「SES やめとけ」と検索する背景には、客先常駐という働き方そのものへの不安があります。配属先を自分で選べない「案件ガチャ」、契約の仕組みが分かりにくいこと、そして指揮命令の実態によっては偽装請負という違法状態に巻き込まれる懸念があることが、不安の正体です。
これらは噂ではなく、求人サイトの年収統計や厚生労働省・労働局が示す労働者派遣との区分基準からも裏付けられる実態です。本記事ではSESという契約・雇用形態そのものに絞って一次情報を整理したうえで、向いている人には有望な選択肢であることも併せて解説します。
IT業界全体の多重下請け構造や、システムエンジニアという職種の業務内容ではなく、SESという契約形態で働くこと自体が持つメリットと注意点に絞って掘り下げます。
- 客先常駐(SES)の平均年収は473万円で自社開発より低い傾向
- 指揮命令の実態次第で偽装請負という違法状態に該当することがある
- 商流の浅い企業選びと経験の言語化が自社開発への転職の鍵になる
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SESが「やめとけ」と言われる理由

SESという働き方に「やめとけ」という声が向けられる理由は、ひとつに絞れるものではありません。配属先を選べない仕組み、多重下請けによる単価の目減り、評価と給与が結びつきにくい構造という、性質の異なる要因が重なっています。
これらは個人の能力不足ではなく、SESという契約形態そのものに組み込まれた仕組みから生まれる事情です。まずは契約・雇用形態として見たSESの特徴を順番に見ていきます。
配属先を自分で選べない「案件ガチャ」
SES企業で働くエンジニアは、どの客先にアサインされるかを自分で決められないことが一般的です。営業担当が契約状況や相性を踏まえて配属先を決めるため、希望する技術領域と異なる現場に配属されることがあります。
テスト・運用監視中心の案件に長期間とどまると、設計や要件定義の経験を積む機会が限られます。この配属の不確実性が「案件ガチャ」と呼ばれ、SESへの不安の中心になっています。
ただし企業によっては、複数の案件候補からエンジニア本人の希望を一定程度反映させる仕組みを持つところもあります。配属の決め方は面接時に確認できる事項であり、企業ごとの差が大きい部分です。
配属先の希望が通るかどうかは、入社時点のスキルだけでなく、自社内での評判や過去の案件での実績にも左右されます。希望を伝え続ける姿勢自体が、次の配属に影響する場合もあります。
多重下請け構造による単価の目減り
SESの契約は、エンドユーザーから一次請け、二次請けと商流を経由することが多く、各階層でマージンが差し引かれるほど、実際に働くエンジニアへ渡る単価は目減りします。自社がどの階層に位置するかによって、同じ業務内容でも報酬水準に差が出ます。
契約単価のうちエンジニア本人の給与に還元される割合は「還元率」と呼ばれ、40〜80%程度が相場とされています。還元率の計算方法は企業ごとに異なり、経費や福利厚生分が差し引かれる場合もあるため、求人票の数字だけで単純比較するのは難しい面があります。
たとえば、エンドユーザーとの契約単価が月90万円であっても、一次請け・二次請けと商流を経由する過程で各社のマージンが差し引かれ、実際にSES企業からエンジニアへ支払われる原資は60万円台まで下がることがあります。自社がどの商流階層に位置するかを把握しておくことは、年収の伸びしろを見積もるうえで欠かせない視点です。
評価基準があいまいで昇給に結びつかない仕組み
客先常駐では、実際の業務ぶりを評価するのは客先の担当者であることが多く、その評価が自社の人事評価にそのまま反映されるとは限りません。評価は営業担当を通じて間接的に伝わるため、本人の頑張りが昇給に結びつくまでに時間がかかりやすい構造です。
現場は数か月から数年単位で変わることもあり、そのつど評価者との関係を築き直す負担も重なります。帰属意識を持ちにくいことが、昇給や評価の実感を薄くするという声につながっています。
株式会社CAREER FOCUS/東田尚起SESの不満の多くは「仕事がきつい」というより「配属と評価を自分で選べない」ことに起因します。面接の段階で配属の決め方と評価の反映プロセスを具体的に質問しておくと、入社後のギャップを減らせます。
契約終了・待機期間による収入の不安定さ
SES契約は準委任契約が一般的で、期間を定めて契約を結びます。エンジニア側のスキルが案件と合わない場合や、クライアント側の予算削減・方針変更などにより、契約が更新されず終了することがあります。
次の案件が決まるまでの間は「待機」と呼ばれる状態になり、企業によっては休業手当として給与が通常より減額されるケースもあります。案件の有無が収入に直結することが、長期的な生活設計を立てにくくする要因です。
待機期間中の給与が満額か減額かは、就業規則や雇用契約書に明記されています。入社前に待機時の給与保証の有無を確認しておくと、収入面の不安を事前に減らせます。
SESの年収・将来性の実態


SESの年収は「低い」と語られがちですが、実態は業態との比較で見るとより正確に把握できます。転職エージェントの統計データでは、客先常駐(SES)の平均年収は473万円で、事業会社の自社開発エンジニア(568万円)や社内受託(501万円)と比べて低い水準にあります。
業態別の年収差が示す契約形態の影響
同じITエンジニアという職種でも、どの業態で働くかによって年収水準は変わります。この差は個人のスキルだけでなく、契約形態が利益配分の構造に組み込まれていることを反映しています。
| 業態 | 平均年収 | 特徴 |
|---|---|---|
| 事業会社(自社開発) | 568万円 | 企画から運用まで社内で一貫して担当 |
| 社内受託 | 501万円 | 自社内の他部門から業務を受託 |
| 客先常駐(SES) | 473万円 | 商流を経由するため単価が目減りしやすい |
この数値はギークリーが自社の転職希望者(有効回答4,548名、2025年6月〜2026年5月)を対象に集計したもので、求職者全体を代表する統計ではない点に留意が必要です。とはいえ、業態による傾向の違いを示す参考値として扱える数字です。
参考として、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」による全職種の平均給与は478万円です。SES(客先常駐)の平均年収はこの全職種平均も下回る水準にあるといえます。
還元率の仕組みと受け取れる報酬の目安
SES企業がクライアントと結ぶ契約単価のうち、エンジニア本人の給与に充てられる割合が還元率です。相場は40〜80%程度とされ、75%を超えると高還元とされる水準です。
還元率が高いほど給与に反映されやすい一方、教育研修費や福利厚生に回す原資が少なくなる場合もあります。還元率の数字だけでなく、何が経費として差し引かれるかを求人票や面接で確認することが、年収を正しく見積もる近道です。
SES業界の将来性とIT人材需要
SESという業態自体がなくなる可能性は低いとみられています。企業がシステム開発の人員を柔軟に確保する手段として、客先常駐型の契約形態には一定の需要が続いているためです。
一方で、どの案件に長期間携わるかによってエンジニア個人の市場価値は大きく変わります。上流工程や設計に関わる案件を経験できるかどうかが、SES業界で働き続ける場合の将来性を左右する分かれ目になります。
額面年収と手取り額の差
求人票に書かれた年収は、税金や社会保険料が差し引かれる前の額面であることがほとんどです。年収473万円の場合、手取りの目安はおよそ360万〜380万円程度になり、額面と実際に使える金額には差があります。
SESでは契約単価の変動に応じて賞与や手当の扱いが企業ごとに異なるため、額面の数字だけでなく、月々の手取り額がどう変わるのかを求人票や面接で確認しておくと、生活設計のズレを防げます。
還元率の高さだけで企業を選ぶと、案件内容が伴わず市場価値が伸びないことがあります。還元率と合わせて、どの工程を担当できるかを面接で具体的に確認しましょう。
SESという契約の仕組みと偽装請負の実態


SESという名称は法律上の契約類型ではありません。実態としては、民法上の準委任契約にあたります。この契約の仕組みを理解しておくことが、客先常駐の実態を正しく把握する出発点になります。
SES(準委任契約)と労働者派遣の違い
準委任契約は、仕事の完成ではなく事務処理そのものに対して報酬が支払われる契約です。SESでは、エンジニアに対する業務の進め方や勤怠に関する指示・管理は、本来エンジニアが所属するSES企業(ベンダー)が行うものとされています。
これに対し労働者派遣は、労働者派遣法において「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定義されています。つまり、派遣先の企業が直接指揮命令を行う点が、SES(準委任契約)との本質的な違いです。
労働者派遣事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要で、許可を得ていない企業が実質的に派遣と同じ働かせ方をすると違法になります。SESの現場では、客先の担当者がエンジニアに直接業務指示を出してしまう場面が起こりやすく、ここに注意点があります。
偽装請負と判断される具体的な基準
厚生労働省の労働局資料では、契約形式が請負や準委任であっても、発注者(客先)が受託者(SES企業)の労働者に対して指揮命令を行い労働に従事させている場合、実態として労働者派遣と同じ状態にあると説明されています。これが「偽装請負」と呼ばれる状態です。
判断にあたっては、以下のような点を客先ではなくSES企業が行っているかが確認されます。
- 業務の進め方についての指示や管理
- 始業・終業時刻、休憩、休日、休暇の指示や管理
- 労働時間の延長や休日労働の指示や管理
- 配置の決定や変更
- 業務に必要な資金の調達・負担
- 業務処理についての事業主としての法的責任
これらの管理を客先の担当者が直接行っている場合、契約書上は準委任契約であっても、実態は労働者派遣に近いと判断される可能性があります。契約書の名称ではなく、現場で誰が指示を出しているかが判断の分かれ目になります。
東京労働局は、偽装請負の典型例として以下の4つのパターンを挙げています。自分の働き方がどれかに近いかを確認する手がかりになります。
| パターン | 内容 |
|---|---|
| 代表型 | 客先が業務の細かい指示や出退勤の管理を直接行う |
| 形式だけ責任者型 | 現場に責任者を置くが、実際は客先の指示をそのまま伝えるだけ |
| 使用者不明型 | 複数の下請け企業が関わり、誰が雇用主か分かりにくくなる |
| 一人請負型 | 個人事業主として契約しながら、実態は客先の指示で働く |
いずれのパターンも、雇用の安定や安全衛生の責任があいまいになりやすく、働く本人の労働条件が十分に守られない状況を生みます。自分の契約がどのパターンに近いかを知っておくことは、無用なトラブルを避ける備えになります。



現場で客先の担当者から直接「明日は何時に来てほしい」「この順番で作業して」といった細かな指示を受け続けている場合、契約の実態がSESの建前とずれている可能性があります。違和感を覚えたら、まずは自社の営業担当や上司に相談しましょう。
違法な派遣と判断された場合の注意点
許可を受けずに実質的な労働者派遣を行った場合、労働者派遣法や職業安定法に抵触する可能性があります。事業主側には一年以下の懲役または百万円以下の罰金が科される可能性があるとされ、企業の社会的信用にも影響します。
働くエンジニア本人が罰せられるわけではありませんが、労働条件や責任の所在があいまいなまま働き続ける懸念は見過ごせません。指揮命令の実態に疑問を感じた場合は、契約内容を把握している自社の担当者に確認することが、トラブルを避ける第一歩です。
日々の業務指示が客先からか自社からかを意識しておくと、契約の実態を見極めやすくなります。疑問があれば記録を残し、早めに自社へ相談することが自分の身を守る手段になります。
SESに向いていない人・向いている人の特徴


ここまで見てきた契約の仕組みを踏まえると、SESという働き方には向き不向きがあることが分かります。性格や価値観との相性を整理しておくと、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。
向いていない人の特徴
以下のような志向を強く持つ人は、SESでの働き方にストレスを感じやすい傾向があります。
- 同じ職場・同じメンバーで長く働き続けたい人
- 配属先や業務内容を自分で完全にコントロールしたい人
- 一つの技術やプロダクトをじっくり深掘りしたい人
- 評価がすぐに給与へ反映される環境を求める人
これらの希望が強い場合、客先が変わるたびに環境がリセットされるSESの働き方は不満につながりやすくなります。特に、一つのプロダクトを長期で育てる経験を積みたい人にとっては、短期で現場が切り替わる構造そのものがキャリア形成の妨げになりやすい点に注意が必要です。
向いている人の特徴
一方で、次のような特徴を持つ人には、SESならではのメリットを活かしやすい側面があります。
- 新しい現場や人間関係に早く馴染める人
- さまざまな業界・技術に触れて経験の幅を広げたい人
- 案件選びや学習の機会を自分から取りに行ける人
- 人脈を広げながらキャリアの選択肢を増やしたい人
SESは与えられた案件をこなすだけの働き方になりやすい一方、主体的に動けば複数業界の開発現場を経験できる数少ない機会にもなります。向き不向きは経験年数よりも、案件選びへの主体性で決まりやすいといえます。
案件の決め方が「会社都合のみ」か「本人の希望も反映する」かは企業によって差があります。面接で案件アサインの具体的なプロセスを質問しておくと、入社後の主体性を発揮しやすくなります。
SESから自社開発企業への転職で押さえておきたい対策


SESでの経験を活かして自社開発企業へ転職するルートは、決して珍しい選択ではありません。重要なのは、現在の案件選びと、転職活動での経験の伝え方です。
商流の浅いSES企業を選ぶ判断基準
すでにSESで働いている場合、まず見直したいのが自社の商流の位置です。エンドユーザーに近い一次請けの立場であるほど、上流工程に関わる機会や単価の目減りの少なさが確保しやすくなります。
求人票や面接で「主要な取引先」「直請けの割合」を確認すると、商流の深さをある程度把握できます。転職を考える段階でも、二次請け・三次請け中心の企業は避け、一次請けの実績が多い企業を優先する判断が有効です。
商流の浅さは、単価の高さだけでなく、客先との直接的な信頼関係にもつながります。直請け案件では、担当者として名前を覚えてもらいやすく、継続案件や紹介を通じて次のキャリアにつながる機会も生まれやすくなります。
自社開発企業へ評価される経験の積み方
自社開発企業の採用担当者は、SES出身者に対して「何を作ったか」「どの工程を担当したか」を具体的に見ています。案件名だけでなく、担当した機能・使用した技術・成果を職務経歴書に整理しておくことが欠かせません。
業界や技術がバラバラな職歴は、専門性を疑問視されやすいという弱点にもなります。複数案件を経験している場合は、共通して伸ばしてきたスキルや、一貫して担当してきた役割を軸に説明を組み立てると、採用担当者に伝わりやすくなります。
面接では「なぜSESから自社開発に移りたいのか」という動機を深掘りされることが多くあります。配属のたびに異なる要件へ素早く対応してきた経験は、環境変化への適応力として前向きに伝えられる強みです。不満の裏返しとしてではなく、次のキャリアで活かしたい力として語る準備をしておくと、選考での印象が変わります。
| 転職先 | 年収の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自社開発企業 | 450万〜750万円 | 企画から運用まで一貫して関われる |
| 社内SE | 400万〜700万円 | 自社システムの企画・運用で裁量を持てる |
| SIer(直請け) | 450万〜800万円 | 上流工程の要件定義・設計に関われる |
上記の年収レンジは求人情報サイトに掲載された募集条件をもとにした目安であり、個人の経験やスキルによって幅があります。あくまで転職先を検討する際の参考値として扱ってください。



SESでの経験は「バラバラな職歴」として見られる懸念がある一方、複数業界のシステムに触れてきた適応力として伝えることもできます。職務経歴書を書く前に、自分がどの技術・役割を軸に説明できるかを棚卸ししておきましょう。
SES以外の代替キャリアという選択肢
自社開発企業への転職だけが選択肢ではありません。上流工程に強いSIerへ移る道、企業の情報システム部門で働く社内SEになる道、実務経験を武器にフリーランスとして独立する道もあります。
どの選択肢を選ぶ場合でも、「SESだから」という理由だけで転職するのではなく、自分が何を改善したいのかを明確にすることが、後悔しない選択につながります。
「SESがつらいから」ではなく「上流工程に関わりたいから」「一つの製品を育てたいから」のように、転職理由を具体的な一言に落とし込んでおくと、面接での説得力が増します。
SESに関するよくある質問
最後に、SESという働き方を検討するうえでよく寄せられる疑問を整理します。
SES企業はすべてブラックなのですか
すべてのSES企業がブラックというわけではありません。教育制度が整っている企業、還元率が明確な企業、エンジニアの希望を案件選びに反映する企業も存在します。判断すべきなのは「SES」という名称よりも、個々の企業の雇用条件と案件の質です。
同じ「SES」という呼び方をしていても、教育投資の姿勢や評価制度の透明性は企業ごとに大きく異なります。口コミサイトや社員インタビューを比較し、複数社の実態を見比べたうえで判断することをおすすめします。
SESから自社開発企業への転職は何年目が目安ですか
明確な年数の基準はありませんが、要件定義や設計など上流工程の経験を一つでも語れる段階になってから動くと、選考で評価されやすくなります。テストや運用監視のみの経験が続く場合は、早めに案件内容の見直しや転職を検討する価値があります。
偽装請負の疑いに気づいたらどうすればよいですか
まずは自社の営業担当や上司に、現場での指示の実態を具体的に伝えて相談してください。社内で改善されない場合は、労働基準監督署や労働局の相談窓口に問い合わせる方法もあります。記録として、指示を受けた日時や内容をメモしておくと状況を説明しやすくなります。
SESのままキャリアを積む選択肢はありますか
あります。商流の浅い優良企業で経験を重ね、上流工程やプロジェクトリーダーのポジションを目指す道、フリーランスとして独立する道もSESでの経験が土台になります。転職だけが唯一の正解ではなく、今の環境を変える選択肢として案件や企業の見直しも検討できます。
SES企業を選ぶときに確認すべき点は何ですか
入社前に確認したいのは、主要取引先と直請け比率、還元率の計算方法、待機期間中の給与保証、案件アサインの決め方の4点です。求人票だけでは分からない部分は、面接やカジュアル面談で具体的に質問する姿勢が、入社後のミスマッチを防ぎます。
一人で抱え込んで判断すると視野が狭くなりがちです。IT業界に詳しい転職エージェントなど、第三者の視点を取り入れて選択肢を広げましょう。
エージェント紹介
SESとしてのキャリアを見直す際は、IT業界の求人に強い転職エージェントを併用すると情報収集の幅が広がります。
まとめ
SESが「やめとけ」と言われる背景には、配属先を自分で選べない仕組み、多重下請けによる単価の目減り、評価が給与に結びつきにくい構造という、契約形態そのものに由来する事情があります。
年収は業態別に見ると客先常駐が最も低い水準にあり、全職種平均も下回ります。一方で、SESという契約の実態が労働者派遣に近づくと、偽装請負という違法状態に該当する可能性もあり、契約書の名称だけでなく現場での指揮命令の実態を意識しておくことが重要です。
すべてのSES企業が同じ条件ではありません。商流の浅い企業を選び、担当した工程を具体的に言語化できれば、自社開発企業や社内SE、SIerなど、キャリアの選択肢は広がります。「やめとけ」という言葉だけで判断するのではなく、自分がいま置かれている契約と評価の仕組みを正しく理解したうえで、進むべき方向を決めることが大切です。
特に、指揮命令の実態が自社とずれていないかという視点は、年収や案件内容と並んで見落とされがちです。日々の働き方を客観的に振り返る習慣を持っておくと、契約上のトラブルに早く気づき、自分の身を守る備えにもなります。
すでにSESとして働いている人にとっても、自社の商流や還元率、評価制度が業界の中でどの水準にあるかを定期的に見直すことには意味があります。情報を集めたうえで続けるか、環境を変えるかを自分の意思で選べる状態をつくることが、納得できるキャリアにつながります。迷ったときは、IT業界に詳しい転職エージェントに相談し、客観的な視点を取り入れることをおすすめします。
出典・参考情報
- ITエンジニアの平均年収データ・業態別年収(ギークリー)
- 令和6年分 民間給与実態統計調査(国税庁)
- 偽装請負について(厚生労働省東京労働局)
- SES契約の法的性質と偽装請負に関する注意点の解説(モノリス法律事務所)
- SESから目指せる転職先と年収データ(アクシス)
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FOCUS AGENT:東田 尚起


株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。









