東京海上日動の営業がきついと言われる理由は、残業の長さではありません。自分では契約を取らず、36,739店の代理店に売ってもらう立場に置かれることにあります。
国内の代理店数は36,739店、社員数は16,064人です。単純に割れば社員1人あたり2店以上を抱える計算で、社員の仕事は販売そのものではなく代理店の支援と管理に寄ります(東京海上日動 会社概要)。
この記事では、有価証券報告書とディスクロージャー資料、金融庁の公表文書、口コミサイトの集計値だけを使い、年収の実額、労働時間、営業部門ごとの違い、きついと感じたときの選択肢を整理します。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起東京海上日動は「激務だからきつい」というより、「自分の手で数字を作れないからきつい」と語られるタイプの会社です。この違いを押さえておくと、口コミの読み方が変わります。
東京海上日動の営業がきついと言われる理由


東京海上日動の営業がきついと言われる背景には、代理店を通じた間接販売という構造、配属部門による仕事の落差、募集人管理の重さ、勤務地の決まり方の4つがあります。
いずれも損害保険会社に共通する話ではなく、東京海上日動の公表資料から具体的な数字で確かめられるものです。順に見ていきます。
代理店を通じた間接販売
損害保険の営業は、生命保険の直販営業とは売り方が違います。社員が契約者と直接契約を結ぶのではなく、代理店が契約者に販売し、社員はその代理店を支援するという二階建ての構造になっています。
東京海上日動の国内代理店数は36,739店、国内営業網は105営業部・支店と73営業室・課・支社、5事務所です。損害サービス拠点は194ヵ所あります(東京海上日動 会社概要、2026年3月31日現在)。
東京海上日動火災保険株式会社は1879年8月創業、資本金1,019億円、本店は東京都千代田区大手町二丁目6番4号です。取締役社長は城田宏明氏で、2025年度の正味収入保険料は2兆5,963億円、総資産は9兆7,596億円にのぼります。


この数のパートナーに商品を売ってもらう以上、社員の役割は自分で売ることではなくなります。代理店の経営相談に乗り、募集人を研修し、販売実績を点検し、必要なら改善を求める立場になります。
数字の責任は社員が負うのに、実際に契約を決めるのは自分ではないという組み合わせが、この仕事の難しさの中心にあります。
代理店の事情で予定が動くことも少なくありません。照会の電話が入れば自分の作業を止めて対応する必要があり、日中のまとまった時間が読みにくくなります。
営業職そのものの負荷については、保険業界全体の事情を保険営業がきつい理由の記事で、金融業界共通の事情を金融営業がきつい理由の記事で扱っています。ここでは東京海上日動に固有の点に絞ります。
配属部門で顧客が丸ごと変わる
東京海上日動の営業部門は「企業営業部門」「地域営業部門」「自動車営業部門」の3つに分かれています。同じ営業職でも、担当する相手も商談の進め方も別物になります。
企業営業部門は商社や航空・宇宙、エネルギー、インフラといった大企業を担当し、企業代理店やブローカーと組んで提案します。地域営業部門は地域の企業と個人を対象に、代理店網の構築と強化を担います(東京海上日動 キャリア採用 部門紹介)。
自動車営業部門は自動車メーカーやカーディーラーを相手に、保険プログラムの設計や販売の仕組みづくりを行います。
企業保険と自動車保険では、顧客も意思決定の速度もまったく違います。前者は年単位の更改交渉で、後者は販売現場の運用設計です。
入社時にどの部門へ配属されるかを自分で選べるとは限りません。想像していた仕事と違ったという声が出やすいのは、この幅の広さが理由です。
募集人管理と資格更新の負担
保険を販売するには、代理店側の担当者が募集人としての資格を持っている必要があります。社員はその取得と更新を管理する側に立ちます。
損保一般試験は基礎単位と3つの商品単位で構成され、各単位の試験時間は40分、100点満点で70点以上が合格です。いずれの単位も5年ごとの更新制で、合格していない商品は原則として取り扱えません(日本損害保険協会 損保一般試験)。
- 基礎単位に合格しないと代理店登録・募集人届出ができない
- 取り扱う商品ごとに自動車・火災・傷害疾病の商品単位が必要になる
- 単位ごとに5年の更新制で、期限が切れると取り扱いが止まる
- 受験手数料は4単位まとめて6,100円、1単位なら2,700円
自社の社員だけでなく、委託先である代理店の募集人についても受験の段取りと期限管理が必要になります。契約を取る業務とは別に、この事務が常に背後で走っています。
期限を切らせれば販売が止まるため、後回しにできない性質の仕事です。営業の成績に直結しない業務が積み上がる点が、負担として語られます。
勤務地の決まり方と人事制度の改定
東京海上日動は2026年4月に人事制度を改定しました。エリア総合職の募集を廃止し、募集職種を総合職に一本化しています。
新制度では総合職全員が「本拠地」を定め、転居を伴う転勤に同意するかどうかを毎年選択します。同意する場合は「国の内外を問わない」か「本拠地を含む一定地域内」のいずれかを選びます(東京海上日動 新人事制度の導入について)。
同意した社員全員の転居転勤が実現するわけではなく、一度転勤すると原則3年は赴任する想定とされています。本拠地地域は40区分から選ぶ形です。
採用地域にかかわらず処遇体系と評価制度が同一になった点は、旧エリア総合職にとって待遇面の前進にあたります。一方で、転勤の可能性を毎年自分で判断する設計に変わりました。
東京海上日動のきつさは、労働時間より配属で決まります。選考の段階で企業営業・地域営業・自動車営業のどれに近い採用枠なのか、本拠地地域をどこで設定するのかを確認しておくと、入社後のギャップを減らせます。
東京海上日動の営業の年収


東京海上日動火災保険の平均年間給与は9,059,913円です。平均年齢42.6歳、平均勤続年数13.1年、従業員数16,064人という条件での数字になります(東京海上日動火災保険 有価証券報告書、2026年3月31日現在)。
この数字がどの法人の、どの資料から出たものかを最初に押さえておくと、ネット上の情報の読み違いを避けられます。
有価証券報告書の平均年間給与
東京海上日動火災保険は非上場ですが、金融商品取引法第24条第1項にもとづいて自社名義の有価証券報告書を提出しています。2026年6月26日提出の第83期報告書で、EDINETコードはE03823です。
同じ数字はディスクロージャー資料「東京海上日動の現状2026」のコーポレートデータにも載っています(東京海上日動の現状2026 コーポレートデータ)。保険業法にもとづく開示資料で、有価証券報告書と同じ9,059,913円が記載されています。
平均年間給与には賞与と基準外賃金が含まれます。前事業年度からの増減率は0.2%で、ほぼ横ばいです。
| 項目 | 東京海上日動火災保険 | 出典 |
|---|---|---|
| 平均年間給与 | 9,059,913円 | 有価証券報告書 |
| 平均年齢 | 42.6歳 | 有価証券報告書 |
| 平均勤続年数 | 13.1年 | 有価証券報告書 |
| 従業員数 | 16,064人 | 有価証券報告書 |
| 前期比の増減率 | 0.2% | 有価証券報告書 |
国税庁の調査では給与所得者全体の平均給与は478万円、正社員に限っても545万円です(国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査)。約906万円はその1.6倍以上にあたります。
持株会社の数字との取り違え
東京海上グループで上場しているのは持株会社の東京海上ホールディングスで、証券コードは8766です。東京海上日動火災保険はその子会社で、上場しているのは親会社のほうという関係になります。
東京海上ホールディングスの有価証券報告書では、提出会社の平均年間給与は14,871,103円です。ただし在籍する従業員は1,339人で、その大部分は子会社からの出向者と注記されています(東京海上ホールディングス 有価証券報告書)。
この1,487万円は持株会社の本社機能に属する少人数の平均です。東京海上日動の営業職の年収として引用すると、実態から大きくずれます。
東京海上ホールディングスの有価証券報告書には「最大人員会社の状況」という欄があり、そこに東京海上日動火災保険の16,064人と9,059,913円が記載されています。営業職の年収を見るならこちらの数字を使うのが正確です。



「東京海上の平均年収1,487万円」という表記を見かけたら、それは持株会社の数字です。実際に営業として働く会社の数字とは別物なので、分けて読んでください。
口コミ集計値とのギャップ
口コミサイトの集計では、回答者の平均年収は735万円です。正社員1,228人分の回答で、平均年齢は31歳、年収範囲は200万円から2,500万円と幅があります(OpenWork 東京海上日動火災保険の社員クチコミ)。
有価証券報告書の約906万円と150万円以上の差がありますが、これは水増しでも過少申告でもありません。回答者の平均年齢が31歳と、全社平均の42.6歳より10歳以上若いためです。
| データの種類 | 金額 | 対象と平均年齢 |
|---|---|---|
| 有価証券報告書の平均年間給与 | 9,059,913円 | 全従業員16,064人・42.6歳 |
| 持株会社の平均年間給与 | 14,871,103円 | 東京海上HD 1,339人・42.4歳 |
| 口コミサイトの集計値 | 735万円 | 回答した正社員1,228人・31歳 |
年収の上がり方を見るときは、この年齢差を前提に置いてください。20代後半で700万円台、40代で900万円台という並びは、数字として矛盾しません。
額面と手取りの差も無視できません。社会保険料と税を差し引いた実際の入金額は、額面の7割前後まで下がります。
東京海上日動の年収情報は、有価証券報告書・持株会社の有価証券報告書・口コミ集計の3つが混在して流通しています。どれを見ているかを毎回確認するだけで、実態とのずれはかなり減らせます。
東京海上日動の労働時間と働き方の実態


口コミサイトの集計では、月間の残業時間は29.3時間、有給休暇消化率は58.4%です。回答者は2,082人で、総合評価は4.16となっています(OpenWork 東京海上日動火災保険)。
残業時間だけを見れば、営業職として極端に長い水準ではありません。それでもきついと語られる理由は、時間の長さとは別のところにあります。
残業時間と有給消化率
月29.3時間は、1営業日あたり1時間半程度の計算になります。数字の上では働き方改革が進んだ後の水準に収まっています。
一方で有給休暇消化率は58.4%にとどまります。半分強は取れているものの、完全に消化できているとは言いにくい水準です。
代理店対応が中心の部門では、相手の営業時間に予定を合わせる必要があります。自分だけの都合で休みを決めにくい点が、消化率に表れていると考えられます。
繁忙の波も部門ごとに違います。自動車保険の更改が集中する時期と、企業保険の更改交渉が重なる時期では、忙しさのピークがずれます。
口コミの評価項目に出ている傾向
口コミサイトの8項目を並べると、東京海上日動の特徴がはっきりします。法令順守意識が突出して高く、社員の士気と20代成長環境が相対的に低い並びです。
| 評価項目 | スコア |
|---|---|
| 待遇面の満足度 | 4.1 |
| 社員の士気 | 3.5 |
| 風通しの良さ | 3.9 |
| 社員の相互尊重 | 4.0 |
| 20代成長環境 | 3.5 |
| 人材の長期育成 | 3.9 |
| 法令順守意識 | 4.8 |
| 人事評価の適正感 | 3.6 |
| 総合評価 | 4.16 |
待遇が4.1と高いのに士気が3.5という組み合わせは、条件には不満がないが、仕事そのものに熱が入りにくい状態を示します(OpenWork、回答者2,082人)。
この温度差は、代理店を介した間接販売という構造と無関係ではありません。契約を決める場面に自分が立てないと、達成感は薄まります。
人事評価の適正感が3.6という点も、代理店の状況に左右されやすい成果をどう評価するかという難しさを反映していると読めます。
勤続年数と働き方の制度
平均勤続年数は13.1年、平均年齢は42.6歳です。数字だけ見れば、短期で人が抜けていく職場ではありません。
働き方の制度面では、全社員を対象にテレワークを推進し、5時から22時の間で勤務時間を選べる制度を導入しています(東京海上日動の現状2026 コーポレートデータ)。
女性管理職比率は30.5%、男性の育児休業取得率は101.5%です。育休取得率は当該年度に配偶者が出産した男性のうち育休を取得した人数で算出するため、100%を超えることがあります。
制度としては整っている部類に入ります。使いやすさは配属先と繁忙度に左右されるため、面接で具体的な運用を聞いておくと実態がつかめます。



残業時間そのものより、有給を自分の意思で取れるかどうかを見てください。代理店対応が多い部門ほど、ここで差が出ます。
東京海上日動の働き方を測るなら、残業時間よりも「自分で予定を決められるか」を確認してください。代理店対応が中心の部門ほど相手都合が増え、同じ残業時間でも疲労の質が変わります。
東京海上日動の営業職の種類と商材の特徴


東京海上日動の営業部門は3つに分かれ、それぞれ担当する顧客が異なります。取り扱う保険の構成比も偏りがあり、何を売る仕事になるかは部門でほぼ決まります。
ここでは部門ごとの役割と、正味収入保険料の内訳から見える商材の実態を整理します。
3つの営業部門の役割
営業部門には2つの任務があるとされています。顧客の危険を分析して最適な商品を提案することと、契約者と直接の接点を持つ代理店ネットワークを強化することです(東京海上日動 キャリア採用 部門紹介)。
企業営業部門は業界単位でグローバルに展開する大企業を担当し、事業戦略のパートナーとして提案を行います。相手は保険部門を持つ大企業や専門のブローカーで、交渉の専門性が高くなります。
地域営業部門は、地域の企業と個人を対象に代理店を通じて商品を届け、販売網そのものを作り変える役割を担います。国や地方公共団体と連携する公務ビジネスもここに含まれます。
自動車営業部門は、自動車メーカーやカーディーラーを代理店あるいは顧客として、保険プログラムの構築や販売モデルの設計を行います。
- 企業営業部門は大企業向けで、更改交渉と提案の専門性が問われる
- 地域営業部門は代理店網の構築と強化が中心で、担当店舗数が多くなりやすい
- 自動車営業部門はディーラーとの仕組みづくりで、販売現場の運用設計に近い
この3つに共通するのは、最終的な販売を担うのが自社の社員ではないという点です。誰に何を売るかより、誰に売ってもらうかを設計する仕事だと捉えると実態に近づきます。
正味収入保険料の内訳から見える商材
2025年度の正味収入保険料は2兆5,963億円です。種目別では自動車が47.5%、火災が18.1%、自動車損害賠償責任が7.5%、傷害が7.9%、海上が3.5%、その他が15.6%を占めます(東京海上日動の現状2026 業績データ)。
売上の半分近くが自動車保険という構成です。個人の自動車保険はカーディーラーや整備工場が代理店となって販売するため、社員の相手は契約者ではなく販売店になります。
| 種目 | 2025年度の構成比 | 主な販売の担い手 |
|---|---|---|
| 自動車 | 47.5% | ディーラー・整備工場などの代理店 |
| 火災 | 18.1% | 不動産・金融機関・専業代理店など |
| 傷害 | 7.9% | 専業代理店・団体契約など |
| 自動車損害賠償責任 | 7.5% | 自動車販売の現場 |
| 海上 | 3.5% | 企業代理店・ブローカーなど |
| その他 | 15.6% | 企業向けの各種保険 |
2025年度の従業員1人あたり元受正味保険料は178,185千円です。1人でおよそ1億7,800万円の保険料を扱う計算になり、社員が個人で売り切れる規模ではないことが数字からも分かります。
企業保険と自動車保険で顧客が違うという話は、この構成比の裏返しです。同じ会社の営業でも、法人の決裁者と向き合う仕事と、販売現場の運用を整える仕事に分かれます。
代理店支援という仕事の中身
代理店支援は、募集人の教育、商品説明の同行、販売実績の分析、事務手続きの指導、コンプライアンスの点検まで含みます。
立場としては取引先でありながら、監督する側でもあります。数字を伸ばしてほしい相手に対して、手続きの不備を指摘しなければならない場面が定期的に訪れます。
売ってもらう相手を律するという二重の役割が、この仕事の心理的な負荷を生みます。関係が良いほど指摘しにくくなるという構造も避けられません。
法人相手の折衝そのものの難しさについては、銀行の法人営業がきつい理由の記事でも共通する論点を扱っています。
面接では「代理店と意見が食い違ったときにどう対応しているか」を質問してみてください。支援と監督の切り替え方は各社で違い、ここに納得できるかどうかが定着の分かれ目になります。
東京海上日動の営業に向いている人と向いていない人
東京海上日動の営業に向いているかどうかは、押しの強さでは決まりません。人に動いてもらう仕事を面白いと感じられるかどうかで決まります。
ここでは公表資料から読み取れる仕事の性質をもとに、適性を2つの方向から整理します。
向いている人の特徴
自分が主役にならなくても成果を喜べる人は、この仕事と相性が良くなります。代理店の売上が伸びた結果として自分の数字が積み上がる構造だからです。
- 相手の商売を理解してから提案を組み立てられる
- 支援と監督を切り替えても関係を壊さずに話ができる
- 事務手続きや期限管理を負担ではなく仕事として扱える
- 配属や勤務地の変化を受け入れたうえでキャリアを描ける
- 専門知識を継続的に学び直すことに抵抗がない
資格の更新や商品改定への追随が続くため、学び直しを面倒だと感じない人ほど長く続きます。平均勤続年数13.1年という数字は、この性質に合う人が残った結果とも読めます。
会社は取得推奨資格のガイドラインを全社員向けに示し、オンライン講座やマイクロラーニングを提供しています(東京海上日動の現状2026 コーポレートデータ)。学ぶ環境は用意されている側です。
向いていない人の特徴
自分の手で契約を決めたい人には、もどかしさが残ります。提案が良くても、代理店が動かなければ数字にならない場面が繰り返されるためです。
成果と努力の対応関係がはっきりしないことを苦痛に感じるタイプは、同じ金融でも直販の営業のほうが向いている可能性があります。
勤務地を固定したい人も、制度の前提を確認しておく必要があります。2026年4月の改定で総合職に一本化され、転居転勤の可否は毎年自分で選択する形になりました。
同意しなければ本拠地での勤務が続きますが、その選択が評価や配置にどう影響するかは、入社前に確認しておきたい点です。



向き不向きは能力の差ではなく、仕事の構造との相性の問題です。直販か間接販売かという軸で自分の適性を見ると、判断しやすくなります。
保険や金融の営業は、契約者と直接向き合う直販型と、代理店を介する間接販売型で必要な力が違います。自分がどちらで成果を出せたかを過去の経験から振り返ると、東京海上日動との相性が見えてきます。
東京海上日動の営業がきついと感じたときの対処法


きついと感じた段階でいきなり退職を選ぶ必要はありません。東京海上日動には社内で環境を変える制度が複数あり、先にそちらを当たるほうが選択肢は広がります。
ここでは社内での異動、働く場所の選び直し、社外への転職という3つの順で整理します。
社内公募と社内副業の制度を使う
東京海上日動には、希望する職務に応募して異動が実現すればその職務に就けるJOBリクエスト制度があります。2025年度の応募件数は約1,300件と公表されています(東京海上日動の現状2026 コーポレートデータ)。
所属部署の仕事を担いながら他部署のプロジェクトに参画できるプロジェクトリクエスト制度もあります。異動の前に別の仕事を試せる仕組みです。
社内起業制度や社外副業の容認もあり、いまの職務だけがキャリアの全部ではない設計になっています。
部門が合わないのか、会社が合わないのかを切り分けないまま辞めると、転職先で同じ問題に当たります。まずは社内で別の職務を試す価値があります。
本拠地と転居転勤の選択を見直す
働く場所の負担が大きい場合は、人事制度の枠組みで調整できる余地があります。新制度では本拠地を設定したうえで、転居転勤に同意するかどうかを毎年選択します。
同意する場合も「国の内外を問わない」か「本拠地を含む一定地域内」を選べます。一定地域内とは、たとえば本拠地が広島県内なら中国・四国エリア内を指します(東京海上日動 新人事制度の導入について)。
実際に転居転勤した社員には転居転勤サポート手当が支給されます。新卒の初任給で見ると、転居転勤がない場合は全国共通で月額約29万円、転居転勤が実現した場合は月額約39万円から43万円とされています。
勤務地の希望は毎年出し直せるという前提を知っているかどうかで、選べる手の数が変わります。
社外の相場を確かめてから判断する
社内の手を打っても状況が変わらない場合は、外の相場を見る段階に入ります。年収900万円前後という水準は、同じ条件で転職できる先が限られることも意味します。
代理店を動かした経験、募集人の教育や監督の経験、法人の更改交渉の経験は、それぞれ別の業界で評価されます。どれを主軸に据えるかで応募先が変わります。
年代別の進め方は、30代向けの転職エージェント比較や40代向けの転職エージェント比較で整理しています。営業職全体の負荷の比較は営業がきつい業界ランキングが参考になります。
在籍中に相場を確認しておけば、いまの待遇が市場でどう評価されるかが分かります。辞めるかどうかは、そのあとで決めても遅くありません。
JOBリクエストやプロジェクトリクエストには応募の時期があります。次の募集がいつ開くかを先に確認し、それまでに職務経歴書を整えておくと、社内と社外の両方を同時に進められます。
東京海上日動の営業経験が活きる転職先


東京海上日動の営業経験は、無形商材を扱う法人営業として評価されます。特に代理店という他社の組織を動かした経験は、パートナー営業の実績として読み替えられます。
ここでは相性の良い方向を2つに整理します。
保険・金融業界での横移動
同業の損害保険会社、生命保険会社、共済、保険ブローカー、再保険仲介などは、知識をそのまま持ち込める先です。募集人資格と商品知識が即戦力の材料になります。
企業営業部門の経験者なら、企業の危険を洗い出して対策を設計する専門職への道も開けます。大企業の保険プログラムを組んだ経験は、コンサルティング寄りの職種で通用します。
金融業界全体での動き方は、業界共通の事情をまとめた記事に譲ります。年収水準の落差が出やすい移動先もあるため、条件は個別に確認してください。
事業会社と他業界の法人営業
事業会社の総務部門や危機管理部門は、保険の発注側にあたります。保険会社側の事情を知っている人材は、契約条件の交渉で強みを持ちます。
他業界であれば、SaaS、人材、広告といった無形商材の法人営業が近い領域です。商品が目に見えず、導入後の運用まで面倒を見る点が共通します。
- 同業の損害保険・生命保険・共済へ移り、商品知識をそのまま使う
- 保険ブローカーや損害保険のコンサルティング会社で提案側に回る
- 事業会社の総務・管理部門で保険の発注と管理を担当する
- SaaSや人材、広告などの無形商材を扱う法人営業に移る
- 代理店側に転じて、販売の現場で契約を担当する
この5つに共通するのは、商品そのものより相手の事業を理解する力が評価される点です。東京海上日動で身につく力はそこに集中します。
職務経歴書では「担当代理店数」「担当した保険料規模」「更改率の改善」など、代理店を介した成果を自分の言葉で言語化しておくと伝わりやすくなります。



代理店支援の経験は、社外では「パートナーセールス」や「アライアンス営業」と呼ばれる職種に近い仕事です。この言い換えを覚えておくと、求人の探し方が変わります。
自分が売った金額ではなく、担当した代理店が伸びた幅で成果を語ると、他業界の採用担当にも伝わります。何をしたから伸びたのかを1つの施策に絞って説明できるよう準備しておいてください。
東京海上日動の営業に関するよくある質問
東京海上日動の営業について、検索でよく調べられている点をまとめます。数字はすべて公表資料にもとづいています。
東京海上日動の営業はノルマが厳しいですか
会社として具体的なノルマの数値は公表していないため、厳しさを数字で示すことはできません。確認できるのは、営業目標の立て方が行政の指摘を受けた事実です。
2023年12月26日、金融庁は大手損害保険会社4社に対し保険業法第132条第1項にもとづく業務改善命令を発出しました。命令には不適切な行為のインセンティブとならない営業目標の策定を含む方策の策定が盛り込まれています(金融庁 大手損害保険会社に対する行政処分について)。
目標設定のあり方そのものが改善対象に挙げられた形です。現在の運用がどうなっているかは、面接で直接確認するのが確実です。
東京海上日動はなぜ行政処分を受けたのですか
公表されている行政処分は2件あります。いずれも保険業法第132条第1項にもとづく業務改善命令です。
1件目は2023年12月26日で、企業保険分野の保険料調整行為に関するものです。2件目は2025年3月24日で、個人情報保護法および不正競争防止法に抵触するおそれがある行為と、その背景にある態勢上の問題が理由とされています(金融庁 東京海上日動火災保険株式会社に対する行政処分について)。
東京海上日動は2025年5月9日に業務改善計画書を金融庁へ提出したと有価証券報告書に記載しています。2024年10月31日には、公正取引委員会が損害保険会社4社と損害保険代理店1社に対し、独占禁止法にもとづく排除措置命令および課徴金納付命令を行ったと公表しています(公正取引委員会 損害保険会社らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について)。
情報漏えい事案ではどのような数字が公表されていますか
金融庁の公表文書に具体的な件数が記載されています。代理店事案では401の代理店において、保険契約者等にかかる個人データの漏えい等が1,004,861件確認されたとされています。
出向者事案では、出向者110人による顧客情報の漏えい等120,101件が確認されました。いずれも2014年度以前から2024年度まで継続して確認されたと公表されています(金融庁 公表文書)。
公表文書では、出向者が出向元部署により人事評価され、自社の業績への貢献を求められていた点が背景として挙げられています。営業の評価の仕組みが事案の要因として整理された形です。
東京海上日動の採用は増えていますか
新卒採用は年度によって幅があります。2024年度は661名、2025年度は456名、2026年度は568名でした。2026年度からは採用職種が総合職のみになっています。
キャリア採用も拡大しています。採用者全体に占めるキャリア採用の比率は、2023年度26%、2024年度25%、2025年度37%と推移しました(東京海上日動の現状2026 コーポレートデータ)。
2025年度のキャリア採用者数は265名です。中途で入る道は開かれていると言えます。
東京海上日動の営業は激務ですか
口コミ集計の月29.3時間という残業水準は、大手企業の営業職として突出して長いわけではありません。平均勤続年数13.1年という数字も、人が短期で抜ける職場ではないことを示しています。
ただし有給休暇消化率は58.4%にとどまり、自分の都合だけで予定を組みにくい側面があります。繁忙期の集中度は配属部門で差が出ます。
激務かどうかを一言で判断するより、時間の長さと予定の主導権を分けて確認するほうが実態に近づきます。
行政処分や人事制度の改定は公表済みの事実です。改善計画がいまの営業現場にどう反映されているかを質問すれば、企業研究の深さも同時に伝わります。
東京海上日動の営業がきつい理由のまとめ
東京海上日動の営業がきついと言われる中心は、労働時間ではなく代理店を通じた間接販売という構造にあります。国内代理店36,739店に対し社員は16,064人で、社員の仕事は販売ではなく支援と監督に寄ります。
年収は有価証券報告書の平均年間給与で9,059,913円、平均年齢42.6歳です。持株会社である東京海上ホールディングスの14,871,103円は在籍1,339人の別法人の数字なので、混同しないでください。
働き方は口コミ集計で残業月29.3時間、有給消化率58.4%です。時間は長くない一方、代理店の都合に予定が左右される点が負担として語られます。
営業部門は企業営業・地域営業・自動車営業の3つに分かれ、担当する顧客も商談の型も別物です。正味収入保険料の47.5%を自動車が占める構成も、仕事の中身に直結します。
きついと感じたら、JOBリクエストや本拠地の選び直しといった社内の制度を先に当たり、そのうえで社外の相場を確かめてください。代理店を動かした経験は、パートナー営業の実績として社外でも通用します。









