理学療法士はやめとけと言われる理由と向いている人の特徴

この記事のポイント
  • 理学療法士の国家試験合格率は89.7%(厚生労働省第61回発表)と高いが、就職後の環境には差がある
  • 令和3年賃金構造基本統計調査では平均年収400万円台前半にとどまり、全産業平均を下回る
  • 厚生労働省の検討会では2040年に供給が需要の1.5倍になるとの試算が示されている
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「理学療法士はやめとけ」という言葉を検索すると、年収の伸び悩みや供給過多といった厳しい指摘が並びます。国家資格でありながら将来性に疑問を持たれる職業というのは、医療系の資格の中でも珍しい状況です。看護師や薬剤師に比べると、同じ国家資格でも評判が分かれやすい背景には、供給数の増え方や診療報酬制度との関わり方の違いがあります。

この記事では、理学療法士が「やめとけ」と言われる具体的な理由を、厚生労働省の統計や国家試験データなど一次情報で裏付けながら整理します。悪い面だけでなく、向いている人にとっては今も有望な選択肢である理由も併せて解説します。

検索結果に並ぶ記事の多くは転職を支援する立場から書かれており、ネガティブな側面が強調されやすい傾向があります。一次情報と現場の実態を区別しながら読み進めることで、自分にとって理学療法士が向いているかどうかを客観的に判断できるようになります。

株式会社CAREER FOCUS/東田尚起

理学療法士は患者さんの人生に深く関わる仕事です。だからこそ「きつい」という声が出やすい一面がありますが、実態を数字で確認してから判断することをおすすめします。

目次

理学療法士はやめとけと言われる理由

理学療法士はやめとけと言われる理由

理学療法士がやめとけと言われる理由は、ひとつではありません。資格者数の増え方、就職先の偏り、身体への負担という複数の要因が重なっています。それぞれの実態を具体的に見ていきます。

国家資格の供給過多とされる背景

理学療法士の国家試験は、ここ数年合格率80〜90%台で推移しています。厚生労働省の発表では、第61回(2026年)の合格率は89.7%、受験者12,436人のうち11,156人が合格しました。このうち新卒者に限ると合格率は94.9%とさらに高くなり、養成校での学習をきちんと積んでいれば合格できる試験であることがうかがえます。

第57回(2022年)は79.6%、第58回(2023年)は87.4%と、年による変動はあるものの、養成校を卒業すればおおむね資格を取得できる試験であることが分かります。資格を取りやすいこと自体は入り口の広さを意味しますが、同時に資格者の数が増え続ける背景にもなっています。

厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」では、理学療法士と作業療法士の供給数がすでに需要数を上回っており、2040年頃には供給が需要の1.5倍に達するという試算が示されています。養成校が2000年代以降に増え続けたことが、この供給過多の主因とされています。

理学療法士国家試験の合格率推移(厚生労働省発表)
回次実施年合格率
第57回2022年79.6%
第58回2023年87.4%
第59回2024年89.3%
第60回2025年89.6%
第61回2026年89.7%

※厚生労働省の国家試験合格発表ページをもとに作成。

合格率が80%台後半から90%前後で安定しているということは、養成校を卒業できれば資格取得のハードルはさほど高くないことを意味します。この入りやすさが、資格者数の増加スピードを支えている面があります。

就職先の偏りと採用競争

理学療法士の主な就職先は、病院や診療所のリハビリテーション科、介護老人保健施設、訪問リハビリ事業所などに限られます。資格者の総数が増えても、採用できる施設の数や予算は無限に増えるわけではありません。

特に新卒採用では、1つの病院が募集する人数が数名程度にとどまることも珍しくありません。人気の高い急性期病院や大学病院付属の施設には応募が集中し、同じ資格を持つ同期同士で採用枠を争う構図が生まれやすくなっています。

その結果、都市部の人気病院や急性期の大規模施設では採用競争が激しくなりやすい一方、地方の施設では人手不足が続くという地域差が生まれています。社会保障審議会医療部会に示された厚生労働省のデータでは、理学療法士養成施設の定員充足率が88.8%から78.0%へ低下しており、作業療法士養成施設では77.2%から52.6%まで下がっています。

養成校側の定員割れが進んでいるということは、将来の資格者数の伸びが鈍化していく可能性も示しています。今まさに就職活動をしている世代にとっては、採用倍率の高い施設への集中が続きやすい状況です。

一方で、厚生労働省の職業情報サイトを根拠に紹介されている有効求人倍率は4.36倍(令和5年度)とされ、全職種平均の1.29倍を大きく上回るという情報もあります。求人倍率だけを見れば人手不足にも見えますが、実際には急性期病院など人気の高い施設に応募が集中し、地方の中小施設では採用が難航するという二極化が同時に起きていると考えられます。数字の一面だけで就職市場を判断しない姿勢が求められます。

腰痛など身体的負担が大きい業務

理学療法士の業務は、患者さんの身体を支えて起立や歩行の練習に付き添うなど、身体を使う場面が多くを占めます。厚生労働省の労災疾病臨床研究の資料では、保健衛生業における業務上疾病のうち約8割を腰痛が占めるとされています。腰痛は労働生産性を下げる要因の第3位とも指摘されており、医療・介護現場で働く人にとって無視できない課題です。

理学療法士に限定した腰痛発生率の公的統計は見当たりませんが、患者さんの体重を支える介助動作が日常的に発生する職種である以上、同じ保健衛生業の傾向と無縁ではないと考えられます。経験年数が長くなるほど、体力面の不安を感じる人が増えるという指摘もあります。厚生労働省の検討会では、理学療法士自身を労働者の身体機能維持に活用する動きも議論されており、身体の専門家であるはずの理学療法士自身の身体管理が課題として認識されつつあります。

ワンポイントアドバイス
体力面の不安は職場選びで変わる

重い介助が多い急性期病院か、歩行練習が中心の外来かで身体への負担は大きく変わります。求人を見る際は担当する患者層と1日あたりの単位数を必ず確認しましょう。

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