいごとだけで終わらせず、公的統計と業界構造の両方を確認します。
| ソフトウェア作成者の年収の目安(令和6年賃金構造基本統計調査) | |
|---|---|
| 全体の平均年収 | 約574万円 |
| 20代前半 | 約348万円 |
| 30代 | 約541万円から631万円 |
| 40代 | 約651万円から738万円 |
| 50代 | 約695万円から731万円 |
企業規模による年収差
同じ調査では、従業員10人から99人の事業所で約517万円、100人から999人で約549万円、1000人以上で約656万円という差が示されています。
この差は企業規模が大きいほど元請けに近い立場で案件を獲得しやすいことと関係しているとみられ、同じ経験年数でも所属する企業の規模や商流上の立ち位置によって年収が変わりやすい構造があります。
| 企業規模別の年収の目安 | |
|---|---|
| 10人から99人 | 約517万円 |
| 100人から999人 | 約549万円 |
| 1000人以上 | 約656万円 |
SES企業における中間マージンと手取りの実態
SES契約では、クライアントが支払う契約単価からSES企業の取り分(マージン)が差し引かれた金額がエンジニアの給与の原資になります。
多重下請けの階層が深いほど、各段階でマージンが発生しやすく、現場で実際に動いているエンジニアの手取りに反映されにくい構造になりやすいとされています。
案件単価だけで年収を判断せず、所属企業がどの立場で契約しているかを把握しておくことが、手取りのギャップを避けるポイントになります。
同じ業務内容であっても、元請けに近い企業に所属しているか、三次請け以降のSES企業に所属しているかによって、将来の昇給ペースにも差が出やすいとされています。
額面と手取りの違い
会社員のITエンジニアであれば、年収574万円程度の場合、税金や社会保険料を差し引いた手取りは目安で430万円から450万円程度になることが多いとされています。
フリーランスとして独立する場合は社会保険料や税金を自分で納める必要があり、契約単価の金額だけで生活水準を判断すると、実際の手取りとのギャップに後から気づくことがあります。
574万円という平均値は全体の数字です。企業規模や商流上の立ち位置によって実態は大きく変わるため、求人票の年収レンジと合わせて確認しましょう。
ITエンジニアの35歳限界説の実態
ITエンジニアには長年「35歳限界説」という言葉がつきまとってきましたが、近年はこの前提が崩れつつあるという見方が強まっています。
不安をあおる言葉を鵜呑みにせず、背景と現状を整理します。
35歳限界説が語られてきた背景
この説の背景には、若手のほうが新しい技術を覚えやすい、長時間労働に対応しやすいという前提や、現場担当以外のキャリアパスが用意されていない企業が多かったという事情があるとされています。
求人の中には「35歳以下限定」のように年齢を区切る表現が見られることもあり、年齢を重ねるほど転職の難易度が上がるという実感につながってきました。
ミドル層採用が増えている理由
一方で、人手不足を背景に経験豊富なミドル層を求める企業が増えているという見方が広がっています。
マネジメント経験や実務経験の蓄積は、若手にはない強みとして評価されやすく、35歳以降でも管理職やプロジェクトリーダーといった立場で転職を成功させる事例は珍しくなくなっています。
ただし、年齢が上がるほど採用に積極的ではないと答える企業が増える傾向も指摘されており、年齢による難しさが完全になくなったわけではない点には注意が必要です。
年齢よりスキルの専門性が問われる時代
現在の市場価値の分かれ目は年齢そのものよりも、特定領域の知識と経験を持つ専門職であるかどうかに移りつつあるとされています。
運用・監視など定型業務の経験だけを重ねてきた場合、年齢に関わらず転職市場での評価が伸びにくくなる懸念があります。
裏を返せば、設計や上流工程、特定の技術領域での専門性を若いうちから意識的に積み上げておくことが、35歳以降のキャリアの選択肢を広げる最も確実な方法です。
転職エージェントの実感値としても、35歳以降の求人は若手向けのポテンシャル採用枠ではなく、特定スキルを前提とした即戦力採用枠に移っていくとされています。
求人票に「35歳以下限定」のような表現がなくても、実際の選考では即戦力性が重視される傾向が強まるため、年齢よりも提示できる実績の有無が合否を左右します。



「35歳だから厳しい」と年齢だけで諦める前に、自分の経験がどの領域で専門性として語れるかを棚卸ししてみましょう。
35歳を迎えてから慌てるのではなく、30歳前後で「自分が何の専門家と言えるか」を一度整理しておくと、その後のキャリア選択がしやすくなります。
ITエンジニアに向いていない人の特徴
ITエンジニアがやめとけと言われる背景には、向き不向きのミスマッチも大きく関係しています。
ここで挙げる特徴に複数当てはまる場合は、挑戦する前に適性を見直す価値があります。


継続的な学習が苦手な人
技術の移り変わりが速い業界のため、入社後も学習を継続できる人でなければ、数年単位で市場価値が落ちてしまう懸念があります。
学習を一度きりで終わらせてしまう人は、業務外の技術のキャッチアップが追いつかず、現場で評価されにくくなる傾向があります。
指示待ちで主体的に動けない人
特に多重下請けの現場では、指示を具体的に与えてくれる体制が整っていないことも多く、自分で調べて動く姿勢が求められます。
わからないことをそのままにして作業を進めてしまうと、後工程で大きな手戻りにつながりやすい点も負担になります。
コミュニケーション・調整を避けたい人
要件のすり合わせや進捗報告、他部署との調整など、対人のやり取りを避けたい人には精神的な負担が大きい仕事です。
客先常駐の場合は、所属企業と客先企業という2つの組織の間に立つ場面もあり、調整力が求められます。
安定した定型業務だけを望む人
運用・監視のような定型業務を望んで選ぶこと自体は問題ありませんが、変化のない作業だけを続けたいという考えでは、長期的なキャリアの選択肢が狭まりやすくなります。
- 新しい技術やツールを追いかけるのが面倒だと感じる
- わからないことを自分で調べる前に答えを求めてしまう
- 他部署やクライアントとの調整業務を避けたい
- 変化の少ない定型業務だけを長く続けたい
この4つに共通するのは、技術そのものの難しさよりも、変化し続ける環境への向き合い方に課題がある点です。



向いていないと感じても、ITエンジニアとしての経験は無駄になりません。ITコンサルやIT営業など隣接職種への方向転換も選択肢になります。
入社から数か月以内に向き不向きを見直すほど、学習時間や生活のロスを抑えられます。第三者に相談しながら早めに適性を確認するのがおすすめです。
ITエンジニアに向いている人の特徴
一方で、特定の資質を持つ人にとってITエンジニアは今でも有望なキャリアです。
向いている人の特徴を整理します。


自走して学習・情報収集できる人
研修や現場で教わる内容はあくまで入口であり、現場で通用するスキルは自主的な学習の積み重ねで身につきます。
新しい技術が出た際に自分で試し、情報を取りに行く姿勢がある人ほど、技術の陳腐化という懸念点を避けやすくなります。
論理的思考・課題解決が得意な人
不具合の原因を切り分けたり、要件を整理して仕様に落とし込んだりする作業は、筋道立てて考える力が土台になります。
感覚だけで判断せず、根拠を持って説明できる人は、上流工程に関わる機会も得やすくなります。
上流工程を目指して行動できる人
運用・監視から始まったとしても、設計や要件定義に関わりたいという意思を持ち、社内外で積極的にアピールできる人はキャリアの選択肢が広がりやすくなります。
商流の浅い自社開発企業や上流工程中心の案件を自ら選びにいく行動力も、長期的な年収やキャリアの安定に直結します。
専門領域を尖らせられる人
クラウド基盤、セキュリティ、特定の業務領域など、専門性を尖らせられる人は年齢に関わらず市場価値を維持しやすい傾向があります。
浅く広い知識だけでなく、特定領域で「この人に聞けばわかる」という立場を築けるかどうかが、長期的な評価の分かれ目になります。
「何ができるか」だけでなく「何を解決してきたか」を言葉にできるようにしておくと、転職やキャリアアップの場面で説得力が増します。
ITエンジニアが後悔しないための対策
やめとけと言われる状況を避けるには、業界構造を理解したうえで、自分から案件や会社を選びにいく姿勢が欠かせません。
具体的に取れる対策を整理します。


自社開発・上流案件を選ぶ視点
転職や就職先を選ぶ際は、自社開発か受託か、受託であれば何次請けの立場かを具体的に確認することが重要です。
面接の段階で「配属予定の案件」「運用保守と開発の比率」を質問し、入社後に運用・監視中心の現場ばかりが続かないかを見極める必要があります。
多重下請けの階層を見抜く方法
求人票だけでは商流上の立ち位置がわかりにくいため、口コミサイトや転職エージェントを通じて、実際の配属先や取引先の情報を集めることが有効です。
面接で商流を質問しても明確な回答を避ける企業もあり、そうした対応自体が判断材料の一つになります。
| 商流ごとの特徴の目安 | |
|---|---|
| 元請け・自社開発 | 上流工程に関わりやすく、年収水準も比較的高い |
| 二次請け | 元請けの指示のもとで開発を担当することが多い |
| 三次請け以降(SES中心) | 運用・保守や客先常駐が中心になりやすく、現場による差が大きい |
需要の高い技術領域への学習投資
クラウド基盤やセキュリティなど、需要が高く専門性を評価されやすい領域に学習時間を配分することで、技術の陳腐化という課題を下げられます。
資格取得や社外の勉強会への参加は、学習の継続を可視化する手段としても有効です。
それでも厳しい場合の代替キャリア
ITエンジニアとしての経験は、ITコンサルタントやIT営業、プロジェクトマネージャーといった隣接職種でも高く評価されます。
技術的な知識に加えて、顧客折衝や進行管理の経験を積んできた人材は、エンジニア職以外の選択肢でも即戦力として評価されやすい強みになります。
技術そのものを諦めるのではなく、技術を活かせる立場を広く捉え直すことが、やめとけと言われる状況からの出口になります。
- 面接で配属予定案件と商流上の立ち位置を具体的に確認する
- 需要の高い技術領域に学習時間を優先的に配分する
- 資格取得や社外活動で学習継続の実績を可視化する
- 隣接職種への方向転換も選択肢として持っておく
この4つに共通するのは、業界構造を正しく理解したうえで、案件や会社を受け身ではなく自分から選びにいく姿勢です。
商流や案件の実態は社外からは見えにくい部分も多いため、転職エージェントなど業界に詳しい第三者の視点を取り入れると判断の精度が上がります。
ITエンジニアに関するよくある質問
ITエンジニアへの転職やキャリア選択を検討する際によく挙がる疑問を、自己完結する形でまとめます。
ITエンジニアは本当にやめとけと言われるほど厳しいですか
未経験からの参入が多く業界全体が玉石混交になりやすいこと、SES・客先常駐の多重下請け構造で労働環境の差が大きいことは事実です。
ただし厳しさの実態は職種・企業・商流上の立ち位置によって大きく変わります。
自社開発や上流工程に携われる環境を選び、継続的に学習を続けられる人にとっては、今でも有望なキャリアであり続けています。
「やめとけ」という言葉を鵜呑みにせず、自分がどの領域・働き方に近いかを見極めることが重要です。
未経験からITエンジニアになるのは可能ですか
未経験からの参入自体は可能ですが、配属先によって運用・監視中心の業務からスタートすることが多いのが実態です。
最初の配属先がすべてを決めるわけではなく、学習を継続しながら上流工程への異動や転職を目指す流れが現実的です。
半年から1年程度の学習期間を見込み、入社後も学び続ける前提でキャリアを設計しておくことが遠回りを避けるポイントです。
ITエンジニアはAIに仕事を奪われますか
定型的なコーディングや運用・監視作業はAIによる自動化が進んでいます。
一方で、要件を整理して設計に落とし込む力や、クライアントの課題を理解した上での提案は、現時点ではAIだけでは完結しにくい領域です。
AIを使いこなす側に回れるかどうかが、今後の市場価値を左右する分かれ目になります。
ITエンジニアの職種はどう選べばよいですか
Web系、インフラ、ネットワーク、社内SEなど職種ごとに求められるスキルや働き方は大きく異なります。
開発中心の仕事を望むのか、安定した定型業務を望むのかによって、向いている職種の方向性は変わります。
迷った場合は、特定職種に絞った解説記事や転職エージェントの職種別相談を活用し、自分の志向に合う領域を具体的に絞り込むことをおすすめします。
業界構造や自分の適性は一人で抱え込まず、転職エージェントなど第三者の視点を交えて整理すると、判断の精度が上がります。
ITエンジニアはやめとけと言われる理由のまとめ
ITエンジニアがやめとけと言われる背景には、未経験転職の多さによる玉石混交な業界構造、SES・客先常駐の多重下請け構造、技術の陳腐化という複数の構造的な要因があります。
ソフトウェア作成者の平均年収約574万円という統計も、企業規模や商流上の立ち位置によって大きな差が生じることを正直に示しています。
ただし、継続学習を苦にせず、上流工程を目指して行動し、専門領域を尖らせられる人にとっては、今でも有望なキャリアであり続けています。
35歳限界説についても、経験豊富なミドル層を求める企業が増えている一方で、年齢よりも専門性の有無が評価の分かれ目になりつつあるのが実態です。
自分の適性やキャリアの方向性に迷ったときは、転職エージェントに相談しながら、ITエンジニアという選択肢を含めたキャリア全体を一度整理してみることをおすすめします。
「やめとけ」という言葉の裏にある具体的な理由を理解したうえで判断すれば、後悔の少ないキャリア選択につながります。
出典・参考情報
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FOCUS AGENT:東田 尚起


株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。









