ベンツの営業がきついと言われる理由を調べるとき、最初に整理しておきたいことがあります。「ベンツ」と呼ばれる会社は日本に1つではありません。
ドイツのメルセデス・ベンツ グループ社、日本で車を輸入するメルセデス・ベンツ日本合同会社、そして実際に店頭で車を売る正規販売店。この3つはすべて別の法人です。正規販売拠点は全国に198拠点あり、その運営はヤナセやシュテルン各社など複数の会社に分かれています(メルセデス・ベンツ日本 会社概要)。
この記事では、公開されている公式情報と口コミの集計値だけを使い、3つの層のどこに何の数字があるのかを分けたうえで、年収、労働時間、商材の特徴、向き不向き、きついと感じたときの選択肢を整理します。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起求人を見るときは、募集している会社の正式名称を必ず確認してください。「メルセデス・ベンツ◯◯」という店名でも、雇用主はまったく別の会社であることがほとんどです。
ベンツの営業がきついと言われる理由


ベンツの営業のきつさは、長時間労働そのものよりも、輸入車を売るという事業構造から生まれています。在庫、価格、車種の幅、そして会社の分かれ方。この4つを順に見ていきます。
輸入元と正規販売店の違い
メルセデス・ベンツ日本合同会社は、欧州で生産された車を日本に輸入し、正規販売店へ供給する立場の会社です。事業内容は自動車とその関連製品の輸入・販売およびサービスと公表されており、従業員数は約315名にとどまります(メルセデス・ベンツ日本 会社概要)。
約315名という人数は、全国198拠点の店頭を回せる規模ではありません。つまり、店頭でお客様に車を売る「ベンツの営業」は、輸入元の社員ではないということです。
正規販売店を運営しているのは、ヤナセ、シュテルン各社、SGC系、地場資本の販売会社など、複数の別法人です。同じ看板を掲げていても、給与制度も評価制度も休日日数も会社ごとに異なります。
この構造を知らないまま「ベンツの営業はきついらしい」という情報を読むと、どの会社の話なのかが分からないまま判断することになります。きついと感じている人が輸入元の社員なのか、販売店の営業なのかで、原因はまったく別物です。
| 層 | 法人 | 役割 |
|---|---|---|
| ドイツ本社 | メルセデス・ベンツ グループ社 | 車両の開発と生産 |
| 日本の輸入元 | メルセデス・ベンツ日本合同会社 | 輸入と卸、ブランド運営 |
| 店頭 | 正規販売店を運営する各社 | 新車と認定中古車の販売 |
なお、ダイムラー社は2022年2月1日にメルセデス・ベンツ グループ社へ社名変更しています。ドイツ本社の業績や人員の話は、日本で車を売る営業の待遇とは直接つながりません。
本国からの割り当てで動く在庫
輸入車ディーラーの営業が国産ディーラーと決定的に違うのは、売る車を国内で増やせない点にあります。車両は欧州の工場で生産され、船で日本に運ばれてきます。
国内メーカーであれば、人気車種が想定以上に売れたときに生産計画を組み替える余地があります。輸入車の場合、日本に入ってくる台数は本国の生産と割り当てに左右されるため、店頭の営業が納期を自力で詰めることはできません。
お客様から「いつ納車されますか」と聞かれても、答えられる範囲には限界があります。契約をいただいた後に待っていただく期間が長くなりやすく、その間の関係維持が仕事の一部になります。
在庫の持ち方も特徴的です。メルセデス・ベンツ・ファイナンス株式会社の事業内容には、リースやローンと並んでフロアプラン業務が明記されています。フロアプランは販売店が展示車や在庫車を金融で保有する仕組みで、在庫を抱える期間が長いほど販売店の負担は重くなります。
店頭の営業が在庫車の販売を強く意識するのは、この仕組みがあるからです。お客様の希望と、店として動かしたい在庫が一致しないことは珍しくありません。
1拠点あたり年257台という規模感
2025年のメルセデス・ベンツの国内販売は5万855台で、前年比4.4%減となりました。それでも純輸入車ブランドとしては11年連続の首位です(AUTOCAR JAPAN)。
この5万855台を全国198拠点で単純に割ると、1拠点あたり年間約257台、月あたり約21台という計算になります。拠点の規模も担当エリアも無視した粗い数字ですが、規模感をつかむ目安にはなります。
1台あたりの単価が高いぶん、台数そのものは多くありません。月に20台前後を店舗全体で積み上げる商売なので、1件の商談が流れたときの穴が相対的に大きくなります。
国産の量販ブランドのように、数をこなすことで平均に戻していく戦い方は取りにくい構造です。1件ずつの確度を上げる働き方が求められます。
ブランド首位でも小さい1車種の台数
2025年の暦年で見ると、メルセデス・ベンツの最量販モデルはGLCの8,062台でした。Gクラスが6,832台、GLBが6,056台、GLAが4,481台と続き、SUVの販売比率は5割を超えています(AUTOCAR JAPAN)。
同じ年の海外ブランド車種別ランキングでは、ミニが19,146台で首位、ゴルフが11,093台で2位、T-CROSSが8,095台で3位、GLCは4位という結果でした(カー・アンド・ドライバーonline)。
ブランド全体では首位でも、1車種あたりの台数は突出していません。セダン、ステーションワゴン、SUV、クーペ、カブリオレ、ミニバンまで、幅広いラインアップを売り分けることでブランド全体の台数を積み上げている形です。
営業の立場では、覚えるべき車種とグレードの数がそのまま増えます。電動車の比率も上がっており、充電やバッテリー保証の説明まで守備範囲に入ります。
土日出勤や車検の追客といった、ディーラー営業に共通する事情もあります。この部分はカーディーラー営業がきついと言われる理由で整理しているため、本記事では輸入車とメルセデス固有の論点に絞ります。
ベンツの営業のきつさを調べるときは、輸入元の話か、正規販売店の話か、ドイツ本社の話かを必ず分けてください。求人に応募する段階では、運営会社の名前で口コミを調べ直すと実態に近い情報が得られます。
ベンツの営業の年収


ベンツの年収を調べると、媒体によってまったく違う数字が出てきます。数字が割れるのは、3つの層の年収が区別されないまま並んでいるためです。
有価証券報告書が存在しない理由
まず押さえておきたいのは、メルセデス・ベンツ日本には有価証券報告書が存在しないという事実です。同社は株式会社から合同会社へ組織変更しており、上場もしていません。
上場企業であれば、有価証券報告書に平均年間給与が記載され、それが一次情報になります。合同会社で非上場の場合、その開示義務がありません。


公式に公表されているのは会社の基本情報までです。設立は1986年1月21日、本社は千葉県千葉市美浜区中瀬、資本金は2億円、従業員数は約315名、正規販売拠点数は198拠点と記載されています(メルセデス・ベンツ日本 会社概要)。
正規販売店を運営する各社についても、平均年間給与を有価証券報告書で確認できる会社は見当たりません。したがって本記事では口コミサイトの集計値を使い、その出どころを都度明記します。
輸入元の口コミ平均は779万円
メルセデス・ベンツ日本合同会社の社員口コミを集計した平均年収は779万円です。回答者は正社員18人、平均年齢39歳、年収範囲は500万円から1,400万円と公開されています(OpenWork メルセデス・ベンツ日本 年収・給与制度)。
回答者18人という規模は多くありません。職種の偏りが出やすい人数なので、この779万円を「ベンツの営業の年収」として読むのは誤りです。
そもそも輸入元の社員は、店頭で車を販売する仕事をしていません。マーケティング、商品企画、アフターセールス、販売店支援といった職種が中心になります。
求人サイトで「メルセデス・ベンツ日本」と「メルセデス・ベンツ◯◯店」が並んでいても、募集している会社も仕事内容も別です。年収の数字を比べる前に、まず雇用主を確認してください。
正規販売店側の営業は631万円
店頭の営業に近い数字として参照できるのが、正規販売店を運営する会社の口コミ集計値です。ヤナセの場合、全社の平均年収は604万円、職種別では営業が631万円となっています(OpenWork ヤナセ 年収・給与制度)。
営業の回答者は96人で、年収範囲は220万円から1,700万円です。メカニックは11人で468万円、整備士は6人で403万円と、同じ会社でも職種によって差があります。
ヤナセはメルセデス・ベンツのほかBMW、フォルクスワーゲン、アウディなども扱う輸入車販売会社です。この631万円はメルセデス専任の営業だけを抜き出した数字ではありません。
世間の水準と比べてみます。国税庁の調査では給与所得者全体の平均給与が478万円、正社員に限っても545万円です(国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査)。
| 区分 | 平均年収 | 出どころ |
|---|---|---|
| 正規販売店の営業(ヤナセ) | 631万円 | 口コミ集計 96人 |
| 正規販売店の全社平均(ヤナセ) | 604万円 | 口コミ集計 144人 |
| 輸入元(メルセデス・ベンツ日本) | 779万円 | 口コミ集計 18人 |
| 正社員(正職員)の平均 | 545万円 | 国税庁 |
| 給与所得者全体の平均 | 478万円 | 国税庁 |
厚生労働省の調査では、所定内給与額の平均は年齢計で34.1万円です(厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査)。賞与を含まない月額の数字ですが、店頭の営業の水準が世間並みを下回るわけではないことは読み取れます。
ただし220万円から1,700万円という幅の広さは見逃せません。歩合の比率が高い会社では、売れた年と売れなかった年で手取りが大きく動きます。
ベンツの年収を調べるときは、その数字がドイツ本社のものか、輸入元のものか、販売店のものかを確認してください。回答者数と平均年齢が併記されていない数字は、根拠が弱いと考えたほうが安全です。



「ベンツの営業は稼げる」という話を見かけたら、それがどの会社の、何人の回答を集めた数字なのかを確かめてください。母数が小さい平均値は、上振れも下振れもします。
ベンツの労働時間と働き方の実態


労働時間についても、輸入元と正規販売店では公開されている数字が違います。3社の集計値を並べると、その差がはっきり見えます。
残業時間と有給消化率の比較
メルセデス・ベンツ日本合同会社の月間平均残業時間は25.7時間、有給休暇消化率は65.2%です。回答者は66人となっています(OpenWork メルセデス・ベンツ日本)。
一方、正規販売店を運営するヤナセは残業が月35.2時間、有給消化率は39.9%で、回答者は248人です(OpenWork ヤナセ)。メルセデス専業のシュテルン品川は残業が月27.0時間、有給消化率は53.7%ですが、回答者は8人にとどまります(OpenWork シュテルン品川)。
| 会社 | 残業(月) | 有給消化率 | 回答者 |
|---|---|---|---|
| メルセデス・ベンツ日本(輸入元) | 25.7時間 | 65.2% | 66人 |
| ヤナセ(正規販売店) | 35.2時間 | 39.9% | 248人 |
| シュテルン品川(正規販売店) | 27.0時間 | 53.7% | 8人 |
残業時間そのものは極端な水準ではありません。目を引くのは有給消化率の差で、輸入元の65.2%に対して販売店側は39.9%と、25ポイント以上の開きがあります。
店頭に立つ仕事は、お客様の来店に合わせて人を置く必要があります。休みを取る日を自分の都合だけで決めにくいことが、この差に表れていると考えられます。
ただしシュテルン品川の回答者は8人です。数字としては参考値の域を出ないため、運営会社ごとに実態が違うことを示す例として見るのが妥当です。
評価スコアに出る待遇と育成の差
社員による会社評価スコアを8項目で見ると、輸入元と販売店で弱点の出方が違います。メルセデス・ベンツ日本の総合評価は3.43で、人材の長期育成が2.3と際立って低いのが特徴です。
| 評価項目 | 輸入元 | ヤナセ |
|---|---|---|
| 待遇面の満足度 | 2.8 | 2.8 |
| 社員の士気 | 2.7 | 3.2 |
| 風通しの良さ | 3.2 | 3.0 |
| 社員の相互尊重 | 3.8 | 3.1 |
| 20代成長環境 | 3.4 | 3.5 |
| 人材の長期育成 | 2.3 | 2.8 |
| 法令順守意識 | 4.2 | 3.8 |
| 人事評価の適正感 | 4.1 | 4.0 |
| 総合評価 | 3.43 | 3.36 |
どちらの会社も人事評価の適正感は4.0以上で、評価の納得感は高いほうです(OpenWork メルセデス・ベンツ日本、OpenWork ヤナセ)。
その一方で、待遇面の満足度はどちらも2.8にとどまります。年収の水準が世間平均を上回っていても、仕事量や責任の重さに対しては物足りないと感じる人が一定数いるということです。
人材の長期育成が低いことは、裏を返せば早い段階から任される環境でもあります。手厚く教わりながら覚えたい人にとっては、この点が最初のつまずきになります。
オンラインショールームが変えた商談
働き方に影響しているのが、購入前の情報提供の変化です。メルセデス・ベンツのオンラインショールームには常時約1,700台が掲載されており、最新のショールームコンセプトも5拠点に追加されて計30拠点になりました(AUTOCAR JAPAN)。
来店前に車両とおおよその条件を調べたお客様が増えると、店頭での商談は説明から交渉と意思決定の支援へ移ります。知識の量だけで優位に立てる場面は減りました。
高額商材のため、1件の商談期間は長くなりがちです。家族や会社の意思決定を待つ時間もあり、当日中に決まる取引ばかりではありません。
法人のお客様にはリースやローンを含めた提案が必要になります。メルセデス・ベンツ日本も法人向けにファイナンスプランを案内しており、車両価格だけを提示して終わる商談にはなりません。



有給消化率が39.9%という数字は、裏を返せば取りにくい時期がはっきりしているということです。面接では取得のしやすさではなく、実際の取得日数を聞いてみてください。
残業時間の差より、有給消化率の差のほうが会社ごとの違いを反映します。面接では「直近の有給取得日数の平均」を聞いてみてください。数字で答えられる会社は、管理の仕組みが整っている可能性が高くなります。
ベンツの営業が扱う商材の特徴


ベンツの営業が扱うのは新車だけではありません。認定中古車と金融商品まで含めた3つが、1人の守備範囲に入ります。
新車と希望小売価格の改定
新車は欧州で生産された車両を輸入して販売します。ラインアップはコンパクトからセダン、ステーションワゴン、SUV、クーペ、カブリオレ、ミニバンまで広がり、電気自動車やプラグインハイブリッドも含まれます。
輸入車である以上、価格は本国のコストや為替の影響を受けます。過去には新技術の開発と採用による製品コストの上昇を理由に、平均で約1%の価格改定が実施されたこともありました(Car Watch)。
価格が動くということは、検討期間が長いお客様に対して「いつ契約するか」という話題が自然に発生するということです。国産車の営業とは違う種類の説明が求められます。
認定中古車のサーティファイド
メルセデス・ベンツの認定中古車はサーティファイドと呼ばれ、認定中古車検索には常時3,000台以上が掲載されています(メルセデス・ベンツ 認定中古車とは)。
認定の条件として、最大100項目に及ぶ点検と整備が設定されています。保証は購入後2年間で走行距離は無制限、電気自動車には充電サービスの無料提供も付きます。
- 最大100項目の点検と整備をクリアした車両のみが認定される
- 認定中古車の保証は2年間で走行距離は無制限
- サーティファイドカーネットワークでのみ取り扱う
- 購入後のサポートは全国の正規サービスネットワークが対応する
新車の納期が読みにくい局面では、認定中古車が有力な選択肢になります。営業にとっては、新車と認定中古車のどちらで提案するかという判断が日常的に発生します。
ネクステージの営業のような中古車専業の販売とは、扱う在庫の性質が異なります。認定の基準と保証が決まっているぶん、価格で勝負する場面は限られます。
ファイナンスと在庫の金融
高額商材のため、支払い方法の提案は商談の中心に入ります。メルセデス・ベンツ・ファイナンス株式会社は1991年11月19日設立で、リースやローン、据置型ローンを提供しています。
同社の事業内容にはフロアプラン業務も含まれます。フロアプランは販売店が在庫車を金融で保有する仕組みで、輸入車ディーラーの在庫運営を支える機能です(メルセデス・ベンツ日本 会社概要)。
この仕組みを知っておくと、店として在庫を動かしたい理由が理解しやすくなります。お客様の希望と在庫の状況を突き合わせる作業は、営業の日常業務そのものです。
金融商品の説明は、車両の説明とは別の知識を必要とします。残価設定や法人契約の条件まで含めて、覚えることは少なくありません。



新車、認定中古車、金融の3つを1人で回すのがベンツの営業です。車が好きというだけでは足りず、数字と契約条件を扱う仕事だと考えておいてください。
新車の納期が読みにくい時期ほど、認定中古車の提案力が成績を分けます。保証の内容と点検項目を自分の言葉で説明できるようにしておくと、価格以外の判断材料をお客様に渡せます。
ベンツの営業に向いている人と向いていない人
ここまでの実態を踏まえると、向き不向きははっきり分かれます。ブランドへの憧れだけで判断すると、入社後にずれが生じます。
向いている人の特徴
1件あたりの単価が高く、商談期間が長い仕事です。短期で数をこなすより、1人のお客様と長く付き合うことに手応えを感じる人が向いています。
- 納期を自分でコントロールできない状況でも関係を維持できる
- 新車と認定中古車と金融を横断して提案を組み立てられる
- 幅広い車種とグレードを覚えることを苦にしない
- 富裕層や法人の担当者と落ち着いて話ができる
20代成長環境のスコアが輸入元で3.4、ヤナセで3.5と中位にあることからも、早い段階から実務に入る環境だと読めます。教わる前に動ける人には合います。
向いていない人の特徴
逆に、手厚い研修で段階的に覚えたい人には向きません。人材の長期育成のスコアは輸入元で2.3、ヤナセで2.8と、どちらも低い水準にあります。
- 決まった手順を教わってから動きたい
- 有給休暇を自分の都合で取りたい
- 収入が毎月一定であることを最優先したい
- 納期や価格の変更を自分で説明したくない
有給消化率が39.9%という数字は、休みの取りやすさを重視する人にとっては無視できません。複数当てはまる場合、入社後に早い段階で「きつい」と感じる可能性が高くなります。
国産ディーラー営業との相性の違い
国産ディーラーの営業と比べると、扱う台数と1台の単価が逆の関係になります。トヨタの営業のように販売網が全国に広がるブランドでは、台数で平均に戻す働き方が成立します。
ベンツの場合は拠点数が198で、1拠点あたりの台数も限られます。1件ずつの確度を上げるほうが結果につながりやすい構造です。
どちらが優れているという話ではありません。数をこなす働き方と、1件を深く詰める働き方のどちらが合うかという相性の問題です。
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同じベンツの正規販売店でも、運営会社が違えば研修制度も休日の取りやすさも変わります。志望する店舗の運営会社名を調べ、その会社の口コミと求人票を突き合わせてから判断してください。
ベンツの営業がきついと感じたときの対処法


辞める判断をする前に、きつさの原因がどこにあるのかを切り分けると、選択肢が増えます。ブランドの問題と会社の問題は別です。
原因を3つに切り分ける
きつさの原因は大きく3つに分かれます。運営会社の制度や人間関係にあるのか、輸入車を売るという構造にあるのか、営業という職種そのものにあるのかです。
納期が読めない、在庫を動かす圧力がある、価格が変わるといった悩みは、会社を変えても輸入車である限り付いてきます。
一方、有給が取れない、評価の運用が不透明、上長との関係が悪いといった悩みは、運営会社を変えれば解決しうるものです。
同じブランド内で運営会社を変える
正規販売拠点は全国に198あり、その運営は複数の会社に分かれています。ブランドの仕事を続けたいなら、運営会社を変えるという選択肢があります。
実際、有給消化率は会社によって39.9%から53.7%まで差が出ています。同じ看板でも働き方の数字は一致しません。
| きつさの原因 | 運営会社を変えて解決するか | 職種を変えて解決するか |
|---|---|---|
| 有給が取りにくい | 解決しうる | 解決しうる |
| 評価や制度への不満 | 解決しうる | 解決しうる |
| 納期を説明できない | 輸入車である限り残る | 解決する |
| 在庫を動かす圧力 | 輸入車である限り残る | 解決する |
| 高額商材の商談が合わない | 残る | 解決する |
上2つは会社の問題で、下3つは構造の問題です。ここを取り違えると、転職しても同じ理由で苦しむことになります。
転職市場での位置を確認する
原因が構造や職種にあると判断したなら、外の相場を確認する段階です。高額商材を扱った経験は、自動車以外の業界でも説明が通ります。
年代によって現実的な選択肢は変わります。30代なら30代におすすめの転職エージェント、40代なら40代におすすめの転職エージェントで、求人の見え方の違いを確認できます。
在職中に情報を集めるだけでも判断材料は増えます。辞めてから考えるより、選択肢を並べてから決めるほうが交渉の余地が残ります。
1か月や1四半期だけで判断すると、納期の遅れや市況の影響を自分の実力と取り違えます。担当した商談を1年分並べ、うまくいかなかった原因が会社側にあるのか自分側にあるのかを分けてから動いてください。



「ベンツの営業がきつい」と感じた原因が、実はその運営会社の制度だった、というケースは珍しくありません。ブランドごと諦める前に、会社単位で見直してみてください。
ベンツの営業経験が活きる転職先


高額商材を長い商談で売り切った経験は、業界を越えて説明できます。職務経歴書の書き方次第で、評価のされ方は変わります。
評価されやすいスキル
平均的な会社員の年収を大きく上回る買い物を、お客様に決断してもらう仕事です。この経験は、単価の高い商材を扱う企業にとって分かりやすい実績になります。
- 数百万円規模の商談を意思決定まで運んだ経験
- 納期や価格の変更をお客様に説明し関係を維持した経験
- 車両と金融商品を組み合わせて提案した経験
- 富裕層や法人の担当者と継続的に接点を持った経験
職務経歴書では「頑張った」ではなく、担当した台数、平均単価、認定中古車の比率、法人契約の件数を数字で並べてください。単価の高さは、そのまま説明力の証明になります。
納期が読めない状況で関係を維持した経験は、受注生産の商材を扱う企業でも評価されます。これは輸入車ならではの強みです。
転職先の選択肢
最も近いのは他の輸入車ブランドです。顧客層と商談の型が重なるため、これまでの動き方をほぼそのまま持ち込めます。
国産ディーラーも候補です。拠点数が多く勤務地を選びやすい一方で、1台あたりの単価は下がります。業界共通の働き方はカーディーラー営業の実態で確認してください。
自動車から離れるなら、住宅や不動産、富裕層向けの金融商品といった高額商材の営業が現実的です。1件の商談が長いという共通点があります。
法人向けに対象を変える道もあります。社用車の導入提案やリース、保険は、個人の感情ではなく組織の条件で決まる商談です。個人向けの接客に疲れた人には、この切り替えが効くことがあります。
この4つは求められるものが違います。輸入車なら即戦力としての再現性、国産なら量販の仕組みへの適応、高額商材なら提案の型、法人向けなら条件を詰める交渉力が問われます。
正規販売店の営業の口コミ平均は631万円で、正社員平均の545万円を上回ります。歩合の比率が高い会社から固定給中心の会社へ移ると、当面の収入が下がることもあります。何を得るために動くのかを先に言語化してください。
ベンツの営業に関するよくある質問
ここまでの内容と重なる部分もありますが、検索されやすい疑問に個別に答えます。
ベンツの営業は本当にきついですか?
労働時間の面では極端ではありません。正規販売店を運営するヤナセの口コミ集計では残業が月35.2時間、メルセデス専業のシュテルン品川では月27.0時間です。きついと言われる要因は、有給消化率が39.9%と低いこと、納期を自分で詰められないこと、在庫を動かす圧力があることにあります。時間ではなく、輸入販売という構造から来るきつさだと捉えるのが実態に近くなります。
ベンツの営業とメルセデス・ベンツ日本の社員は同じですか?
別の会社の社員です。メルセデス・ベンツ日本合同会社は車を輸入して正規販売店に供給する立場で、従業員数は約315名にとどまります。店頭で車を販売するのは、ヤナセやシュテルン各社など正規販売店を運営する別法人の社員です。正規販売拠点は全国に198拠点あり、運営会社ごとに給与制度も休日も異なります。求人に応募する際は、雇用主となる会社の正式名称を必ず確認してください。
ベンツの営業の年収はいくらですか?
正規販売店側の参考値として、ヤナセの職種別の口コミ集計では営業が631万円です。回答者は96人で、年収範囲は220万円から1,700万円と幅があります。輸入元のメルセデス・ベンツ日本は平均779万円ですが、回答者は18人で職種も店頭営業ではありません。同社は合同会社で非上場のため、有価証券報告書による平均年間給与の開示はなく、公的な一次情報は確認できません。
ベンツの営業のノルマはどの程度ですか?
公表された目標値は確認できませんでした。規模感の目安として、2025年のメルセデス・ベンツの国内販売5万855台を198拠点で単純に割ると、1拠点あたり年間約257台、月あたり約21台という計算になります。これは拠点の規模や担当エリアを無視した粗い数字であり、個人に割り当てられる目標とは別物です。実際の目標設定は運営会社ごとに異なるため、面接で確認するのが確実です。
未経験からベンツの営業に転職できますか?
正規販売店は運営会社ごとに採用しており、未経験からの募集も行われています。ただし人材の長期育成のスコアは輸入元で2.3、ヤナセで2.8と低く、手厚い研修で段階的に覚える想定だとギャップを感じる可能性があります。扱う商材も新車、認定中古車、リースやローンまで広く、覚えることは多めです。自分から学びにいける人でないと、入口でつまずきやすくなります。
ベンツの営業経験は転職市場で評価されますか?
評価されます。数百万円規模の商談を意思決定まで運んだ経験、納期や価格の変更を説明して関係を維持した経験、車両と金融商品を組み合わせて提案した経験は、高額商材を扱う企業でそのまま活きます。他の輸入車ブランド、国産ディーラー、住宅や不動産、法人向けのリースや保険が主な選択肢です。ただし歩合の比率が下がると当面の収入が減ることもあるため、条件は事前に確認してください。
口コミサイトの数字は回答者の職種と在籍時期に左右されます。気になった点は求人票の記載や面接での質問で裏を取ってください。とくに有給取得日数と歩合の比率は、会社側も具体的に答えられる項目です。
まとめ
ベンツの営業を調べるときは、ドイツのメルセデス・ベンツ グループ社、日本の輸入元であるメルセデス・ベンツ日本合同会社、そして全国198拠点を運営する正規販売店各社の3つを分けて考える必要があります。店頭で車を売る営業は、販売店を運営する別法人の社員です。
輸入元は合同会社で非上場のため、有価証券報告書による平均年間給与の開示がありません。参照できるのは口コミの集計値で、輸入元が平均779万円、正規販売店を運営するヤナセの営業が631万円という数字が公開されています。
労働時間は残業が月25.7時間から35.2時間の範囲にあり、突出して長いわけではありません。差がはっきり出るのは有給消化率で、輸入元の65.2%に対して販売店側は39.9%と開きがあります。
きつさの正体は、輸入販売という構造にあります。車両は欧州から入ってくるため納期を自力で詰められず、在庫はフロアプランで保有され、価格も改定されることがあります。2025年の国内販売5万855台を198拠点で単純に割ると1拠点あたり年約257台で、1件ずつの確度を上げる働き方が求められます。
きついと感じたときは、原因が運営会社にあるのか、輸入車という構造にあるのか、営業という職種にあるのかを切り分けてください。会社の問題なら同じブランド内でも移れます。構造や職種の問題なら、高額商材を長い商談で売り切った経験は他の業界でも説明が通ります。









