営業職で離職を検討したことがある人の割合は80.8%に達し、全職種平均の離職率15.4%を大きく上回るとされています。ただし「きつさ」の質は業界によって大きく異なり、ノルマの厳しさ・商談期間の長さ・商材の特殊性など、業界ごとに固有の負担があります。
本記事では、営業がきついとされる業界のランキングと、その理由、きつい業界を避けるための求人の見極め方まで解説します。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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営業がきつい業界ランキングTOP10
複数の転職口コミ・業界データをもとに、営業がきついとされる業界を整理しました。
| 順位 | 業界 | きつさの主な理由 |
|---|---|---|
| 1位 | 保険業界 | 歩合制中心の収入構造、身近な人への営業、見込み客の自力開拓 |
| 2位 | 不動産業界 | 高額商材ゆえのプレッシャー、休日出勤、成果主義の徹底 |
| 3位 | 証券業界 | 厳しいノルマと目標未達時のプレッシャー、金融知識の学習負担 |
| 4位 | IT業界(SIer) | 案件ごとの個別提案、多重下請け構造、技術部門との板挟み |
| 5位 | 人材派遣業界 | 営業とコーディネーター業務の兼務、派遣先とスタッフの板挟み |
| 6位 | 広告代理店業界 | 動かせない出稿日程、突発的な差し戻し対応 |
| 7位 | 製薬業界(MR) | 専門知識の継続学習、頻繁な転勤、業界縮小トレンド |
| 8位 | 住宅・ハウスメーカー業界 | 成果主義のプレッシャー、休日出勤、専門知識の習得 |
| 9位 | 銀行・法人営業 | 複数商品のノルマ管理、融資審査の責任の重さ |
| 10位 | 福祉用具業界 | 身体的負担、ケアマネジャーとの連携業務 |
順位は絶対的な指標ではなく、口コミや離職率の傾向を踏まえた相対的な整理です。同じ業界でも会社によって働き方の負担は大きく異なる点に注意してください。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起ランキングの上位に共通するのは『成果へのプレッシャー』と『特有の板挟み構造』です。業界名だけで判断せず、自分が耐えられる負担の種類を見極めることが大切です。
営業がきつくない業界ランキングTOP5
反対に、比較的働きやすいとされる業界も整理しました。
| 順位 | 業界 | 働きやすいとされる理由 |
|---|---|---|
| 1位 | メーカー営業(BtoB) | ルート営業中心で新規開拓が少なく、休日出勤も少ない |
| 2位 | 公務員関連の営業職 | ノルマが緩やかで安定した勤務体系 |
| 3位 | インフラ関連営業 | 既存契約の維持が中心で商談サイクルが安定 |
| 4位 | 専門商社の営業 | 専門知識を軸にした固定顧客との取引が中心 |
| 5位 | 公共事業関連の営業 | 入札制度により価格競争の激しさが緩和される |
働きやすいとされる業界にも共通するのは、新規開拓の少なさと、商談サイクルの安定性です。ただし、成果が出しにくい分、年収の伸びが緩やかになる傾向もあるため、一長一短といえます。
上位3業界の詳しい実態
ランキング上位の業界は、それぞれ異なる種類のきつさを抱えています。保険業界は歩合給と身近な人への営業、不動産業界は高額商材ゆえの成果主義、証券業界は相場変動への対応力と、負担の質は業界によって大きく異なります。同じ『きつい』という言葉でも中身が違うため、自分がどのタイプの負担なら受け入れられるかを考えながら、それぞれの実態を具体的に見ていきましょう。業界名だけでイメージを固めてしまうと、実態とのギャップに後から戸惑うことにもなりかねません。
保険業界の実態
生保大手8社の入社5年目在籍率は約25%とされ、業界内でも高い離職率が特徴です。歩合給中心の収入構造に加え、親族や知人への営業を求められることへの心理的な抵抗が、離職の一因とされています。一方で成果を出せば高収入を得られる仕組みでもあり、実力次第で20代から高い年収を得ている社員も少なくありません。入社初期にどれだけ見込み客を開拓できるかが、その後のキャリアを大きく左右する業界です。近年は紹介営業やコンサルティング型の提案スタイルに軸足を移す会社も増えており、従来型の飛び込み営業だけが求められるわけではなくなってきています。
不動産業界の実態
不動産業の新卒3年以内離職率は大卒で約34.8%に達するとされ、全業界平均を大きく上回ります。高額商材ゆえの成果主義の徹底と、土日勤務が基本となる働き方が負担の中心です。反面、成果次第で若いうちから高収入を得やすい業界でもあり、契約1件あたりの歩合が大きいことから、成果を出せる人ほど早期に年収を伸ばしやすい特徴もあります。会社によっては平日に振替休日を取得できる制度を整えているところもあり、休日の取りやすさは求人ごとに差が大きい点にも注意が必要です。
証券業界の実態
証券会社の営業は、株式や投資信託といった金融商品を扱うため、相場の変動に応じた迅速な対応力が求められます。ノルマの厳しさに加え、顧客の資産を扱う責任の重さも、精神的負担につながっています。専門知識を武器にできれば、長期的なキャリアの土台になる業界です。金融資格の取得を後押しする社内制度を持つ会社も多く、学び続ける姿勢がある人にとってはキャリアの伸びしろが大きい業界ともいえます。



同じ『きつい』業界でも、負担の中心となる要素は業界ごとに異なります。自分がどのタイプの負担に強いかを考えることが、業界選びの重要な視点です。
きつい業界に共通する4つの要因


業界の種類は違っても、きつさの根本にある要因には共通点があります。以下の4つを理解しておくと、業界選びの精度が上がります。表面的な業界イメージだけで判断せず、自分がどの要因に強く、どの要因に弱いかを整理しておくことが、転職後のミスマッチを防ぐ鍵になります。求人票の職種名だけでなく、実際の業務内容がどの要因に当てはまるかを確認する習慣をつけましょう。同じ『営業職』という求人でも、実際の業務内容は会社によって大きく異なる点に注意が必要です。
成果が収入・評価に直結する仕組み
歩合給の比率が高い業界ほど、成果と収入が直結し、精神的なプレッシャーが強くなる傾向があります。保険・不動産・証券業界に共通する特徴です。成果が出ない月は収入が大きく落ち込むこともあり、精神的な波の大きさに耐えられるかどうかが向き不向きの分かれ目になります。逆に、固定給の比率が高い業界であれば、収入の波を抑えながら安定して働ける可能性が高くなります。自分がどの程度の収入の波なら耐えられるかを、事前に見積もっておくことが大切です。
商材・案件ごとの個別対応の負担
決まった商材を売るのではなく、案件ごとに個別提案を組み立てる必要がある業界(IT・広告代理店など)は、テンプレート化しにくい難しさがあります。顧客ごとに課題や要望が異なるため、毎回ゼロから提案資料を作り込む負担が大きく、業務量そのものが読みにくい点も特徴です。過去の提案をそのまま流用できないため、経験を積んでも業務量が大きく減りにくい業界ともいえます。裏を返せば、提案力そのものが磨かれやすい環境であり、コンサルティング的なスキルを身につけたい人には向いています。
複数の関係者の間に立つ板挟み構造
人材派遣・広告代理店・銀行融資業務など、複数の関係者(顧客・現場・上位組織)の間に立つ業界は、調整業務の負担が大きくなります。片方の要望を通せばもう一方に不満が出るような場面も多く、双方の折り合いをつける調整力が常に求められます。板挟みの負担が続くと精神的に消耗しやすい一方、調整力そのものは転職市場でも評価されやすいスキルです。日頃から双方の立場を丁寧にヒアリングする姿勢が、負担を軽減する近道になります。
専門知識の継続学習の負担
製薬(MR)・IT・金融など、専門性の高い商材を扱う業界は、常に知識をアップデートし続ける必要があり、学習コストが大きな負担になります。法改正や新製品情報を業務時間外に自主学習する必要があるケースも多く、勉強を継続できる意欲が求められます。一方で専門知識は転職市場での評価にもつながりやすい資産になります。
- 成果が収入・評価に直結する歩合制の仕組み
- 案件・商材ごとの個別対応の負担
- 複数の関係者の間に立つ板挟み構造
- 専門知識を継続的に学習する負担



業界を選ぶ際は『どの種類のきつさなら自分は耐えられるか』を考えることが重要です。すべての負担がゼロの仕事は存在しません。
きつい業界を避けるための求人の見極め方


求人票や面接の段階で確認しておくことで、入社後のミスマッチを防げます。求人票の記載だけを鵜呑みにせず、面接の場で具体的な数字や実態を確認する姿勢が、きつい業界を避けるうえで欠かせません。以下の2点は特に、入社後の働き方を左右しやすいポイントとして必ず押さえておきましょう。求人票の記載を鵜呑みにせず、面接の場で遠慮なく質問する姿勢が重要です。気になる点は選考の早い段階でクリアにしておくことをおすすめします。
給与体系の詳細を確認する
固定給と歩合給の比率、インセンティブの発生条件は、求人票の表面的な年収レンジだけでは分かりません。面接で具体的な給与シミュレーションを確認しましょう。未達成だった場合の給与水準や、インセンティブが発生する最低ラインまで踏み込んで質問すると、入社後の年収イメージがつかみやすくなります。求人票の年収レンジは上位者の実績を含む場合もあるため、平均的な達成率での年収も併せて確認すると安心です。中央値に近い社員の年収イメージを聞いておくことで、入社後のギャップを小さくできます。
離職率・定着率のデータを確認する
口コミサイトや企業の採用ページで、離職率や平均勤続年数のデータを確認することで、実態に近い働き方をイメージできます。
- 固定給と歩合給の比率を具体的に確認する
- 離職率・平均勤続年数のデータを確認する
- 実際に働く社員の1日の業務内容を質問する
- 自分が耐えられる負担の種類を事前に整理する
「配属予定の部署の平均的な業務量」「直近1年の異動・離職の状況」を具体的に質問してみましょう。抽象的な回答しか得られない場合は注意が必要です。
働きやすい業界に共通する3つの特徴
反対に、比較的働きやすいとされる業界には、共通する特徴があります。新規開拓の負担が少なく、商談サイクルが安定していて、歩合給の比率が低めという3つの傾向が重なる業界は、精神的な負担が比較的軽いとされています。それぞれの特徴を具体的に見ていくことで、自分に合った業界選びの手がかりになります。以下の3つの特徴を押さえておくと、求人選びの際の判断基準として役立ちます。複数当てはまる求人ほど、精神的な負担が少ない環境である可能性が高いといえます。
新規開拓よりルート営業が中心
既存顧客との取引維持が業務の中心となる業界は、飛び込み営業やテレアポといった精神的負担の大きい活動が少なく、安定した働き方につながりやすい傾向があります。断られ続ける経験が少ない分、精神的な消耗も抑えられます。既存顧客との関係性を長期的に築いていく働き方が中心のため、じっくり信頼関係を育てたい人に向いています。新規開拓で数字を追い続けるスタイルが苦手な人ほど、こうした働き方に安心感を覚えやすい傾向があります。求人票に『既存顧客中心』と記載があっても、実際には新規開拓比率が高いケースもあるため、面接での確認が欠かせません。
商談サイクルが安定している
契約更新のタイミングが決まっている、あるいは入札制度によって価格競争が緩和されている業界は、突発的な成果へのプレッシャーが少なく、計画的に業務を進めやすい特徴があります。スケジュールが読みやすい分、プライベートとの両立もしやすくなります。急な案件対応に振り回されにくいため、長期的な計画を立てながらキャリアを積みたい人にも適しています。突発対応が少ない分、資格取得や自己研鑽の時間を確保しやすい点もメリットです。
インセンティブ比率が低め
歩合給の比率が低い業界は、収入の変動が少なく精神的な安定を得やすい一方、短期間での大幅な年収アップは狙いにくい傾向があります。安定と成長速度のどちらを優先するかが選択の分かれ目です。将来的な年収の伸びを重視する場合は、固定給の水準や昇給制度の有無も併せて確認しておくとよいでしょう。



働きやすさと高収入は、必ずしも両立するとは限りません。自分が何を優先したいかを整理した上で、業界を選ぶことが大切です。
きつい業界からの転職を考える際のポイント
今の業界がきついと感じても、いきなり転職を決める前に整理しておきたい視点があります。勢いだけで転職先を決めてしまうと、別の種類のきつさに直面する可能性もあるため、以下の2つを整理してから動き出すことをおすすめします。焦って転職先を決めるほど、入社後のミスマッチが起きやすくなる点にも注意しましょう。時間をかけて自分の状況を整理することが、結果的に納得のいく転職につながります。まずは自分がどんな環境なら気持ちよく働けるのかを、じっくり書き出してみることから始めましょう。
きつさの種類を言語化する
「ノルマがきつい」のか「板挟みがきつい」のか「学習負担がきつい」のかを具体的に言語化することで、次に選ぶべき業界の方向性が見えてきます。漠然と「きつい」とだけ感じている状態では、転職先選びの軸がぶれやすくなる点にも注意が必要です。紙に書き出して整理するだけでも、自分に合わない業界の共通点が見えてくることがあります。言語化した内容は、転職エージェントとの面談や職務経歴書の作成にもそのまま活用できます。次のキャリアで何を避けたいかが明確になるほど、求人選びの精度も高まります。
これまでの経験の汎用性を整理する
どの業界であっても、提案力・関係構築力・行動量といった営業スキルは業界を超えて評価される傾向があります。今の経験を次のキャリアにどう活かせるかを整理しておきましょう。具体的な実績数値を整理しておくと、転職活動でも説得力が増します。契約件数や達成率など、客観的な数字で語れる実績を棚卸ししておくと、未経験の業界であっても選考でアピールしやすくなります。
「きつさの種類」「これまでの経験の汎用性」「次に求める働き方」の3つの軸で、今の状況を書き出してみましょう。
業界を問わずキャリアを相談できる転職エージェント
自分に合った業界・働き方を見極めるためには、専門家への相談が近道になります。以下のエージェントを併用しながら、自分に合ったキャリアの選択肢を探ってみましょう。
業界最大級の求人数を誇る総合型エージェント。非公開求人も豊富で、選考対策の実績も厚い。
広告・Web・マスコミ業界に特化。専門性を活かした転職支援に強み。
マーケティング職特化型のキャリア支援サービス。
営業がきつい業界に関するよくある質問
営業がきつい業界のランキングは絶対的な指標ですか?
絶対的な指標ではありません。同じ業界でも会社・部署によって働き方は大きく異なるため、業界名だけで判断せず、実際の求人内容や口コミを確認することが重要です。ランキングはあくまで傾向を把握するための参考情報として活用しましょう。同じ業界内でも、拠点や配属先によって業務量や雰囲気が大きく異なるケースは珍しくありません。応募前に社員の口コミを複数チェックし、部署ごとの違いも意識して確認しておくとよいでしょう。
きつい業界から働きやすい業界への転職は難しいですか?
業界特有の専門知識が必要な場合は一定のハードルがありますが、営業として培った提案力・関係構築力は業界を超えて評価される傾向があるため、転職自体のハードルはそれほど高くありません。焦らず段階的にキャリアを設計することが大切です。未経験分野への転職では、これまでの実績を数字で具体的に伝えられるかどうかが選考通過の鍵になります。まずは業界研究を重ね、共通するスキルと新たに求められる知識を整理しておくと選考が進めやすくなります。焦らず情報収集を重ねることが、納得のいくキャリアチェンジにつながります。
営業職の離職率はなぜ高いのですか?
成果が数字として明確に評価される仕組みであることや、ノルマへのプレッシャー、商材によっては断られ続ける精神的負担が大きいことが背景にあるとされています。加えて、成果が出ない時期の収入の不安定さも、離職の一因として挙げられます。会社によって評価制度や上司との関係性が大きく異なるため、同じ業界でも定着率には差が出ます。入社前に離職率や定着率のデータを確認しておくことで、こうした懸念点をある程度事前に把握できます。
女性でもきつい業界で活躍できますか?
実際に多くの業界で女性営業が活躍しています。業界特有の負担(転勤・休日出勤など)は性別に関係なく共通するため、自分に合った働き方かどうかを見極めることが大切です。近年は産休・育休制度やライフイベントへの配慮を整備する企業も増えており、制度面の確認も転職先選びの重要な視点になります。女性管理職の登用実績を公開している企業であれば、キャリアの見通しも立てやすくなります。育児との両立支援策が実際に活用されているかどうかも、面接で確認しておきたいポイントです。
きつい業界ランキングは毎年変わりますか?
業界の構造的な特徴は大きくは変わりませんが、景気動向や法改正、業界のデジタル化の進み具合によって、負担の質は変化することがあります。最新の口コミや業界動向を定期的に確認することをおすすめします。同じ業界内でも会社ごとに実態は大きく異なる点にも注意しましょう。営業支援システムの導入が進んでいる会社ほど、事務作業の負担が軽減されている傾向もあります。定期的に最新情報をチェックしておくことで、業界のトレンドの変化にも柔軟に対応できます。
未経験からきつくない業界に転職することは可能ですか?
可能です。営業として培った基礎的なスキル(提案力・ヒアリング力など)は業界を問わず評価されるため、未経験の業界であっても、これまでの経験を具体的に伝えられれば転職のチャンスは十分にあります。転職エージェントを活用すると、業界ごとの実態を客観的に把握しやすくなります。応募先の業界研究をあらかじめ深めておくことで、面接での説得力も高まります。転職エージェントに相談すれば、未経験業界の選考通過のコツも具体的に教えてもらえます。
まとめ
営業がきついとされる業界には、保険・不動産・証券・IT・人材派遣など、共通して「成果への強いプレッシャー」「板挟み構造」「専門知識の学習負担」という要因があります。一方で、業界名だけで一律に判断するのではなく、会社ごとの実態を確認することが重要です。
今の業界がきついと感じる場合は、自分が抱えている負担の種類を言語化し、これまでの経験がどの業界で活かせるかを整理してみましょう。営業経験そのものは、業界を超えて評価される汎用的なスキルです。









