営業アシスタントがきついと言われる一番の理由は、仕事量の多さではありません。自分に指示を出す相手が複数いて、その全員が自分の案件を最優先だと思っているという構造にあります。
資料作成も顧客対応も、ひとつずつなら難しい仕事ではありません。困るのは、別々の営業担当から同じ時刻に急ぎの依頼が入り、どちらを先に進めるかを自分で決めなければならない場面です。
この記事では、営業アシスタントという職種に固有の論点だけを扱います。求人統計と公的統計で裏づけを取りながら、きつさの出どころ、年収の読み方、続けるか変えるかの判断軸を整理します。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起営業アシスタントのしんどさは、外から見えにくいところに溜まります。「忙しい」と言うと「事務なのに」と返されてしまう。その説明のしづらさ自体が、この職種のきつさの一部です。
営業アシスタントがきついと言われる理由


営業アシスタントは、営業担当者に並走して営業活動の一部を引き受ける職種です。顧客へのメールや電話、アポイントの取得、提案資料の作成、営業担当者のスケジュール管理などを担います。
求人情報の解説では、営業担当者が相手先に出向けないときに営業アシスタントが代理として打ち合わせを行うこともあると説明されています(ハタラクティブ 営業アシスタントの仕事内容)。
つまり、社内の事務処理だけで完結する職種ではありません。きつさの理由も、事務量の話には収まりません。ここでは営業アシスタント特有の4つに絞ります。
依頼元が複数いる
営業アシスタントは、ひとりの営業担当に専属で付く場合と、チーム全体を数人で支える場合があります。後者になると、指示を出す相手が一気に増えます。
厄介なのは、それぞれの営業担当にとっては自分の案件だけが見えている点です。全員が善意で「今日中にお願い」と言ってきます。悪気がないぶん、断る理由も作りにくくなります。
順番を決めるのは営業アシスタント自身です。しかし決定権は持っていません。優先順位を変えた結果として誰かの商談が遅れれば、その責任はこちらに向かってきます。
- 朝の時点で3人分の依頼が並んでいる
- その後に商談中の営業から差し込みが入る
- どれも締切は当日か翌朝
- 順番を決めるのは自分、結果の責任も自分
営業事務との違いがここに出ます。受発注や請求のように処理の順番が決まっている業務なら、並べ替えの判断そのものが発生しません。営業アシスタントは毎日それを求められます。
業務範囲が会社ごとに違う
営業アシスタントという呼び名には、定まった定義がありません。同じ職種名でも、内勤のみの職場と、営業同行や商談同席まで含む職場があります。
職種の解説でも、営業事務は社内で完結する一方、営業アシスタントは訪問や商談同席などの直接対応もあり、営業に同行して外出することもあると整理されています(マイベストジョブ 営業事務と営業アシスタントの比較)。
求人票に書かれた業務内容が「営業サポート全般」の一言で済まされていると、入社してから範囲が判明します。事務職のつもりで入った人が、半年後に顧客先へ同行しているという食い違いはここから起きます。
逆もあります。営業に近い仕事を期待して入ったのに、実際は入力作業ばかりというパターンです。どちらも本人の能力の問題ではなく、職種名の曖昧さが生んだ食い違いです。
成果が営業の数字に吸収される
提案資料を作り込んで受注につながっても、売上として記録されるのは担当営業の実績です。営業アシスタントの貢献は、数字の上には残りません。
そのため評価は上司や担当営業の主観に左右されやすい構造になります。同じ働きをしていても、感謝を言葉にする営業の下にいるか、そうでないかで評価が変わります。
この点は営業職と対照的です。営業職のきつさは数字に追われることですが、少なくとも数字は本人のものになります。営業アシスタントには、追われる数字も、守ってくれる数字もありません。



面談で「実績を教えてください」と聞かれて詰まる方は多いです。売上の数字が手元にないのは当然なので、代わりに「何件の商談を、どこまで前に進めたか」を語れるようにしておくと通ります。
雇用形態で待遇が分かれる
営業アシスタントは、正社員のほかにパートやアルバイト、派遣といった雇用形態の求人が並ぶ職種です。未経験から入りやすい反面、入口によって待遇が変わります。
職種の解説でも、派遣や契約で経験を積んでから正社員を目指すルートが現実的な選択肢として挙げられています(ハタラクティブ 営業アシスタントになるには)。
同じ席に座り、同じ営業を支えていても、雇用形態が違えば賞与も昇給も別の仕組みで動きます。この差がどれくらいかは、次の章で公的統計の数字を出して確認します。
辞めたい気持ちが出てきたら、原因が運用なのか待遇なのかを先に切り分けてください。依頼の受け方を変えれば済む話と、雇用形態を変えないと解決しない話では、取るべき行動がまったく違います。
営業アシスタントの年収の相場


営業アシスタントの年収の相場は、求人統計でみると約411万円です(求人ボックス 給料ナビ 営業アシスタントの年収)。
この数字は、求人ボックスが掲載求人の給与水準から算出した中央値で、2026年9月2日更新の集計です。求人票に書かれた提示額の集計であり、在籍者の実際の支給額を調べたものではありません。
月給に換算すると34万円、初任給は22万円程度が相場とされています。ここから雇用形態別、職種別の順に読み解いていきます。
正社員の分布と地域差
平均だけを見ても実態はつかめません。同じ集計では、正社員の給料分布と地域差も公開されています。
正社員のボリュームゾーンは369万円から429万円で、平均の411万円もこの範囲に含まれます。一方で全体の給与幅は309万円から790万円と開きがあり、勤務先や求められるスキルによる差が大きい職種だとわかります。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 平均年収 | 411万円 | 掲載求人の給与水準の中央値 |
| 月給換算 | 34万円 | 同集計による換算値 |
| 初任給 | 22万円 | 同集計の相場 |
| 正社員の中心帯 | 369万円から429万円 | 分布のボリュームゾーン |
| 全体の給与幅 | 309万円から790万円 | 勤務先や経験で差が開く |
出典は求人ボックス 給料ナビ 営業アシスタントの年収・時給・給料です。地域別では長崎県の434万円が最も高く、最も低い長野県の384万円との差は50万円と説明されています。
都道府県の並びが生活実感と合わないこともありますが、これは求人件数の少ない県が集計から外れているためです。順位そのものより、県をまたぐと50万円ほど動くという幅のほうを見ておくとよいでしょう。
雇用形態による年収の差
営業アシスタントの年収を読むうえで、正社員か否かは職種名より大きな変数になります。ここは公的統計で押さえておきます。
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、所定内給与額は正社員・正職員が358.8千円、正社員・正職員以外が241.7千円です。雇用形態間の賃金格差は、正社員を100としたとき67.4となっています(厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 雇用形態別)。
女性に限ると正社員304.9千円に対して正社員以外218.4千円で、格差は71.6です。これは職種を問わない全体の数字ですが、非正規の比率が高い職種ほど影響を受けます。
時給でみると別の顔が見えます。営業アシスタントの派遣社員の平均時給は1,685円、アルバイト・パートは1,193円とされています。派遣の時給は営業事務の1,535円より高い水準で、外部から調達してでも埋めたい役割だと市場が評価していることがうかがえます。
出典は求人ボックス 給料ナビ 営業アシスタントと求人ボックス 給料ナビ 営業事務です。単価は評価されているのに、昇給の仕組みには乗りにくい。この食い違いが、後で触れるキャリアの見えにくさにつながります。
営業職や世間水準との比較
同じ求人統計の中で、隣接する職種と並べてみます。集計方法が揃っているため、単独の数字を眺めるより差の意味がはっきりします。
| 職種 | 平均年収 | 派遣の平均時給 |
|---|---|---|
| 営業アシスタント | 411万円 | 1,685円 |
| 営業事務 | 409万円 | 1,535円 |
| 営業 | 444万円 | 1,536円 |
出典は求人ボックス 給料ナビの職種別集計で、営業アシスタント・営業事務・営業の各ページに掲載された2026年9月更新の数値です。年収では営業職に33万円届かない一方、派遣の時給では営業職や営業事務を上回っています。
世間水準とも比べておきます。国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査では、給与所得者全体の平均給与は478万円、正社員545万円、非正規206万円です(国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査)。
営業アシスタントの411万円は、給与所得者全体の平均を下回ります。ただし非正規の206万円と比べれば上です。どちらと比べるかで見え方が変わるため、自分の雇用形態に近いほうの数字を基準にしてください。
掲載求人の集計には、経験者採用の高い提示額も含まれます。同じ職種名の求人でも309万円から790万円まで開くので、平均だけでなく下限と上限の両方を見て、自分がどの帯に入る想定かを確認してください。
営業アシスタントの仕事内容と1日の流れ


営業アシスタントの仕事内容は、顧客対応、資料作成、進行管理の3つに大きく分かれます。どれも単体では難しくありませんが、同時に走るところに特徴があります。
求人情報の分析では、この職種の仕事は電話対応、データ入力、資料の作成、商品の受発注管理などを通じて営業スタッフや顧客のサポートを行うものと説明されています(マイナビ転職 営業事務・営業アシスタントの職種プロファイル)。
ここに営業同行や商談同席が加わる職場もあります。1日の流れを追うと、どこで負荷がかかるかが見えてきます。
担当する業務の範囲
業務の範囲は会社によって幅がありますが、中心にあるものはおおむね共通しています。まず全体像を押さえます。
- 顧客からの問い合わせ対応とアポイントの取得
- 提案資料や見積書の作成と体裁の調整
- 営業担当者のスケジュール管理と社内調整
- 案件の進行管理と関係部署への引き継ぎ
- 職場によっては営業同行と商談の記録
この一覧を見ると、事務処理より調整業務のほうが多いことに気づきます。人の予定と人の判断が絡むぶん、自分の手だけでは終わりません。
待ち時間も発生します。営業担当の確認が取れるまで資料を出せない、顧客の返信が来ないと次に進めない。手が空いているように見えて、実際は止まっている時間です。
1日の流れと負荷のかかり方
実際の1日は、朝の段取りが昼までに崩れることを前提に組み立てます。ここが営業事務との体感差になります。
| 時間帯 | 主な動き | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 始業直後 | 依頼の棚卸しと締切の確認 | 前日夕方以降の依頼が溜まっている |
| 午前 | 資料作成と見積の準備 | 商談中の営業から差し込みが入る |
| 昼過ぎ | 顧客対応と社内調整 | 関係部署の返答待ちで手が止まる |
| 夕方 | 営業の帰社に合わせた確認 | 修正依頼がまとめて戻ってくる |
| 終業前 | 翌日の段取りと引き継ぎ | 翌朝締切の依頼がここで判明する |
負荷が集中するのは夕方です。外回りから戻った営業担当が一斉に確認と修正を依頼してくるため、日中に積み上げた予定がここで再編されます。
マイナビ転職が掲載求人を分析した職種プロファイルでは、原則定時退社の求人は38パーセントにとどまり、年間休日120日以上は52パーセントとなっています。定時で帰れる職場もありますが、全体ではないという読み方が妥当です。



「定時で帰れる事務職」と聞いて応募すると、夕方の山を知らないまま入ることになります。面接では1日の流れを時間帯ごとに質問しておくと、入ってからの落差を減らせます。
急ぎの依頼が重なったら、受付順ではなく締切順に並べ替えてください。そのうえで「この依頼は何時までに戻せばよいか」を必ず確認します。本当に当日中の依頼は、体感より少ないものです。
営業アシスタントと営業事務の違い


営業アシスタントと営業事務は、求人票では同じ枠で募集されることもあります。ただし実務では線引きがあります。
職種の比較では、営業事務の主な業務が受発注処理や請求書作成などの事務業務であるのに対し、営業アシスタントは提案資料作成、進行管理、顧客対応、営業同行までを担うと整理されています(マイベストジョブ 営業事務と営業アシスタントの違い)。
営業事務そのもののきつさについては営業事務がきついと言われる理由の記事で扱っているため、ここでは違いの部分だけを見ます。
業務範囲と関わり方の違い
最大の違いは、社外に出るかどうかです。ここが変わると、求められる対応力も変わります。
| 比較項目 | 営業アシスタント | 営業事務 |
|---|---|---|
| 主な業務 | 提案資料作成と進行管理 | 受発注処理と請求書作成 |
| 顧客対応 | 訪問や商談同席などの直接対応もあり | 電話やメールでの間接対応が中心 |
| 外出 | 営業に同行して外出することもある | 基本はオフィス内での業務 |
| 業務の性質 | 日々の営業状況に応じて変わる | 定型業務の比重が大きい |
この整理はマイベストジョブの職種比較によるものです。営業事務が社内で支える役割なのに対し、営業アシスタントは営業と並走する役割だと表現されています。
待遇にも差が出ます。年収では411万円と409万円でほぼ並びますが、派遣の時給は1,685円と1,535円で150円の開きがあります。社外業務の有無が単価に反映されているとみられます。
求められるスキルの違い
事務処理能力はどちらにも必要です。分かれるのは、その先に何が乗るかです。
営業事務では正確性とスピードが軸になります。営業アシスタントでは対面での顧客対応や同行があるため、コミュニケーション能力の比重が上がるという整理になっています。
もうひとつ違うのが、変化への対応です。営業事務は定型業務の比重が大きく、手順を覚えれば安定します。営業アシスタントは日々の営業状況に応じて動くため、手順が固まりません。
どちらが上ということではありません。落ち着いて精度を上げたい人には営業事務が、動きのある環境を好む人には営業アシスタントが向きます。
営業職との境目
営業アシスタントは、営業職との境界も曖昧です。アポイントの取得や商談の同席まで担うと、業務の中身は営業に近づきます。
それでも決定的に違うのは、売上目標を背負うかどうかです。営業職には個人の数字が割り当てられ、その達成度で評価されます。営業アシスタントには割り当てられません。
目標を背負わない安心と、成果が自分の数字にならないもどかしさは表裏です。営業職のきつさの中身は業界によって大きく変わるため、比べたい方は営業がきつい業界ランキングの記事も参考になります。
募集要項に「営業同行」「商談同席」「アポイント取得」のいずれかが入っていれば、社外に出る職場だと判断できます。事務職として働きたい場合は、この3語がない求人に絞ると入社後の食い違いを避けられます。
営業アシスタントに向いている人と向いていない人


営業アシスタントの向き不向きは、事務処理の速さでは決まりません。割り込みを前提に動けるかどうかで分かれます。
職種の解説でも、向いている人の特徴として複数のことを同時に進めるのが苦にならず、優先順位を考えながら動けることが挙げられています(マイベストジョブ 営業アシスタントに向いている人)。
一方で、向いていない人の特徴もはっきりしています。両方を並べて確認してください。
向いている人の特徴
この職種で長く続く人には、共通する動き方があります。性格というより、仕事の組み立て方の話です。
- 複数の依頼に自分で順番を付けて調整できる
- 指示を待たずに次の準備に入れる
- 予定が変わっても段取りを組み直せる
- 社内外の人に確認を取ることを面倒がらない
- 誰かを支える働き方に手応えを感じる
この5つに共通するのは、決まった手順がない状態を受け入れられるかという一点です。手順を自分で作れる人ほど、この職種では負荷が下がります。
未経験からの転職でも通用します。マイナビ転職の職種プロファイルでは、未経験からこの職種に就くために重要なものとしてコミュニケーション能力を挙げた人が75パーセントで最も多く、次いで社会人としての常識やマナーが64パーセントでした。
向いていない人の特徴
逆に、この職種で消耗しやすい人の特徴も明確です。能力不足ではなく、仕事の性質との相性の問題です。
- ひとつの作業に集中して取り組みたい
- 割り込みが入ると組み立てが崩れる
- 対人のやり取りより処理を進めたい
- 評価は数字で示されないと納得できない
- 外出や訪問はできれば避けたい
ここに複数当てはまる場合、職場を変えても同じきつさが再現されます。営業アシスタント特有の構造が原因だからです。
その場合は職種側を調整するほうが早道です。社内で完結する働き方を望むなら営業事務や一般事務が候補になりますし、数字での評価を求めるなら営業職が選択肢に入ります。事務職の求人の探し方は事務職に強い転職エージェントの記事にまとめています。
向いていないと感じても、半年は続けてみてください。最初の3カ月は誰でも手順が固まらず、負荷が高く出ます。そのうえで変わらなければ、相性の問題として動く判断ができます。
営業アシスタントがきついと感じたときの対処法


きついと感じたときに最初にやることは、転職サイトを開くことではありません。きつさが運用の問題なのか、待遇の問題なのかを切り分けることです。
運用の問題であれば、依頼の受け方を変えるだけで負荷は下がります。待遇の問題であれば、同じ職場にいる限り解決しません。この2つは対処法がまったく違います。
順番に見ていきます。最初の2つは今の職場でできること、3つ目は職場を変える判断です。
依頼の受け方を変える
依頼元が複数いる状態そのものは変えられません。変えられるのは、受け方です。
まず、依頼を受けた時点で必ず締切を確認します。「急ぎで」とだけ言われた依頼の多くは、確認すると翌日以降で問題ないと判明します。
次に、抱えている依頼を一覧にして共有します。誰の依頼をいつまでに処理する予定かが見える状態になると、割り込みを入れる側が自分で順番を調整するようになります。
これは自分を守るための仕組みでもあります。順番の判断を自分ひとりで抱えていると、遅れたときの責任も自分ひとりに来るからです。
貢献を記録に残す
成果が営業の数字に吸収される構造は、社内評価でも転職活動でも不利に働きます。対策は記録です。
担当した案件について、自分が何をどこまで進めたかを月単位で書き留めておきます。受注金額は営業のものですが、関与した事実は自分のものです。
- 月に何件の提案資料を作成したか
- どの案件でどの工程を担当したか
- 自分の対応で前に進んだ商談の件数
- 改善した業務と、それで浮いた時間
この記録があると、評価面談で話せることが変わります。転職の面接でも、売上の数字を持たない職種の実績として説明できる形になります。
記録がないまま数年が過ぎると、経験はあるのに語れないという状態になります。これが営業アシスタントのキャリアが見えにくくなる最大の原因です。
雇用形態と職場を見直す
運用を変えても解決しないきつさがあります。待遇です。雇用形態の差は、個人の工夫では埋まりません。
公的統計では、正社員・正職員の所定内給与額が358.8千円であるのに対し、正社員・正職員以外は241.7千円でした(厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査)。この差は本人の働きぶりとは別の理由で生じています。
派遣や契約で働いている場合、まず現在の職場に正社員登用の制度があるかを確認してください。制度がある職場なら、社内での実績がそのまま材料になります。
制度がない、または登用の実績がない場合は、転職で正社員を狙うほうが現実的です。未経験歓迎の求人が多い職種なので、入口は広く残っています。進め方は未経験からの転職に強いエージェントの記事が参考になります。



雇用形態の話は、我慢の問題ではなく制度の問題です。同じ仕事をしているのに待遇が違うと感じたら、それは正しい感覚なので、変えられる場所に移る判断をためらわないでください。
転職を考え始めたら、まず3カ月分の業務記録を取ってください。何にどれだけ時間を使っているかが見えると、きつさの正体が量なのか質なのか待遇なのかがはっきりします。職務経歴書の材料にもなります。
営業アシスタントの経験が活きる転職先


営業アシスタントの経験は、転職市場で評価されにくいと思われがちです。実際は、評価されるポイントを説明できていないだけのことが多くあります。
商談の流れを最初から最後まで見ている職種は、そう多くありません。案件がどこで止まり、何があれば動くかを知っていることは、そのまま次の職場で使える知識です。
この経験が直接つながる先を2つ挙げます。
営業職への転換
最も距離が近いのが営業職です。商材知識も商談の進め方も、すでに横で見て理解しています。
未経験の営業職採用と違い、提案資料の作り方も顧客対応の作法も身についた状態で入れます。立ち上がりの速さは選考でも評価されます。
年収面でも動きます。求人統計では営業の平均年収が444万円で、営業アシスタントの411万円との差は33万円でした(求人ボックス 給料ナビ 営業の年収)。
ただし売上目標を背負う働き方に変わります。数字に追われる苦しさと、評価が数字で示される納得感はセットです。どちらを取るかの選択になります。
営業企画や管理部門への横展開
もうひとつは、案件情報を扱う側に回る道です。営業企画、受注管理、カスタマーサクセスなどが該当します。
営業アシスタントは、案件の進捗データを日々扱っています。どの情報がどの粒度で必要かを実務で知っているため、仕組みを作る側に回りやすい立場です。
マイナビ転職の職種プロファイルによると、この職種に就く前の仕事は1位が管理・事務で25.4パーセント、2位が営業で22.0パーセントでした。事務と営業の両方から人が集まる職種であり、裏を返せば両方向に出ていける職種でもあります。
女性の比率が高い職場も多く、働き方の条件を含めて相談したい場合は女性の転職に強いエージェントの記事も確認しておくとよいでしょう。
売上の数字がない職種では、担当した工程を具体的に書くほうが伝わります。「提案資料の作成を月に何件」「見積から受注までの進行管理を担当」のように、案件のどこを担ったかで表現してください。
営業アシスタントに関するよくある質問
営業アシスタントへの転職を検討する際によく出る疑問を、5つに絞って整理します。
営業アシスタントは未経験でも転職できますか?
未経験からの転職が可能な職種です。マイナビ転職が掲載求人を分析した職種プロファイルでは、職種未経験歓迎の求人が91パーセント、第二新卒歓迎が90パーセント、学歴不問が57パーセントとなっています。
求められるのは基本的なパソコン操作と、社会人としての対応力です。未経験からこの職種に就くために重要なものとしてコミュニケーション能力を挙げた人が75パーセントで最多でした(マイナビ転職 職種プロファイル)。
接客や販売の経験は評価されます。相手の要望を聞き取って形にする動き方が、そのまま営業アシスタントの業務に重なるためです。
営業アシスタントと営業事務はどちらが働きやすいですか?
働きやすさの基準によって答えが変わります。社内で完結する働き方を望むなら営業事務、変化のある環境を好むなら営業アシスタントです。
営業事務は定型業務の比重が大きく、手順を覚えれば安定します。営業アシスタントは営業同行や商談同席が入る職場があり、予定が変わりやすい代わりに仕事の幅が広くなります。
年収では411万円と409万円でほぼ並びます。派遣の時給では1,685円と1,535円で営業アシスタントが上回りますが、これは社外業務を含むぶんの差とみられます。詳しい比較は営業事務がきついと言われる理由の記事も合わせて確認してください。
営業アシスタントの残業は多いですか?
職場によって差が大きく、一律には言えません。求人の条件からある程度の傾向は読み取れます。
マイナビ転職の職種プロファイルでは、原則定時退社の求人は38パーセント、年間休日120日以上は52パーセントでした。定時で帰れる職場は存在しますが、全体の一部です。
負荷が集中しやすいのは夕方以降です。外回りから戻った営業担当の確認と修正がまとめて入るためで、この時間帯の運用を面接で確認しておくと実態がつかめます。
営業アシスタントから正社員になれますか?
派遣やパートから正社員を目指すルートは、この職種では一般的です。未経験歓迎の求人が多く、入口が複数あることが背景にあります。
職種の解説でも、パートや派遣で経験を積んで正社員を目指すルートが選択肢として挙げられています(ハタラクティブ 営業アシスタントになるには)。
正社員を目指す場合は、現在の職場に登用制度があるかをまず確認してください。制度がない場合は、経験者として別の会社の正社員求人に応募するほうが確実です。所定内給与額でみた正社員と正社員以外の差は、雇用形態を変えなければ埋まりません。
営業アシスタントの経験は次の転職で評価されますか?
評価されます。ただし、伝え方を用意しておく必要があります。
売上の数字を持たない職種のため、実績の説明が抽象的になりがちです。担当した案件数、関与した工程、改善した業務を具体的に示せば、貢献は十分に伝わります。
転職先としては営業職と営業企画が近く、事務職全般にも展開できます。案件の全体像を知っている事務職という位置づけは、どの方向に進む場合も強みになります。
「営業をサポートしていました」では伝わりません。「月に何件の案件を、どの工程で担当したか」まで落とすと、規模感と役割が同時に伝わります。数字が思い出せない場合は、直近3カ月分だけでも数えておいてください。
まとめ
営業アシスタントがきついと言われる理由は、仕事量ではなく構造にあります。依頼元が複数いること、業務範囲が会社ごとに違うこと、成果が営業の数字に吸収されること、雇用形態で待遇が分かれることの4つです。
年収の相場は求人統計で411万円です。正社員の中心帯は369万円から429万円で、全体の幅は309万円から790万円と開きがあります。派遣の平均時給1,685円は営業事務の1,535円を上回っており、役割そのものは市場に評価されています。
きついと感じたときは、原因が運用か待遇かを切り分けてください。依頼の受け方と記録の取り方は今日から変えられますが、雇用形態の差は職場を変えないと動きません。
この職種の経験は、営業職にも営業企画にも展開できます。売上の数字がない代わりに、案件のどこを担ったかを具体的に語れるようにしておけば、選考で不利になることはありません。
続けるか変えるかを決める前に、まず3カ月分の業務記録を取ってみてください。きつさの正体が量なのか、質なのか、待遇なのかがはっきりすれば、次に取るべき行動も自然と決まります。









