コンサルティング営業がきついと言われる理由は、ノルマの重さそのものではなく、何が課題かを決めるところから商談を始めるという役割にあります。買う物が決まっている相手に説明する仕事ではないため、提案に入る前の調査と仮説づくりに時間が流れます。
その一方で、産業全体の数字を見ると長時間労働の職場ばかりとは言えません。コンサルティング会社が含まれる「学術研究,専門・技術サービス業」の所定外労働時間は月13.4時間で、情報通信業の15.8時間より短いという結果が出ています。出典は厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報です。
この記事では、コンサルティング営業という営業手法の輪郭を整理したうえで、きつさの正体がどこにあるのかを公的統計と商談の進み方の両面から解説します。コンサルティングファームのコンサルタント職との違いにも触れます。
FOCUS AGENT:東田 尚起

株式会社リクルートにてHR領域に従事。
求人広告営業(indeed/リクナビnext)をメインに、転職エージェントとしても従事。
自ら立ち上げた就職系メディアの事業売却を経験し、転職支援と日系企業を中心に複数社のRPO業務も担う。
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株式会社CAREER FOCUS/東田尚起最初にひとつ整理しておきます。コンサルティング営業は営業手法の名前で、コンサルティングファームのコンサルタントという職種とは別物です。この記事では前者を扱います。
コンサルティング営業がきついと言われる理由


コンサルティング営業のきつさは、課題の掘り起こしから商談を設計しなければならない点に集約されます。相手が困りごとを言語化できていない段階から関わるため、対話の出発点を営業側が用意することになります。
ここでは、他の営業手法と比べて負荷が大きくなりやすい4つの構造を取り上げます。労働時間や飛び込みの多さといった営業職に共通する話は最小限にとどめます。
課題の掘り起こしから始まる商談
コンサルティング営業では、顧客が明確な要望を持っていない状態から商談が始まります。見積依頼が来てから動く営業とは、最初の一歩が違います。
相手の口から出てくる困りごとは、多くの場合が症状であって原因ではありません。症状を原因と取り違えたまま提案すると、内容が良くても採用されません。
この掘り起こしは、正解が用意されていない作業です。相手の事業構造を調べ、仮説を立て、外れたら立て直すという往復が何度か必要になります。
ヒアリングで潜在的な課題を引き出す力が最重要スキルとして挙げられるのも、この工程が成否を分けるためです。基本的な法人向けの折衝の難しさについては法人営業がきつい理由の記事で整理しています。
提案までに積み上がる工数
商談1件あたりの準備量が多いことも、きつさの実感につながります。相手の業界動向、競合の状況、社内の意思決定の流れまで押さえたうえで資料を組み立てるためです。
商談に座っている時間より、その前後の調査と資料作成の時間の方が長くなることは珍しくありません。提案書を1本仕上げるまでに、商談の何倍もの時間が積み上がります。
しかも、この工数は受注しても失注しても発生します。失注した案件の資料は原則として他に転用できず、投じた時間がそのまま消えます。
- 決算資料や中期計画を読み込み、論点を洗い出す
- 現場と管理職の双方にヒアリングし、認識のずれを確認する
- 自社の技術部門や審査部門と実現可能性をすり合わせる
- 投資対効果を数字で示す資料に落とし込む
この4つはどれも、相手の前に出る前に終えておく作業です。準備の質がそのまま商談の結果に反映されるため、削りどころが見つかりにくいという性質があります。
成果が出るまでの期間の長さ
提案した施策が効果を出したかどうかは、導入してすぐには分かりません。業務改善でも人材育成でも、数字に表れるのは運用が定着してからです。
提案の当たり外れが決算期をまたいで判明するため、評価される側も評価する側も判断材料をしばらく持てません。この宙ぶらりんの期間が精神的な負荷になります。
商談期間そのものも長くなりがちです。課題の合意、方針の確認、稟議の通過と段階が分かれ、初回接触から受注までが年度をまたぐ案件も出てきます。
月次で目標を追う仕組みと相性が悪いのは、この点です。今月の数字を作るために動ける余地が小さく、着手した案件の結果が出るのは先の四半期になります。
自社商品で解けない課題との板挟み
課題を正しく掘り当てた結果、自社の商品では解けないという結論になることがあります。ここがコンサルティング営業に特有の難しさです。
顧客の利益を優先すれば他社の解決策を勧めることになり、自社の売上とは逆を向きます。この矛盾を毎回どう処理するかは、会社の方針にも個人の判断にも委ねられます。
無理に自社商品に寄せた提案をすると、短期的には受注できても導入後の評価が下がります。数年単位で付き合う顧客であれば、その傷は次の商談に響きます。
この葛藤は、扱う商材が広い会社ほど軽く、狭い会社ほど重くなります。転職先を選ぶときに商材の幅を確認しておくと、入社後のずれを減らせます。
きついと感じたとき、それが課題の掘り起こしなのか、資料作成の量なのか、評価までの待ち時間なのかを書き出してみてください。原因が違えば有効な手も変わります。漠然としたつらさのままだと、転職しても同じ状態を繰り返しやすくなります。
コンサルティング営業の年収の相場


結論から書くと、コンサルティング営業という職種区分の平均年収を示した公的統計は存在しません。営業手法の呼び名であって、統計上の職業分類ではないためです。
相場を知りたいときは、どの産業でどんな商材を扱うかを軸に読むのが実態に近くなります。ここでは公的統計の数字を手がかりに整理します。
公的統計から読む産業別の水準
コンサルティング会社は日本標準産業分類では「学術研究,専門・技術サービス業」に含まれます。厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 産業別の賃金によると、この産業の所定内給与額は男女計の年齢計で月44.0万円でした。
全産業の年齢計は月34.1万円ですから、産業の水準としては全体平均を10万円ほど上回ります。ただしこれは営業職に限った数字ではなく、研究職や技術職を含んだ産業全体の値です。
コンサルティング営業という手法は、金融や情報通信など他の産業でも使われます。主な産業の水準を並べると次のようになります。
| 産業 | 所定内給与額 月額 | 対象 |
|---|---|---|
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 44.0万円 | コンサルティング会社などを含む |
| 金融業,保険業 | 43.7万円 | 銀行や保険会社などを含む |
| 情報通信業 | 40.6万円 | システム開発会社などを含む |
| 卸売業,小売業 | 34.9万円 | 商社や卸売業などを含む |
| 全産業 | 34.1万円 | すべての産業の平均 |
いずれも男女計の年齢計で、残業代や賞与を含まない所定内給与額です。出典は厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 産業別の賃金です。
給与所得者全体との比較では、国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査の平均給与478万円、正社員に限れば545万円という数字が目安になります。
年代別に見た水準の上がり方
コンサルティング営業の年収は、経験年数に応じて伸びやすい性質があります。扱える論点の幅と、意思決定者と話せる関係の蓄積が年数とともに増えるためです。
学術研究,専門・技術サービス業の年齢階級別の所定内給与額を、全産業の同じ年代と並べると差の付き方が見えます。
| 年齢階級 | 学術研究,専門・技術サービス業 | 全産業 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 28.0万円 | 24.3万円 |
| 25〜29歳 | 33.6万円 | 27.9万円 |
| 30〜34歳 | 40.7万円 | 31.2万円 |
| 35〜39歳 | 44.1万円 | 34.1万円 |
| 40〜44歳 | 48.5万円 | 36.4万円 |
| 45〜49歳 | 52.6万円 | 37.8万円 |
20代前半の差は4万円ほどですが、40代後半では15万円近くまで開きます。出典は厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 産業別の賃金と厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 年齢階級別の賃金です。
つまりこの領域は若いうちの給与が突出して高いわけではなく、年数をかけて差が開く形になっています。入社直後の金額だけで判断すると実態を読み違えます。
年収が上下する要因
同じコンサルティング営業でも、受け取る金額は会社の報酬設計によって大きく変わります。固定給の比重が高い会社と、賞与や歩合の比重が高い会社が混在しているためです。
提案の成果が数字に表れるまで時間がかかる仕事のため、評価のタイミングも会社ごとに違います。当期の受注額で見る会社もあれば、導入後の継続率まで見る会社もあります。
- 扱う商材の単価と、1件あたりの粗利の大きさ
- 固定給と変動給の比率、賞与の算定期間
- 担当する顧客の規模と、意思決定者の役職
- 提案から受注までの平均的な期間
求人票を見るときは、提示年収の内訳を必ず確認してください。モデル年収に変動給が厚く乗っている場合、実際の受け取りは提案の当たり外れで振れます。
提示された年収が固定給と変動給のどちらに寄っているかを面接で確認してください。成果が出るまでに時間のかかる商材で変動給の比重が高い設計だと、入社1年目の実収入が想定を下回ることがあります。
コンサルティング営業の仕事内容と1日の流れ


コンサルティング営業の1日は、顧客の前にいる時間より、調査と社内調整に充てる時間の方が長くなるのが特徴です。商談の質が事前準備でほぼ決まるためです。
ここでは、実際の業務がどう進むのかを工程と時間配分の両面から見ていきます。
商談前の調査と仮説づくり
最初にやるのは、相手の事業を理解する作業です。公開されている決算資料、中期経営計画、採用ページの募集職種まで含めて読み込みます。
そこから、この会社は何に困っているはずかという仮説を立てます。仮説がないままヒアリングに入ると、質問が表面的になり相手の時間を奪うだけになります。
初回の商談は自社の説明ではなく、仮説をぶつけて反応を見る場として設計します。外れていたとしても、なぜ外れたのかが次の材料になります。
ヒアリングから提案までの流れ
商談は一度で終わりません。課題の確認、方向性のすり合わせ、具体案の提示と、複数回に分けて進むのが一般的です。
工程を並べると次のようになります。各工程の間に社内の関係部署との調整が挟まるため、実際の日数はもっと長くなります。
| 工程 | やること | 主な相手 |
|---|---|---|
| 事前調査 | 決算資料と業界動向から論点を洗い出す | 社内 |
| 初回ヒアリング | 仮説をぶつけて現場の実感を確認する | 現場の担当者 |
| 方向性の確認 | 解決の方針を複数案で示し反応を見る | 担当者と管理職 |
| 提案 | 投資対効果まで含めた具体案を出す | 決裁権を持つ役職者 |
| 導入後のフォロー | 実行状況を確認し次の課題を拾う | 現場と管理職 |
この流れで重要なのは、最後のフォローです。導入後に顔を出さないと成果の検証ができず、次の提案の根拠を失います。
1日の時間配分の実態
1日の過ごし方は担当している案件の段階によって変わります。提案書の締切前と、フォロー中心の時期とでは全く違う動きになります。
産業全体の数字で見ると、学術研究,専門・技術サービス業の月間総実労働時間は153.5時間、所定外労働時間は13.4時間でした。調査産業計はそれぞれ136.9時間と10.0時間です。出典は厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報です。
情報通信業の所定外労働時間15.8時間と比べると短く、産業の平均値としては突出した長時間労働の領域とは言えません。ただしこれはパートタイム労働者を含む常用労働者全体の値である点に注意が必要です。
時間の長さより、頭を使い続ける時間の密度の方が負荷として効いてきます。営業職全体の働き方の比較は営業がきつい業界ランキングの記事にまとめています。
調査と資料作成は細切れの時間では進みません。カレンダー上に2時間以上のまとまった枠を先に押さえ、そこに商談を入れない運用にしてください。準備が薄いまま商談に入ると、結局その後の巻き返しに何倍も時間がかかります。



提案までの工数の多さは、裏を返せば自分の考えた筋書きで商談が動くということでもあります。ここに手応えを感じられるかどうかが、この仕事との相性を分けます。
コンサルティング営業と他の営業手法の違い


コンサルティング営業を理解するには、隣接する営業手法との線引きを押さえるのが近道です。違いは扱う商材ではなく、課題を誰が定義するかという役割の位置にあります。
ここでは代表的な3つとの違いを整理します。特に誤解が多いコンサルタント職との違いにも触れます。
御用聞き営業とソリューション営業との違い
御用聞き営業は、相手が決めた仕様や数量に応じて見積もりを出す形です。課題の定義は顧客側にあり、営業は要望に応える役割を担います。
ソリューション営業は、顕在化した課題を自社の商品やサービスで解決する形です。課題は共有されている状態から始まり、解き方を提案します。
コンサルティング営業は、その手前から入ります。何が課題なのかを相手と一緒に定め、解決策には自社商品以外の選択肢も含めるのが一般的な説明です。
| 営業手法 | 課題を定めるのは誰か | 提案に含まれるもの | 商談の長さ |
|---|---|---|---|
| 御用聞き営業 | 顧客 | 自社の商品と価格 | 短い |
| ソリューション営業 | 顧客と営業が共有 | 自社の商品による解決策 | 中程度 |
| コンサルティング営業 | 営業が顧客と共に定める | 他社の選択肢や業務の見直しも含む | 長い |
実務では、この3つが1人の担当者の中で混ざります。同じ顧客でも案件によって求められる役割が変わるため、切り替えが必要になります。
コンサルティングファームのコンサルタント職との違い
よく混同されますが、コンサルティング営業は営業手法の名前であり、コンサルティングファームのコンサルタントという職種とは別物です。ここを取り違えると転職活動で的外れな応募をすることになります。
コンサルタント職は、顧客から報酬を受け取って調査と助言そのものを提供します。成果物は報告書や実行支援であり、助言自体が商品です。
コンサルティング営業は、あくまで自社の商品やサービスを売るために課題解決の手法を使います。助言に対して直接の対価は発生しません。
| 比較軸 | コンサルティング営業 | コンサルタント職 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 営業の手法 | 職種そのもの |
| 何で売上を立てるか | 自社の商品やサービス | 助言や実行支援そのもの |
| 評価される指標 | 受注額や契約の継続 | プロジェクトの成果と稼働 |
| 顧客との関わる期間 | 契約前から導入後まで断続的 | 契約期間中に集中 |
求人票では両方が似た言葉で書かれることがあります。応募前に、売上がどこから立つ仕事なのかを確認しておくと齟齬を防げます。
業界ごとの呼び方と実態の差
同じコンサルティング営業という肩書きでも、業界によって仕事の中身は変わります。求人票の言葉だけでは判断できません。
金融や人材の領域では、商材が形を持たないぶん課題の定義がそのまま提案になります。この構造は無形商材の営業がきつい理由の記事で詳しく扱っています。
システムや業務ソフトの領域では、技術部門との調整が業務の大きな部分を占めます。近い職種として技術営業やIT営業、SaaS営業の記事も参考になります。
金融機関の法人部門では、融資や資本政策を入口に経営課題へ踏み込む形になります。銀行の法人営業の記事に実務の流れを書いています。
面接では、初回接触から受注までに何回訪問して何を作るのかを聞いてください。工程を具体的に説明できる会社は、コンサルティング営業を実際に運用しています。説明が抽象的な場合は、呼び名だけの可能性があります。
コンサルティング営業に向いている人と向いていない人


向き不向きを分けるのは、話がうまいかどうかではありません。答えが出ない時間に耐えながら、思考を前に進められるかどうかが実質的な分かれ目になります。
ここでは適性を、具体的な行動の癖に落として整理します。
コンサルティング営業に向いている人の特徴
相手の話を論点に組み替えて返せる人は、この仕事で力を発揮します。聞いた内容をそのまま受け取るのではなく、構造化して確認する習慣があるためです。
調べることを苦にしない性格も強みになります。担当する業界が変われば前提知識も変わるため、学び直しが定期的に発生します。
- 相手の発言を要約して確認する癖がある
- 知らない業界の仕組みを調べるのが苦にならない
- 結論が出ない状態でも作業を止めずに進められる
- 社内の他部署に協力を依頼することに抵抗がない
この4つに共通するのは、自分ひとりで完結させようとしない姿勢です。コンサルティング営業は社内外の人を動かして成立する仕事だからです。
コンサルティング営業に向いていない人の特徴
その日の商談の手応えで気持ちが大きく動く人には、この仕事は負荷が重くなります。結果が出るまでの期間が長く、日々の反応が指標になりにくいためです。
決められた商品を決められた説明で売りたい人にも合いません。毎回の提案が半分は作り直しになるため、型の反復で成果を積む働き方とは構造が違います。
また、資料作成や調査を雑務と感じる人は続きにくい傾向があります。この仕事では準備そのものが成果物の一部だからです。
決められた商品を繰り返し提案する形が合うと感じる場合は、既存顧客との関係を深める型の営業が候補になります。企画営業の記事も比較材料として使えます。
経験の有無による適性の違い
未経験からコンサルティング営業に入る場合、最初の壁は業界知識ではなく質問の立て方です。何を聞けば課題が見えるかが分からない状態から始まります。
この部分は、先輩の商談に同席して質問の順番を写経するのが近道になります。独学で型を作ろうとすると遠回りになりがちです。
営業経験者の場合は、これまでの売り方を一度手放せるかどうかが適応の分かれ目です。説明して押すやり方が通じにくいため、成功体験が邪魔をすることがあります。
未経験からの転職を検討している場合は、未経験の転職に強い転職エージェントの記事で支援の受け方を確認しておくと動きやすくなります。
この仕事は成果が出るまでの期間が長いため、入社して3か月の手応えで向き不向きを決めないでください。最初の案件が受注に至ったかどうかより、課題の掘り起こしが前より速くなっているかを基準にすると判断を誤りにくくなります。



向いていないと感じる理由が、仕事の性質そのものなのか、いまの会社の進め方なのかは分けて考えてください。同じ手法でも会社によって負荷のかかる場所が違います。
コンサルティング営業がきついと感じたときの対処法


きついと感じたときに最初にやることは、転職の検討ではありません。きつさが商材によるのか、会社の運用によるのか、自分の型によるのかを切り分けるのが先です。
切り分けができると、打てる手が具体的になります。ここでは3つの方向で対処法を整理します。
商談の工程を分解して負荷を測る
まず、自分の1週間を工程別に記録してください。調査、資料作成、商談、社内調整、移動の5つに分けるだけで偏りが見えます。
資料作成に時間の半分以上が消えているなら、過去案件の構成を型として保存する余地があります。調査に偏っているなら、仮説を立てる前に調べすぎている可能性があります。
負荷の中身が数字で見えると、上司への相談も具体的になります。感覚のまま相談しても、気合いの問題として処理されがちです。
失注の理由を記録して提案の型を作る
失注した案件の理由を1行でよいので残してください。課題の設定が外れたのか、投資対効果の示し方が弱かったのか、決裁の順番を間違えたのかを分けます。
記録がある程度たまると、自分が繰り返している失敗の傾向が見えてきます。この作業をしていない人は、毎回ゼロから考え直すことになります。
- 課題の設定が相手の実感とずれていた
- 効果の見積もりに相手が納得しなかった
- 決裁者に会う前に現場で止まった
- 競合の提案と比べて実行の負担が重かった
この4つはどれも、次の商談の設計で手を打てる項目です。記録がなければ打ち手も思いつきません。
扱う領域や会社を変える
手を尽くしても負荷が下がらない場合は、環境そのものを変える選択肢があります。同じコンサルティング営業でも、産業が変われば商談の長さも評価の仕方も変わります。
厚生労働省 令和6年雇用動向調査 産業別の入職と離職によると、一般労働者の離職率は産業計で11.5%でした。学術研究,専門・技術サービス業は10.3%、情報通信業は9.8%、金融業,保険業は7.4%です。
コンサルティング会社を含む産業の離職率は、産業計より低い水準にあります。きついという評判と実際の人の動きが必ずしも一致していない点は、判断材料として押さえておいてください。
転職を検討する場合は、年代に合った支援を選ぶと進めやすくなります。30代向けの転職エージェントやIT業界に強い転職エージェントの記事を参考にしてください。
会社を変える前に、同じ社内で担当する業界や商材を変えられないかを確認してください。人間関係と社内調整の蓄積を残したまま負荷の中身だけを変えられるため、転職より回復が早く済む場合があります。
コンサルティング営業の経験が活きる転職先


コンサルティング営業の経験で評価されるのは、商品知識ではありません。課題を言葉にして関係者を動かした実績が、そのまま職務経歴書の材料になります。
ここでは、その経験が直接つながる2つの方向を挙げます。
無形商材を扱う法人営業への横移動
同じ営業職の中では、無形商材を扱う法人営業が最も移りやすい先です。課題を聞き出して提案に組み立てる工程が共通しているためです。
人材サービス、業務ソフト、金融商品などが該当します。商材が変わっても、商談の設計の仕方はそのまま持ち込めます。
選考では、扱った商材ではなくどんな課題をどう定義し、どの役職者を動かしたかを語れるかが評価されます。業界知識は入社後に身につく前提で見られることが多いためです。
事業企画や経営企画といった事業側の職種
営業から離れる方向では、事業企画や経営企画が候補になります。論点を整理して関係部署を動かす仕事の進め方が重なるためです。
コンサルティング営業は、社外の意思決定者と社内の技術部門の間を往復する仕事です。この経験は、社内の部署間を調整する職務と地続きになります。
ただし、営業職より求人数が少なく、選考では定量的な分析の経験を問われます。在職中に自社の数字を扱う機会を作っておくと応募しやすくなります。
職務経歴書には受注金額だけでなく、どんな課題をどう定義したかを2行で添えてください。コンサルティング営業の価値は金額より課題設定の質にあるため、そこが書かれていないと他の営業職と区別されません。



経験の棚卸しは、案件を3つ選んで課題設定から受注までの筋を書き出すところから始めると進めやすくなります。書き出すと、自分が何を強みにしてきたかが見えてきます。
コンサルティング営業に関するよくある質問
ここでは、コンサルティング営業について検索されることの多い疑問に答えます。求人票の言葉だけでは分かりにくい部分を中心に取り上げます。
コンサルティング営業は未経験でも転職できますか
未経験の募集は一定数あります。業界知識より、相手の話を構造化して返せるかを見る選考が多いためです。
ただし入社後の立ち上がりには時間がかかります。最初の数か月は先輩の商談に同席し、質問の順番と資料の型を覚える期間になることが一般的です。
応募前にやっておくと差がつくのは、志望する業界の代表的な企業の決算資料を1社分読んでおくことです。面接で課題の仮説を語れると、準備の姿勢が伝わります。
コンサルティング営業とコンサルタントは何が違いますか
コンサルティング営業は営業の手法で、コンサルタントは職種の名前です。売上の立ち方が根本的に違います。
コンサルティング営業は自社の商品やサービスを売ることで売上を立て、助言は商談を進めるための手段です。コンサルタントは助言や実行支援そのものに報酬が発生します。
求人票では両者が似た言葉で説明されることがあります。何を売って売上を立てる仕事なのかを面接で確認すれば、区別できます。
コンサルティング営業の残業時間はどのくらいですか
職種単位の統計はありません。産業単位で見ると、学術研究,専門・技術サービス業の月間所定外労働時間は13.4時間、調査産業計は10.0時間でした。出典は厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報です。
ただしこれは常用労働者全体の平均で、営業職だけを取り出した数字ではありません。実際の残業時間は提案書の締切が集中する時期に偏ります。
面接で確認するなら、月平均の残業時間より、繁忙期がいつ来てどのくらい続くのかを聞く方が実態に近い答えが得られます。
コンサルティング営業の成果はどう評価されますか
評価軸は会社によって差が大きい部分です。当期の受注額で見る会社と、導入後の継続率や追加提案まで含めて見る会社に分かれます。
提案の効果が数字に出るのは導入して運用が回り始めてからのため、短期の受注額だけで評価する設計だと納得感が薄くなりがちです。
入社前に、評価期間の長さと評価項目の内訳を確認してください。ここが自分の仕事の進め方と合っているかは、定着の分かれ目になります。
コンサルティング営業から他の職種に移れますか
移れます。課題を定義して関係者を動かした経験は、営業以外の職種でも評価の対象になります。
実際の移動先としては、無形商材の法人営業のほか、事業企画や経営企画、商品企画などが挙げられます。いずれも論点整理と社内調整が業務の中心にある職種です。
ただし営業以外の職種は求人数が限られます。在職中から社内の数字を扱う仕事に関わり、実績として書ける材料を作っておくと選択肢が広がります。
よくある質問の多くは、面接で逆質問すればその会社の実態が分かります。初回接触から受注までの標準的な回数と期間を聞いてください。数字で答えが返ってくる会社は、商談の進め方が組織として管理されています。
コンサルティング営業がきつい理由と年収のまとめ
コンサルティング営業がきついと言われる理由は、課題の掘り起こしから商談を設計する役割そのものにあります。提案までの工数が多く、成果が出るまでの期間も長くなります。
年収については、コンサルティング営業という職種区分の公的統計は存在しません。コンサルティング会社を含む学術研究,専門・技術サービス業の所定内給与額は月44.0万円で、全産業の34.1万円を上回ります。出典は厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 産業別の賃金です。
労働時間は、産業の平均で見る限り突出して長いわけではありません。所定外労働時間は月13.4時間で、情報通信業の15.8時間より短い水準です。離職率も産業計の11.5%に対して10.3%と低くなっています。
コンサルティング営業とコンサルティングファームのコンサルタント職は別物です。前者は自社商品の売上で評価され、後者は助言そのものが商品になります。
きついと感じたときは、その原因が商材なのか会社の運用なのか自分の型なのかを切り分けてください。切り分けができれば、社内の異動で解決する場合もあります。









