アクチュアリーはやめとけと言われる理由は?試験の難易度と年収のリアル

アクチュアリーは、生命保険会社や損害保険会社で保険料や責任準備金、年金制度の財政計算などを担う専門職です。「アクチュアリー やめとけ」と検索される背景には、資格試験の難易度の高さと、資格を取得するまでにかかる長い年数があります。

第1次試験は数学・生保数理・損保数理・年金数理・会計経済投資理論の5科目、第2次試験は生保・損保・年金のいずれかのコースで専門科目2科目に合格する必要があります。合格率は科目によって幅があり、全科目合格から正会員になるまでは平均8年前後かかるとされています。

この記事では「やめとけ」と言われる具体的な理由を整理したうえで、年収や将来性の実態、向き不向き、挑戦する場合の対策までを解説します。厳しい現実を正直に伝えつつ、向いている人にとっては有望な選択肢であることもあわせて紹介します。

この記事のポイント
  • 1次5科目・2次2科目の試験に合格し、正会員まで平均8年前後かかる
  • 統計では平均年収は約903万円とされるが、集計区分には注意が必要
  • 就職先は生命保険・損害保険会社が中心でキャリアの幅はやや狭い
解説者

FOCUS AGENT:東田 尚起

FOCUS AGENT なおき

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。

自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。

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アクチュアリーが「やめとけ」と言われる理由

アクチュアリーが「やめとけ」と言われる3つの理由

1次試験5科目・2次試験2科目の合格率の低さ

アクチュアリーの資格試験は、第1次試験に数学・生保数理・損保数理・年金数理・会計経済投資理論の5科目、第2次試験に生保・損保・年金のいずれかのコースで専門科目2科目があります。資格予備校が日本アクチュアリー会発表の試験結果をもとに集計したデータでは、2021〜2025年度の1次試験の科目別合格率は数学12〜30%、生保数理29〜46%、損保数理17〜45%、年金数理15〜67%、会計経済投資理論18〜45%と科目ごとの差が大きく、2次試験も各科目おおむね10%台後半から20%台で推移しています。

第1次試験は基礎的な数理能力を問う科目で構成され、保険数理の土台となる確率・統計の計算力に加え、生命保険・損害保険・企業年金それぞれの数理モデルへの理解が問われます。第2次試験では、生保・損保・年金のいずれか1コースを選び、より実務に即した応用問題や論述形式の出題に対応する必要があり、暗記だけでは太刀打ちできない点も難易度を押し上げています。

科目別の合格率を整理すると、以下のようになります。

科目2025年度2021〜2025年度平均
数学30.1%21.3%
生保数理29.4%31.9%
損保数理26.0%28.2%
年金数理19.4%36.6%
会計・経済・投資理論45.3%27.8%

科目ごとに合格率のばらつきは大きいものの、平均すると2〜3割前後の科目が多く、5科目すべてに合格するまでには複数年を要するのが実情です。1科目ずつ見れば合格できそうに思えても、通算では長期戦になる点が「やめとけ」と言われる最初の理由です。

さらに第2次試験では、1次試験の知識を土台にしつつ、実際の保険商品設計や年金制度運用で起こりうる課題に対して、どのような数理的な対応をとるかを論述する力が求められます。単純な計算力だけでなく、実務的な判断力まで試される点が、第2次試験の合格率が第1次試験と同程度かそれ以下に収まりやすい理由のひとつです。

株式会社CAREER FOCUS/東田尚起

試験範囲が広いので、得意科目から1つずつ確実につぶしていく戦略が合格への近道です。

正会員までの長い年数と学習時間の負担

第1次試験の5科目と第2次試験の2科目、計7科目に合格したうえで、プロフェッショナリズム研修などの初期教育を修了すると正会員として認定されます。日本アクチュアリー会は「全科目合格までには最低でも2年を必要とする」としていますが、実際には働きながら1年に1〜2科目ずつ受験する人が多く、資格予備校の集計では正会員になるまで平均8年程度かかるとされています。

7科目に合格した後も、プロフェッショナリズム研修と特定分野研修という2種類の初期教育を修了して初めて正会員になれる仕組みです。これらの研修は準会員でも受講できますが、試験勉強と並行してスケジュールを調整する必要があり、「合格したら終わり」ではない点も見落とされがちな負担のひとつです。

仕事と学習を両立するうえで、負担として挙げられるのは次のような点です。

  • 繁忙期は残業後に机に向かう時間を確保しづらい
  • 1科目の学習に数百時間規模の積み上げが必要とされる
  • 未合格の科目を翌年に持ち越すと受験計画全体が後ろ倒しになる

毎年数百時間規模の学習を続ける必要があり、途中でモチベーションを維持できず受験を中断する人も少なくありません。長期間にわたって勉強を続ける覚悟が求められる点が、2つ目の「やめとけ」の理由です。

生命保険・損害保険会社への就職が前提になる狭いキャリアパス

アクチュアリーの主な勤務先は生命保険会社・損害保険会社で、保険商品の保険料設計や責任準備金の計算、年金制度の財政計算などを担います。社会保険労務士や弁理士のように個人で独立開業し、幅広い業種の顧客を持つ働き方は一般的ではなく、信託銀行や監査法人、公務員(厚生労働省数理職)などの選択肢はあるものの、勤務先の業種自体はかなり限定的です。

具体的な業務としては、保険商品の価格を決める保険料率の算定、将来の保険金支払いに備える責任準備金の計算、企業年金の財政検証、決算時の数理的なチェックなどが挙げられます。部署名も「商品開発部」「アクチュアリー室」「リスク管理部」のように会社によって呼び方が異なり、転職の際には部署の業務範囲を具体的に確認しないと、入社後に想定と違う役割を任されることもあります。

資格保有者の規模をみても、全体の人数は決して多くありません。2021年3月末時点の個人会員数は以下のとおりです。

会員区分人数(2021年3月末時点)
正会員1,931名
準会員1,297名
研究会員2,144名
合計5,372名

保険業界という特定の業界に深く根を張る働き方になるため、異業種への転職や独立を軸にキャリアを考えたい人にとっては、選べる道の幅が狭いと感じられる場面があります。これが3つ目の「やめとけ」と言われる理由です。

転職市場でも、求人の多くは即戦力となる合格科目数の多い準会員・正会員を対象にしており、未経験から保険業界以外の会社へ転職しようとすると、ポテンシャル採用の枠自体が少ないのが実情です。業界内でのキャリアアップは描きやすい一方、業界の外へ出る選択肢は自分で積極的に探しにいく姿勢が求められます。

ワンポイントアドバイス
就職先の実例を具体的に調べる

資格取得の負担だけでなく、取得後にどんな会社でどんな部署に配属されるかもあわせて調べておくと、途中で迷ったときの判断材料になります。

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