- 営業経験だけでも、営業企画・マーケティング・カスタマーサクセス・人事・事務などが現実的な候補になります。
- 転職で賃金が増えた人は40.5%、減った人は29.4%で、転職自体は不利になりません。
- 記事では年収の違い・転職先の選び方・選考での伝え方・注意点まで順に整理します。
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起営業を辞めたい気持ちが強いほど、職種選びが「消去法」になりがちです。まずは何から離れたいのか、何に近づきたいのかを分けて考えてみてください。
営業から転職して営業以外を目指す理由と現状


営業から営業以外へ転職を考える人は、成果への圧力や対人負担、先の見えにくさを理由に挙げることが多い傾向があります。ただし理由が同じでも、向いている転職先は人によって変わります。
営業から離れたくなる主な要因
リクルートエージェントの転職成功ガイドでは、営業職以外へ移りたくなる原因として、成果重視の文化と密度の濃い人間関係、ありたい姿と仕事のずれ、長く続けるイメージの持ちにくさが挙げられています。外的な要因と内的な要因、将来への不安の3つに整理されている点が特徴です。
実際に現場で聞かれる声を分けると、次のような傾向があります。
- 数字を毎月追い続けるプレッシャーが強く、休日も気持ちが休まらない
- 顧客や社内の人間関係の調整に、業務時間の多くを使っている
- 30代・40代になった自分が営業を続けている姿を想像しにくい
- 身につけたスキルが他の仕事で通用するのか不安がある
この4つに共通するのは、営業という職種そのものより「働き方の負担」に不満が集中している点です。負担の種類が分かれば、営業以外ではなく「営業のまま環境を変える」という選択肢も候補に入ります。
転職者の賃金変動の実態
転職すると収入が下がるのではないかと不安になる人は多いはずです。厚生労働省の雇用動向調査(令和6年)によると、転職入職者の賃金変動は前職より増加が40.5%、減少が29.4%、変わらないが28.4%。
年齢別に見ると、25〜29歳では増加が46.3%、減少が29.2%です。若いほど賃金が上がる転職の割合は高くなる傾向があり、職種を変える決断は早いほど選択肢が広がります。
ただし、この数字は営業から異職種への転職に限った集計ではありません。営業以外に移った場合の年収は職種ごとに水準が異なるため、後述の年収比較で個別に確認します。
営業経験で評価されるスキル
営業経験者は、課題を聞き出して提案に落とし込む力や、目標数字に向き合う姿勢が評価されます。マイナビエージェントの営業向け転職ガイドでも、コミュニケーション力、関係構築力、計画性が営業で身につくスキルとして整理されています。
これらは職種をまたいで通用する力です。ただし「営業が得意でした」とだけ伝えても、応募先の職種で何に使えるのかは伝わりません。後半で、実績を職種ごとの言葉へ置き換える方法を紹介します。
転職理由を「避けたいこと」と「実現したいこと」の2列で書き出してみましょう。避けたいことだけが長い場合は、転職しても同じ不満を抱える可能性があります。実現したいことが1つでも書ければ、職種選びの軸になります。
営業から転職できる営業以外のおすすめ職種


営業から転職しやすい職種は、営業で使ってきた力をそのまま活かせるかどうかで見分けられます。まずは候補5職種の特徴を、表で比べてみましょう。
| 職種 | 主な業務 | 営業経験の活かし方 | 転職しやすさの目安 |
|---|---|---|---|
| 営業企画 | 営業戦略の立案、施策の実行、数字の分析 | 現場感覚、提案力、課題把握 | 高め |
| マーケティング | 市場調査、施策設計、効果測定 | 顧客理解、数字感覚 | 中程度 |
| カスタマーサクセス | 導入支援、活用促進、継続提案 | 関係構築力、提案力 | 高め |
| 人事・採用 | 採用活動、面談、制度運用 | 対話力、魅力を伝える力 | 中程度 |
| 事務・管理部門 | 資料作成、データ管理、社内調整 | 資料作成力、段取り力 | 中程度 |
転職しやすさの目安は、営業経験が応募条件や選考で重視されやすいかどうかを、編集部が整理した目安です。求人の数や企業ごとの条件によって変わります。
営業企画
営業企画は、市場や顧客の分析をもとに営業戦略を立て、現場に落とし込む職種です。営業の現場を知っていること自体が強みになるため、営業経験者が最も移りやすい職種のひとつとされます。
数字を扱う場面が多く、目標の管理や報告資料の作成が日常業務になります。営業のプレッシャーから離れたい人にとっては、成果への距離が変わるだけで責任は残る点を押さえておきましょう。
マーケティング
マーケティングは、売れる仕組みを設計する仕事です。営業が「1社ずつ」に向き合うのに対し、マーケティングは広告やコンテンツを通じて「多数の顧客」に働きかけます。
顧客がなぜ買うのか、なぜ断るのかを現場で見てきた経験は、ターゲット設定や訴求の考案に直結します。未経験からの場合、広告運用やデータ分析の基礎を学んでおくと選考で有利になります。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、契約後の顧客を支援し、継続利用につなげる職種です。新規開拓のノルマより、既存顧客との長期的な関係づくりが中心になります。
顧客の課題を聞き出して提案する力が活きるため、営業からの転職先として選ばれやすい職種です。一方で、解約率などの数字を追う点は営業と変わらないため、数字への向き合い方は事前に確認しておきましょう。
人事・採用
人事のなかでも採用担当は、候補者に自社を選んでもらう仕事であり、営業と構造が似ています。面談での傾聴力や、会社の魅力を伝えるプレゼン力が評価されます。
マイナビエージェントの営業向けガイドでも、数値目標の達成経験と対人スキルを活かせる職種として人事・採用担当が挙げられています。ただし、未経験者を積極採用する企業は限られるため、中途採用の求人を丁寧に探す必要があります。
事務・管理部門
事務職は、営業で提案資料を作ってきた経験や、社内調整の経験を活かしやすい職種です。マイナビエージェントのガイドでは、資料作成力を活かせ、残業が比較的少ないとされる職種として紹介されています。
働き方を整えたい人には有力な候補です。ただし、後述するとおり職種系統別の年収は営業系より低い傾向があるため、収入面とのバランスを確認してから決めましょう。
職種名が同じでも、会社によって仕事の中身は大きく違います。気になる職種は求人票の「業務内容」と「応募資格」を3社分読み比べ、営業経験の活かし方が共通して書かれているかを確認すると、ミスマッチを減らせます。



カスタマーサクセスと営業企画は、営業経験者の応募を歓迎する求人が多い職種です。まずはこの2つの求人票を眺めるところから始めると、イメージが具体的になります。
営業から転職する営業以外の職種の年収比較


営業以外へ移る場合、年収は職種系統によって水準が大きく変わります。数字を確認しないまま転職先を決めると、入社後に収入の差に驚くことがあります。
職種系統別の平均年収
dodaの平均年収ランキング(2024年版)によると、職種系統別の平均年収は下表のとおりです。調査は2023年9月から2024年8月末までにdodaへ登録した、20〜65歳の正社員が対象で、有効回答数は約60万件とされています。
| 職種系統 | 平均年収 | 営業系との差 |
|---|---|---|
| 企画/管理系 | 566万円 | +97万円 |
| 営業系 | 469万円 | 基準 |
| 技術系(IT/通信) | 462万円 | -7万円 |
| 事務/アシスタント系 | 350万円 | -119万円 |
| 販売/サービス系 | 339万円 | -130万円 |
平均年収は手取りではなく支給額で、営業系にはインセンティブ(成果報酬)が含まれる点にも注意が必要です。企画や管理系は営業系より高く、事務やアシスタント系は営業系より低い水準です。
年収が下がりやすい転職パターン
営業から事務やアシスタント系へ移る場合、平均年収の差は100万円を超えます。インセンティブの比率が高かった人ほど、基本給のみの職種に移ると減収幅が大きくなります。
リクルートエージェントの転職成功ガイドでも、営業以外への転職では年収が下がる可能性があると注意されています。減収を許容できる下限額を、転職活動の前に決めておきましょう。
年収を保ちやすい選び方
企画や管理系の職種は、営業系より平均年収が高い傾向があります。営業企画やマーケティングなど、数字を扱う企画系の職種を選べば、年収を保ちながら職種を変えられる可能性が高まります。
同じ業界のまま職種だけを変える方法も有効です。商材や顧客の知識がそのまま評価されるため、未経験職種でも提示年収が下がりにくい条件交渉につながりやすくなります。
現在の年収から「いくらまで下がっても生活できるか」を、月の支出から逆算して決めましょう。下限が決まっていれば、求人を見るときに候補を絞りやすく、面接での条件確認もぶれません。
営業から転職して営業以外を選ぶ基準


候補の職種が多いほど、決め手が見つからなくなります。ここでは、辞めたい理由から逆算する方法と、環境を残しながら職種を変える方法を紹介します。
辞めたい理由別の職種マッチング
営業を辞めたい理由によって、相性のよい職種は変わります。次の表は、代表的な理由と、検討しやすい職種を対応させたものです。
| 営業を辞めたい理由 | 検討しやすい職種 | 選ぶときの確認点 |
|---|---|---|
| ノルマの重圧が苦しい | 事務・管理部門、人事 | 評価指標が数字以外にもあるか |
| 新規開拓がつらい | カスタマーサクセス | 既存顧客中心の体制か |
| 長時間労働を減らしたい | 事務・管理部門、営業企画 | 残業時間の実績値 |
| 年収を維持したい | 営業企画、マーケティング | 基本給と賞与の比率 |
| 専門性を身につけたい | マーケティング、人事 | 未経験者の育成体制 |
表のとおり、理由が「ノルマ」なのか「新規開拓」なのかで、選ぶ職種は変わります。辞めたい理由を1つに絞り込むことが、後悔しない転職の第一歩です。
同じ業界で職種を変える方法
リクルートエージェントの転職成功ガイドでも、営業経験を活かす方法として「同じ業界で職種を変える」ことが挙げられています。業界知識が評価されるため、未経験職種でも選考を通過しやすくなります。
たとえば、不動産営業から不動産会社の営業企画やカスタマーサポートへ移る、IT企業の営業からカスタマーサクセスへ移る、といった形です。
- 商材や顧客の知識を、そのまま武器にできる
- 業界の用語や商習慣を一から学び直さずに済む
- 応募先の企業が自社の課題を理解してもらいやすい
この3つの利点は、未経験職種へ挑戦するときの不安を小さくしてくれます。一方で、業界そのものに不満がある場合は、この方法は向きません。
社内異動という選択肢
転職せずに社内で職種を変える方法もあります。営業企画や営業事務、人事への異動は、制度として用意している会社があります。
社内異動は、転職活動の負担がなく、収入や人間関係を保てる点が利点です。ただし、異動の枠は限られ、希望が通るとは限りません。上司や人事に早めに意向を伝え、並行して転職活動を進めるのが現実的です。
「辞めたい理由」「業界を残すか」「社内異動の可能性」の3つの軸で候補を絞り込みましょう。3つとも当てはまる職種が見つかれば、最も動きやすい転職先です。見つからない場合は、軸の優先順位を入れ替えて再検討してください。



営業職の方から相談を受けると、辞めたい理由が「人間関係」だった場合に、職種を変えても同じ悩みが残る例が少なくありません。職種を変える前に、環境の問題でないかを見直してみてください。
営業から営業以外へ転職するコツ


営業経験者が営業以外の職種へ移るときは、経歴の「見せ方」で選考結果が大きく変わります。数字の実績をそのまま書くだけでは、職種が違う採用担当者には伝わりません。
営業実績の言い換え方
営業の実績は、売上額だけでなく、どう達成したかという行動に分解して書きます。応募先が知りたいのは、同じ成果を新しい職種でも再現できるかどうかです。
- 売上目標の達成率に加えて、達成までの行動や工夫を書く
- 顧客の課題を聞き出した具体的な事例を1つ選ぶ
- 社内で部署を巻き込んだ経験を、調整力として示す
- 応募先の職種で使う言葉に置き換えて表現する
この4つに共通するのは、実績を「結果」ではなく「再現できる力」として示す点です。営業用語をそのまま使わず職種に合わせた言葉へ置き換えるだけで、書類選考の通過率が変わってきます。
志望動機の組み立て方
マイナビエージェントの営業向けガイドでは、志望動機のまとめ方として「なぜその職種か」「なぜその企業か」を明確にする点が挙げられています。営業からの転職では、「営業が嫌だから」という消極的な理由が前面に出ないよう注意が必要です。
たとえば「営業で顧客の声を直接聞くなかで、商品の訴求方法に課題を感じ、マーケティングで解決したいと考えた」のように、営業経験から志望につなげる流れを作ります。
未経験職種のスキル補強
未経験の職種へ挑戦する場合、資格や学習の実績が熱意の証拠として評価されます。マーケティングならWeb広告やアクセス解析、人事なら労務の基礎知識、事務ならExcelやビジネス文書の知識が目安です。
学習は、転職活動を始める前から少しずつ進めておくのが理想です。学んだ内容を職務経歴書に書ける状態にしておくと面接で具体的な話ができ、本気度も伝わります。
応募する職種ごとに職務経歴書の冒頭の自己PRを書き分けましょう。営業企画なら分析と提案、カスタマーサクセスなら関係構築と継続支援というように、同じ経験でも強調する点を変えると、通過率が上がります。



実績の言い換えが難しいと感じたら、転職エージェントに職務経歴書を見てもらうのが近道です。自分では当たり前だと思っている経験が、評価される強みになっていることもあります。
営業から営業以外へ転職するときの注意点


営業以外へ転職すれば、営業の悩みがすべて解消されるとは限りません。入社後のギャップを減らすために、事前に押さえておきたい注意点を3つ整理します。
年収が下がる場合の備え
前述のとおり、事務やアシスタント系の平均年収は営業系より100万円以上低い水準です。インセンティブの比率が高い人ほど、年収が下がる幅は大きくなります。
毎月の手取りと賞与を含めた年間収入の変化を事前に試算し、生活費や貯蓄で吸収できるかを確認しておきましょう。内定後に条件交渉をする際も、試算があれば根拠を持って話せます。
どの職種でも成果は求められる
営業を離れても、成果を問われない職種はありません。営業企画なら施策の効果、マーケティングなら獲得数、カスタマーサクセスなら継続率というように、職種ごとに追う数字があります。
「数字から逃げたい」という理由だけで転職すると、別の形で数字に向き合うことになります。成果の測り方と評価の仕組みは、面接で必ず確認しましょう。



営業以外へ移った方からは「数字の追い方が変わっただけだった」という声も聞きます。だからこそ、入社前に評価の仕組みを確認しておくことが大切です。
対人コミュニケーションは残る
リクルートエージェントの転職成功ガイドでも、どの職種でもコミュニケーション力は求められると指摘されています。営業以外の職種でも、社内外の関係者との調整は日常的に発生します。
- 社内の他部署との調整や合意形成
- 上司や同僚への報告と相談
- 社外の取引先や協力会社とのやり取り
- 顧客やユーザーへの説明や対応
この4つが示すのは、対人業務がなくなるのではなく、負担の質が変わるという点です。顧客との商談より社内調整のほうが得意だという人には、営業以外の職種が合います。
面接の逆質問で「1日の業務の流れ」「月の平均残業時間」「評価の基準」の3点を聞いておきましょう。入社後の働き方を具体的にイメージできれば、転職後のギャップを小さくできます。
まとめ
営業から転職して営業以外を選ぶ場合は、営業企画・マーケティング・カスタマーサクセス・人事・事務が現実的な候補です。転職入職者の賃金は、前職より増加した人が40.5%、減少した人が29.4%と、転職自体が収入減を意味するわけではありません。
ただし、職種系統別の平均年収には差があります。企画や管理系は営業系より高く、事務やアシスタント系は低い傾向があるため、収入面は事前に確認しておく必要があります。
職種選びでは、辞めたい理由を具体化し、業界を残すか、社内異動が可能かまで含めて検討しましょう。そのうえで、営業の実績を応募先の職種に合わせた言葉へ置き換えれば、選考を通過しやすくなります。
職種の見極めや職務経歴書の書き方に迷う場合は、転職エージェントへの相談が有効です。まずは自分の経験がどの職種で評価されるのかを、第三者の視点で確かめてみてください。
出典・参考情報
- 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況 転職入職者の状況」
- doda「平均年収ランキング(職種別の平均年収)」
- リクルートエージェント「営業職の人が営業職以外に転職するには?キャリアの活かし方やおすすめ職種を紹介」
- マイナビエージェント「営業から転職したいあなたに(営業経験を活かしたキャリアアップ・キャリアチェンジを成功させるコツ)」
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FOCUS AGENT:東田 尚起


株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。









