メーカー営業への転職を検討している方の中には、きつい・やめとけという評判を目にして不安を感じている方も多くいます。実際に働いている、または働いた経験がある人からも、きついという声が上がる場面は少なくありません。
一方でリクペディアの調査によると、厚生労働省の令和2年雇用動向調査結果の概況によると新卒で製造業界に入社した人が3年以内に離職する率は9.4パーセントで、一般的なきついイメージとは裏腹に離職率はかなり低い水準です。この記事では、メーカー営業がきつい理由・自社製品を扱う責任の重さ・離職率が低い理由・向いている人の特徴・きつい場合の対処法まで解説します。
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攻めキャリエージェント:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
メーカー営業がきつい6つの理由
リクらくの解説をもとに、メーカー営業特有のきつさを整理します。営業職全般の厳しさに加えて、メーカーという業態ならではの負担がある点を理解しておくことが重要です。
既存顧客からの無理な依頼への対応
メーカー営業の顧客は既に長年の関係性があることがほとんどで、多少無理な依頼をされて対応することが当たり前になっている可能性があるとされています。無理な依頼を断ると契約が打ち切りとなるリスクがあるため断ることは簡単ではなく、無理な依頼を受けて残業が増えてしまうケースもあるとされています(リクらく調べ)。
営業以外の部署のミスによるクレーム対応
納期の遅延や配送時のトラブル、商品やサービスの欠陥などさまざまなクレームを受け、営業以外の部署が起こしたミスについても窓口の役割を行う営業がクレーム対応しなければならないためストレスが溜まりやすいとされています(リクらく調べ)。転職サイト比較plusの解説でも、商品欠陥は営業ではなく技術に対するクレームであっても顧客窓口である営業に連絡が来てしまうとされており、責任の所在と対応窓口が一致しないことが精神的な負担につながっています。
顧客都合による残業や休日出勤
顧客によっては土日営業しかできないこともあるため、その場合はメーカー営業が合わせて土日に訪問することが必要になり、自分の業務終了間近や休日の日でも顧客から緊急で対応を求められた場合は対応しなければならないこともあるとされています(リクらく調べ)。働く企業や顧客によっては、プライベートとの両立が難しくなるという声も紹介されています。
自社製品への関心が薄れたときのつらさ
自社の製品やサービスを売り込む仕事であり、その製品・サービスを自分自身が魅力的と思えないと営業トークを続けることが苦痛になり、自社製品・サービスに興味を失った場合は仕事そのものがきついと感じられるようになるとされています(リクらく、イノセル株式会社調べ)。自社製品に対する深い理解と情熱が求められる分、興味を失った瞬間に負担が一気に増える職種です。
ルート営業中心によるキャリアへの不安
メーカー営業は既存顧客へのルート営業がほとんどであるため毎日がルーティン業務となることが多く、長期間同じ作業を繰り返していくと実際に成長できているか不安になり、将来的に昇進できるのかが不安になるとされています(リクらく調べ)。メーカー企業は年功序列の風潮が残っているところが多く、昇進にも時間がかかる傾向にあるとされています。
社内と顧客の板挟みによる精神的消耗
顧客の期待に応えようとすれば社内から反発を受け、社内を優先すると顧客から信頼を失うというどこにも逃げ場がないストレスフルな環境になりやすいとされています(GUNSOW BLOG調べ)。表面的には現場を回っているだけで暇そうに見えることもある一方、実態は訪問の合間に資料作成や見積書作成が山積みで、月末や年度末は締め作業や突発的な案件対応が重なりやすいとされています。
自社製品のみを扱う責任の重さ
6つの理由に加えて、メーカー営業には商社営業と比較したときに際立つ、特有の責任の重さがあります。
リクペディアの解説によると、メーカー営業の基本的なスタンスは狭く深くになりやすく、商社営業のスタンスは広く浅くになりやすいとされています。商社営業の場合、製品に関する質問をされたら「メーカーに問い合わせて確認しておきます」と返答できますが、メーカー営業が扱っているのは自社製品であるため、自社製品のことについて何も知らないのに営業が務まるのかという話につながってしまうとされています。転職サイト比較plusの解説でも、しっかりと問い合わせに答えないと自社製品の知識がないと思われ、最悪取引がなくなってしまうことにもつながりかねないとされています。この「逃げ場のなさ」が、メーカー営業特有の緊張感を生んでいます。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起メーカー営業の「逃げ場のなさ」は、自社のブランドと信頼の全てを背負うプロとしての矜持の裏返しですね。「メーカーに確認します」という言い訳が許されない重圧はありますが、開発の背景まで熟知した専門性こそが、競合を圧倒する最大の武器になります。単なる物売りを超えた専門家としての覚悟が問われます。
メーカー営業の離職率が低い理由
きついというイメージが先行しがちなメーカー営業ですが、実際の離職率は業界平均と比べても低い水準にあります。この逆説的な事実の背景を確認します。
リクペディアの解説によると、メーカーの営業はBtoB営業と呼ばれる法人営業の比率が圧倒的に多く、既に契約を結んでいる企業とのビジネスであるルート営業がほとんどのため、新規開拓の飛び込み営業が圧倒的に少なく、それに伴うノルマも少なく設定されているとされています。リクらくの解説でも、新規開拓営業だとしても既存顧客が多いケースが多いため営業ノルマがやさしめであるとされています。新規開拓型の営業と比較すると、成果に追われるプレッシャーの絶対量は少ない傾向にあるといえます。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起メーカー営業の定着率の高さは、顧客との「長期的な関係性」に守られた構造の恩恵ですね。新規開拓のプレッシャーが少ないルート営業中心のモデルは、精神的な安定をもたらします。ただ、この安定を「ぬるま湯」とせず、既存顧客の課題を深掘りして自社の開発へフィードバックできる、攻めの姿勢を持つ人こそが市場価値を高められます。
メーカー営業に向いている人の特徴
きつさに複数当てはまる場合でも、適性次第で長く活躍できる仕事でもあります。イノセル株式会社とキャリアアップステージの解説をもとに整理します。
- 自社製品への関心が持てる人 製品や業界への興味関心があれば知識の習得も苦にならず、顧客への説得力も増すとされています
- 長期的な信頼関係を築くのが得意な人 ルート営業中心の環境では、既存顧客との関係を長く育てられる姿勢が評価されやすいとされています
- 対人コミュニケーションに抵抗がない人 顧客との対面でのやり取りや調整業務が多いため、能動的なコミュニケーションが取れる人に向いています
- プレッシャーを前向きに受け止められる人 断られても前を向き続ける精神力や、最後までやり遂げる粘り強さがある人が長く続けやすいとされています(キャリアアップステージ調べ)
メーカー営業がきつい場合の対処法
リクらくの解説をもとに、きつさを感じたときにまず試せる対処法を整理します。
きつさの原因を具体的に特定する方法
上司や同僚とのコミュニケーションがしづらいのか、営業先の顧客と合わないのか、商品やサービスに興味がないのか、原因は人によってさまざまとされています。自分がなぜきついと感じるのかがわかれば、それを解決する手段として転職や部署異動を具体的に検討できるようになります(リクらく調べ)。
仕事とプライベートを切り離す考え方
仕事をお金のために行っていると割り切ることができれば嫌なことがあっても気にならなくなる場合があり、自社の商品やサービスに興味がない場合は給与をもらうためにこの業務を行っているという考え方に切り替えることでストレスが減る可能性があるとされています(リクらく調べ)。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起メーカー営業の苦境を脱する鍵は、仕事と感情を切り離す「精神的距離」の確立にありますね。原因を客観的に分解し、労働を報酬の手段と割り切る姿勢は心の防衛策です。淡々と役割を全うするプロとしての冷徹さを持つことも、持続可能なキャリアを築くための重要な技術と言えます。
メーカー営業からの転職先とポータブルスキル
メーカー営業の経験は、転職市場でも評価される汎用的なスキルの土台になります。
メーカー営業を経験すると社会人に必要なポータブルスキルが身につき、メールや電話、打ち合わせ時のマナー、アポイントのとり方などビジネスに必要な一連のスキルが身についていれば、どの職種でも必要なスキルが身についていることになるとされています(リクらく調べ)。特に自社製品を深く理解し説明してきた経験は、専門性の高い商材を扱う法人営業やコンサルティング職への転換でも強みとして語れる経験です。
転職エージェントの選び方
メーカー営業からの転職では、業界の内情に詳しいエージェントへの相談が有効です。以下の3社は法人営業のキャリア相談に強みを持っています。
リクルートエージェント
業界最大手でメーカー・製造業の求人が多く、非公開求人へのアクセスも豊富です。メーカー営業から異業種の法人営業への転換実績も多く、書類添削・面接対策まで一貫したサポートが受けられます。
マスメディアン
マーケティング・デジタル・法人営業領域に特化した転職エージェントです。メーカー営業で培った製品知識・提案力をマーケティング職へ活かしたい方に有効です。
マーキャリNEXT CAREER
SaaS法人営業のハイクラス転職に強みを持つエージェントです。メーカー営業の専門知識と折衝力を武器に、SaaS企業のフィールドセールスへキャリアチェンジしたい方に向いています。
まとめ
メーカー営業のきつさは、既存顧客からの無理な依頼・クレーム対応の窓口業務・顧客都合の残業や休日出勤・自社製品のみを扱う責任の重さ・社内と顧客の板挟みという複合的な要因から生まれています。一方で新規開拓型の営業と比べればノルマは緩やかで、離職率も業界平均より低い水準にあり、イメージと実態には差がある職種です。
判断のための3つの手順
| 手順 | やること |
|---|---|
| 手順1(今週中) | きつさの原因が上司や同僚との関係か、顧客との相性か、製品への関心の薄れかを具体的に特定する |
| 手順2(1〜2週間以内) | 仕事とプライベートを切り離す考え方を試す。それでも改善しない場合は部署異動や転職の情報収集を始める |
| 手順3(並行して) | リクルートエージェントなど法人営業に強いエージェントへ登録し、業界内の異動先や異業種転換の選択肢を比較検討する |
メーカー営業の経験が持つ市場価値
メーカー営業で培った製品知識・長期的な信頼構築力・社内外の調整力は、他業界の法人営業やコンサルティング職への転換でも評価されやすい強みです。きつさの背景にある構造を理解した上で、自分に合った働き方を見極めることが重要です。
本記事が、メーカー営業のきつさと向き合っている方の参考になれば幸いです。

