LIXILの営業がきついと言われる理由は、個人ノルマの厳しさより先に市場そのものにあります。2025年度の新設住宅着工戸数は71万1171戸で前年度比12.9%減となり、住宅設備と建材の需要が土台から縮んでいます。
株式会社LIXILの平均年間給与は7,296,288円、平均年齢46.2歳です。一方で社員口コミの営業職平均は596万円で、同じ会社の数字でも出典によって130万円以上ずれます。
この記事では有価証券報告書と国土交通省の統計、公式採用サイト、社員口コミの公開値だけを使い、きつさの構造、年収の実態、働き方、営業職の種類、向いている人の特徴、転職先の選択肢を順に整理します。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起LIXILの営業は、外回りの量より「自分の努力の外側で数字が決まる部分」が大きい仕事です。そこを理解せずに入ると、きつさの原因を自分の力不足だと誤解しやすくなります。
LIXILの営業がきついと言われる理由


LIXILの営業がきついと語られる背景は、大きく4つに分けられます。市場の縮小、利益率の薄さ、代理店を経由する販売構造、そして担当商材の組み替えです。
いずれも個人の努力で動かせる範囲の外側にある要因です。そこが他業界の営業職との違いになります。
新設住宅着工の減少
国土交通省の建築着工統計調査報告によると、2025年度の新設住宅着工戸数は711,171戸で、前年度比12.9%の減少でした。持家は195,111戸で12.6%減、貸家は308,906戸で13.5%減、分譲住宅は200,563戸で12.6%減です(国土交通省 建築着工統計調査報告 令和7年度計分)。
なかでも分譲マンションは82,881戸で21.2%減と落ち込みが大きく、水回り設備やサッシをまとめて採用する案件が一段と減りました。
新築に付く商材は、着工が減ればそのまま販売機会が減ります。営業が何件訪問しても、そもそも建つ家の数が前年より1割以上少ないという前提は変わりません。
LIXILの有価証券報告書でも、新設住宅着工件数が前年比12.9%減と大きく落ち込んだことが厳しい事業環境として明記されています(株式会社LIXIL 2026年3月期 有価証券報告書)。
同じ報告書の事業等の課題では、日本国内の人口減少に伴う着工戸数減少の予想を踏まえ、中高級品市場への拡販とリフォーム戦略の強化を進めると書かれています。新築で取れない分をリフォームと単価で取りに行くという方針が、現場の提案内容にそのまま降りてきます。
事業利益率2.5%という薄さ
2026年3月期の連結売上収益は1兆5,107億円です。これに対する事業利益は385億円で、事業利益率は2.5%にとどまります。
前期の2.1%からは改善していますが、会社が掲げる長期目標は事業利益率10%です。目標と実績の間に4倍の開きがあるため、値引きの一本一本に対する社内の目線は厳しくなります。
| 区分 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆5,046億円 | 1兆5,107億円 |
| 事業利益 | 313億円 | 385億円 |
| 事業利益率 | 2.1% | 2.5% |
| 税引前利益 | 201億円 | 157億円 |
| 親会社帰属当期利益 | 20億円 | 81億円 |
売上は1兆円規模でも、最終的に残る利益は81億円です。売上の0.5%強しか手元に残らない構造のなかで、原材料費や物流費の上昇分を価格に転嫁する交渉が営業に求められます。
出典はいずれも2026年3月期の有価証券報告書です(株式会社LIXIL 有価証券報告書・半期報告書)。
売り先が施主ではなく代理店
住宅設備と建材の営業は、家を建てる人に直接売る仕事ではありません。有価証券報告書の収益認識の記載では、直接の顧客は販売店と代理店であると明示されています。
つまり営業の相手は店であって個人ではありません。商品の良さを施主に説明して決めてもらうのではなく、代理店や工務店に「LIXILの商品を提案してもらう状態」を作るのが仕事になります。
- 自社の提案が採用されるかどうかは、最終的に代理店の担当者と施主の会話で決まる
- 競合商品との比較は、自分がいない場所で行われることが多い
- 取引条件や在庫、納期の調整といった商談以外の実務が業務時間を占める
この構造は、成約までの因果関係を自分で追いきれないという難しさを生みます。売れなかった理由が自分の提案なのか、代理店側の都合なのか、判別できない場面が出てきます。
有価証券報告書の政策保有株式の欄を見ると、上場株式40銘柄で254億円を保有しており、その保有理由の多くが「日本全国に展開する流通代理店であり、関係の維持・強化目的」と記載されています。株式を持ってまで関係を維持する相手が営業の担当先だということです。
業界に共通する間接販売の難しさそのものはメーカー営業がきつい理由の記事とルート営業の記事で扱っているため、ここではLIXIL固有の部分に絞ります。
報告セグメントの3区分への再編
2026年3月期から、LIXILは報告セグメントを2区分から3区分に変更しました。従来のウォーターテクノロジー事業とハウジングテクノロジー事業に加え、リビング事業が新設されています。
具体的には、ウォーターテクノロジー事業にあったキッチン・洗面事業と、ハウジングテクノロジー事業にあったインテリア事業が切り出され、リビング事業として統合されました。
| セグメント | 主な商材 | 2026年3月期売上収益 | 事業利益率 |
|---|---|---|---|
| ウォーターテクノロジー | 衛生機器、水栓金具、浴槽、タイル建材 | 8,110億円 | 5.6% |
| ハウジングテクノロジー | サッシ、玄関ドア、シャッター、エクステリア | 5,256億円 | 5.1% |
| リビング | システムキッチン、洗面化粧台、室内ドア、床材 | 2,075億円 | 3.8% |
営業にとってこの再編は、担当商材と所属組織が変わりうるという意味を持ちます。キッチンと洗面を扱っていた人は水回りの枠から離れ、インテリア建材と同じ事業のなかで数字を見られるようになりました。
新設されたリビング事業は3事業のなかで最も利益率が低く、3.8%です。利益率の低い事業に配属されると、同じ売上を作っても評価に結びつきにくい局面が出てきます。
LIXILのきつさは市場要因、構造要因、組織要因の3つに分かれます。着工戸数の減少は市場、代理店経由の販売は構造、セグメント再編は組織の話です。自分がしんどいのはどれなのかを言語化すると、社内異動で済む話なのか転職が必要な話なのかの判断が早くなります。
LIXILの営業の年収


株式会社LIXILは東証プライムと名証プレミアに上場しているため、有価証券報告書で平均年間給与が開示されています。2026年3月期の平均年間給与は7,296,288円です。
ただしこれは全社員の平均であり、営業職だけの数字ではありません。両方を並べて見るのが実態に近くなります。
有価証券報告書の平均年間給与
2026年3月期の有価証券報告書によると、提出会社である株式会社LIXILの従業員数は15,128人、平均年齢46.2歳、平均勤続年数20.3年、平均年間給与は7,296,288円です。前事業年度からの増減率はプラス2.9%でした。
平均年間給与には賞与と基準外賃金が含まれます。国税庁の調査による給与所得者全体の平均給与478万円、正社員に限った545万円と比べると、約730万円は高い水準にあたります(国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査)。
| 区分 | 平均年収 |
|---|---|
| 株式会社LIXIL 有価証券報告書 | 729万円 |
| LIXIL 社員口コミの全社平均 | 610万円 |
| LIXIL 社員口コミの営業職平均 | 596万円 |
| 正社員の平均 | 545万円 |
| 給与所得者全体の平均 | 478万円 |
注意したいのは平均年齢です。有価証券報告書の46.2歳に対し、口コミ回答者の平均年齢は34歳でした。12歳分の年齢差がそのまま金額差に効いています。
厚生労働省の調査では、所定内給与額の平均は45歳から49歳で37.8万円、30歳から34歳で31.2万円です(厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査)。年齢構成の違いを差し引いて読む必要があります。
口コミベースの営業職の年収
社員口コミの集計では、LIXILの営業職の平均年収は596万円です。回答者は240人、年収の範囲は300万円から1300万円と報告されています(OpenWork LIXILの年収・給与制度)。
全社の平均は610万円で、正社員670人が回答しています。営業職は全社平均をわずかに下回る位置にあり、社内で特別に高い職種ではありません。
| 職種 | 回答者数 | 平均年収 | 年収レンジ |
|---|---|---|---|
| スタッフ | 8人 | 762万円 | 660万円から900万円 |
| 企画 | 29人 | 677万円 | 400万円から1200万円 |
| エンジニア・SE | 22人 | 672万円 | 350万円から1050万円 |
| 管理 | 51人 | 612万円 | 400万円から1200万円 |
| 営業 | 240人 | 596万円 | 300万円から1300万円 |
| 技術 | 30人 | 590万円 | 310万円から1250万円 |
| 設計 | 21人 | 529万円 | 352万円から900万円 |
| 製造 | 33人 | 522万円 | 300万円から800万円 |
営業の回答者数240人は全職種で最多です。レンジの下限300万円と上限1300万円の間に4倍以上の開きがあり、等級と役職でどこに位置するかが金額を決めています。
同じ集計では、住宅設備と建材とエクステリアの業界平均年収は508万円とされています。業界のなかでは上位に入る一方で、社内では職種による差が明確に出る構図です。
勤務地限定社員制度の廃止と報酬の考え方
2026年3月期の有価証券報告書には、報酬制度の変更が明記されています。勤務地限定社員制度、つまり地域別賃金の仕組みが、管理職は2022年4月1日に、一般社員も2026年4月1日をもって廃止されました。
会社はこの狙いを、将来的な転勤の可能性や勤務する地域による賃金差をなくし、職務と職責に応じた実力主義の報酬体系を目指すためだと説明しています。地域を限定して働く選択肢がなくなったという読み方もできます。
同じ報告書では、男女の賃金の差異が62.7%であること、その主な要因が等級と勤務地限定社員制度にあることも開示されています。職位別の平均基本給で見ると男女差は90%を超える水準まで縮まるとされています。
管理職については2022年4月に職務等級制度へ移行し、業績連動賞与が採用されました。一般社員は資格と行動評価で基本給の昇給額が決まり、賞与は会社業績に個人評価を加味して決定されます。
つまり営業個人の売上がそのまま歩合として跳ねる仕組みではありません。会社業績と等級が土台にあり、個人の成果はその上に乗る形です。
LIXILの報酬は職務等級が土台になっています。求人票に500万円から800万円と書かれていても、提示される等級によって着地はほぼ決まります。面接の終盤で、想定しているグレードと、そのグレードの標準的な賞与月数を確認しておくと、入社後のずれを防げます。



平均729万円という有価証券報告書の数字は平均年齢46.2歳の人たちの平均です。30代で転職する場合の現実的な目安は、口コミの営業職596万円のほうに近いと考えておくほうが安全です。
LIXILの労働時間と働き方の実態


公開されている数字を見る限り、LIXILは労働時間で消耗するタイプの職場ではありません。ただし評価項目のスコアには、はっきりした偏りが出ています。
残業は月19.9時間、有給消化率は61.1%
社員口コミの集計によると、LIXILの月間平均残業時間は19.9時間、有給休暇消化率は61.1%です。回答者は1,267人で、総合評価は3.30と報告されています(OpenWork 株式会社LIXILの社員クチコミ)。
月19.9時間は1営業日あたり1時間前後にあたります。残業時間だけを見れば、住宅業界のなかではむしろ短い部類です。
有給消化率61.1%は、取りやすくも取りにくくもない中位の水準です。担当代理店の都合に合わせる仕事のため、休みの取り方は自分の裁量だけでは決まりません。
評価8項目に出るスコアの偏り
同じ口コミ集計では、8つの評価項目のスコアが公開されています。法令順守意識が4.5と突出して高い一方で、社員の士気は2.7と最も低くなっています。
| 評価項目 | スコア |
|---|---|
| 法令順守意識 | 4.5 |
| 風通しの良さ | 3.7 |
| 社員の相互尊重 | 3.3 |
| 待遇面の満足度 | 3.0 |
| 人事評価の適正感 | 3.0 |
| 20代成長環境 | 2.8 |
| 人材の長期育成 | 2.8 |
| 社員の士気 | 2.7 |
| 総合評価 | 3.30 |
この並びが示すのは、制度やコンプライアンスは整っているが、現場の熱量と育成に課題が残るという状態です。労働時間が長くて辛いのではなく、頑張りが報われる実感を持ちにくいという種類のきつさになります。
20代成長環境2.8と人材の長期育成2.8がそろって低いことも特徴です。若手が自分で機会を取りに行かないと、任される範囲が広がりにくい環境だと読めます。
営業所の1日の流れ
公式の採用サイトには、営業所勤務の社員の1日のスケジュールが公開されています。入社5年目のウォーターテクノロジー鹿児島営業所の例では、8時30分始業、18時30分終業です(LIXIL採用サイト 職種を知る 販売)。
- 9時から事務処理。メールチェック、問い合わせ応対、見積作成、社内業務
- 10時から流通店と専門商社を訪問。商品提案、価格の交渉、お客様との建築会社同行
- 17時に営業所へ戻り、事務処理と資料作成、日報入力
- 18時30分に終業
もうひとつのハウジングテクノロジー神奈川インテリア営業所の例では、8時30分始業で19時終業、午前中に1か所から2か所を訪問し、13時からは勉強会または定期訪問という流れになっています。訪問件数を1日1件から2件に絞る代わりに、1件あたりの密度を高める動き方です。
どちらの例でも、日中の外回りと事務所での見積や日報の処理が半々に近い構成になっています。訪問数を競う仕事ではないぶん、提案書や見積の精度で差が出ます。
なお神奈川の例にはフレックスタイムがあるので比較的自由に仕事ができるという注記が添えられています。制度の整備は口コミの法令順守意識4.5とも整合しています。
LIXILの営業は所属する営業所と担当する事業で日々の動き方が変わります。流通店中心の営業所とインテリア中心の営業所では、訪問頻度も1日の組み立ても別物です。選考の場で、どの事業のどの営業所を想定しているかを聞いておくと、入社後の想像がつきやすくなります。



残業19.9時間という数字を見て「楽そう」と判断するのは早いです。士気2.7と育成2.8のほうが、実際に辞める理由として語られやすい項目になります。
LIXILの営業職の種類と商材の特徴


LIXILの営業はひとくくりにできません。公式の採用サイトでは、販売の職種として3つの営業が示されています。
担当先が違えば、必要な力も評価のされ方も変わります。
ルート、特需、ビルの3分類
採用サイトの記載では、ルートセールスは流通店、リフォーム店、工務店、燃料店などに対して製品やサービスを営業します。特需セールスはハウスメーカーやホームビルダーが相手です。ビルセールスはゼネコンに対してビル用サッシと店舗用サッシを扱います。
| 職種 | 主な担当先 | 商談の性格 |
|---|---|---|
| ルートセールス | 流通店、リフォーム店、工務店、燃料店 | 既存取引の維持と拡大が中心 |
| 特需セールス | ハウスメーカー、ホームビルダー | 標準採用を取りに行く大口の交渉 |
| ビルセールス | ゼネコン | 非住宅案件で図面と工期に合わせる提案 |
採用サイトには扱う商材や販売先が異なるという注記が添えられています。同じLIXILの営業でも、転職市場で評価される経験は3つで別物になります。
ルートセールスは訪問先が固定されるぶん、関係が切れたときの打撃が大きくなります。既存取引を回す営業の一般的な難しさはルート営業の記事に譲り、ここでは触れません。
特需セールスは1件の採用が数年分の売上を左右します。ハウスメーカー側の事情に踏み込む必要があり、住宅業界の商習慣を理解していることが前提になります。この領域の全体像はハウスメーカー営業の記事が詳しく扱っています。
ビルセールスは新設住宅着工の減少の影響を受けにくい一方、ゼネコンの工期と設計変更に振り回されます。建設業側の商習慣については建設業の営業の記事を参照してください。
ショールームとの役割分担
LIXILの営業は施主と直接商談しません。その役割を担うのがショールームです。
全国のLIXILショールームを運営しているのは、株式会社LIXIL Advanced Showroomという別会社です。設立は2013年9月20日、資本金1億円、社員数は1,387人で、株主は株式会社LIXILとアデコ株式会社です(株式会社LIXIL Advanced Showroom 会社情報)。
つまり施主への提案と接客は別法人の専門職が担い、LIXILの営業は事業者向けの商流を担当するという分業になっています。カタログを持って個人宅を回る仕事ではありません。
この分業は、施主の反応が営業に直接届きにくいことも意味します。提案が刺さったかどうかの手応えを自分で確かめにくい点は、成果実感の薄さにつながります。
3事業で異なる商材と顧客層
2026年3月期の連結売上収益1兆5,107億円は、3つの事業に分かれています。ウォーターテクノロジー事業が8,110億円、ハウジングテクノロジー事業が5,256億円、リビング事業が2,075億円です。
単体の従業員配置を見ると、ハウジングテクノロジー事業が7,220人で最多、ウォーターテクノロジー事業が4,603人、リビング事業が1,980人です。売上はウォーターが最大でも、人はハウジングに厚く置かれているという構図になります。
地域別では、日本が9,836億円、欧州が1,839億円、アジアが1,785億円、北米が1,483億円です。海外比率は約35%で、GROHEを中核とする欧州事業が成長のけん引役と位置づけられています。
国内営業として入る場合、自分の数字は日本の9,836億円のなかにあります。海外の成長が全社の業績を支える局面では、国内の営業目標が売上の伸びより利益率の改善に置かれやすくなります。
ルートは流通と商社、特需はハウスメーカーとその協力会社、ビルはゼネコンと非住宅の建材という具合に、転職時に評価してくれる相手が分かれます。入社時にどの職種に就くかは、5年後に選べる転職先の幅をほぼ決めます。配属希望は最初の面談で明確に伝えておいてください。
LIXILの営業に向いている人と向いていない人
ここまでの構造を踏まえると、向き不向きははっきり分かれます。数字の作り方と、成果が出るまでの時間感覚の2点が判断軸になります。
向いている人の特徴
LIXILの営業に向いているのは、自分が売るのではなく、売ってもらう仕組みを作ることに面白さを感じる人です。直接の顧客は販売店と代理店なので、相手の商売が回る形を設計できる人が成果を出します。
- 取引先の担当者と長期の関係を作るのが苦にならない
- 見積や納期調整といった地味な実務を正確にこなせる
- 1兆円規模の会社の一部として動くことに納得できる
- 成果が出るまでに半年から1年かかる仕事を待てる
- 価格交渉で相手の利益構造まで踏まえて話せる
この5つに共通するのは、短期の達成感より積み上げの手応えを大事にできるかどうかです。四半期ごとに派手に数字が動く仕事ではありません。
平均勤続年数20.3年という数字も、そうした働き方の裏づけになります。長く勤める人が多い会社であり、転職が前提の環境ではありません。
向いていない人の特徴
逆に向いていないのは、成果と報酬の距離が近い環境を求める人です。LIXILの報酬は職務等級と会社業績が土台にあり、個人の売上がそのまま歩合に変わる仕組みではありません。
- 自分の売上がその月の給与に反映される働き方を望む
- 20代のうちに裁量の大きい仕事を任されたい
- 施主と直接向き合って感謝される仕事がしたい
- 勤務地を限定して働き続けたい
- 組織の再編や担当商材の変更を受け入れにくい
とくに勤務地の条件は無視できません。勤務地限定社員制度は2026年4月1日をもって一般社員も含めて廃止されており、地域を固定して働く選択肢は制度として存在しなくなりました。
施主と向き合いたい人は、ショールームの運営会社や、リフォーム会社の営業のほうが合います。個人宅への提案が中心の働き方についてはリフォーム営業の記事で整理しています。
LIXILが合わないのではなく、ルートセールスという職種が合っていないだけという場合があります。特需やビルに移れば商談の質は大きく変わります。辞める判断をする前に、社内の他職種の求人票を読み、そこに書かれた仕事内容と自分の希望を突き合わせてみてください。
LIXILの営業がきついと感じたときの対処法


きついと感じたとき、いきなり退職を考える必要はありません。動かせる変数は3つあります。
担当チャネルを変える
最初に検討したいのは、同じ会社のなかで担当先を変えることです。ルートセールスから特需セールスやビルセールスへ移ると、訪問の型も商談の長さもまったく別の仕事になります。
ルートで既存取引の維持に疲れた人が、特需で大口の採用を取りに行く役割に移って息を吹き返す例があります。逆に、大口交渉の重さが合わずルートに戻る人もいます。
社内公募や上長との面談の場で、なぜ変えたいのかを担当先の性質の違いで説明できると話が通りやすくなります。「きついから」ではなく「この商談の型のほうが自分の成果が出る」と伝えるのが要点です。
商材の軸を変える
もうひとつは事業をまたぐ動き方です。ウォーターテクノロジー、ハウジングテクノロジー、リビングの3事業では、顧客層も単価も提案の中身も異なります。
2026年3月期のセグメント再編でキッチンと洗面がリビング事業に移ったように、会社の側も商材の組み替えを続けています。組織が動くタイミングは、自分の希望を通しやすい機会でもあります。
事業利益率はウォーターが5.6%、ハウジングが5.1%、リビングが3.8%です。利益率の高い事業のほうが投資も採用も厚くなりやすいという傾向は、異動を考えるときの判断材料になります。
外の市場で自分の値段を確かめる
社内で動かせる余地がないと感じたら、外部の相場を確認します。口コミの営業職平均596万円、有価証券報告書の平均729万円という2つの数字と、自分の現在の年収を並べてみてください。
同じ経験で他社がいくら出すのかは、求人票を見ないと分かりません。応募するかどうかは後から決めればよく、まず情報を集める段階と割り切って構いません。
年代によって評価のされ方は変わります。30代の動き方は30代におすすめの転職エージェントの記事、40代以降は40代におすすめの転職エージェントの記事にまとめています。
平均年齢46.2歳という社内環境に慣れていると、外の市場のスピード感を見誤ることがあります。相場を知るだけでも、社内に残る判断に確信が持てるようになります。
LIXILは単体で15,128人、連結で48,073人が在籍する規模の会社です。事業も営業職種も複数あるため、社内で環境を変えられる余地は小さくありません。転職活動を始める前に、社内公募の有無と直近の異動実績を上長に確認しておくと、比較の材料が増えます。



社内で動くか外に出るかは、年収より「誰を相手に働きたいか」で決めるほうが後悔が少ないです。代理店が相手なのか、施主が相手なのか、ゼネコンが相手なのかで日々の充実度は変わります。
LIXILの営業経験が活きる転職先


LIXILの営業で身につくのは、代理店と工務店を動かして商品を採用してもらう力です。この経験は商流が似た業界ほど高く評価されます。
住宅設備と建材、専門商社
最も近いのは同業の住宅設備メーカーと建材メーカーです。担当していた流通店や工務店がそのまま顧客になるため、入社直後から立ち上がりやすくなります。
メーカーの取引先である専門商社や流通も選択肢に入ります。メーカー側の販売政策や価格の決まり方を知っている人材は、商社側から見ると交渉の勘所を持つ即戦力です。
ただし業界全体が新設住宅着工の減少の影響を受けている点は変わりません。2025年度の着工戸数は711,171戸で前年度比12.9%減であり、同業に移っても市場の縮小からは逃れられません。
リフォームと非住宅の成長領域
新築が縮むなかで需要が残るのは、既存住宅の改修と非住宅の建材です。LIXIL自身も、リフォーム事業へのシフトと中高級品市場への拡販を方針として掲げています。
リフォーム会社や改修専門の施工会社では、水回りと窓の両方の商品知識を持つ人材が重宝されます。3事業の商材をまたいで提案できることが強みになる場面です。
非住宅ではビルサッシやカーテンウォールの知見が活きます。ゼネコンや設計事務所を相手にする働き方の実情は建設業の営業の記事で扱っています。
なお、メーカーの営業から他業界へ移る場合の評価のされ方はメーカー営業の記事で整理しているため、そちらも併せて確認してください。
LIXILの営業経験を伝えるとき、訪問件数より「担当した代理店の年商規模」と「自社商品の採用比率をどう変えたか」を書くほうが刺さります。売り先が事業者である仕事は、相手の商売にどう貢献したかで評価されます。数字が出せない場合は、取引条件の見直しや在庫回転の改善など、相手側のメリットで表現してください。
LIXILの営業に関するよくある質問
選考の場でよく聞かれる疑問を、公開されている情報の範囲で整理します。
LIXILの営業にノルマはありますか
売上計画にもとづく目標は設定されます。ただし個人の売上がそのまま歩合になる仕組みではなく、報酬は職務等級と会社業績を土台に決まります。
有価証券報告書によれば、管理職は2022年4月に導入された職務等級制度に対応した業績連動賞与、一般社員は資格と行動評価による昇給と、会社業績に個人評価を加味した賞与という設計です。未達がただちに給与の激減に直結する構造ではありません。
一方で、事業利益率2.5%という薄い利益構造のもとでは、値引きの判断に社内の目が厳しくなります。数字の追われ方は金額そのものより利益の質に向きやすいと考えておいてください。
LIXILの営業は土日に休めますか
口コミの集計では月間平均残業19.9時間、有給消化率61.1%です。数字だけを見れば休みが取りにくい職場ではありません。
ただし担当先は流通店やリフォーム店で、これらの店舗は土日に催事を行います。担当先のイベントに合わせて休日に動く場面があるという声は複数あります。
公式の採用サイトに掲載されている1日のスケジュールは8時30分始業で18時30分または19時終業です。平日の拘束時間は標準的で、変動が出るのは担当先の行事と理解しておくとずれが小さくなります。
LIXILの営業は未経験から転職できますか
中途採用の営業職では、法人営業または個人営業の実務経験が求められる求人が中心です。業界そのものが未経験でも、営業経験があれば応募できる募集は存在します。
扱う商材はサッシ、ドア、キッチン、トイレ、タイルなど多岐にわたります。商品知識は入社後に覚える前提で、代理店との関係構築ができるかどうかが見られます。
普通自動車免許が必要な求人が多い点も押さえておいてください。営業所を起点に車で担当先を回る働き方が基本になります。
LIXILの営業に転勤はありますか
あります。勤務地限定社員制度、つまり地域別賃金の仕組みは、管理職では2022年4月1日に、一般社員でも2026年4月1日をもって廃止されました。
有価証券報告書には、これにより将来的な転勤の可能性や勤務する地域による賃金差をなくし、職務と職責に応じた実力主義の報酬体系を目指すと記載されています。地域を限定して働く制度は存在しません。
全国に営業所があり、担当エリアの再編も起こります。勤務地を固定したい事情がある場合は、選考の段階で正直に伝えて条件を確認しておくほうが安全です。
LIXILとLIXILグループは同じ会社ですか
上場している法人としては同じ会社です。有価証券報告書の沿革によると、2020年12月に持株会社だった株式会社LIXILグループが、連結子会社だった株式会社LIXILを吸収合併し、商号を株式会社LIXILへ変更して純粋持株会社から事業会社へ移行しました。
さらにさかのぼると、2011年4月にトステム株式会社が株式会社INAX、新日軽株式会社、東洋エクステリア株式会社ほか1社を吸収合併し、株式会社LIXILへ商号変更しています。会社自身も2011年に国内の主要な建材・設備機器メーカー5社が統合して誕生したと説明しており、古い口コミや記事は統合前の別法人を指している場合があります。
証券コードは5938、上場先は東証プライム市場と名証プレミア市場です。本社は東京都品川区西品川の大崎ガーデンタワーにあります(株式会社LIXIL 会社情報)。


LIXILは統合と組織再編を繰り返してきた会社です。旧トステム系と旧INAX系で文化が違うという話や、セグメント再編前の部署名が出てくる口コミは、いまの組織と対応しないことがあります。投稿日が3年以上前のものは参考程度にとどめ、直近2年の内容を優先して読んでください。
まとめ
LIXILの営業がきついと言われる理由は、労働時間ではなく市場と構造にあります。2025年度の新設住宅着工戸数は711,171戸で前年度比12.9%減となり、新築に付く商材の販売機会そのものが縮みました。
売上1兆5,107億円に対して事業利益は385億円、事業利益率は2.5%です。会社が掲げる長期目標10%との開きが、価格交渉の厳しさとして現場に降りてきます。
直接の顧客は販売店と代理店であり、施主ではありません。施主への提案は別会社が運営するショールームが担うため、自分の提案が刺さった手応えを確かめにくい構造になっています。
年収は有価証券報告書の平均年間給与が7,296,288円、口コミの営業職平均が596万円です。平均年齢が46.2歳と34歳で異なるため、どちらの数字を自分の目安にするかは年齢で判断してください。
残業は月19.9時間、有給消化率61.1%と時間の負荷は重くありません。きついと感じる原因が時間なのか、成果実感なのか、勤務地の制約なのかを切り分ければ、社内異動で解決するのか転職が必要なのかが見えてきます。









