女性の営業職がきついと言われる背景には、個人の性格や向き不向きではなく、職場の人数構成と評価制度の設計という構造的な要因があります。
2022年の賃金構造基本統計調査を特別集計した分析では、営業職業従事者のうち「その他の営業職業」の女性比率は18.5%、「機械器具・通信営業」は12.3%にとどまります(日本労働組合総連合会 職種別賃金の研究)。職種全体の女性比率46.8%と比べると、営業の現場は明らかに女性が少数派です。
この記事では、公的統計で裏の取れる数字だけを使い、きつさの中身、年収の相場、仕事内容、向き不向き、対処法、転職先を順番に整理します。特定の企業や業界の話ではなく、営業職という職種そのものの構造を扱います。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起「きつい」という言葉には、労働時間の話と評価の話と人間関係の話が混ざって入っています。まずはどれが自分に効いているのかを分けるところから始めてください。
女性の営業職がきついと言われる理由


営業職のきつさは、成果が数字で見えることだけが原因ではありません。公的統計をたどると、職場の人数構成、時間の主導権、社外との接点、昇進の入口という4つの要因が浮かび上がります。
営業職での女性比率の低さ
2022年の賃金構造基本統計調査を特別集計した分析によると、職種計の女性比率は46.8%です。一方で営業職業従事者に含まれる「その他の営業職業」は18.5%、「機械器具・通信営業」は12.3%にとどまります(日本労働組合総連合会 2022年賃金構造基本統計調査特別集計にもとづく職種別賃金の研究)。
正社員に限るとさらに下がり、「その他の営業職業」で15.1%、「機械器具・通信営業」で11.3%です。同じ部署に同性の先輩がひとりもいない状態が、統計上はごく普通に起こります。
少数派であること自体が悪いわけではありません。ただし前例がないと、産休や時短勤務を取ったあとにどう働いているかを、身近な人から聞けません。
判断材料が手に入らないまま自分で道を作ることになるため、精神的な負荷が上乗せされます。この負荷は営業スキルとは無関係に発生します。
顧客都合で決まる時間割
令和6年の雇用動向調査では、転職入職者が前職を辞めた理由のうち、女性は「その他の個人的理由」24.3%を除くと「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.8%で最も多くなっています(厚生労働省 令和6年雇用動向調査 転職入職者の状況)。
男性の同じ項目は8.6%です。男性の上位は「定年・契約期間の満了」14.1%と「給料等収入が少なかった」10.1%で、辞める理由の並びがそもそも違います。
営業職は商談の時間を顧客側が決めます。始業と終業の時刻が自分の都合で動かせない職種であるため、この差がそのまま効いてきます。
25歳から29歳の女性に絞ると、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」は15.2%まで上がります。キャリアの土台を作る時期に、時間の制約が最初の壁として現れます。
社外との接点で起きるハラスメント
令和5年度の職場のハラスメントに関する実態調査では、過去3年間にセクシュアルハラスメントを受けた割合は女性8.9%に対して男性3.9%でした。女性の正社員に限ると9.7%です(厚生労働省 令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書、労働者8,000人への調査)。
同じ調査で、顧客等からの著しい迷惑行為を受けた割合は全体で10.8%でした。接客の頻度が高いほど経験割合が高くなる傾向が確認されています。
| 顧客等からの著しい迷惑行為を受けた割合 | 業種 |
|---|---|
| 16.6% | 生活関連サービス業、娯楽業 |
| 16.0% | 卸売業、小売業 |
| 16.0% | 宿泊業、飲食サービス業 |
| 10.8% | 全体 |
営業職は社外の相手と一対一で向き合う時間が長い職種です。社内のハラスメント対策が整っていても、取引先との接点は会社の管理が届きにくい場所になります(厚生労働省 令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書 概要版)。
この調査は職種別の集計ではないため、営業職だけの数字ではありません。ただし接客頻度と経験割合の関係を踏まえると、社外接点が多い職種で起きやすい構図は読み取れます。
昇進の入口の狭さ
令和6年度の雇用均等基本調査では、管理職等に占める女性の割合は部長相当職8.7%、課長相当職12.3%、係長相当職21.1%です(厚生労働省 令和6年度雇用均等基本調査)。
係長から課長に上がるところで割合がほぼ半分に落ちます。入口では一定数いるのに、途中で人数が減る構造がはっきり出ています。
同じ調査では、正社員に占める女性の割合は27.6%、そのうち総合職は21.9%です。営業職の多くが属する総合職の枠自体が、まだ女性に開ききっていないことがわかります。
成果を出しても役職が付かない期間が長引けば、仕事の手応えと処遇のずれが積み重なります。このずれは、本人の努力では埋められません。
時間の問題か、評価と昇進の問題か、人間関係の問題かで打つ手がまったく違います。手帳やメモに1週間分の出来事を並べ、どれが何回出てくるかを数えてください。数えると、自分が本当に嫌なものが1つに絞れます。
女性の営業職の年収の相場


営業職の年収は、全職種の女性平均を上回ります。ただし同じ営業職の男性と比べると差があり、その差は年齢が上がるほど広がります。出典と対象範囲を分けて見ていきます。
全職種での男女別の賃金水準
令和7年の賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の所定内給与額は男女計340.6千円、男性373.4千円、女性285.9千円です。男女間賃金格差は男性を100としたとき76.6になります(厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概要)。
この数字は企業規模や産業、雇用形態をまたいだ一般労働者全体の集計です。特定の職種に絞った数字ではありません。
年収ベースでは、国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査で、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は男性587万円、女性333万円です(国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査)。正社員は545万円、正社員以外は206万円でした。
女性の平均が低く出る要因には、非正規雇用の比率や勤続年数の差が含まれます。数字をそのまま「営業職の女性の年収」と読み替えることはできません。
営業系の職種別の男女差
職種を絞った集計としては、2022年の賃金構造基本統計調査を特別集計した分析があります。60歳未満の正社員を対象に、所定内給与と年間一時金を合わせた年間賃金を職種小分類ごとに出したものです(日本労働組合総連合会 職種別賃金の研究)。
| 職種 | 正社員男性の年間賃金 | 正社員女性の年間賃金 |
|---|---|---|
| 職種計 | 542万円 | 410万円 |
| 機械器具・通信営業 | 649万円 | 492万円 |
| 金融営業 | 626万円 | 472万円 |
| その他の営業職業 | 576万円 | 463万円 |
女性の営業職はいずれも職種計の女性410万円を上回ります。営業職は、女性の職種全体の平均と比べれば賃金水準の高い職種だといえます。
一方で同じ職種の男性と比べると、機械器具・通信営業で157万円、金融営業で154万円の差があります。この対象は正社員かつ60歳未満に限ったもので、パートや契約社員は含まれていません。
差の全部が性別による処遇の違いというわけではありません。担当する顧客規模、役職の有無、勤続年数の違いが合わさった結果として現れる数字です。
年齢階級で開く賃金カーブ
令和7年の賃金構造基本統計調査では、男性の所定内給与額は55歳から59歳の445.6千円がピークです。女性は45歳から49歳と55歳から59歳の305.7千円が最も高くなっています(厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 性別にみた賃金)。
20歳から24歳を100とした指数で比べると、男性は181.4まで伸びるのに対し、女性は127.6で止まります。上がり方の傾きそのものが違います。
| 年齢階級 | 男性の所定内給与額 | 女性の所定内給与額 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 245.7千円 | 239.6千円 |
| 25〜29歳 | 288.0千円 | 268.8千円 |
| 30〜34歳 | 330.4千円 | 283.2千円 |
| 35〜39歳 | 366.2千円 | 292.4千円 |
| 40〜44歳 | 398.2千円 | 303.6千円 |
| 45〜49歳 | 420.7千円 | 305.7千円 |
20歳から24歳の差は6.1千円しかありません。ところが40歳から44歳では94.6千円に開きます。入社直後の差はほとんどなく、差は途中で作られているという読み方ができます(対象は一般労働者全体で、営業職に限った集計ではありません)。
課長相当職の女性割合が12.3%という数字と重ねると、役職の有無が賃金カーブの傾きに強く効いていることが見えてきます。
つまり営業職の年収を上げたいとき、個人の成績だけを追うのでは足りません。役職への道筋がどう設計されているかを、応募の段階で確認する必要があります。
営業職の年収はインセンティブの比率で見え方が大きく変わります。提示額のうち固定給がいくらで、変動部分が過去3年でどの幅に収まっているかを面接で聞いてください。固定給の水準がわかれば、成績が振るわない年の生活が計算できます。
女性の営業職の仕事内容と1日の流れ


営業職の日々の時間は、商談そのものよりも準備と記録に多く割かれます。職種の区分と1日の動きを分けて整理します。
統計上の営業職の区分
賃金構造基本統計調査では、営業職業従事者は販売従事者という大分類の中に置かれ、自動車営業、機械器具・通信営業、金融営業、保険営業、その他の営業職業の5つに分かれます(日本労働組合総連合会 職種別賃金の研究 職種名と略称一覧)。
同じ販売従事者でも、店頭に立つ販売店員とは別の区分です。売り場で待つのではなく、こちらから相手先に出向いて商談を作る点が区分の分かれ目になります。
求人票で使われる「法人営業」「ルート営業」「インサイドセールス」といった呼び名は、この統計上の区分とは一致しません。応募するときは呼び名ではなく、業務の中身で判断する必要があります。
1日の時間の使われ方
午前は社内での作業から始まるのが一般的です。メールの確認、前日の商談の記録、見積書の作成、受注処理といった事務が並びます。
日中は商談の時間です。訪問とオンライン商談が混ざる働き方が広がり、移動の量は担当エリアによって大きく変わります。
- 前日までに提案資料と見積を仕上げる
- 商談の前後に移動と待機の時間が入る
- 商談内容をその日のうちに記録へ落とす
- 日報と数字の締めを夕方以降に行う
- 翌日以降のアポイントを自分で組み立てる
この5つに共通するのは、どれも顧客と話している時間ではないということです。商談以外の時間をどれだけ短くできるかが、退社時刻を左右します。
記録を後回しにすると、翌日の朝に持ち越されます。前日の遅れが翌日の商談準備を削る形で積み上がっていきます。
外勤と内勤での業務量の差
外勤の営業は移動時間がそのまま労働時間に乗ります。訪問先が離れているほど、顧客と話していない時間が伸びていきます。
内勤の営業は移動がほぼ発生しません。その代わり1日の架電数や商談創出数といった行動量の指標で管理される傾向があります。
どちらがきついかは一概に言えません。時間の読みやすさを取るなら内勤、顧客との関係の深さを取るなら外勤という分かれ方になります。
業界ごとの働き方の違いについては、営業がきつい業界ランキングで個別に整理しています。この記事では職種そのものの構造に絞ります。
きついと感じたとき、原因が商談なのか移動なのかは意外と切り分けられていません。1週間だけ移動の開始と終了を記録してみてください。移動と事務の合計が商談の時間を上回っていたら、担当エリアの見直しを上司に相談する材料になります。



営業がきついと相談に来る方の話を聞くと、実は商談自体は嫌いではない、というケースがかなりあります。負担の正体が移動や事務だったなら、職種を変えずに解決できる可能性が残っています。
女性の営業職と他の営業手法の違い


ひとくちに営業といっても、相手が企業か個人か、対面か非対面かで拘束時間の形が変わります。きつさの出方も、この違いに沿って変わります。
法人営業と個人営業
法人営業は企業を相手にします。決裁に複数の部署が関わるため商談は長期化しますが、やりとりは平日の日中に集中します。
個人営業は個人の顧客を相手にします。相手の予定に合わせるため、土日や平日の夜に商談が入りやすいのが特徴です。
| 比較項目 | 法人営業 | 個人営業 | 内勤営業 |
|---|---|---|---|
| 主な商談時間 | 平日の日中 | 土日や平日の夜も入る | 平日の日中 |
| 移動の量 | 多い | 多い | ほとんどない |
| 商談期間 | 数か月に及ぶことがある | 短いことが多い | 短い |
| 評価の中心 | 受注金額と受注率 | 契約件数と継続率 | 商談創出数と架電数 |
| 時間の読みやすさ | 中程度 | 読みにくい | 読みやすい |
育児や介護と両立する前提で職種を選ぶなら、この表の一番下の行が判断材料になります。時間が読めるかどうかは、成績よりも先に効いてきます。
個人営業の代表例である保険営業と不動産営業については、保険営業がきつい理由と不動産営業への転職でそれぞれ詳しく扱っています。
外勤営業と内勤営業
外勤営業は顧客先に出向く働き方です。相手の顔色や現場の状況を直接つかめる反面、1日の予定が移動に縛られます。
内勤営業は電話やオンライン会議で商談を進めます。在宅勤務や時短勤務と組み合わせやすい働き方で、求人でもインサイドセールスという名称で募集されています。
内勤営業が仕組みとして整っている領域については、SaaS営業がきつい理由とIT営業がきつい理由で分業体制の中身を解説しています。
新規開拓と既存深耕
新規開拓は接点のない相手に一から話を通します。断られる回数が多く、成果が出るまでの期間も読めません。
既存深耕はすでに取引のある顧客に追加提案をします。断られる回数は少ない一方、数字の伸びしろが担当先の予算に縛られます。
どちらが合うかは、断られることへの耐性ではなく、成果が出るまでの時間をどこまで待てるかで決まります。既存顧客中心の働き方についてはルート営業がきつい理由を参照してください。
求人票の職種名では実態がつかめません。面接の終盤に、同じポジションの人の典型的な1週間の予定を教えてほしいと頼んでください。訪問件数、移動時間、夜間や休日の商談の有無が一度にわかります。
女性の営業職に向いている人と向いていない人


向き不向きを性格で語ると判断を誤ります。実際に差が出るのは、情報の扱い方と条件の確認の仕方という、後から身につく習慣の部分です。
向いている人の特徴
断られた理由を記録に残し、次の商談の材料に回せる人は成果が安定します。感情ではなく事実として処理できるかどうかが分かれ目です。
- 断られた理由を人格の否定と切り離して受け取れる
- 話した内容をその日のうちに記録へ残せる
- 数字の進捗を自分で把握し先に報告できる
- わからない条件をその場で質問できる
- 自分の労働時間を客観的に数えられる
この5つに共通するのは、感情ではなく情報を扱う習慣だという点です。話がうまいかどうかは入っていません。
営業に社交的な性格が必要だという説明はよく見かけますが、統計で裏づけられた話ではありません。実務で効くのは、聞いた内容を正確に持ち帰る力です。
向いていない人の特徴
成果が出ない時期に、原因を自分の性格へ紐づけてしまう人は消耗が早くなります。担当先の事情や市況といった外部要因が見えなくなるためです。
労働条件を確認しないまま入社を決めてしまう人も苦しくなりがちです。入社前に聞けたはずの情報を聞かなかった分だけ、入社後の選択肢が狭まります。
ただしこの2つは性格ではなく習慣です。記録を取る、質問を用意するという行動で変えられる部分が大半を占めます。
配属先で変わる向き不向き
同じ会社の同じ職種でも、担当する顧客セグメントで日々の仕事はまったく変わります。大企業担当と中小企業担当では、商談の回数も決裁の速さも別物です。
配属は本人が選べるとは限りません。向き不向きの判断は、会社単位ではなく配属単位で考える必要があります。
入社1年目で合わないと感じたとき、それが会社との相性なのか配属との相性なのかを切り分けてください。後者なら社内の異動で解決する余地があります。
配属先の希望は口頭で伝えても記録に残りません。内定後の面談で、希望するセグメントや勤務地を伝えた上で、その内容がどこまで考慮されるのかを確認してください。確約が取れない場合でも、確約がないと知っておくこと自体に意味があります。



向いていないと感じたとき、いきなり職種を変える必要はありません。配属や担当先を変えるだけで景色が変わることは本当によくあります。
女性の営業職がきついと感じたときの対処法


対処の順番を間違えると、環境を変えても同じ理由で苦しむことになります。原因の切り分け、社内での調整、社外への移動の順で進めます。
原因を切り分ける
きつさの正体は、労働時間、評価と昇進、人間関係の3つに分解できます。まずは直近1か月の出来事を、この3つに振り分けてください。
| きつさの原因 | 社内で変えられるか | 転職で解決するか |
|---|---|---|
| 移動と事務の量が多い | 変えられる | 同じ問題が起きる会社もある |
| 商談時間が夜や休日に入る | 一部変えられる | 法人営業や内勤営業へ移れば解決しやすい |
| 評価制度が成果に偏っている | 変えにくい | 評価期間の長い会社を選べば解決する |
| 昇進の道筋が見えない | 変えにくい | 公表データで比較して選べる |
| 取引先からの迷惑行為 | 会社の対応次第 | 対策を明示している会社を選べば軽くなる |
上の2つは社内で動かせる変数です。下の3つは会社の設計そのものなので、社内では変えられません。ここを取り違えると打つ手がずれます。
原因が社内で動かせるものだった場合、転職しても手元の負担は変わりません。まずは切り分けを済ませてください。
社内で動かせる変数を使う
担当エリアの見直し、担当セグメントの変更、内勤営業への異動は、いずれも社内で申し出られる選択肢です。
取引先からの迷惑行為については、会社に相談窓口の設置が求められています。一人で抱えず記録を残して相談することが、対応を引き出す前提になります。
令和5年度の調査では、顧客等からの著しい迷惑行為を受けた人のうち、勤務先が対策に取り組んでいると答えた層で経験割合が最も低くなっていました(厚生労働省 令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書 概要版)。会社の取り組みの有無は実際に差を生みます。
公表データで応募先を比べる
2026年4月1日から、女性活躍推進法の改正により、男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務が従業員101人以上の企業へ拡大されました(厚生労働省 女性活躍推進法が改正されました、令和7年6月11日公布)。
公表内容は全労働者、正規雇用労働者、非正規雇用労働者の3区分での男女間賃金差異と、管理職に占める女性の割合です。
これらの数字は厚生労働省 女性の活躍推進企業データベースで企業ごとに確認できます。求人票には載らない情報を、応募前に自分で比べられるようになりました。
平均継続勤務年数の男女差、育児休業取得率、平均残業時間も公表項目に含まれます。数字が揃っている企業ほど、社内の実態を開示する姿勢があると読み取れます。
候補企業が決まったら、男女間賃金差異、女性管理職比率、月平均残業時間の3つをデータベースで拾って表にしてください。求人票の年収だけで比べるより、入社後に起こることがはるかに具体的に見えます。
女性の営業職の経験が活きる転職先


営業で身についたものは、商談の話術ではありません。案件を記録し、進捗を数字で説明し、社内外の関係者を動かした経験です。これは売る側以外でも評価されます。
営業職を続ける選択肢
同じ営業職でも、型を変えれば働き方は大きく変わります。個人営業から法人営業、外勤から内勤への移動が現実的な選択肢です。
内勤営業は移動がなく勤務時間が読めるため、両立を前提にキャリアを設計しやすい職種です。分業が進んだ領域ほど求人が出ています。
年代によって現実的な選択肢は変わります。30代であれば30代におすすめの転職エージェント、働き方を軸に選ぶなら女性におすすめの転職エージェントが参考になります。
営業以外への職種転換
営業企画は、現場で集めた顧客の声を施策に翻訳する職種です。商談の記録を残してきた人ほど移りやすくなります。
カスタマーサクセスは、導入後の顧客に定着と活用を促す職種です。既存顧客との関係を作ってきた経験がそのまま評価の対象になります。
- 営業企画は商談データの分析と施策設計が中心になる
- カスタマーサクセスは解約率と追加提案で評価される
- 営業事務は受注処理と見積作成の精度が問われる
- 購買や調達は売る側の論理を知っていることが強みになる
この4つに共通するのは、営業の現場で見てきた情報が前提知識として効くという点です。未経験の職種に見えても、実務の土台は地続きになっています。
事務寄りの職種への移動を考えるなら、営業事務がきつい理由で業務の中身を確認してください。未経験の職種に挑戦する場合は未経験におすすめの転職エージェントも選択肢になります。
職務経歴書には、担当したセグメント、目標に対する達成率、商談数と受注率を数字で並べてください。頑張ったという表現よりも、数字のほうが伝わります。
職務経歴書では、担当顧客数、目標達成率、継続率の3つを年度ごとに並べてください。職種を変える応募でも、この3つが揃っていれば数字で仕事を管理してきた人だと伝わります。売上額だけを書くより再現性が見えます。



営業の経験は、売ることそのものより「数字で自分の仕事を説明できること」が評価されています。職種を変えるときこそ、この強みを前に出してください。
女性の営業職に関するよくある質問
ここまでで触れきれなかった疑問を、公的統計で確認できる範囲で整理します。
女性の営業職は本当にきついですか?
労働時間、評価、社外との接点の3つで負荷がかかりやすい職種です。令和6年の雇用動向調査では、女性が前職を辞めた理由の最多は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」の12.8%でした(厚生労働省 令和6年雇用動向調査)。商談の時間を顧客が決める職種である以上、この要因は構造的に残ります。一方で年収は職種計の女性平均を上回るため、負荷と処遇の両面で判断する必要があります。
女性の営業職の年収はどのくらいですか?
2022年の賃金構造基本統計調査を特別集計した分析では、60歳未満の正社員女性の年間賃金は、機械器具・通信営業で492万円、金融営業で472万円、その他の営業職業で463万円でした。職種計の正社員女性は410万円です(日本労働組合総連合会 職種別賃金の研究)。いずれも職種計を上回りますが、同じ職種の男性とは113万円から157万円の差があります。
営業職の女性はどのくらいいますか?
同じ分析によると、営業職業従事者のうち「その他の営業職業」の女性比率は18.5%、「機械器具・通信営業」は12.3%です。職種全体の女性比率46.8%と比べると大きく下回ります。正社員に限るとさらに下がり、それぞれ15.1%と11.3%になります。配属される部署によっては同性の先輩がいない状態も起こりうる、というのが統計から読める現実です(日本労働組合総連合会 職種別賃金の研究)。
営業職で育児と両立できますか?
令和6年度の雇用均等基本調査では、育児休業を取得した割合は女性86.6%、男性40.5%でした(厚生労働省 令和6年度雇用均等基本調査)。制度の利用そのものは定着しています。営業職の場合は、復帰後にどの型の営業に就くかが両立のしやすさを左右します。移動のない内勤営業や、商談が平日日中に集中する法人営業のほうが時間を読みやすくなります。
未経験から営業職に転職できますか?
営業職は未経験者の募集が多い職種です。ただし入社後の負荷は配属先で大きく変わるため、応募の段階で商談の時間帯と移動の量を確認してください。2026年4月からは従業員101人以上の企業に男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が義務づけられており(厚生労働省 女性活躍推進法が改正されました)、応募前に女性の活躍推進企業データベースで数字を比べられます。
営業職を辞めた後のキャリアはどうなりますか?
営業企画、カスタマーサクセス、営業事務、購買や調達が現実的な移動先になります。いずれも顧客と商談の実態を知っていることが前提知識として効く職種です。職務経歴書には担当顧客数、目標達成率、継続率を年度ごとに並べてください。売上額だけを書くより、仕事を数字で管理してきた再現性が伝わります。
求人票の情報だけでは働き方の実態はつかめません。女性の活躍推進企業データベースで公表されている残業時間や継続勤務年数の男女差と、求人票の記載がずれていないかを確認してください。ずれがあれば、面接でそのまま質問材料にできます。
まとめ
女性の営業職がきついと言われる理由は、性格や適性ではなく職場の構造にあります。営業職業従事者の女性比率は職種によって12.3%から18.5%にとどまり、職種全体の46.8%を大きく下回ります。
労働時間の制約も数字に出ています。令和6年の雇用動向調査では、女性が前職を辞めた理由の最多が「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」の12.8%で、男性の8.6%を上回りました。
年収は職種計の女性平均を上回る水準です。60歳未満の正社員女性で機械器具・通信営業492万円、金融営業472万円に対し、職種計は410万円でした。ただし同じ職種の男性とは113万円から157万円の差があります。
賃金カーブを見ると、20歳から24歳の男女差は6.1千円しかないのに、40歳から44歳では94.6千円に開きます。課長相当職の女性割合が12.3%という数字と合わせると、差は役職の有無から生まれていることがわかります。
きついと感じたときは、原因が労働時間なのか、評価と昇進なのか、人間関係なのかを先に切り分けてください。前者は社内で動かせる余地があり、後者2つは会社の設計です。2026年4月から男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務が101人以上の企業へ広がったため、応募先を数字で比べる手段はすでに用意されています。









