リフォーム営業がきついと言われる最大の理由は、ノルマの重さではありません。名乗る前から疑われる業界のイメージと、壁を開けるまで工事範囲が確定しない既存住宅の性質という、この職種にしかない2つの条件にあります。
国民生活センターに登録された相談は、2024年度で訪問販売によるリフォーム工事が9,839件、点検商法が19,249件です(国民生活センター 訪問販売によるリフォーム工事・点検商法)。この数字が示す不信感を、正規の会社で働く営業担当者も背負うことになります。
この記事では公的統計と求人統計だけを使い、きつさの構造、年収の相場、仕事内容、他の営業手法との違い、向き不向き、対処法、転職先を整理します。1社の数字を職種全体の代表としては扱いません。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起リフォーム営業のきつさは、他の営業と種類が違います。売る力より、疑われた状態から信用を積み直す力が問われる仕事です。
リフォーム営業がきついと言われる理由


リフォーム営業のきつさは、労働時間の長さだけでは説明できません。既存住宅を扱うという対象の性質、訪問販売への法規制、業界イメージ、参入障壁の低さという4つが重なって生まれています。
既存住宅ゆえの見積の不確実性
リフォームの現場は、人が住んでいる完成済みの建物です。図面が残っていないことも多く、壁や床を開けてみて初めて下地の腐食やシロアリの被害が見つかります。
新築なら設計図どおりに積算できますが、リフォームでは契約時の見積と実際の工事内容がずれる可能性を、契約前に説明しておく必要があります。説明が足りないまま追加費用が発生すると、そのまま苦情になります。
住まいるダイヤルに寄せられた2024年度の電話相談を見ると、リフォーム相談は11,920件で、新築相談の11,682件を初めて上回りました(住宅リフォーム・紛争処理支援センター 住宅相談統計年報2025)。
相談件数の逆転は、リフォームが住宅取得の主戦場に移りつつあることの裏返しでもあります。市場が大きくなるほど、営業担当者が向き合う説明責任も重くなります。
特定商取引法による訪問販売の規制
リフォーム工事を消費者の自宅で勧誘して契約した場合、特定商取引法の訪問販売に該当します。営業のやり方そのものが法律で細かく縛られる点が、この職種の特徴です。
勧誘に入る前に社名と目的を告げる義務があり、断られた相手への再勧誘は禁止されています。契約後8日間は理由を問わず解除でき、通常必要な量を著しく超える契約は1年間解除できます(消費者庁 特定商取引法ガイド 訪問販売)。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 法第3条 | 勧誘前に事業者名と勧誘目的、商品やサービスの種類を告げる |
| 法第3条の2 | 契約しない意思を示した相手への再勧誘を禁止する |
| 法第4条・第5条 | 契約の申込時と締結時に法定書面を交付する |
| 法第6条 | 事実と異なる説明、故意の事実不告知、威迫や困惑させる行為を禁止する |
| 法第9条 | 法定書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができる |
| 法第9条の2 | 通常必要量を著しく超える契約は締結後1年間解除できる |
出典は消費者庁 特定商取引法ガイドです。工事を終えた後にクーリング・オフされた場合でも、事業者は材料費や住宅の価値上昇分の返還を請求できません(消費者庁 訪問販売でリフォーム工事の契約をさせられた)。
つまり契約から8日間は、着工しても売上が確定しない状態が続きます。月末の数字が翌月にひっくり返る可能性を抱えながら動く点は、他の営業職にはない負荷です。
点検商法の報道による信用の逆風
点検を装って不安をあおり、不要な工事を契約させる手口は点検商法と呼ばれます。国土交通省と消費者庁がそろって注意喚起を出すほど、件数が増えています。
| 年度 | 訪問販売によるリフォーム工事 | 点検商法 |
|---|---|---|
| 2023年度 | 11,879件 | 12,550件 |
| 2024年度 | 9,839件 | 19,249件 |
全国の消費生活センターに寄せられた相談を集計したPIO-NETの登録件数です(国民生活センター 訪問販売によるリフォーム工事・点検商法、2026年5月31日現在)。点検商法は1年で約1.5倍に増えました。
消費者庁は特定商取引法に基づく行政処分にあわせて、住宅リフォームの悪質な点検商法への注意喚起チラシを公表しています(消費者庁 訪問販売等による悪質な住宅リフォームに関する消費者トラブルへの対策について)。
この結果、正規の会社に勤めていてもインターホン越しに警戒されるところから商談が始まります。自社の説明より先に、悪質業者ではないことの説明に時間を使う場面が増えます。
参入障壁の低さと相見積もりの多さ
建設業法では、軽微な建設工事だけを請け負う場合に建設業許可が要りません。この軽微な工事の範囲が、リフォームの価格帯とかなり重なります。
- 建築一式工事以外は、1件の請負代金が500万円未満なら許可が不要
- 建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅なら許可が不要
- 金額の判定には消費税が含まれ、契約を分割しても合算して判断される
出典は国土交通省 建設業の許可とはです。内装や水まわりの工事は500万円を下回ることが多く、無許可でも合法的に営業できる事業者が市場に大量にいる構造になっています。
そのため顧客は当たり前のように相見積もりを取ります。提案の質が同じなら、価格で比較される場面が避けられません。
一方で市場そのものは伸びています。2025年度に元請として受注した住宅のリフォーム・リニューアル工事は4兆9,033億円で、前年度比18.7%の増加でした。
非住宅を含めた全体では16兆4,104億円となり、こちらも18.7%増えています(国土交通省 建築物リフォーム・リニューアル調査報告、建設業許可業者5,000者への調査)。
見積の不確実性は積算力、法規制は知識、業界イメージは会社選び、価格競争は提案力でそれぞれ打ち手が変わります。ひとまとめに「きつい」と捉えると手が打てません。自分がどれで消耗しているかを先に特定してください。
リフォーム営業の年収の相場


厚生労働省の賃金構造基本統計調査には、リフォーム営業という職種区分がありません。そのため相場は、求人票を集計した民間の統計で読むことになります。
求人統計による平均年収は458万円
求人ボックスの給料ナビによると、リフォーム営業の平均年収は458万円です。月給に換算すると38万円、初任給は24万円程度が相場とされています(求人ボックス 給料ナビ リフォーム営業、2026年9月2日更新)。
この数字は同サイトが掲載求人の給与水準から算出した中央値で、対象は求人票に記載された金額です。在籍者の実際の支給額ではない点に注意が必要です。
正社員の給与幅は333万円から746万円と広く、ボリュームゾーンは385万円から436万円です。平均の458万円は、最も人数が多い層より高い位置にあります。
地域差も小さくありません。最も高いのは愛知県の487万円で、最も低い徳島県の402万円との差は84万円です。
他の営業職種との比較
同じ求人ボックスの給料ナビで、条件をそろえて他の営業職種と並べると位置づけが見えます。いずれも求人票の給与水準から算出した中央値です。
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| 営業(全体) | 444万円 |
| 住宅営業 | 453万円 |
| リフォーム営業 | 458万円 |
| 不動産営業 | 474万円 |
出典は求人ボックス 給料ナビの営業、住宅営業、リフォーム営業、不動産営業の各ページです。
リフォーム営業は営業職全体より14万円高く、不動産営業より16万円低い位置にあります。住宅系の営業職のなかでは中間と言える水準です。
新築住宅の営業との比較は住宅営業がきつい理由、ハウスメーカーに絞った実態はハウスメーカー営業がきつい理由で扱っています。
公的統計と照らした位置づけ
国税庁の調査では、給与所得者全体の平均給与は478万円、正社員に限ると545万円です(国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査)。
求人統計の458万円は正社員平均を下回りますが、求人票の提示額と在籍者の支給額は集計の土台が違うため、単純な優劣として読むのは適切ではありません。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、令和7年の所定内給与額の平均は年齢計で34.1万円です(厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査)。賞与や歩合を含まない月額のため、年収換算の前提として参照できます。
歩合の比重が大きい会社では、同じ肩書でも支給額が数百万円単位で開きます。求人票の年収レンジを見るときは、固定給と歩合の内訳を必ず確認してください。
上限が高い求人ほど歩合の比重が大きい傾向があります。面接では「昨年の在籍者の中央値」と「固定給の額」を分けて質問してください。平均値は一部の高額達成者に引き上げられていることがあります。
リフォーム営業の仕事内容と1日の流れ


リフォーム営業は、契約を取って終わりの仕事ではありません。現地調査から引き渡し、その後の不具合対応まで、同じ担当者が一貫して関わるのが一般的です。
現地調査から契約までの仕事内容
最初の仕事は現地調査です。採寸と写真撮影に加え、築年数や過去の改修履歴、住みながら工事をするのかという生活条件まで聞き取ります。
- 現地調査で採寸し、劣化の状況と下地の状態を確認する
- 要望と予算をすり合わせ、工事範囲の優先順位を決める
- 職人や協力会社に手配を確認しながら見積書を作る
- 工期と生活への影響を説明し、請負契約を結ぶ
- 着工後は現場に立ち会い、変更点を書面で残す
- 引き渡し後の不具合対応と定期点検を行う
新築営業と決定的に違うのは、提案の前に現況を調べる工程が必ず入ることです。同じ間取りでも、建物の状態によって出せる提案と価格が変わります。
見積書の作成にも専門知識が要ります。職人の人工数、材料の単価、廃材処分費、仮設の費用を積み上げるため、営業でありながら積算の力が問われます。
1日の流れと働く時間帯
顧客は在宅していないと打ち合わせができません。そのため打ち合わせの時間は、相手の生活時間に合わせて組むことになります。
| 時間帯 | 主な業務 |
|---|---|
| 午前 | 朝礼の後に現場へ立ち寄り、職人と工程を確認する |
| 昼 | 見積書の作成、協力会社への発注、社内の承認手続き |
| 午後 | 現地調査と打ち合わせで顧客宅を回る |
| 夕方以降 | 帰宅した顧客との商談、日報と図面の修正 |
あくまで一般的な流れであり、会社の集客方法や担当エリアによって配分は変わります。反響中心の会社では現地調査の件数が増え、訪問中心の会社では移動と初回接触に時間が割かれます。
土日は打ち合わせが集中しやすく、平日に代休を取る勤務形態が多く見られます。家族と休みが合いにくい点は、続けるうえで無視できない条件です。
担当する顧客層の特徴
住まいるダイヤルの訪問販売に関する相談では、相談者である消費者の年齢は50歳代が最も多く24.8%、次いで70歳代以上が22.5%でした(住宅相談統計年報2025)。
相談件数の分布は顧客層そのものではありませんが、リフォームの検討が中高年層に厚いことをうかがわせます。住宅ローンを払い終えた世代が主要な顧客になる場面は多くなります。
この層は工事の必要性そのものに納得しないと動きません。デザインの提案より、なぜ今その工事が必要なのかを現況の写真と数字で説明する力が求められます。
家族の同意を取る場面も多くなります。本人は納得していても、離れて暮らす子世代が金額を見て止めるという展開は珍しくありません。
床下や屋根裏など、顧客が自分では見られない場所の写真は、提案の説得力を大きく左右します。撮影の角度と枚数を決めておき、劣化していない箇所もあわせて見せると、不安をあおる説明と区別してもらえます。



契約後に現場が始まる仕事なので、月末の数字が立った時点ではまだ折り返しです。ここを理解しないまま入ると、想定と違うと感じやすくなります。
リフォーム営業と他の営業手法の違い


住宅業界の営業職はまとめて語られがちですが、扱う対象と法規制の効き方が違います。ここを理解すると、自分に合う持ち場が見えてきます。
新築住宅営業との違い
新築住宅営業は、更地や建売の状態から話を始めます。設計の自由度が高く、契約金額も大きくなりやすい一方、検討期間が長く商談数は絞られます。
リフォーム営業は既存の建物が出発点です。できることが現況によって制限される代わりに、検討から着工までの期間は短く、案件の回転は速くなります。
| 比較軸 | リフォーム営業 | 新築住宅営業 | 不動産仲介営業 |
|---|---|---|---|
| 対象 | 既存住宅の改修 | 更地や建売からの取得 | 物件の売買や賃貸の仲介 |
| 提案の起点 | 現地調査による現況把握 | 図面とプランの提案 | 物件情報とエリアの提案 |
| 特定商取引法 | 訪問販売にあたれば全面的に適用 | 訪問販売にあたれば適用 | 訪問販売にあたれば適用 |
| 必要な許可 | 500万円未満の工事は建設業許可が不要 | 建設業許可が必要な規模が中心 | 宅地建物取引業の免許が必要 |
| 契約後の関与 | 着工から引き渡しまで担当が関わる | 着工後は工事担当へ引き継ぐことが多い | 引き渡しで完了することが多い |
許可と免許の根拠は国土交通省 建設業の許可とはです。不動産仲介の詳細は不動産営業の転職で扱っています。
訪問販売と反響営業の違い
リフォーム会社の集客方法は、大きく訪問型と反響型に分かれます。同じリフォーム営業という求人名でも、日々の動きはまったく別物になります。
訪問型は自分で接点を作れる代わりに、特定商取引法の規制がそのまま自分の行動を縛ります。断られた相手への再勧誘が禁止されているため、粘って通うという営業スタイルが法的に取れません。
反響型はショールームやウェブ経由の問い合わせに対応します。関心のある相手から話が始まる一方、広告の出方によって月の商談数が変動し、自分では件数をコントロールできません。
住まいるダイヤルに寄せられた訪問販売関連の相談は、2024年度で652件と前年度比25.7%の減少でした(住宅相談統計年報2025)。訪問販売の比重を下げる会社が増えていることの一端とも読めます。
住宅リフォーム事業者団体登録制度による違い
リフォーム業界には、他の営業職にはない国の登録制度があります。2014年9月に創設された住宅リフォーム事業者団体登録制度です。
要件を満たす団体を国が登録して公表し、団体を通じて事業者の業務の適正化を図る仕組みです。現在16団体が登録されています(国土交通省 住宅リフォーム事業者団体登録制度)。
- 登録団体は構成員の情報を開示し、教育研修による人材育成を行う
- 登録団体は相談窓口を設け、構成員への指導を行う
- 構成員は契約時に必要な書面を交付し、一定額以上の工事では瑕疵保険に加入する
- 国土交通省が登録団体の取組状況を報告させ、実施状況を確認する
所属団体が公表されているかどうかは、会社を選ぶ側の判断材料になります。新築の営業職やIT営業にはない、この業界固有のチェックポイントです。
同じリフォーム営業でも、訪問中心か反響中心かで1日の使い方が変わります。面接では「新規接点の何割が問い合わせ経由か」を聞いてください。あわせて国土交通省が公表する登録団体の一覧に、その会社の所属団体があるかを確認しておくと安心です。
リフォーム営業に向いている人と向いていない人


適性は話術の有無ではありません。段取りを組む力と、説明を省略しない姿勢が中心になります。
リフォーム営業に向いている人の特徴
複数の関係者の予定を同時に動かせる人は、この仕事に向いています。顧客、職人、材料の納期、近隣への挨拶までを1本の工程表にまとめる作業が毎日発生するためです。
- 職人と顧客の予定を同時に調整できる
- 現況の写真と数字を使って工事の根拠を説明できる
- 想定外の事態が出たときに、隠さず早く報告できる
- 建物の構造や設備の仕組みを学び続けられる
調べることを苦にしない人も向いています。建築の知識に加え、住宅ローンや補助金の要件、税制の優遇まで含めて提案材料になるため、覚える範囲が広い仕事です。
この4つに共通するのは、相手の不安を先に潰す姿勢です。押す力ではなく、疑問を残さない力が成約率を左右します。
リフォーム営業に向いていない人の特徴
押し切って決めたいタイプの人は、この職種では苦しくなります。断られた相手への再勧誘は特定商取引法で禁止されており、粘る営業がそのまま法令違反になり得るためです。
- 断られてから粘って通うスタイルで成果を出してきた
- 契約したら引き継いで次の案件に移りたい
- 細かい数字の積み上げや書類の作成を後回しにしがち
- 現場や職人とのやり取りに関わりたくない
契約後に関わりたくないという志向も合いません。着工から引き渡しまで担当者が関わり続けるのがこの職種の標準であり、トラブル対応も自分の仕事に含まれます。
書類を苦手とする人も注意が必要です。法定書面の交付義務があり、記載内容に不備があると契約の効力そのものに影響します。
未経験から挑戦する場合の判断軸
未経験の採用は珍しくありませんが、入る会社によって身につくものが変わります。訪問中心の会社では接触量、反響中心の会社では提案と積算の経験が積まれます。
建設業の入職率は11.7%で、離職率の10.0%を上回っています(厚生労働省 令和6年雇用動向調査)。産業計の入職率14.8%、離職率14.2%と比べると、出入りの激しい業界というわけではありません。
この数字は業界単位のもので、営業職に限った離職率ではない点には注意してください。それでも建設業全体が人を失い続けているという前提は、統計上は成り立ちません。
未経験で入るなら、研修制度より先に集客経路を確認してください。接点の作り方が自分の耐性に合うかどうかが、続くかどうかを大きく左右します。
現地調査への同行を面接段階で希望すると、実際の顧客対応と社内の空気が一度でわかります。断られた場合でも、その反応自体が会社の姿勢を測る材料になります。



向き不向きは性格より、契約後の現場に関わり続けることを面白いと感じるかどうかで分かれます。ここが合えば、長く続く仕事ですよ。
リフォーム営業がきついと感じたときの対処法


辞める前に動かせる変数が3つあります。集客経路、会社の姿勢、自分の専門性です。順に見ていきます。
集客経路を変える
きつさの正体が初回接触にあるなら、訪問中心の部署から反響中心の部署へ移るだけで負荷が変わります。社内にショールームや問い合わせ対応の部署があるか確認してください。
既存顧客への追加提案という経路もあります。一度工事をした家は設備の更新時期が読めるため、信用ゼロから始める商談より負荷がはるかに軽くなります。
過去の施工履歴が社内に残っているなら、それは未活用の資産です。何年前にどの部位を工事したかを一覧にするだけで、次の接点が見えてきます。
会社の姿勢と体制を見直す
苦情の量が異常に多いと感じるなら、原因が自分の説明不足ではなく会社の売り方にある可能性があります。判断材料のひとつが、国土交通省が公表する登録団体への所属です。
登録団体の構成員は、契約時の書面交付と一定額以上の工事での瑕疵保険加入が求められます(国土交通省 住宅リフォーム事業者団体登録制度)。この体制があるかどうかで、担当者が背負う負荷は変わります。
訪問販売の相談のうち、契約時期が判明しているものの97.5%は契約後に寄せられたものでした(住宅相談統計年報2025)。
さらに解決希望の49.3%が契約解消でした。つまり契約前の説明が足りない案件ほど、後から丸ごとやり直しになるということです。自社の説明資料と契約前の確認手順を見直す余地がないか点検してください。
資格を取って専門性の軸を作る
営業としての数字だけで評価される状態が苦しいなら、技術側の資格で軸を作る方法があります。社内での立ち位置と、転職時の選択肢が同時に広がります。
- 2級建築士や建築施工管理技士で、設計と工程の裏づけを持つ
- インテリアコーディネーターで提案の幅を広げる
- 福祉住環境コーディネーターで介護保険を使った改修に対応する
- マンションリフォームマネジャーで共同住宅の改修に強くなる
資格そのものが契約を取ってくれるわけではありません。ただし提案の根拠を自分で作れるようになると、価格以外の勝ち筋が増えます。
取得の順番は、担当している物件の種別に合わせてください。戸建てが中心なら施工管理系、マンションが中心ならマンションリフォームマネジャーが先になります。
集客経路と評価制度は、会社を変えなくても部署異動で変わることがあります。上司に相談する前に、社内の他部署が実際にどう動いているかを同期や先輩から聞いておくと、話が具体的になります。
リフォーム営業の経験が活きる転職先


現況を読んで工事費を出せる力は、住宅業界の複数の持ち場で通用します。売る側にも、作る側にも、買う側にも道があります。
評価されやすいスキル
リフォーム営業の経験で最も評価されるのは、建物の状態から工事費を概算できることです。営業でありながら積算に触れている点が、他の営業職との差になります。
- 現況調査から工事範囲と概算費用を出せる
- 職人や協力会社と工程を調整できる
- 特定商取引法と建設業法を踏まえた契約実務ができる
- 引き渡し後の不具合対応まで担当した経験がある
職務経歴書では、担当した工事の種別、平均単価、年間の担当棟数を数字で並べてください。売上額だけを書くより、案件の中身が伝わります。
苦情対応の経験も、書き方次第で強みになります。何が起きてどう収束させたかを1件だけ具体的に書くと、実務の厚みが伝わります。
転職先の選択肢
最も近いのは施工管理です。工程と原価の感覚がそのまま活き、現場側に軸足を移したい人に向きます。
住宅設備メーカーや建材商社の営業も候補になります。現場を知っている提案は、販売店や工務店への営業で説得力を持ちます。
不動産の買取再販も選択肢です。中古物件を仕入れて改修し、再販売する事業では、改修費を正確に読める人材が仕入れ判断の中核になります。
この3つは求められるものが違います。施工管理なら資格と工程管理、メーカー営業なら製品知識、買取再販なら相場観と資金計画の理解が問われます。施工管理を目指すなら施工管理におすすめの転職エージェント、30代での住宅業界内の移動なら30代におすすめの転職エージェントが参考になります。
歩合の比重が大きい会社から固定給中心の会社へ移ると、提示年収が下がって見えることがあります。比較するときは固定給と賞与だけを並べてください。変動部分を含めた数字どうしを比べると判断を誤ります。



リフォーム営業の経験は、現場と数字の両方に触れている点が強みです。営業職以外への横移動も現実的な選択肢になります。
リフォーム営業に関するよくある質問
リフォーム営業への転職を検討する人から実際に多い質問を、公的統計と法令の内容にもとづいて整理します。
リフォーム営業は本当にきついのでしょうか?
きつさの中身が他の営業職と異なります。労働時間よりも、業界イメージによる警戒感と、既存住宅ゆえの見積の不確実性が負荷の中心です。国民生活センターに登録された点検商法の相談は2024年度で19,249件にのぼり、この不信感を正規の会社の担当者も背負います。一方で建設業の離職率は10.0%と産業計の14.2%を下回っており、業界全体が人を失い続けているわけではありません。
リフォーム営業の年収はどのくらいですか?
求人ボックスの給料ナビによると、求人票から算出したリフォーム営業の平均年収は458万円です。正社員の給与幅は333万円から746万円と広く、最も人数が多いのは385万円から436万円の層になります。地域差もあり、愛知県の487万円と徳島県の402万円では84万円の開きがあります。これは求人票の提示額を集計した数字で、在籍者の実際の支給額ではありません。
訪問販売のリフォーム営業は法律違反になりませんか?
訪問販売そのものは適法です。ただし特定商取引法により、勧誘前に社名と目的を告げる義務、契約しない意思を示した相手への再勧誘の禁止、法定書面の交付義務が課されます。契約から8日間はクーリング・オフができ、通常必要量を著しく超える契約は1年間解除できます。工事を終えた後にクーリング・オフされても、材料費や住宅の価値上昇分は請求できません。これらを守らない売り方が違法になります。
未経験からリフォーム営業に転職できますか?
未経験の採用を行う会社は多くあります。判断の軸は研修制度よりも集客経路です。訪問中心の会社では初回接触の量が負荷の中心になり、反響中心の会社では現地調査と積算の経験が早く積まれます。建設業の入職率は11.7%で離職率の10.0%を上回っており、人が入ってくる業界ではあります。入社前に現地調査へ同行させてもらえるか打診すると、実務の雰囲気を確かめられます。
リフォーム会社の良し悪しはどこで見分けますか?
国土交通省の住宅リフォーム事業者団体登録制度に登録された団体の構成員かどうかが、ひとつの目安になります。現在16団体が登録されており、構成員には契約時の書面交付と一定額以上の工事での瑕疵保険加入が求められます。あわせて建設業許可の有無も確認してください。500万円未満の工事だけなら許可は不要ですが、許可を持つ会社は経営状況や技術者の要件を満たしていることの裏づけになります。
年収は固定給と歩合、集客は訪問と反響、案件は新規と既存というように、必ず内訳で聞いてください。合計だけを提示する会社は、都合のよい部分だけを見せている可能性があります。
まとめ
リフォーム営業がきついと言われる理由は、ノルマの重さではありません。既存住宅ゆえに壁を開けるまで工事範囲が確定しないことと、点検商法の報道によって名乗る前から警戒されることが中心です。
訪問販売にあたる場合は特定商取引法が全面的に適用されます。再勧誘は禁止され、契約後8日間はクーリング・オフができ、工事を終えた後でも材料費を請求できません。粘って決めるという営業スタイルが、法的に取れない職種です。
求人統計による平均年収は458万円で、営業職全体の444万円より高く、不動産営業の474万円より低い位置にあります。ただし333万円から746万円という幅があり、固定給と歩合の内訳を確認しないと実態はつかめません。
市場そのものは拡大しています。2025年度の住宅のリフォーム・リニューアル受注高は4兆9,033億円で前年度比18.7%増、住まいるダイヤルではリフォーム相談が初めて新築相談を上回りました。建設業の離職率10.0%は産業計の14.2%を下回ります。
きついと感じたときは、集客経路、会社の体制、自分の専門性の順に見直してください。それでも合わないと判断したなら、現況を読んで工事費を出せる力は施工管理、住宅設備メーカー、不動産の買取再販でそのまま通用します。









