月収35万円の手取りは約27.6万円です。正確には276,207円で、額面から73,791円が税金と社会保険料として引かれます。40歳未満・扶養なし・賞与なし・東京都在住の条件で計算した金額です。
引かれる割合は額面の21.1%です。年収にすると420万円になり、給与所得者の平均478万円には58万円届きません。求人票で見かける「月給35万円」は好条件に見えますが、統計上はちょうど真ん中あたりの水準です。
この記事の数字は、2026年度(令和8年度)の保険料率と、令和8年分から引き上げられた基礎控除で計算し直しています。改定前の控除額を使っている記事とは、所得税が月700円ほどずれます。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起月収35万円は、単身なら貯蓄に回す余裕がはっきり出てくる最初のラインです。一方で家族を養う前提だと数字の見え方が一変します。同じ手取りでも世帯人数で結論が変わる帯なので、そこを分けて読んでください。
月収35万円の手取りは276,207円|年収は420万円


月収35万円から引かれるのは月73,791円です。内訳は社会保険料が52,834円、所得税が5,291円、住民税が15,666円で、手元に残るのが276,207円になります。
額面に対する手取りの比率は78.9%です。月収30万円では79.9%、月収40万円では78.5%なので、この帯では手取り率がじわじわ下がっていく途中にあたります。
40歳未満・扶養なしなら手取り27.6万円
もっとも標準的な条件である40歳未満・扶養家族なし・賞与なしで計算した結果が次の表です。
| 項目 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 額面(総支給) | 350,000円 | 4,200,000円 |
| 控除合計 | 73,791円 | 885,508円 |
| 手取り | 276,207円 | 3,314,492円 |
| 手取り率 | 78.9% | 78.9% |
月収35万円の標準報酬月額は360,000円で、健康保険では第25級にあたります(日本年金機構 厚生年金保険料額表)。額面の35万円そのものではなく、この等級ごとの金額をもとに社会保険料が決まる点が、手計算と実際の給与明細がずれる原因になります。
手取り年収は3,314,492円です。額面年収420万円のうち885,508円が天引きされ、残りが実際に使える金額になります。
40歳以上や扶養がいる場合の手取り
40歳になると介護保険料の負担が始まり、手取りは2,482円下がります。扶養家族が1人いる場合は所得税と住民税が軽くなり、手取りは4,367円増えます。
| 条件 | 手取り月額 | 手取り年額 | 手取り率 |
|---|---|---|---|
| 40歳未満・扶養なし | 276,207円 | 3,314,492円 | 78.9% |
| 40歳以上・扶養なし | 273,725円 | 3,284,700円 | 78.2% |
| 40歳未満・扶養1人 | 280,574円 | 3,366,892円 | 80.2% |
介護保険料は40歳の誕生日の前日が属する月から天引きが始まります(全国健康保険協会 介護保険料率について)。昇給していないのに手取りが減ったように見える月があるとしたら、この切り替わりが原因の場合があります。
扶養の有無による手取りの差は、40歳未満であれば月4,367円です。配偶者が働き方を調整するかどうかを考えるときは、この金額と配偶者本人の収入増を並べて比べる必要があります。
賞与がある場合の年収と手取り
賞与にも社会保険料と所得税がかかります。月給35万円のまま賞与が加わると、年間の額面と手取りは次のように変わります。
| 賞与 | 額面年収 | 手取り年収 | 手取り率 |
|---|---|---|---|
| なし | 4,200,000円 | 3,314,492円 | 78.9% |
| 2か月分(70万円) | 4,900,000円 | 3,842,562円 | 78.4% |
| 4か月分(140万円) | 5,600,000円 | 4,359,932円 | 77.9% |
賞与が4か月分あれば額面年収は560万円に届き、給与所得者の平均478万円を大きく上回ります。月収が同じ35万円でも、賞与の有無で年収は140万円変わります。
転職時に月給だけを比べると、この140万円を見落とします。求人票では月給ではなく、賞与込みの想定年収で並べ直してください。
社会保険料は4月から6月の給与の平均で決まる標準報酬月額をもとに、その年の9月から1年間ずっと同じ額が引かれます。月収35万円の帯は等級の刻みが2万円ごとなので、この3か月だけ残業が多いと等級が1つ上がり、手取りが毎月1,000円前後減ったまま1年続きます。繁忙期をずらせる職場なら、4月から6月の残業を抑えるだけで年間の手取りが変わります。
月収35万円から引かれる税金・社会保険料の内訳
月収35万円から引かれる73,791円の中身を1円単位で分解します。協会けんぽ東京支部・一般の事業・東京都在住という条件での計算です。
| 控除項目 | 月額 | 年額 | 料率(本人負担分) |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 17,730円 | 212,760円 | 4.925% |
| 介護保険 | 0円 | 0円 | 40歳未満のため負担なし |
| 子ども・子育て支援金 | 414円 | 4,968円 | 0.115% |
| 厚生年金 | 32,940円 | 395,280円 | 9.15% |
| 雇用保険 | 1,750円 | 21,000円 | 0.5% |
| 所得税 | 5,291円 | 63,500円 | 課税所得に応じて5%から |
| 住民税 | 15,666円 | 188,000円 | 所得割10%+均等割5,000円 |
| 合計 | 73,791円 | 885,508円 | 額面の21.1% |
料率の出典は全国健康保険協会 令和8年度都道府県単位保険料率と厚生労働省 令和8年度の雇用保険料率です。健康保険料率は都道府県ごとに異なるため、東京都以外では健康保険の金額が数百円単位で変わります。
社会保険料が控除の71.6%を占める
控除73,791円のうち、社会保険料は52,834円です。残りが所得税5,291円と住民税15,666円なので、天引きの主役は税ではなく社会保険料になります。
- 健康保険 17,730円
- 子ども・子育て支援金 414円
- 厚生年金 32,940円
- 雇用保険 1,750円
- 社会保険料の小計 52,834円
最大の項目は厚生年金の32,940円で、控除のなかで突出しています。料率9.15%は2017年9月に上限へ達して以降は据え置かれているため、この項目が今後さらに重くなる見込みは小さいといえます。
2026年度から新しく加わったのが子ども・子育て支援金です(こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度)。月収35万円では月414円ですが、料率は段階的に引き上げられる予定になっています。
所得税は月5,291円
所得税は年63,500円、月あたり5,291円です。社会保険料52,834円と比べると10分の1ほどで、この帯では所得税の存在感はまだ小さいといえます。
課税所得が195万円以下なら税率は5%です(国税庁 所得税の税率)。月収35万円は給与所得控除と基礎控除、社会保険料控除を引いた後の課税所得がこの範囲に収まるため、最も低い税率区分に留まります。
令和8年分から基礎控除が見直され、合計所得金額に応じた金額に変わりました(国税庁 令和8年分以後の基礎控除の見直し等)。月収35万円の場合はこの改定で所得税が月692円軽くなっています。
住民税は月15,666円
住民税は年188,000円で、月あたり15,666円です。所得税5,291円を大きく上回り、月収35万円の帯では税金のなかで最も重い項目になります。
| 住民税の内訳 | 年額 | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 所得割 | 183,000円 | 課税所得に対して一律10% |
| 均等割 | 5,000円 | 所得にかかわらず定額 |
| 合計 | 188,000円 | 月あたり15,666円 |
住民税の所得割は所得の多少にかかわらず10%で固定されています(総務省 個人住民税)。累進しないぶん、所得税が5%のこの帯では所得税より住民税のほうが重くなる逆転が起きます。
住民税は前年の所得に対して課税され、6月から翌年5月にかけて天引きされます。月収35万円に上がった年は住民税がまだ前年の低い所得ベースなので、手取りは翌年6月から1万円近く下がる場合があります。
2026年度の改定で手取りがどう変わったか
2026年度は保険料率と控除が同時に動きました。月収35万円では差し引きで手取りが増えています。
| 項目 | 2025年度 | 2026年度 | 差 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 17,838円 | 17,730円 | -108円 |
| 子ども・子育て支援金 | 0円 | 414円 | +414円 |
| 雇用保険 | 1,925円 | 1,750円 | -175円 |
| 所得税 | 5,983円 | 5,291円 | -692円 |
| 住民税 | 15,675円 | 15,666円 | -9円 |
| 手取り | 275,638円 | 276,207円 | +569円 |
年額では6,828円の増加です。健康保険料率と雇用保険料率の引き下げ、基礎控除の引き上げが増加要因で、新設された子ども・子育て支援金だけが減少要因になっています。
ただし所得税の引き下げが毎月の給与明細に反映されるのは、年末調整または2027年1月以降の源泉徴収からです。改定された年の途中で手取りが増えるわけではありません。
この記事の内訳表と自分の給与明細を並べて、健康保険料だけが数千円ずれる場合は、勤務先が協会けんぽではなく組合健保に加入している可能性があります。組合健保は料率を独自に決められるうえ、会社の負担割合を折半より厚くしている健保組合もあるため、本人負担が協会けんぽより軽くなることがあります。
月収35万円は世間的にどのレベルか


年収420万円は、給与所得者全体のちょうど真ん中あたりに位置します。上位48.9%で、平均には届きません。
ただし「平均以下」と「真ん中より下」は意味が違います。給与の分布は高所得層に引っ張られるため、平均478万円は分布の中央より高い位置にあります。
給与所得者の平均に58万円届かない
国税庁の調査による平均給与と比べると、年収420万円の位置は次のようになります。
| 区分 | 平均給与 | 年収420万円との関係 |
|---|---|---|
| 給与所得者全体 | 478万円 | 差は-58万円 |
| 正社員(正職員) | 545万円 | 差は-125万円 |
| 正社員以外 | 206万円 | 420万円が上回る |
| 男性 | 587万円 | 420万円が下回る |
| 女性 | 333万円 | 420万円が上回る |
出典は国税庁 民間給与実態統計調査 令和6年分です。母集団は1年を通じて勤務した給与所得者51,365,699人になります。
正社員に限った平均545万円との差は125万円です。正社員として月収35万円なら、正社員の平均には明確に届いていないという位置づけになります。
年収420万円は上位48.9%
同じ調査の給与階級別分布から順位を出すと、年収420万円は上位48.9%です。下から数えると51.1%の位置になります。
つまり給与所得者のほぼ半分が年収420万円以下ということです。平均には届かないものの、半数より上にはいます。
注意したいのは、この母集団に非正規雇用が含まれている点です。正社員に限った階級別の分布は公表されていないため、上位何%という数字は正規・非正規を合わせた全体でしか出せません。
男女で評価が正反対になる
同じ年収420万円でも、男女で世間的な位置づけはまったく変わります。
| 区分 | 母集団 | 下位 | 上位 |
|---|---|---|---|
| 給与所得者全体 | 51,365,699人 | 51.1% | 48.9% |
| 男性 | 29,250,024人 | 35.5% | 64.5% |
| 女性 | 22,115,674人 | 71.7% | 28.3% |
男性のなかでは上位64.5%で、下から数えて3分の1あたりです。女性のなかでは上位28.3%で、上から3割に入ります。
この差は職種構成と就業形態の違いによるものです。女性は非正規雇用の比率が高く、女性の平均給与333万円そのものが全体平均478万円を下回っています。
相当する年齢階級
厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、月収35万円に最も近い年齢階級を見ると次のようになります。
| 年齢階級 | 男女計 | 男 | 女 |
|---|---|---|---|
| 25〜29歳 | 279.4千円 | 288.0千円 | 268.8千円 |
| 30〜34歳 | 312.3千円 | 330.4千円 | 283.2千円 |
| 35〜39歳 | 340.6千円 | 366.2千円 | 292.4千円 |
| 40〜44歳 | 364.3千円 | 398.2千円 | 303.6千円 |
| 45〜49歳 | 377.9千円 | 420.7千円 | 305.7千円 |
| 年齢計 | 340.6千円 | 373.4千円 | 285.9千円 |
出典は厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査です。この数字は残業代と賞与を含まない所定内給与額なので、残業代込みの総支給35万円と単純には比べられません。
男女計で最も近いのは35〜39歳の340.6千円で、これは年齢計の平均とも同じ水準です。月収35万円は、日本の給与所得者の平均的な基本給とほぼ同じ額だといえます。
月給35万円のうち6万円が40時間分の固定残業代というケースは珍しくありません。その場合、定時で帰った月の実質的な基本給は29万円です。所定内給与額の統計と比べるときは、固定残業代を除いた金額で並べないと自分の位置づけを高く見積もってしまいます。求人票の給与欄に「みなし残業代を含む」と書かれていないか確認してください。



面談で「月収35万円だから平均以上」と話される方がいますが、正社員の平均は545万円です。年収ベースだと125万円足りません。数字の比較対象を年収に揃えるだけで、次に狙うべき水準が見えてきます。
月収35万円の生活レベル


手取り276,207円で実際にどう暮らせるかは、総務省の家計調査の実額で確認できます。単身か二人以上かで結論がはっきり分かれます。
以下の数字は総務省 家計調査 2025年平均から、手取り276,207円に最も近い年間収入階級を選んで引用しています。
単身世帯
単身・勤労者世帯で最も近いのは年間収入300万円から400万円の階級です。この階級の可処分所得は251,367円で、手取り276,207円より24,840円低い点はあらかじめ断っておきます。
| 費目 | 月額 | 備考 |
|---|---|---|
| 食料 | 43,717円 | 外食を含む |
| 住居 | 31,125円 | うち家賃地代27,965円 |
| 光熱・水道 | 11,559円 | 電気・ガス・水道 |
| 交通・通信 | 18,862円 | 通信費と交通費 |
| 教養娯楽 | 18,933円 | 趣味・旅行・書籍など |
| その他 | 43,827円 | 被服・保健医療・家具等 |
| 消費支出 合計 | 168,023円 | 可処分所得251,367円の階級 |
可処分所得251,367円に対して消費支出は168,023円で、平均消費性向は66.8%です。預貯金の純増は月71,550円、年間858,600円になります。
実額で見ると、この階級の単身世帯は家賃を28,000円程度に抑えています。都市部の平均的な賃貸に住む場合は、住居費がこの倍近くになると考えたほうが現実的です。
二人以上の世帯
二人以上の勤労者世帯では、状況がかなり厳しくなります。家計調査で公表されている最も低い階級は年間収入300万円から350万円で、その可処分所得は278,764円です。
手取り276,207円はこの最低階級の可処分所得すら下回ります。つまり二人以上の世帯としては、公表されている階級のどれにも収まらない位置にあります。
| 項目 | 年間収入300〜350万円の階級 | 備考 |
|---|---|---|
| 可処分所得 | 278,764円 | 手取り276,207円はこれを下回る |
| 消費支出 | 237,375円 | 公表されている最も低い階級の実額 |
| 黒字 | 41,389円 | 同階級での実績値 |
| 平均消費性向 | 85.2% | 単身の66.8%を大きく上回る |
| 世帯人員 | 2.7人 | 世帯主の平均年齢55.7歳 |
この階級の世帯主の平均年齢は55.7歳で、教育費の負担が終わっている世帯が多く含まれます。子どもがいる現役世代が同じ手取りで暮らす場合、家計はさらに苦しくなります。
教育費は世帯主が40代の世帯で月27,878円、50代で34,484円です。この金額を消費支出237,375円に上乗せすると、手取り276,207円では赤字になる可能性が高いといえます。煽るつもりはありませんが、数字としてはそうなります。
家賃の平均が低く見える理由
家計調査の住居費が実感より安いのは、持ち家・社宅・実家暮らしの世帯を含めた平均だからです。家賃を払っている世帯だけを取り出すと金額は跳ね上がります。
| 区分 | 家賃・地代の平均 |
|---|---|
| 単身世帯 全体 | 17,606円 |
| 単身世帯 民営借家 | 49,831円 |
| 二人以上の勤労者世帯 全体 | 11,471円 |
| 二人以上の勤労者世帯 民営借家 | 69,450円 |
| 二人以上の勤労者世帯 民営借家(大都市) | 81,508円 |
さらに総務省 令和5年住宅・土地統計調査によると、借家の1か月あたり家賃は全国平均59,656円、東京都は87,118円です。
東京都の平均家賃87,118円は、後述する家賃の目安の上限82,862円を上回ります。都内で平均的な賃貸に住むと、それだけで目安をはみ出す計算になります。
家計調査の階級別データは、その収入帯にいる世帯の平均であって、理想的な家計モデルではありません。持ち家世帯が混ざっているぶん住居費は低く、逆に教養娯楽費は世帯主の年齢が高いぶん控えめに出ます。使うときは家賃だけ自分の実額に差し替えて、残りの費目を参考値として読むのが実用的です。



二人以上の世帯で手取り27.6万円だと、家計調査のどの階級にも当てはまりません。共働きで世帯の手取りを上げるか、住居費を抑えられる地域に移るか、早い段階で方針を決めておいたほうが選択肢が残ります。
月収35万円でできること・できないこと


手取り276,207円で判断が分かれるのは、家賃・貯金・住宅ローンの3つです。いずれも目安となる金額を実額で示します。
先に結論を書くと、単身なら3つとも無理なく成立します。二人以上の世帯では住宅ローンの選択肢が地域によって大きく狭まります。
家賃
家賃の目安は手取りの2割から3割です。手取り276,207円なら55,241円から82,862円の範囲になります。
よく言われる「家賃は手取りの3分の1」には公的な根拠がありません。公的機関の啓発資料が示しているのは3分の1ではなく2割から3割です(知るぽると ひとり暮らしの生活設計)。
| 家賃の水準 | 金額 | 出どころ |
|---|---|---|
| 手取りの2割 | 55,241円 | 目安の下限 |
| 手取りの3割 | 82,862円 | 目安の上限 |
| 借家の全国平均 | 59,656円 | 住宅・土地統計調査 令和5年 |
| 単身の民営借家 平均 | 49,831円 | 家計調査 2025年平均 |
| 東京都の借家 平均 | 87,118円 | 住宅・土地統計調査 令和5年 |
全国平均の59,656円なら目安の55,241円から82,862円の範囲に収まります。東京都の平均87,118円は上限を超えるため、都内で暮らすなら家賃以外の固定費を抑える前提になります。
貯金
単身であれば、家計調査の実額ベースで年85万円を貯められる計算になります。
- 月の預貯金純増 71,550円
- 年間の積み増し 858,600円
- 平均消費性向 66.8%
- 同階級の消費支出 168,023円
家計調査の実績どおりに積み増せるなら、年858,600円が毎年上乗せされていきます。月収35万円の単身世帯は、貯蓄のペースを自分で設計できる最初の帯だといえます。
比較対象として、二人以上の世帯の貯蓄現在高は平均2,059万円、中央値1,264万円です(総務省 家計調査 貯蓄・負債編)。ただし平均を下回る世帯が66.1%を占めるため、平均値を目標にする必要はありません。
住宅ローン
返済比率を額面年収の25%とすると、月々の返済額は87,500円です。この条件での借入可能額は金利によって次のように変わります。
| 金利 | 月々の返済額 | 借入可能額の目安 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 1.5% | 87,500円 | 約2,858万円 | 35年・元利均等 |
| 2.0% | 87,500円 | 約2,641万円 | 35年・元利均等 |
| 2.5% | 87,500円 | 約2,448万円 | 35年・元利均等 |
注意が必要なのは、返済比率が額面年収を基準にしている点です。額面年収の25%は年1,050,000円ですが、手取り年収3,314,492円に対しては31.7%にあたります。
金融機関の審査を通る金額と、生活が回る金額は別物です。手取りの3割を35年間払い続ける前提を受け入れられるかどうかで判断してください。
同じ月々87,500円の返済でも、借入可能額は金利1.5%なら約2,858万円、2.5%なら約2,448万円まで縮みます。頭金を貯めている間に金利が上がると、貯めた分より借入可能額の目減りのほうが大きくなることがあります。購入時期を検討するときは、頭金の増加ペースと金利の動きを並べて見てください。
月収35万円に到達する年代と仕事


賃金構造基本統計調査の所定内給与額で見ると、月収35万円に届く年代は男女で10年以上ずれます。
以下の数字はすべて残業代と賞与を含まない所定内給与額です。総支給ベースの月収35万円とは前提が違う点に注意してください。
男性・男女計
男女計では35〜39歳の340.6千円が最も近く、平均賃金がこの額面を初めて超えるのは40〜44歳の364.3千円です。
男性では60〜64歳の358.5千円が最も近い水準になります。ただし男性の平均賃金はもっと早い段階でこの額を超えており、35〜39歳の時点で366.2千円に達します。
男性の60代前半が近い数字になるのは、定年後の再雇用で賃金が下がるためです。上り坂で通過する35万円と、下り坂で通過する35万円は意味が違います。
30代で月収35万円に届いていない場合、30代におすすめの転職エージェントで市場価値を確認しておくと、昇給を待つか転職するかの判断がつけやすくなります。
女性
女性の平均賃金では、どの年代でも月収35万円に到達しません。最も高い45〜49歳と55〜59歳でも305.7千円が上限です。
| 年齢階級 | 女性 | 男性 | 男女計 |
|---|---|---|---|
| 30〜34歳 | 283.2千円 | 330.4千円 | 312.3千円 |
| 35〜39歳 | 292.4千円 | 366.2千円 | 340.6千円 |
| 40〜44歳 | 303.6千円 | 398.2千円 | 364.3千円 |
| 45〜49歳 | 305.7千円 | 420.7千円 | 377.9千円 |
| 55〜59歳 | 305.7千円 | 445.6千円 | 396.2千円 |
女性の年齢計は285.9千円、男性は373.4千円で、男女間賃金格差は男性を100として76.6です。この状況で月収35万円に到達している女性は、平均を大きく上回る位置にいるといえます。
平均勤続年数は男性14.2年に対して女性10.4年です。勤続年数の差が賃金カーブの差に直結しているため、キャリアの連続性を保てるかどうかが分かれ目になります。女性におすすめの転職エージェントでは、働き方を変えながら年収を維持する選択肢を確認できます。
企業規模
同じ年代でも、企業規模によって所定内給与額は大きく変わります。
| 年齢階級 | 大企業 | 中企業 | 小企業 |
|---|---|---|---|
| 25〜29歳 | 301.7千円 | 270.6千円 | 258.2千円 |
| 30〜34歳 | 344.6千円 | 299.4千円 | 286.5千円 |
| 35〜39歳 | 386.3千円 | 322.3千円 | 305.3千円 |
| 40〜44歳 | 422.0千円 | 346.1千円 | 318.9千円 |
| 年齢計 | 385.1千円 | 326.2千円 | 305.6千円 |
大企業では30〜34歳で344.6千円に達し、35〜39歳では386.3千円まで伸びます。一方で小企業の年齢計は305.6千円で、大企業を100としたときの水準は79.4です。
小企業で月収35万円に届いている場合、社内での位置はかなり上のほうです。逆に大企業で35万円なら、同世代の平均に届いていない可能性があります。同じ金額でも社内での意味が正反対になります。
職種によっても到達年齢は変わります。技術系であればエンジニアにおすすめの転職エージェント、建設系であれば施工管理におすすめの転職エージェントで、同職種内の相場を確認しておくと判断材料が増えます。
男女計の40〜44歳の平均は364.3千円で、月収35万円はこれを下回ります。ただし企業規模で見ると小企業の40〜44歳は318.9千円なので、勤務先の規模によっては平均以上です。自分の数字を全国平均と比べる前に、同じ規模・同じ職種の水準と比べてください。比べる相手を間違えると判断を誤ります。



女性で月収35万円に到達している方は、統計上かなり上の位置にいます。転職で年収を落とさないことを最優先にしたほうがよいケースが多いので、現職の条件を正確に棚卸ししてから動いてください。
月収35万円から手取りを増やす方法


手取りを増やす方法は、額面を上げるか固定費を下げるかの2つしかありません。順番に実額で確認します。
前提として、月収35万円の帯では手取りを1万円増やすのに額面を約12,000円上げる必要があります。手取りベースで目標を立てると必ず足りなくなります。
昇進・昇給
額面を約12,000円上げて、ようやく手取りが1万円増えます。増えた額面の一部が税と社会保険料に回るためです。
| 目標の手取り月額 | 必要な月収(額面) | 必要な額面年収 |
|---|---|---|
| 280,000円 | 355,000円 | 4,260,000円 |
| 300,000円 | 380,000円 | 4,560,000円 |
| 320,000円 | 407,000円 | 4,884,000円 |
| 370,000円 | 474,000円 | 5,688,000円 |
手取りを30万円にしたいなら、額面は38万円が必要です。月3万円の昇給は、年1回の定期昇給では数年かかる幅になります。
昇給交渉をするときは「手取りをあと3万円増やしたい」ではなく「額面で月3万円」と伝えてください。手取りベースで話すと、会社側が想定する金額と最大1割ずれます。
固定費
固定費の削減は、額面を上げる場合と違って削った金額がそのまま手元に残ります。額面を約12,000円上げるのと、固定費を1万円削るのは同じ効果です。
- 家賃 単身の民営借家の平均は49,831円
- 東京都の借家の平均家賃は87,118円
- 借家の全国平均は59,656円
- 光熱・水道 単身で月11,559円
- 交通・通信 単身で月18,862円
最も効くのは家賃です。東京都の平均87,118円の物件から、全国平均59,656円の水準へ移るだけで月2万円台後半の削減になります。額面の昇給で同じ効果を出そうとすると、月3万円以上の上げ幅が必要です。
ただし通勤時間との引き換えになる点は見落とせません。削減額を時間単価に換算して、割に合うかどうかで判断してください。
転職
月収を5万円上げて40万円にすると、手取りは313,938円になります。現在の276,207円から37,731円の増加です。
昇給で額面を月5万円積み上げるには通常数年かかります。転職はこの帯で最も効きやすい手段だといえます。
ただし転職には年収が一時的に下がる可能性もあります。特に未経験からの転職では、入社時の年収が現職を下回るケースが珍しくありません。
40代以降は求人の幅が絞られるため、動くなら早いほうが有利です。40代におすすめの転職エージェントで、現在の経験がどの年収帯で評価されるかを先に確認しておいてください。
転職や昇給で額面が上がった年は、住民税がまだ前年の低い所得をもとに計算されています。翌年6月の更新時に住民税が跳ね上がり、額面が変わっていないのに手取りだけ減ったように見えます。後述の早見表では月収35万円の住民税が15,666円、40万円が18,925円で、増えた手取りを全部使い切らずに置いておくと慌てずに済みます。
月収と手取りの早見表
額面から手取りを調べる表と、目標の手取りから必要な月収を逆算する表を載せます。いずれも40歳未満・扶養なし・賞与なし・東京都在住の条件です。
月収から手取りを調べる
自分の額面に近い行を見れば、天引き後の金額と手取り率が分かります。
| 月収(額面) | 社会保険料 | 所得税 | 住民税 | 手取り月額 | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 29,380円 | 875円 | 7,008円 | 162,736円 | 81.4% |
| 22万円 | 32,318円 | 1,441円 | 8,125円 | 178,115円 | 81.0% |
| 24万円 | 35,256円 | 2,000円 | 9,216円 | 193,527円 | 80.6% |
| 26万円 | 38,194円 | 2,566円 | 10,333円 | 208,906円 | 80.3% |
| 28万円 | 41,132円 | 3,133円 | 11,433円 | 224,301円 | 80.1% |
| 30万円 | 44,070円 | 3,700円 | 12,541円 | 239,688円 | 79.9% |
| 32万円 | 47,008円 | 4,366円 | 13,841円 | 254,783円 | 79.6% |
| 34万円 | 49,946円 | 5,033円 | 15,150円 | 269,870円 | 79.4% |
| 35万円 | 52,834円 | 5,291円 | 15,666円 | 276,207円 | 78.9% |
| 36万円 | 52,884円 | 5,700円 | 16,458円 | 284,957円 | 79.2% |
| 38万円 | 55,822円 | 6,366円 | 17,766円 | 300,044円 | 79.0% |
| 40万円 | 60,178円 | 6,958円 | 18,925円 | 313,938円 | 78.5% |
| 42万円 | 60,278円 | 7,775円 | 20,516円 | 331,430円 | 78.9% |
| 44万円 | 64,636円 | 8,441円 | 21,683円 | 345,239円 | 78.5% |
| 46万円 | 68,992円 | 9,633円 | 22,850円 | 358,524円 | 77.9% |
| 48万円 | 69,092円 | 11,250円 | 24,433円 | 375,224円 | 78.2% |
| 50万円 | 73,450円 | 12,441円 | 25,600円 | 388,508円 | 77.7% |
月収20万円では手取り率81.4%ですが、35万円では78.9%、50万円では77.7%まで下がります。額面が増えるほど手取り率は下がるという関係は、この帯でも変わりません。
42万円と44万円の間で社会保険料が一段上がっているのは、標準報酬月額の等級が切り替わるためです。等級の境目付近では、額面が少し増えただけで手取りがほとんど動かない区間ができます。
目標の手取りから逆算する
目標とする手取りから、必要な額面を逆算した表です。その手取りを初めて超える月収を1,000円単位で示しています。
| 目標の手取り月額 | 必要な月収(額面) | 必要な額面年収 |
|---|---|---|
| 240,000円 | 301,000円 | 3,612,000円 |
| 260,000円 | 326,000円 | 3,912,000円 |
| 280,000円 | 355,000円 | 4,260,000円 |
| 300,000円 | 380,000円 | 4,560,000円 |
| 320,000円 | 407,000円 | 4,884,000円 |
| 350,000円 | 446,000円 | 5,352,000円 |
| 370,000円 | 474,000円 | 5,688,000円 |
| 400,000円 | 518,000円 | 6,216,000円 |
40歳以上で介護保険料がかかる場合は、いずれも必要な額面が上乗せされます。扶養家族がいる場合は逆に必要な額面が下がります。
社会保険料は4月から6月の給与の平均で決まり、9月分から翌年8月分まで適用されます。昇給が7月以降であれば、その年の社会保険料は据え置きのままです。逆に4月昇給だと、上がった額面がそのまま等級に反映されます。同じ昇給額でも時期によって初年度の手取りの伸び方が変わります。
月収35万円に関するよくある質問
月収35万円について検索されることの多い疑問を、この記事で使った数字でまとめます。
月収35万円の年収はいくらですか?
賞与がない場合、額面年収は4,200,000円です。手取り年収は3,314,492円になります。
賞与が2か月分あれば額面年収は490万円、4か月分なら560万円です。月収だけで年収を判断すると、賞与の有無で140万円の読み違いが生じます。
月収35万円は高いほうですか?
給与所得者全体では上位48.9%で、ほぼ真ん中です。平均478万円には58万円、正社員の平均545万円には125万円届きません。
ただし男女別では評価が変わります。男性のなかでは上位64.5%、女性のなかでは上位28.3%です。女性であれば明確に上位の水準にあたります。
月収35万円で家族を養えますか?
厳しいというのが数字から出る答えです。二人以上の勤労者世帯で公表されている最も低い年間収入階級の可処分所得は278,764円で、手取り276,207円はこれを下回ります。
同階級の消費支出237,375円と比べれば手元には残りますが、教育費が月27,878円から34,484円かかる年代では赤字になりやすい水準です。共働きを前提にするか、住居費の安い地域を選ぶ必要があります。
2026年の改定で手取りは増えましたか?
月収35万円の場合、月569円・年6,828円の増加です。健康保険料率と雇用保険料率の引き下げ、基礎控除の引き上げが増加要因になります。
減少要因は新設された子ども・子育て支援金の月414円だけです。ただし所得税の軽減が毎月の給与明細に反映されるのは年末調整以降になります。
給与明細の控除欄とこの記事の内訳表を並べて比べると、どの項目でずれているかが分かります。厚生年金が合わない場合は標準報酬月額の等級を、健康保険が合わない場合は加入している健保の種類を確認してください。住民税だけが大きく違うときは、前年の所得が現在と違っている可能性が高いといえます。
まとめ
月収35万円の手取りは276,207円です。額面から73,791円が引かれ、その71.6%にあたる52,834円が社会保険料で占められています。年収にすると420万円です。
40歳以上なら介護保険料の分で手取りは273,725円まで下がり、扶養家族が1人いれば280,574円まで上がります。2026年度の改定で手取りは年6,828円増えましたが、所得税の軽減が給与明細に現れるのは年末調整以降です。
世間的な位置づけは、給与所得者全体で上位48.9%、平均478万円に58万円届かない水準です。男女計では35〜39歳の平均賃金に相当し、男性なら30代後半で超える一方、女性の平均賃金ではどの年代でも到達しません。
生活の余裕は世帯構成で大きく変わります。単身なら年858,600円を貯められますが、二人以上の世帯では家計調査の最も低い収入階級の可処分所得すら下回り、教育費のかかる年代では赤字になりやすい水準です。
収入を上げるなら、昇給を待つか、固定費を削るか、転職で額面を動かすかの3つです。手取りを1万円増やすのに額面12,000円が必要になるため、目標は手取りではなく額面で設定してください。









