- 適法な固定残業代には基本給との区分明示と超過分の精算が必須
- 求人票の苦情で最多なのが固定残業代を含む賃金事項(厚労省資料)
- 月45時間を超える設定は違法と判断されやすい傾向がある
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起「固定残業代 やめとけ」と検索して不安になった方へ。この記事では、制度の仕組みと違法になるケースの見分け方を、公的機関の資料をもとに整理します。
固定残業代の求人に「やめとけ」と言われる理由


固定残業代(みなし残業代)の求人に「やめとけ」という言葉がつきまとう背景には、制度そのものの問題というより、運用のされ方に対する不信感があります。
厚生労働省の資料でも、ハローワークに寄せられる求人票トラブルの苦情のうち「賃金に関すること(固定残業代を含む)」が最も多い項目として挙げられています。民間の職業紹介を利用した人の「求人条件と採用条件が異なっていた」という不満でも、同じ項目が最多です。
つまり「やめとけ」という評価の多くは、制度の仕組みそのものへの拒否反応ではなく、求人票の記載と実態のズレ、超過分の未払いといった運用面のトラブルに起因していると考えられます。1つずつ具体的に見ていきます。
サービス残業の温床になりやすい構造
固定残業代は、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う制度です。設定された時間を超えて働いても、超過分は別途支払われるのが本来のルールですが、現場では「固定分に含まれているから」という理由で請求が曖昧になりやすい構造があります。
労働者の側も、固定残業代という言葉に「残業代はすでに払われている」という誤解を持ちやすく、超過分を請求する権利があることに気づきにくいという事情も重なります。この分かりにくさが、サービス残業の温床という評価につながっています。
基本給が低く見えにくい内訳の問題
求人票に「月給28万円(固定残業代5万円を含む)」のように書かれていても、基本給と固定残業代の内訳を分けて確認しないと、実質的な時間単価が見えにくいという問題があります。
同じ月給28万円でも、固定残業代の時間数が長く設定されているほど、1時間あたりの実質的な価値は下がります。表面上の月給だけで条件の良し悪しを判断すると、見誤る可能性があります。
| 求人票の表記 | 基本給 | 固定残業代(時間数) | 基本給の時給換算(月160時間想定) |
|---|---|---|---|
| 月給28万円(固定残業代5万円・20時間分を含む) | 23万円 | 5万円(20時間分) | 約1,437円 |
| 月給28万円(固定残業代8万円・45時間分を含む) | 20万円 | 8万円(45時間分) | 約1,250円 |
※条件を単純化した試算例。実際の時給換算は所定労働時間・割増率によって変動します
この表のように、同じ月給でも固定残業時間が長いほど基本給部分の実質的な価値は下がる傾向があります。求人票を比較するときは、月給の総額だけでなく、固定残業代を除いた基本給の額を必ず確認してください。
残業が前提化しやすい職場の空気
固定残業代が設定されている職場では、「その時間分はすでに働く前提」という空気が生まれやすいとされています。設定時間までは残業しても追加の対価が発生しないため、会社側に長時間労働を抑制する動機が働きにくいという指摘もあります。
一方で、固定残業代の設定時間内に仕事を終えれば、その分は定時で帰っても給与が変わらないという見方もできます。制度の影響は、会社の労務管理の姿勢によって大きく変わります。
- 求人票に基本給と固定残業代の内訳が明記されているか
- 固定残業時間を超えた分の支払い実績があるか
- 定時で退勤する社員が実際にいるか
- 固定残業代の金額が転職前後で大きく変わらないか
この4つに共通するのは、制度の「建前」と「実際の運用」にズレがないかを確認する視点です。求人票の記載だけで判断せず、面接で具体的に質問することが欠かせません。
「基本給」「固定残業代の時間数」「固定残業代の金額」の3つが別々の欄に分かれて書かれているかを最初に確認してください。これが曖昧な求人は、他の条件も確認が甘い可能性があります。
固定残業代の仕組みと計算方法


固定残業代を正しく理解するには、「制度として違法ではないが、運用を誤ると違法になる」という前提を押さえておく必要があります。厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークが事業主向けに配布している資料でも、固定残業代自体は否定されていません。
固定残業代とみなし残業の違い
固定残業代とみなし残業は、同じ意味で使われることが多い言葉です。どちらも「実際の残業時間にかかわらず、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う」仕組みを指します。
厚生労働省の資料でも、その名称にかかわらず、一定時間分の時間外労働・休日労働・深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金を固定残業代と定義しています。「営業手当」「業務手当」などの名称で支給されていても、実質的に残業代の性質を持つものは同じ扱いになります。
適法な固定残業代の3つの要件
東京労働局の事業主向けリーフレットによると、適法に固定残業手当を導入するには、就業規則・賃金規定・労働契約などで手当の金額と何時間分に相当するかを明確に定めることが必要だとされています。
さらに、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークが共同で公表している資料では、固定残業代制を採用する場合に求人票・募集要項へ明示すべき内容を、次の3点に整理しています。
| 区分 | 明示すべき内容 |
|---|---|
| ① | 固定残業代を除いた基本給の額 |
| ② | 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法 |
| ③ | 固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨 |
※厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」より作成
この①②③がすべて明示されていない求人は、適法性の観点で疑わしいと考えてよいでしょう。「固定残業手当は給与に含む」「月給20万円(固定残業手当20時間分を含む)」のように、時間数や金額が不明確な表記は、東京労働局の資料でも「悪い例」として名指しされています。
固定残業代の計算方法の具体例
固定残業代の金額は、基本給をもとに算出した1時間あたりの賃金に、割増率(時間外労働は原則1.25倍)と設定時間数をかけて計算します。良い表記の例として、東京労働局の資料では「営業手当40,000円(月間20時間分の時間外手当として固定支給)」が挙げられています。
時間、金額の両方が明示されている表記が「良い例」とされる一方、名称だけで中身が分からない手当や、何時間分か書かれていない手当は「悪い例」とされています。応募前に、求人票の表記がこのどちらに近いかを確認してください。
法定労働時間を超えて働かせるには、労使協定(36協定)の締結が前提です。固定残業代の時間数を聞くときは、あわせて36協定の有無も確認すると、会社の労務管理の姿勢が見えてきます。



固定残業代という言葉だけで身構える必要はありません。基本給・時間数・金額の3点が明確に書かれているかどうかが、見極めの第一歩です。
固定残業代が違法になるケースの見分け方


固定残業代の制度自体は合法でも、運用の仕方によっては無効と判断され、未払い残業代の支払い義務が発生するケースがあります。代表的なパターンを整理します。
基本給と残業代が区分されていないケース
求人票や給与明細で、基本給と固定残業代が分けて記載されていない場合、割増賃金が適正に支払われているかを確認できません。最高裁判例でも、通常の労働時間の賃金に当たる部分と、割増賃金に当たる部分を判別できない場合は、固定残業代の支払いとして認められないという判断が示されています。
具体的には、テックジャパン事件(最高裁第一小法廷 平成24年3月8日判決)で、基本給に時間外手当を含める合意があっても、通常の賃金部分と割増賃金部分を判別できなければ、割増賃金が支払われたとは認められないという考え方が示されました。
超過分の残業代が支払われないケース
固定残業時間を超えて働いても、超過分の残業代が別途支払われない場合は、労働基準法違反になります。医療法人社団康心会事件(最高裁第二小法廷 平成29年7月7日判決)でも、実際の労働時間に基づく割増賃金額が固定部分を上回る場合、使用者はその差額を支払う義務を負うという考え方が確認されています。
同判決は、基本給や諸手当に割増賃金をあらかじめ含める方法自体は直ちに違法ではないとしつつ、割増賃金に当たる部分が通常の賃金と区別できることを前提条件としています。区分が曖昧なまま「固定残業代込み」とだけ説明する運用は、この前提を満たさない可能性があります。
基本給だけで最低賃金を下回るケース
固定残業代を除いた基本給の額を所定労働時間で割った金額が、都道府県ごとに定められた最低賃金を下回る場合も、最低賃金法に違反する可能性があります。固定残業代は、あくまで時間外労働に対する対価であり、最低賃金の算定対象には含まれません。
基本給が低く設定され、固定残業代を加えることで月給の総額だけが相場並みに見える求人には注意が必要です。時給換算した基本給が最低賃金に近い、あるいは下回っていないかを確認してください。
- 求人票に基本給(固定残業代を除く)が明記されているか
- 固定残業時間を超えた分の支払い実績を具体的に説明できるか
- 基本給を所定労働時間で割った時給が最低賃金を上回っているか
- 固定残業代の金額・時間数が雇用契約書にも明記されているか
この4つのいずれかに不安がある場合は、応募前の段階で人事担当者に直接確認することをおすすめします。曖昧な返答しか返ってこない会社は、制度の運用自体が整っていない可能性があります。
入社後に固定残業代の説明と実態が異なると感じたら、まずは会社の人事・労務担当に確認し、解決しない場合は労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。相談は無料で、秘密も守られます。
固定残業代をめぐる求人トラブルの実態


「やめとけ」という評価が広がる背景には、実際に一定数のトラブルが発生しているという事実があります。感覚的な評判だけでなく、公的な資料に基づく実態を確認します。
求人票トラブルで最多の「賃金」苦情
厚生労働省職業安定局の調べによると、ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に関する申出・苦情のうち、最も多いのが「賃金に関すること(固定残業代を含む)」です。
民間の人材ビジネスを対象にした調査(厚生労働省「民間人材ビジネス実態把握調査」平成28年8月)でも、求人条件と採用条件が異なっていたという不満の中で、賃金に関する項目が最も多いという結果が出ています。公的機関・民間紹介のいずれにおいても、固定残業代を含む賃金事項が最大のトラブル要因であることが確認できます。
月45時間を超える設定は無効と判断されやすい
固定残業代の設定時間について、法令上の明確な上限は定められていません。ただし、時間外労働の上限規制(労働基準法第36条)で原則月45時間・年360時間が上限とされていることとの整合性から、月45時間を大きく超える固定残業時間の設定は、公序良俗に反すると判断される可能性が高まるとされています。
過去の裁判例では、月100時間以上の時間外労働が恒常的に義務づけられていた事案で、固定残業代に関する合意が公序良俗違反で無効と判断された例もあります。設定時間の長さそのものが、適法性を判断する材料の1つになります。
目安としては、月20時間前後は比較的標準的な設定とされることが多く、月30〜45時間になると36協定の上限に近づくため業務量との整合性が問われやすくなります。月45時間を超える設定は、時間外労働の上限規制との整合性が特に問われやすい水準といえます。
残業代を請求しにくい心理的な負担
固定残業代のトラブルが多い背景には、制度の分かりにくさに加えて、権利を知っていても請求しにくい職場の空気があるとされています。固定残業代は「すでに払っているはずの残業代」という印象を持たれやすく、超過分を申告すると角が立つと感じる人も少なくありません。
この心理的なハードルは、個人の交渉力だけでは解決しにくい面があります。求人選びの段階で、超過分の支払い実績が明確な会社かどうかを確認しておくことが、入社後の心理的な負担を減らす対策になります。
口コミサイトの「残業代が出ない」という投稿は、固定残業代の仕組みを正しく理解していない投稿も混ざっています。超過分の未払いなのか、制度への誤解なのかを見極めながら参考にしてください。



数字で見ると、固定残業代のトラブルは決して少なくありません。だからこそ、求人票の段階で内訳を確認する習慣が大切です。
固定残業代の求人に向いている業界・向いていない人の特徴


固定残業代の求人が合うかどうかは、業界の特性よりも、自分がどんな働き方を求めているかによって変わります。向き不向きの傾向を整理します。
固定残業代と相性がよい働き方・業界
営業職やコンサルティング職、企画職など、成果や裁量によって労働時間が変動しやすい職種では、固定残業代の仕組みが比較的なじみやすいとされています。業務量が少ない月は早く帰れる一方、繁忙期は残業が増えるといった変動を、固定の金額でならして支払う発想です。
IT・Web業界やコンサルティング業界では、裁量労働制とあわせて固定残業代を採用する企業も見られます。こうした業界では、労働時間の長さよりも成果で評価される文化が根付いている場合、固定残業代への抵抗感が比較的小さい傾向があります。
向いていない人の特徴
時間をかけた分だけ収入を増やしたいと考える人にとって、固定残業代は不向きな制度です。設定時間内であれば残業してもしなくても給与は変わらないため、残業時間と収入を直接連動させたい働き方とは相性がよくありません。
- 残業時間に応じて収入を伸ばしたい人
- 毎月の労働時間を正確に管理して評価されたい人
- 基本給と手当の内訳を厳密に把握しておきたい人
- 固定残業代という言葉自体に強い不信感がある人
この4つに該当する項目が多い人は、固定残業代ではなく、実労働時間に応じて残業代が支給される求人を優先的に探すほうが、ミスマッチを減らせます。
求人票で確認すべきチェックポイント
固定残業代の求人に応募するかどうかを判断する前に、求人票で確認しておきたい項目を整理します。前述の①②③の明示義務を踏まえると、次の点をチェックすることで、適法性と自分との相性の両方を確認できます。
| チェック項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 基本給(固定残業代を除く)の額 | 実質的な給与水準を正しく把握するため |
| 固定残業代の時間数と金額 | 何時間分の残業が織り込まれているかを知るため |
| 超過分の支払いに関する記載 | 法律で義務づけられた精算が明記されているかを確認するため |
※厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークの明示義務①②③をもとに作成
「固定残業時間を超えた月は、実際どのように精算されていますか」と具体的な運用を聞くと、建前ではない実態が見えやすくなります。
それでも固定残業代の求人に応募する場合の対策


固定残業代の求人そのものを避ける必要はありません。仕組みを理解したうえで、適法に運用されている会社を見極める力があれば、不安を抱えたまま応募を諦める必要はなくなります。
応募前に確認すべき質問リスト
求人票だけで判断がつかない場合は、面接やカジュアル面談の場で、遠慮せずに質問することが重要です。固定残業代に関する質問は、労働条件に関わる正当な確認事項であり、聞いたからといって評価が下がるものではありません。
- 固定残業代を除いた基本給はいくらか
- 固定残業時間は月何時間に設定されているか
- 設定時間を超えた月の精算実績はあるか
- 固定残業代の金額は雇用契約書に明記されるか
この4つを聞いて曖昧な回答しか返ってこない会社は、制度の運用自体が整っていない可能性があります。逆に、具体的な数字や実績をもとに説明できる会社は、労務管理の体制が整っていると判断できる材料になります。
入社後に未払いに気づいたときの相談先
入社後に「固定残業代の説明と実態が違う」と感じた場合、まずは給与明細と雇用契約書を照らし合わせて、実際の支給内容を確認してください。そのうえで疑問が解消しない場合は、社内の人事・労務担当に相談するのが最初の一歩です。
社内での相談が難しい、あるいは解決しない場合は、労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。未払い残業代は、原則として3年分(賃金請求権の消滅時効)をさかのぼって請求できるとされています。証拠として、給与明細や勤怠記録は保管しておくことをおすすめします。
固定残業代なしの求人への切り替え判断
確認を重ねても不安が拭えない場合は、固定残業代を採用していない求人に絞って転職活動を進めるという選択肢もあります。実労働時間に応じて残業代が支給される求人は、求人サイトの検索条件で絞り込める場合もあります。
固定残業代の有無だけで会社の良し悪しを判断するのではなく、基本給の水準、評価制度、実際の残業時間の実績など、複数の情報を組み合わせて比較することが、納得のいく転職につながります。
同じ業界・同じ職種の求人を複数比較すると、固定残業代の時間数や金額の「相場感」がつかめます。極端に長い時間数や、極端に高額な設定には、慎重に理由を確認してください。
固定残業代に関するよくある質問
固定残業代の求人は必ず避けるべきですか
必ず避けるべきとは言えません。基本給・固定残業時間・金額が明確に区分され、超過分がきちんと精算される会社であれば、固定残業代自体が不利な制度とは限りません。問題になるのは、制度の中身が曖昧なまま運用されているケースです。求人票の記載が①②③の明示義務を満たしているかを基準に判断することをおすすめします。
固定残業代の時間数に上限はありますか
法令上の明確な数値上限は定められていません。ただし、時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間)との整合性から、月45時間を大きく超える設定は、公序良俗に反するとして無効と判断される可能性が高まるとされています。過去の裁判例でも、月100時間以上の時間外労働を前提にした合意が無効とされた例があります。
固定残業代を超えて働いた分は請求できますか
請求できます。固定残業代は、設定された時間数分の残業代を定額で支払う仕組みであり、その時間を超えて働いた分は、別途割増賃金として支払われる必要があります。厚生労働省の資料でも、固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨を、求人票に明示するよう求めています。
固定残業代がないと答えた会社でも実際は含まれていることはありますか
あり得ます。「営業手当」「業務手当」など、名称上は固定残業代と分からない手当の中に、実質的に残業代の性質を持つものが含まれているケースがあります。厚生労働省の定義でも、名称にかかわらず、一定時間分の時間外労働等に対して定額で支払われる割増賃金はすべて固定残業代として扱われます。手当の支給根拠が給与規定にどう書かれているかを確認してください。
内定を承諾する前に、雇用契約書または労働条件通知書で、基本給・固定残業代の時間数と金額・超過分の精算方法が明記されているかを必ず確認してください。口頭の説明だけで済ませないことが重要です。
まとめ
固定残業代の求人に「やめとけ」と言われる理由は、制度そのものの問題というより、基本給との区分が曖昧なまま運用されるケースや、超過分が精算されないケースがあることに起因します。厚生労働省の資料でも、求人票トラブルの苦情で最も多いのが賃金に関する項目であることが示されています。
一方で、基本給・固定残業時間・金額が明確に区分され、超過分がきちんと精算される会社であれば、固定残業代自体が不利な制度とは限りません。適法性を判断する基準は、厚生労働省が示す①基本給の額、②固定残業代の時間数と金額、③超過分の追加支払いという3点に集約できます。
大切なのは「固定残業代」という言葉だけで一律に避けるのではなく、求人票と面接の両方で中身を確認する姿勢です。曖昧な説明しか返ってこない会社は、制度の運用自体が整っていない可能性が高いと考えてよいでしょう。
すでに固定残業代のある会社で働いていて、実態に疑問を感じている場合も、諦める前にできることがあります。給与明細と雇用契約書を照らし合わせ、必要であれば労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談する選択肢も残されています。
この記事で紹介した法令・判例・公的統計は、あくまで制度を理解するための材料です。最終的な判断材料になるのは、応募先の会社が実際にどう運用しているかという一次情報になります。求人票の記載を鵜呑みにせず、面接で具体的に確認したうえで、自分の働き方に合う選択をしてください。



固定残業代は、仕組みを正しく理解すれば過度に恐れる制度ではありません。求人票の内訳を確認する習慣を持つことが、後悔のない転職につながります。
出典・参考情報
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000498453.pdf)
- 東京都「労働契約を正しく締結していますか?」固定残業制度に関する事業主向けリーフレット(https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/koyo/hiseiki/290301_rodoyouken.pdf)
- テックジャパン事件 最高裁第一小法廷判決(平成24年3月8日)の解説記事(https://www.businesslawyers.jp/practices/786)
- 医療法人社団康心会事件 最高裁第二小法廷判決(平成29年7月7日)の解説記事(https://www.rodo.co.jp/precedent/32378/)
- ハタラクティブ 固定残業代に関する解説記事(https://hataractive.jp/useful/4257)
- Geekly 固定残業代に関する解説記事(https://www.geekly.co.jp/column/?p=40958)
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FOCUS AGENT:東田 尚起


株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。









