内勤営業がきついと言われる最大の理由は、働く時間も会う相手も自分では決められないという一点に集約されます。店舗やカウンターに立つ以上、業務の起点は来店した人の側にあるからです。
内勤営業は社内や店舗内で営業活動を行う仕事を指し、携帯電話の販売店、旅行代理店、住宅展示場、保険の窓口、自動車の販売店などが代表例にあたります(ハタラクティブ 内勤営業とは)。訪問先を飛び込みで回る負荷はない一方で、勤務時間そのものが店舗の営業時間に縛られます。
この記事では、公的統計で確認できる数字だけを使い、内勤営業のきつさの構造、年収の相場の読み方、混同されやすいインサイドセールスとの違い、きついと感じたときに変えられる条件を整理します。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起内勤営業は「外回りがないから楽」という前提で語られがちです。ただ、実際に相談で多いのは、休みと時間の自由度に関する悩みです。
内勤営業がきついと言われる理由


内勤営業のきつさは、飛び込みやテレアポのように断られ続ける負荷とは種類が違います。来店した人を待つという業務の形が、そのまま4つの制約に変わります。
受け身になりやすい商談構造、時間の使い方の裁量の小ささ、店舗の営業時間に合わせたシフト勤務、そして休みを取りにくい産業の慣行の4つです。
来店客ありきの受け身の構造
内勤営業で最初に効いてくるのが、誰が来店するかを自分の行動では変えられないという前提です。店頭に立つ人の1日の成果は、その日どんな客層が何人来たかで大半が決まります。
来店数を増やす手段は広告や販促の側にあり、店頭の担当者が直接動かせる範囲にはありません。それでも月ごとの目標は個人に割り振られます。
努力と成果の距離が遠くなるため、うまくいかない月に打ち手が見つけにくくなります。行動量を増やしても打席そのものが増えない点が、外勤営業との決定的な違いです。
来店や問い合わせを起点にする営業の共通の悩みは反響営業の記事で扱っています。ここでは店舗に立つ内勤営業に固有の部分に絞ります。
もう1つ効いてくるのが、断りにくさです。来店した人は購買意欲が高い分、提案が合わなかったときの落差も大きくなります。
時間の使い方の制約
外勤営業には移動時間があります。次の訪問先へ向かう車内や電車の中は、資料を読み直したり気持ちを立て直したりできる一人の時間でもあります。
内勤営業にはこの時間がありません。開店から閉店まで店内にいるため、接客と接客の間も来店に備えた待機時間になります。
席を長く離れられないという物理的な制約も加わります。昼食の時間帯をずらす、来客が途切れた隙に事務を片づけるといった調整が日常的に発生します。
この制約は、業務量の見えにくさにもつながります。接客していない時間が外形上は余裕に見えるため、手が空いているとみなされて別の業務が積まれやすくなります。
- 来店の波に合わせて休憩や事務処理の時間をずらす
- 接客中は電話や事務処理を後ろに送るしかない
- 待機時間が長い日ほど1日の業務密度が読みにくい
- 自分の都合で外出や中抜けをしにくい
この4つに共通するのは、時間配分の主導権が自分の側にないことです。仕事の量ではなく、時間の組み替えのしにくさが疲労の原因になります。
店舗の営業時間に合わせたシフト勤務
内勤営業の勤務形態は、店舗の営業時間に従います。土日祝日が最も来店の多い時間帯にあたるため、休みは平日に回るのが基本形です。
シフト制では出勤時間や曜日が一定になりません。生活リズムを保ちにくく、家族や友人と休みを合わせにくい点は、離職理由として挙がりやすい部分です。
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、完全週休2日制を採用している企業の割合は65.5%で、週休制の形態別に適用されている労働者の割合でみると73.3%となっています(厚生労働省 令和7年就労条件総合調査の概況)。裏を返せば、そうでない勤務形態も一定の割合で残っています。
同じ調査では、1企業平均の週所定労働時間は39時間24分で、卸売業と小売業は39時間26分となっています。金融業と保険業の38時間12分と比べると、週あたりで1時間以上の差が出ます。
所定労働時間そのものの差は大きくありません。きつさとして体感されるのは、その時間がいつ配置されるかという点です。
休みを取りにくい産業の慣行
内勤営業が多い産業は、有給休暇を取りにくい産業と重なります。店舗を空けられないという事情が、休暇の取得しづらさに直結するためです。
同じ就労条件総合調査によると、令和6年1年間の年次有給休暇の取得率は産業計で66.9%、労働者1人平均の取得日数は12.1日となっています(厚生労働省 令和7年就労条件総合調査 労働時間制度)。
産業別にみると差がはっきりします。内勤営業の職場が多い産業の数字は、産業計を下回る水準です。
| 産業 | 年次有給休暇の取得率 | 労働者1人平均の取得日数 |
|---|---|---|
| 産業計 | 66.9% | 12.1日 |
| 卸売業,小売業 | 59.9% | 10.5日 |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 59.6% | 10.6日 |
| 不動産業,物品賃貸業 | 65.5% | 11.6日 |
| 金融業,保険業 | 72.8% | 14.3日 |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 50.7% | 8.0日 |
出典は厚生労働省 令和7年就労条件総合調査 労働時間制度です。対象は常用労働者30人以上の民営法人で、令和6年1年間の実績にあたります。
携帯電話の販売店や旅行代理店は卸売業と小売業に、美容関連の店舗は生活関連サービス業に分類されます。いずれも産業計を6ポイント以上下回ります。
1人が抜けると店が回らない人員構成では、休暇の申請そのものが心理的な負担になります。数字の差は、その空気を裏づけています。
同じきついでも、来店数が足りないのか、接客の手応えがないのか、休みと勤務時間の形が合わないのかで打ち手が変わります。直近3か月の来店件数と成約件数、実際に取得した休日数を書き出し、どれが下がっているかを切り分けてください。
内勤営業の年収の相場


内勤営業の年収は、職種名からではなく、どの産業の店舗に立っているかから読むのが実態に近くなります。公的統計に内勤営業という職種区分が存在しないためです。
給与所得者全体の平均給与は478万円で、正社員は545万円、正社員以外は206万円となっています(国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査)。まずはこの水準を物差しにします。
公的統計に存在しない職種区分
厚生労働省の賃金構造基本統計調査にも、国税庁の民間給与実態統計調査にも、内勤営業という職種の集計は存在しません。内勤営業は雇用契約上の職種名ではなく、働く場所と顧客との出会い方を指す呼び名だからです。
求人票では販売スタッフ、カウンターセールス、ショップアドバイザー、窓口営業といった名称で募集され、業務内容の説明として来店対応中心と書かれる形が一般的です。
この構造を知らずに内勤営業の平均年収という数字だけを見ると、実態から離れます。同じ内勤営業でも、扱う商材と産業が違えば給与水準は大きく変わるためです。
求人サイトが出している職種別の平均額も、集計対象がサイト内の掲載求人に限られます。母集団が違えば数字も動くため、単独の数字を相場として受け取らないほうが安全です。
内勤営業が多い産業の賃金水準
そこで使えるのが産業別の賃金データです。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の所定内給与額は男女計で月34.06万円となっています(厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査の概況)。
所定内給与額は6月分の給与のうち、残業代や賞与を含まない金額です。年収そのものではありませんが、産業間の水準差を比べる物差しとしては有効です。
| 産業 | 所定内給与額(月額) | 産業計との差 |
|---|---|---|
| 金融業,保険業 | 43.70万円 | +9.64万円 |
| 不動産業,物品賃貸業 | 36.01万円 | +1.95万円 |
| 卸売業,小売業 | 34.91万円 | +0.85万円 |
| 産業計 | 34.06万円 | 基準 |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 29.52万円 | -4.54万円 |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 27.72万円 | -6.34万円 |
出典は厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 産業別にみた賃金です。対象は一般労働者の男女計、年齢計の所定内給与額にあたります。
注意したいのは、卸売業と小売業の数字には店舗以外の職種も含まれている点です。法人向けの卸売部門や本部の管理職も同じ区分に入るため、店頭の内勤営業だけの水準ではありません。
それでも、保険の窓口と携帯電話の販売店では産業区分が違い、賃金の基礎水準も違うという構造は読み取れます。年収を比べるときは、職種名より産業を先に見る順番が有効です。
産業ごとの営業職のきつさの比較は営業がきつい業界ランキングの記事で整理しています。
固定給と歩合の比率による差
内勤営業の年収でもう1つ効いてくるのが、固定給と歩合給の比率です。同じ産業でも、会社ごとに給与設計が大きく違います。
来店数を自分で増やせない仕事の性質上、歩合の比重が高い設計は収入の振れ幅を大きくします。繁忙期と閑散期の差がそのまま手取りに出るためです。
逆に固定給中心の設計では、売れた月の上振れが小さくなります。安定を取るか上限を取るかという選択が、入社前の段階で決まります。
- 基本給と固定残業代の内訳が求人票に明記されているか
- インセンティブの支給条件が個人成績か店舗成績か
- 賞与の算定に個人の成績がどの程度反映されるか
- 役職に就いた場合の給与テーブルが示されているか
この4点は、入社後に変えられない条件です。年収の相場を調べる時間より、応募先1社の給与設計を読み込む時間のほうが実益があります。
内勤営業は店舗単位で成績を測る会社が多く、個人の成績がそのまま賞与に反映されない場合があります。面接の逆質問で、賞与の算定が店舗全体の予算達成率と個人の成績のどちらを基準にしているかを確認すると、入社後の納得感が変わります。
内勤営業の仕事内容と1日の流れ


内勤営業の業務範囲は、接客だけにとどまりません。来店対応から契約手続き、その後のアフターフォローまでを1人で担当する形が一般的です。
この一貫性が、やりがいと負荷の両方を生みます。担当者が最初から最後まで顔を出すため、顧客からの評価も苦情も直接届きます。
来店対応から契約手続きまでの業務範囲
内勤営業の中心業務は、来店した人の要望を聞き、商品やサービスを提案し、申込手続きまで完結させることです。訪問型の営業と違い、提案と事務処理が同じ席で連続します。
支店や店舗での顧客対応を軸に営業を行う職種は、カウンターセールスとも呼ばれます(SQiL Career Agent カウンターセールスとは)。呼び名は業界によって変わりますが、業務の形はほぼ共通です。
契約に必要な書類の作成、本人確認、システムへの入力、料金プランの説明といった事務が提案とセットになります。接客が終われば仕事も終わるという構造ではありません。
営業活動そのものを担う点で、営業を後方から支える営業事務とは役割が異なります。数字の責任を負うかどうかが両者の境目です。
開店前から閉店後までの1日の流れ
内勤営業の1日は、店舗の開店時間を軸に組み立てられます。開店前と閉店後にも業務があるため、営業時間より拘束時間のほうが長くなります。
朝は前日からの引き継ぎ確認、在庫や販促物の点検、予約客の情報整理から始まります。開店後は来店の波に合わせて接客が続きます。
| 時間帯 | 主な業務 | 負荷が高くなる要因 |
|---|---|---|
| 開店前 | 引き継ぎ確認・在庫点検・予約客の情報整理 | 前日の未処理が残っていると朝から圧迫される |
| 午前 | 来店対応・電話での問い合わせ対応 | 接客中に電話が重なると対応が後ろに送られる |
| 昼前後 | 来店のピーク対応・休憩の調整 | 来店が途切れず休憩時間をずらす場面が出る |
| 午後 | 商談・契約手続き・書類作成 | 1件あたりの手続き時間が読みにくい |
| 閉店後 | 顧客情報の入力・日報・翌日の準備 | 日中に処理できなかった事務がここに集まる |
この流れで負荷が集中するのは、閉店後の時間帯です。日中に手をつけられなかった事務処理が、営業時間の後ろにまとめて残ります。
接客の質を上げるほど1件あたりの事務も増えるという関係があるため、丁寧に対応した日ほど退勤が遅くなる構造が生まれます。
来店がない時間帯の業務
来店が途切れる時間帯にも、業務はあります。商品知識の更新、販促物の入れ替え、既存顧客への案内といった作業が割り当てられます。
この時間の使い方が、成績の差になって表れる場面は多くあります。新しい料金プランや商品仕様を把握している担当者ほど、接客での説明が速くなるためです。
一方で、この時間が評価の対象になりにくいという問題もあります。準備に時間を割いても、記録として残るのは契約件数だけという職場が少なくありません。
待機時間を自分の判断で使えるかどうかは、職場によって差があります。店長の方針次第で、手待ちの時間が清掃や在庫整理に置き換わることもあります。
来店がない時間に何をしたかは、評価面談で説明しないと伝わりません。商品知識の習得や既存顧客への案内件数を日報に書き残しておくと、契約件数だけでは説明できない貢献を可視化できます。
内勤営業とインサイドセールスの違い


内勤営業を調べるときに最も混乱を招くのが、内勤営業という言葉が2つの異なる職種を指して使われている点です。求人票を読み違える原因もここにあります。
1つは店舗やカウンターに立ち、来店客に対面で提案する仕事です。もう1つは電話やメールで見込み客に非対面でアプローチする仕事にあたります。
求人表記が2つの職種にまたがる構造
内勤営業という言葉は、外勤営業の対義語として生まれました。オフィスや店舗の内側で営業活動を行うという、勤務場所だけを指す表現です。
そのため、店舗での対面接客と、オフィスでの非対面営業が同じ言葉でくくられます。求人票の職種名だけでは、どちらの仕事か判断できません。
見分ける手がかりは、勤務地と勤務形態の欄にあります。店舗名が並び、シフト制と書かれていれば対面型です。本社勤務で土日祝休みと書かれていれば非対面型の可能性が高くなります。
業務内容の欄にある動詞も判断材料になります。接客、来店対応、店頭販売といった言葉が並ぶか、架電、リード、商談化といった言葉が並ぶかで性質が分かれます。
インサイドセールスとの違い
インサイドセールスは、電話やメール、オンライン商談ツールを用いて非対面で見込み客にアプローチする営業手法を指します。訪問型の営業と分業することで営業生産性を高める狙いがあり、初回アプローチ、見込み客の育成、商談化の見極めが主な役割にあたります(セールスフォース・ジャパン インサイドセールスとは)。
決定的な違いは責務の範囲です。インサイドセールスは商談を創出するところまでが役割で、そこから先の商談と契約は訪問型の担当者が引き継ぎます。
内勤営業は逆に、目の前の来店客に対して提案から契約までを完結させます。分業ではなく一貫担当である点が、仕事の性質を大きく分けます。
| 比較項目 | 内勤営業(カウンターセールス) | インサイドセールス |
|---|---|---|
| 顧客との接点 | 店舗での対面 | 電話・メール・オンライン商談 |
| 役割の範囲 | 提案から契約手続きまで一貫 | 商談の創出までを担当し引き継ぐ |
| 主な顧客 | 来店した個人客が中心 | 資料請求などの見込み客が中心 |
| 勤務形態 | 店舗の営業時間に合わせたシフト制 | 本社勤務で土日祝休みが多い |
| 評価指標 | 契約件数や店舗の予算達成率 | 商談化件数や引き継ぎ後の受注率 |
同じ内勤でも、評価される行動がまったく違います。インサイドセールスは架電数や商談化率で測られ、内勤営業は来店客あたりの成約率で測られます。
非対面で商談を作る仕事の詳しい内容はSaaS営業の記事で扱っています。分業型の営業組織に関心がある場合はそちらが参考になります。
外勤営業と営業事務との違い
外勤営業との違いは、顧客を探す工程を自分で持つかどうかにあります。外勤営業は訪問先を選び、接点を作るところから業務が始まります。
内勤営業にはこの工程がありません。そのぶん移動の負担は小さく、1日に対応できる件数も安定します。
営業事務との違いは、数字の責任を負うかどうかです。営業事務は見積書の作成や受注処理で営業活動を支える立場で、成約そのものの責任は負いません。
内勤営業は店舗内で勤務しますが、業務は営業活動そのものにあたります(ハタラクティブ 内勤営業とは)。座席の位置が似ているだけで、評価のされ方は別物です。
内勤営業の求人に応募するときは、職種名ではなく勤務地の記載と評価指標の記載を先に見てください。店舗名が並びシフト制と書かれていれば対面型、本社勤務で商談化件数が指標に挙がっていれば非対面型です。この2行で入社後の生活リズムがほぼ決まります。



求人票に「内勤営業」とだけ書かれている場合は、面接で勤務地と1日の流れを必ず確認してください。ここを飛ばすと入社後の想定違いが起こります。
内勤営業に向いている人と向いていない人


内勤営業の適性は、話がうまいかどうかでは決まりません。来店の波に自分の時間を合わせられるかどうかが、続けられるかの分かれ目になります。
外回りの営業で評価されていた人が内勤営業で苦戦する例も、その逆の例もあります。求められる能力の中身が違うためです。
内勤営業に向いている人の特徴
向いているのは、状況に合わせて自分の段取りを組み替えられる人です。来店が重なる時間帯と途切れる時間帯を読み、事務処理を後ろに送る判断が日常的に必要になります。
客層の切り替えが早い人も適性があります。高齢の顧客と若年層の顧客が続けて来店する場面では、説明の順番や言葉遣いを都度変える必要があります。
- 来店がない時間を準備や学習に充てられる
- 客層が変わっても説明の仕方を切り替えられる
- 提案と事務処理を同じ集中力で処理できる
- 平日休みの生活リズムに抵抗がない
- 店舗のメンバーと役割を分担して動ける
この5つに共通するのは、自分から動く力ではなく、環境に合わせて自分を調整する力です。内勤営業で長く働ける人は、この調整を負担と感じにくい傾向があります。
内勤営業に向いていない人の特徴
向いていないのは、顧客を自分で選びたい人です。来店した相手が自社の商品に合わない場合でも、担当を外す選択肢は基本的にありません。
自分の裁量で1日を設計したい人にも、この仕事は窮屈に感じられます。訪問の順番や商談の日程を自分で決める働き方とは、時間の作り方が根本から違います。
土日に休みたい人にとっても継続は難しくなります。来店が集中する曜日に出勤するのが前提の職種だからです。
待つこと自体が苦痛だという人は、来店が途切れる時間帯に消耗します。この時間を準備に使えるかどうかが、適性の実質的な判定基準になります。
未経験から内勤営業に挑戦する場合の適性
内勤営業は、未経験からの募集が比較的多い職種です。来店した人に対応する形のため、接点を自力で作る技術が最初から求められないためです。
販売職や接客業からの転職では、経験がそのまま活きます。商品説明と要望の聞き取りという基礎動作が共通しているためです。
未経験から営業職を目指す場合の求人の探し方は未経験向けの転職エージェントの記事で整理しています。
入社前に確認したいのは、研修期間の長さと、独り立ちまでの期間です。商品知識の量が成績に直結する職種のため、教育体制の差がそのまま成果の差になります。
内勤営業の適性で最も見落とされやすいのが、休日の曜日です。土日に予定を入れられない生活が数年続いても問題ないかを、応募前に家族と話しておくと入社後のずれが小さくなります。
内勤営業がきついと感じたときの対処法


内勤営業のきつさは、辞めるか我慢するかの二択で考えると出口が見えなくなります。変えられる条件から順に手を入れるほうが現実的です。
まず必要なのは、何がきついのかを言葉にすることです。原因が業務量なのか、勤務形態なのか、評価の納得感なのかで打ち手が変わります。
きつさの原因を数字で切り分ける
最初にやるべきは、感覚ではなく数字で現状を把握することです。来店件数、成約件数、1日の拘束時間、月の休日数の4つを直近3か月分書き出します。
来店件数が落ちているなら、原因は店舗の集客側にあります。この場合は個人の接客技術を磨いても数字は戻りません。
来店件数が変わらず成約件数だけが落ちているなら、提案の内容に原因があります。商品知識の更新や、断られた理由の記録が打ち手になります。
どちらも変わらないのに消耗している場合は、勤務形態が原因です。この場合は職場を変えるほうが早く解決します。
待機時間を成果につなげる工夫
来店が途切れる時間の使い方を変えると、成績と納得感の両方が動きます。接客していない時間こそ成果の差を作る時間だからです。
具体的には、断られた理由の記録、商品仕様の更新確認、既存顧客への連絡の3つに時間を割り当てます。いずれも来店がない時間にしかできない作業です。
断られた理由を記録に残すと、店舗全体の提案の精度が上がります。同じ理由が3回並べば、それは個人の技術ではなく商品構成や価格の問題だと説明できます。
既存顧客への連絡は、来店数が自分の手で動かせる数少ない領域です。機種の更新時期や契約の満了時期に合わせた案内は、店頭で待つより確度が高くなります。
勤務条件を軸にした職場の見直し
勤務形態が原因の場合、同じ職種のまま条件を変える選択肢があります。年間休日と週休制の記載を軸に求人を比べる方法です。
令和7年就労条件総合調査によると、1企業平均の年間休日総数は112.4日、労働者1人平均は116.6日となっています(厚生労働省 令和7年就労条件総合調査 労働時間制度)。この水準を下回るかどうかが比較の基準になります。
同じ産業でも、企業規模によって休日数は変わります。同じ調査では、1企業平均の年間休日総数は従業員1,000人以上で117.7日、30人から99人の企業で111.2日となっています。
離職率の水準も、職場選びの判断材料になります。厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、一般労働者の離職率は産業計で11.5%、卸売業と小売業で10.7%、生活関連サービス業と娯楽業で16.9%となっています(厚生労働省 令和6年雇用動向調査 産業別の入職と離職)。
卸売業と小売業の離職率は、産業計を下回る水準です。内勤営業がすべての産業で離職率の高い職種だという説明は、この数字とは合いません。
業界ごとの働き方の違いは不動産営業の記事や保険営業の記事、カーディーラーの記事でも扱っています。
現職がきついと感じたときは、まず同じ職種の求人票を3社分そろえて年間休日と週休制を並べてください。今の条件が相場より下なら職場の問題、相場どおりなら職種そのものとの相性の問題だと切り分けられます。



勤務条件が相場どおりでもきついと感じるなら、職場ではなく職種との相性の問題です。その場合は転職先の候補を職種から見直すほうが早く解決します。
内勤営業の経験が活きる転職先


内勤営業の経験は、転職市場で評価されにくいと思われがちです。実際には、初対面の相手を短時間で契約まで運んだ件数は、そのまま実績として説明できます。
評価されるのは商品知識そのものではありません。要望を聞き出して提案に変換し、その場で意思決定まで持っていった回数が評価の対象になります。
内勤営業で身につくスキル
内勤営業で最も汎用性が高いのは、短時間で要望を引き出す技術です。来店から契約までの時間が限られるため、質問の順番を組み立てる習慣が身につきます。
契約手続きまで一貫して担当する経験も強みになります。提案と事務処理の両方を1人で回した経験は、分業型の組織では得にくいものです。
- 初対面から要望を引き出す質問の組み立て
- 提案から契約手続きまでの一貫した処理能力
- 客層に応じて説明の粒度を変える調整力
- 複数の顧客対応を並行して進める段取り
この4つは、職務経歴書に書くときに件数とセットにすると伝わります。月平均の接客件数と成約件数を添えるだけで、抽象的な表現が実績に変わります。
内勤営業からの転職先の選択肢
転職先として相性がよいのは、インサイドセールスです。来店対応で培った初動の速さと要望の引き出し方が、そのまま非対面のリード対応に転用できます。
法人向けの営業職も選択肢になります。個人客への提案経験は、決裁者が1人で完結する中小企業向けの営業と相性があります。
店舗の運営に軸足を移す道もあります。店長や販促の企画職は、来店客の反応を最も近くで見てきた経験が判断材料になる職種です。
同じ営業職のなかで既存顧客中心の働き方に移る場合はルート営業の記事が参考になります。年代別の求人の探し方は30代向けの転職エージェントの記事で整理しています。
内勤営業の実績は、契約件数だけでは規模が伝わりません。月平均の接客件数、成約件数、1件あたりの平均単価の3つを併記すると、扱ってきた商談の大きさが採用側に伝わります。
内勤営業に関するよくある質問
内勤営業について寄せられる質問のうち、検索されることの多い5つを取り上げます。いずれも公的統計や公開情報で確認できる範囲で回答します。
内勤営業は本当にきついのでしょうか?
きつさの中身は、外勤営業とは種類が違います。飛び込みやテレアポで断られ続ける負荷はない一方で、勤務時間と休日の自由度は低くなります。
令和6年1年間の年次有給休暇の取得率は、卸売業と小売業で59.9%、生活関連サービス業と娯楽業で59.6%と、産業計の66.9%を下回ります(厚生労働省 令和7年就労条件総合調査 労働時間制度)。
数字の上では、労働時間の長さより休暇の取りにくさに特徴があります。土日祝日に出勤する働き方を受け入れられるかどうかが、実質的な判断基準になります。
内勤営業の年収はどのくらいでしょうか?
内勤営業という職種区分は公的統計に存在しないため、職種単独の平均額は公表されていません。産業別の賃金水準から読むのが確実な方法です。
令和7年賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の所定内給与額は産業計で月34.06万円、卸売業と小売業で34.91万円、生活関連サービス業と娯楽業で29.52万円となっています(厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 産業別にみた賃金)。
給与所得者全体の平均給与は478万円です。どの産業の店舗に立つかで、この水準に届くかどうかが変わります。
内勤営業とインサイドセールスは同じ職種でしょうか?
同じ言葉で呼ばれることがありますが、仕事の中身は別物です。内勤営業は店舗で来店客に対面で提案し、契約手続きまで担当します。
インサイドセールスは非対面で見込み客にアプローチし、商談を創出するところまでを担当する分業型の職種です(セールスフォース・ジャパン インサイドセールスとは)。
求人に応募する際は、勤務地の記載と評価指標の記載で見分けてください。店舗名とシフト制が並んでいれば対面型の内勤営業にあたります。
未経験から内勤営業に転職できますか?
未経験からの募集は比較的多い職種です。接点を自力で作る技術が最初から求められないため、教育を前提とした採用が成立しやすいためです。
販売職や接客業の経験があれば、商品説明と要望の聞き取りという基礎はそのまま活きます。営業経験がない場合も、この2点を職務経歴書で示せば評価の対象になります。
確認しておきたいのは研修期間と独り立ちまでの期間です。求人の探し方は未経験向けの転職エージェントの記事で整理しています。
内勤営業の離職率は高いのでしょうか?
内勤営業という職種単位の離職率は公表されていません。産業別の数字から近い水準を読むことになります。
令和6年雇用動向調査によると、一般労働者の離職率は産業計で11.5%、卸売業と小売業で10.7%、不動産業と物品賃貸業で12.6%、生活関連サービス業と娯楽業で16.9%となっています(厚生労働省 令和6年雇用動向調査 産業別の入職と離職)。
卸売業と小売業は産業計を下回ります。内勤営業がどの産業でも離職率の高い職種だという説明は、この数字では裏づけられません。
女性が多い職場での働き方や求人の探し方は女性向けの転職エージェントの記事、事務職への転身を検討する場合は事務職向けの転職エージェントの記事で扱っています。
内勤営業の離職率や年収を職種名で検索しても、出典のある数字にはたどり着きません。自分が働いている産業の区分を先に特定し、その産業の離職率と賃金水準で比べると、公的統計で裏の取れる比較ができます。



求人票を読むときは、職種名より勤務地とシフトの記載を先に見てください。同じ内勤営業という表記でも、生活の形がまったく変わります。
まとめ
内勤営業がきついと言われる理由は、労働時間の長さではなく、働く時間と会う相手を自分で決められない構造にあります。来店客ありきという業務の形が、時間の裁量の小ささに直結します。
年収は職種名からは読めません。公的統計に内勤営業という職種区分がないため、令和7年賃金構造基本統計調査の産業別の数字を物差しにするのが確実な方法です。
混同されやすいインサイドセールスは、非対面で商談を創出するところまでを担う分業型の職種です。店舗で契約まで担当する内勤営業とは、評価される行動が違います。
休暇の取りにくさは、産業別の有給取得率にはっきり表れています。一方で卸売業と小売業の離職率は産業計を下回っており、続けにくい職種だと一律に語ることはできません。
きついと感じたときは、来店件数、成約件数、拘束時間、休日数の4つを書き出して原因を切り分けてください。変えられるのが職場の条件なのか、職種との相性なのかがそこで分かれます。



内勤営業の経験は、件数と単価を添えて書けば十分に伝わる実績です。数字で語れる形に整理してから次を考えてください。









